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第一章 それは終わりから始まった
22. パウラ、地竜の聖使に会う
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翌朝、パウラはいつもの稽古メニューをこなしたいと思った。
けれど昨晩は、神殿から直接あてがわれた部屋に案内されたので、どこをどう行けばどこに出るのか、まるでわからない。
なにより訪問先の城内を、勝手に動きまわるのはさすがに憚られた。
ナナミから護衛騎士に稽古場所の調整依頼をかけたところ、しごくあっさりと許可が出た。
城外に出なければ、どこを使っても良い。
ただし西の棟には、できるなら近づかないでほしいと。
「西の棟ね…。
言われずとも近づきたくはないね」
ナナミからヴォーロフ公家の伝言を聞くや、父テオドールは美しい眉を顰め、吐き捨てるように言った。
「絶対に!
絶対に、パウラを近づけないように」
水竜の血を継ぐ父が、こうまで嫌悪することで、西の棟の正体について、パウラにもなんとなく察しがついた。
西の棟にあって、パウラには見せたくないもの。
きっと竜ならばありえないもので、あってはならないものだ。
(愛妾でしょ)
ヴォーロフではよく聞くことだ。
地竜の血を継ぎながら、妻以外の女を愛妾として囲い、子をなすことさえある。
生涯にただ一人の伴侶、その相手以外を求めず、そもそも反応すらしない。
それが竜なのだから、愛妾を置くなど竜にあるまじきこと、汚らわしく忌まわしいこととされている。
にも関わらず、けして少ない数ではない歴代のヴォーロフ大公は、正妻の他に愛妾をおいた。
そしてさらにひどいことに、愛妾は時に複数人であったり、短期間に入れ替わったりさえしたという。
非竜の大公。
この国の民は大公を陰でそう呼んで、そのためにふりかかる災厄を怖れた。
黄金竜を敬わぬ竜を戴く国に生まれた、わが身の不運を呪う。
護衛の騎士に誘導されて、パウラとナナミは部屋の外へ出た。
朝になって場所の調整をしたために、稽古を始める時間はいつもより遅く、既に午前8時を回っている。
騎士に続いて歩くヴォーロフ城は、ところどころに渦巻のような模様の入ったベージュの石造りで、それはたしか北の地でしか採れない希少な石材ではなかったか。
昨晩見た神殿の粗野さとはまるで違う。
車寄せのある正面玄関から続く1階は、表と裏と両方の壁に背の高い窓がずらりと並んでいる。
そのすべてに最高級の硬度と透明度を誇る厚手のガラスが入れられて、大きな広間にはきっと、さんさんと陽が入って明るく暖かいことだろう。
居住区や執務室のおかれた2階や3階には、計算された数の居室と窓があり、その上に手すりでぐるりと囲んだ屋上がある。
きっちり左右対称、整然と品よく美しいこと。
訪問先の城内をあちこちきょろきょろと見回すなど、ヘルムダールの姫としてはかなり行儀の悪いことだとわかっているが、好奇心には勝てない。
首を動かすのだけはなんとか我慢して、視線だけでちらちらと辺りを伺った。
(王侯貴族の城ね)
ヘルムダールとは比べ物にならない。
神殿にこそ磨き上げた大理石を使っているものの、後は珍しくもない石材製で、頑丈なだけが取り柄の城である。
(やはりうちって、貧乏だったのね)
4公家を訪れて、パウラは初めて実感した。
これといった産業も特産物もない公国であれば、それは自然なことなのだろうけれど。
「姫君、少しお待ちいただけますか」
護衛の騎士が、パウラの前に膝をついた。
足を止めた理由は間違いなく、少し先に見える人影のせいだろう。
赤いドレスの女と、黒づくめの衣装をまとう青年が見える。
なにやら不穏な雰囲気のようだ。
「御前、失礼を」
護衛の騎士が慌ただしく駆け寄る様子からして、大切な人物なのだろう。
(あれ…って)
一目でわかった。
惹きつけられない者があるのかと思う、その美貌。
遠目には黒にしか見えない艶のある髪は、近づけば暗い緑だとわかる。
騎士のくせに傷一つない白い肌と形の良い薄い唇、高い鼻梁。
しなやかな長身の腰には、細身のサーベルを佩いている。
ああ、何もかも記憶にあるとおりの姿の彼を、どうして見間違えるものか。
北の聖使アルヴィドに違いない。
その前に腰を落として礼をとった姿勢の貴婦人が、なにやら彼に言っているようだ。
黒髪のかなりの美女のように見えるが、まだ午前中だというのに、肩口まで出した大きな襟ぐりの赤いドレスを着ている。
外見だけで人を判断してはならないと、ナナミによく言われているし、よその国のことでパウラに直接関わりがあるとも思えない。
見なかったことにしようと思うけれど、どうしても気になって仕方ない。
アルヴィドにべったり貼りつくような媚び媚びの笑顔が、前世のエリーヌを思い出させたから。
もっともエリーヌの場合は、これほど妖艶な感じの美女ではなく、愛らしい印象の美少女だったが、媚び媚びの微笑は同じものだ。
そしてそれは、不器用なパウラには絶対に真似のできない表情で。
セスランもあの表情と甘ったるい声に誑かされた。
思い出すと、苦いものが喉元にこみあげてくる。
嫌な気分でそれでも目を離せずにいると、駆け寄った護衛騎士がアルヴィドの前に跪いてなにやら言っている。
それまで無言だったアルヴィドが、ようやく口を開いたらしい。
騎士に向かって何か言うと、そのまま美女に背を向ける。
追いすがる彼女を、騎士が止めている。
いや、待って。
こっちにくる?
