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わざと5

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「まーアレだな。確かにおまえらが二人きりで遅れるとかチョーー怪しいのは確かだな!」


瑠千亜が俺と隼の顔を見比べて言う。

「怪しいとは何だ。」

「だってお前ら普段はこんなミス絶対しねーじゃん。何かあったな?」

「何もない。俺らとて人間だ。稀にミスをすることくらいあるだろう」


実は瑠千亜も俺の気持ちをずっと知っている。


しかしこの2人は、俺が隼に想いを告げたことも、体の関係を持っていることも知らない。


ふと隼の方を見る。


隼は俺に向かって、あの魔的な微笑をした。

そしてその目線は、艷やかに俺の鎖骨へと移った。

その目線に、俺は思わずドキっとする。

柔らかに弧を描き微笑む唇は、いつも以上に肉感的で柔らかく見えた。

思わず見惚れる俺に構わず、隼は素っ気なく再び正面を向く。

そのうなじもまた、言葉に表せない妙な色気を含んでいる。


そして二人に向かって、「本当に何でもないよ」などと優しく笑って言う。



……一体こいつはどんなつもりなのだろう…

無意識なのか?

それともわざと?


俺に向けるあの悩殺的な視線は……

そしてその直後にかましてくる気まぐれな反応は……


隼も実は、さっきの行為が半端に終わったため消化不良なのか?

それで俺の気を引くような仕草をするのか?


思わずそう考えてしまった。




「水持ってくるわ。お前らいる?」


食事も終わる頃、瑠千亜がそう問いかける。

「ああ、よろしく。隼もいるか?」

「俺は大丈夫!ありがと」

「じゃーしゃーねえ優様の分も持ってくるか」

「様づけするな気持ち悪い」

「気持ち悪ってなんだよ!普段からエラソーにしてるくせに!」

「俺は先に部屋に戻ってるぞ瑠千亜。眠い」

「五郎自由すぎだろお前!!いやまあいいけど」

「ルームキーはこれだな?では、ご機嫌よう」

「お嬢かよテメーはったくそのまま永眠しろ」

「そんなことより俺の水を頼んだぞ瑠千亜」

「だーーわかってるっつの!うるせーなオメーらはほんとに!」

瑠千亜はそういいながら水を取りに行く。

また俺と隼はテーブル上で二人きりになった。
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