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捕らえ
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ゆっくりとねっとりと、互いの息遣いを合わせるようにして唇を重ねる。
俺のそんな濃厚なキスに、隼もだんだんと溢れんばかりの欲を隠せなくなってきていた。
俺は唇を隼の唇から耳元、首元、鎖骨に移動させる。
そのたびに隼は小さく息を漏らす。
「……あの日以来…何度もお前とまたこうしたいと思っていたよ。」
うっとりとした表情の隼の目を覗き込んで言う。
「あの日のお前を思い出しては何度も抜いた。そして抜く度にお前への気持ちは募るばかりだった……他の人には見せないお前の一面を、俺は独り占めできているからな」
おかしな話だ。
隼と一度でも寝ることができたなら、俺はこいつへの気持ちを諦めるはずだった。
事の始まりに関しても、一度だけ、キスをさせてくれと俺が頼み込んだことだった。
それなのに………
「…俺は、欲張りだな…」
気がついたら独りでに呟いていた。
隼は大きくて綺麗な目を俺から逸らさなかった。
「…俺もだよ……俺も、あの日のことを思い出して一人でしてた。……また優に抱かれたいって……思っちゃう自分がいた…」
照れたような表情のまま、しかし隼はまだ俺から目を離さなかった。
その目はまるで俺を捕えるかのようで…
澄んだ漆黒の瞳の奥で、密かな炎が揺れているようにも見えた。
きっと隼は、無意識なのだろう。
しかし、こいつのこういう表情や目は、人を惑わす魅力がある。
そんな魅惑に取り憑かれた俺は、こいつの一番近くにいる親友という、最も拷問的な立場にいた。
そう、何人もを簡単に虜にしてしまう魔性。
純粋無垢な笑顔の影に隠れる微かな色気。
老若男女関係なく、こいつの魅力に踊らされる……
しかし当本人は、誰かを誘惑しているつもりなど毛頭ない。
優しく思いやりに溢れた人当たりの良い男……
それなのに、自分の魅力にもそれに取り憑かれた相手にも、どこか興味が無さそうな瞳。
近いようで遠い、届くようで届かない…
そんなもどかしさもこいつの魅力を増しているのだと思う。
ただ、今目の前で、こいつは俺に欲情している。
誰にも靡かない魔性の男が、性欲に駆られているだけかもしれないとはいえ、俺に対してその妖艶な瞳を向けている。
自ら狙いを定めて色の罠を仕掛けてきている……
そんな絶景を、俺は集中して眺めていた。
最高の優越感だ……
俺は再び隼の唇を塞ぐ。
「……んっ………」
こいつの甘美な声は俺の思考を途絶えさせる。
「……隼。俺とやりたくて、仕方なかったんだろ?」
俺は言葉を紡ぎながら、興奮で高鳴る鼓動と速まる脈を言葉に載せた。
「なあ、隼。答えろよ」
隼の体を指でなぞり、鎖骨を貪りながら言う。
今の俺は、まるで獣そのものだ……
「………あっいたっ……」
俺は勢いづいた自分の興奮を止めることもせず、隼の鎖骨を強く吸った。
「……んっ……優……」
隼は俺の体を軽く押しのける。
しかし、それはあくまでポーズで、本心では辞めてほしくないと思っているのが明らかだった。
「…隼。」
「…したかった…俺あの日からずっと、優としたかった………」
涙目になりながら隼は訴えてくる。
隼はその言葉と同時に、俺の首に手を回し、顔を近づける。
そしてそのまま、隼に唇を奪われた。
しばらく続く濃密なキス。
隼が舌を激しく動かし俺がそれを受け止める。
普段とは真逆なこの構造。
俺も隼も、互いのモノをこれでもかというほど盛り上げながら、この時間を無心で過ごしていた。
俺のそんな濃厚なキスに、隼もだんだんと溢れんばかりの欲を隠せなくなってきていた。
俺は唇を隼の唇から耳元、首元、鎖骨に移動させる。
そのたびに隼は小さく息を漏らす。
「……あの日以来…何度もお前とまたこうしたいと思っていたよ。」
うっとりとした表情の隼の目を覗き込んで言う。
「あの日のお前を思い出しては何度も抜いた。そして抜く度にお前への気持ちは募るばかりだった……他の人には見せないお前の一面を、俺は独り占めできているからな」
おかしな話だ。
隼と一度でも寝ることができたなら、俺はこいつへの気持ちを諦めるはずだった。
事の始まりに関しても、一度だけ、キスをさせてくれと俺が頼み込んだことだった。
それなのに………
「…俺は、欲張りだな…」
気がついたら独りでに呟いていた。
隼は大きくて綺麗な目を俺から逸らさなかった。
「…俺もだよ……俺も、あの日のことを思い出して一人でしてた。……また優に抱かれたいって……思っちゃう自分がいた…」
照れたような表情のまま、しかし隼はまだ俺から目を離さなかった。
その目はまるで俺を捕えるかのようで…
澄んだ漆黒の瞳の奥で、密かな炎が揺れているようにも見えた。
きっと隼は、無意識なのだろう。
しかし、こいつのこういう表情や目は、人を惑わす魅力がある。
そんな魅惑に取り憑かれた俺は、こいつの一番近くにいる親友という、最も拷問的な立場にいた。
そう、何人もを簡単に虜にしてしまう魔性。
純粋無垢な笑顔の影に隠れる微かな色気。
老若男女関係なく、こいつの魅力に踊らされる……
しかし当本人は、誰かを誘惑しているつもりなど毛頭ない。
優しく思いやりに溢れた人当たりの良い男……
それなのに、自分の魅力にもそれに取り憑かれた相手にも、どこか興味が無さそうな瞳。
近いようで遠い、届くようで届かない…
そんなもどかしさもこいつの魅力を増しているのだと思う。
ただ、今目の前で、こいつは俺に欲情している。
誰にも靡かない魔性の男が、性欲に駆られているだけかもしれないとはいえ、俺に対してその妖艶な瞳を向けている。
自ら狙いを定めて色の罠を仕掛けてきている……
そんな絶景を、俺は集中して眺めていた。
最高の優越感だ……
俺は再び隼の唇を塞ぐ。
「……んっ………」
こいつの甘美な声は俺の思考を途絶えさせる。
「……隼。俺とやりたくて、仕方なかったんだろ?」
俺は言葉を紡ぎながら、興奮で高鳴る鼓動と速まる脈を言葉に載せた。
「なあ、隼。答えろよ」
隼の体を指でなぞり、鎖骨を貪りながら言う。
今の俺は、まるで獣そのものだ……
「………あっいたっ……」
俺は勢いづいた自分の興奮を止めることもせず、隼の鎖骨を強く吸った。
「……んっ……優……」
隼は俺の体を軽く押しのける。
しかし、それはあくまでポーズで、本心では辞めてほしくないと思っているのが明らかだった。
「…隼。」
「…したかった…俺あの日からずっと、優としたかった………」
涙目になりながら隼は訴えてくる。
隼はその言葉と同時に、俺の首に手を回し、顔を近づける。
そしてそのまま、隼に唇を奪われた。
しばらく続く濃密なキス。
隼が舌を激しく動かし俺がそれを受け止める。
普段とは真逆なこの構造。
俺も隼も、互いのモノをこれでもかというほど盛り上げながら、この時間を無心で過ごしていた。
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