パウラに向かってきているわけではなく、アルヴィドは回廊の出口へ向かっているだけなのだが、心の準備ができていない。
今日、今、いきなり、会うなんて思ってなかった。
普段使いの「どーぎ」はくたびれてヨレヨレだし、「すにーかー」だって汚れている。
髪はナナミお手製の「へあごむ」で無造作にひとつにまとめてあるし、つまり全然綺麗にしていないのだ。
この格好で会うのは、嫌だ!
どこか、隠れるところはないか。
いきなりあわあわと慌てふためいて、適当な木や植え込みはないかと探す。
「姫様、何をしておいでですか」
すぐ後ろから、師匠ナナミの冷たい声。
見たらわかるだろう。
この格好で挨拶なんて、恥ずかしい。
乙女心というものが、師匠のナナミにはわからないらしい。
「こちらへおいでですよ。
ヴォーロフ公家のお方でしょう?
ご挨拶を」
わかってるけどいやなんだと、どうしてわかってもらえないのか。
初対面の挨拶は、第一印象を作る。
マイナススタートになったら、挽回に手間も労力も倍かかるだろう。
なんのためにリスタート以来、努力してきたのか。
飼殺し人生を回避するためには、エリーヌに先を越されるわけにはいかないのに。
どんどん近くなるしなやかな長身。
今更逃げる方が不自然だし、だいいち無礼だ。
けれど淑女の礼をとる服装でもないので、仕方なくその場に跪く。
「ヘルムダール公家の娘パウラが、ご挨拶申し上げます」
思ったより平静な声が出た。
頭を下げたまま、何かしらの応えを待つ。
待つ。
沈黙が重い。
視界の端に、黒革のブーツが入って、その後。
下げた頭のすぐ上、ほんの間近で。
「変わった姿をしているが…。
これは訓練着か」
大気を震わせて響く、しんと深く艶のある声。
破壊力の凄まじさ。
前世の記憶にあるままだった。
けれど昨晩は、神殿から直接あてがわれた部屋に案内されたので、どこをどう行けばどこに出るのか、まるでわからない。
なにより訪問先の城内を、勝手に動きまわるのはさすがに憚られた。
ナナミから護衛騎士に稽古場所の調整依頼をかけたところ、しごくあっさりと許可が出た。
城外に出なければ、どこを使っても良い。
ただし西の棟には、できるなら近づかないでほしいと。
「西の棟ね…。
言われずとも近づきたくはないね」
ナナミからヴォーロフ公家の伝言を聞くや、父テオドールは美しい眉を顰め、吐き捨てるように言った。
「絶対に!
絶対に、パウラを近づけないように」
水竜の血を継ぐ父が、こうまで嫌悪することで、西の棟の正体について、パウラにもなんとなく察しがついた。
西の棟にあって、パウラには見せたくないもの。
きっと竜ならばありえないもので、あってはならないものだ。
(愛妾でしょ)
ヴォーロフではよく聞くことだ。
地竜の血を継ぎながら、妻以外の女を愛妾として囲い、子をなすことさえある。
生涯にただ一人の伴侶、その相手以外を求めず、そもそも反応すらしない。
それが竜なのだから、愛妾を置くなど竜にあるまじきこと、汚らわしく忌まわしいこととされている。
にも関わらず、けして少ない数ではない歴代のヴォーロフ大公は、正妻の他に愛妾をおいた。
そしてさらにひどいことに、愛妾は時に複数人であったり、短期間に入れ替わったりさえしたという。
非竜の大公。
この国の民は大公を陰でそう呼んで、そのためにふりかかる災厄を怖れた。
黄金竜を敬わぬ竜を戴く国に生まれた、わが身の不運を呪う。
護衛の騎士に誘導されて、パウラとナナミは部屋の外へ出た。
朝になって場所の調整をしたために、稽古を始める時間はいつもより遅く、既に午前8時を回っている。
騎士に続いて歩くヴォーロフ城は、ところどころに渦巻のような模様の入ったベージュの石造りで、それはたしか北の地でしか採れない希少な石材ではなかったか。
昨晩見た神殿の粗野さとはまるで違う。
車寄せのある正面玄関から続く1階は、表と裏と両方の壁に背の高い窓がずらりと並んでいる。
そのすべてに最高級の硬度と透明度を誇る厚手のガラスが入れられて、大きな広間にはきっと、さんさんと陽が入って明るく暖かいことだろう。
居住区や執務室のおかれた2階や3階には、計算された数の居室と窓があり、その上に手すりでぐるりと囲んだ屋上がある。
きっちり左右対称、整然と品よく美しいこと。
訪問先の城内をあちこちきょろきょろと見回すなど、ヘルムダールの姫としてはかなり行儀の悪いことだとわかっているが、好奇心には勝てない。
首を動かすのだけはなんとか我慢して、視線だけでちらちらと辺りを伺った。
(王侯貴族の城ね)
ヘルムダールとは比べ物にならない。
神殿にこそ磨き上げた大理石を使っているものの、後は珍しくもない石材製で、頑丈なだけが取り柄の城である。
(やはりうちって、貧乏だったのね)
4公家を訪れて、パウラは初めて実感した。
これといった産業も特産物もない公国であれば、それは自然なことなのだろうけれど。
「姫君、少しお待ちいただけますか」
護衛の騎士が、パウラの前に膝をついた。
足を止めた理由は間違いなく、少し先に見える人影のせいだろう。
赤いドレスの女と、黒づくめの衣装をまとう青年が見える。
なにやら不穏な雰囲気のようだ。
「御前、失礼を」
護衛の騎士が慌ただしく駆け寄る様子からして、大切な人物なのだろう。
(あれ…って)
一目でわかった。
惹きつけられない者があるのかと思う、その美貌。
遠目には黒にしか見えない艶のある髪は、近づけば暗い緑だとわかる。
騎士のくせに傷一つない白い肌と形の良い薄い唇、高い鼻梁。
しなやかな長身の腰には、細身のサーベルを佩いている。
ああ、何もかも記憶にあるとおりの姿の彼を、どうして見間違えるものか。
北の聖使アルヴィドに違いない。
その前に腰を落として礼をとった姿勢の貴婦人が、なにやら彼に言っているようだ。
黒髪のかなりの美女のように見えるが、まだ午前中だというのに、肩口まで出した大きな襟ぐりの赤いドレスを着ている。
外見だけで人を判断してはならないと、ナナミによく言われているし、よその国のことでパウラに直接関わりがあるとも思えない。
見なかったことにしようと思うけれど、どうしても気になって仕方ない。
アルヴィドにべったり貼りつくような媚び媚びの笑顔が、前世のエリーヌを思い出させたから。
もっともエリーヌの場合は、これほど妖艶な感じの美女ではなく、愛らしい印象の美少女だったが、媚び媚びの微笑は同じものだ。
そしてそれは、不器用なパウラには絶対に真似のできない表情で。
セスランもあの表情と甘ったるい声に誑かされた。
思い出すと、苦いものが喉元にこみあげてくる。
嫌な気分でそれでも目を離せずにいると、駆け寄った護衛騎士がアルヴィドの前に跪いてなにやら言っている。
それまで無言だったアルヴィドが、ようやく口を開いたらしい。
騎士に向かって何か言うと、そのまま美女に背を向ける。
追いすがる彼女を、騎士が止めている。
いや、待って。
こっちにくる?
パウラに向かってきているわけではなく、アルヴィドは回廊の出口へ向かっているだけなのだが、心の準備ができていない。
今日、今、いきなり、会うなんて思ってなかった。
普段使いの「どーぎ」はくたびれてヨレヨレだし、「すにーかー」だって汚れている。
髪はナナミお手製の「へあごむ」で無造作にひとつにまとめてあるし、つまり全然綺麗にしていないのだ。
この格好で会うのは、嫌だ!
どこか、隠れるところはないか。
いきなりあわあわと慌てふためいて、適当な木や植え込みはないかと探す。
「姫様、何をしておいでですか」
すぐ後ろから、師匠ナナミの冷たい声。
見たらわかるだろう。
この格好で挨拶なんて、恥ずかしい。
乙女心というものが、師匠のナナミにはわからないらしい。
「こちらへおいでですよ。
ヴォーロフ公家のお方でしょう?
ご挨拶を」
わかってるけどいやなんだと、どうしてわかってもらえないのか。
初対面の挨拶は、第一印象を作る。
マイナススタートになったら、挽回に手間も労力も倍かかるだろう。
なんのためにリスタート以来、努力してきたのか。
飼殺し人生を回避するためには、エリーヌに先を越されるわけにはいかないのに。
どんどん近くなるしなやかな長身。
今更逃げる方が不自然だし、だいいち無礼だ。
けれど淑女の礼をとる服装でもないので、仕方なくその場に跪く。
「ヘルムダール公家の娘パウラが、ご挨拶申し上げます」
思ったより平静な声が出た。
頭を下げたまま、何かしらの応えを待つ。
待つ。
沈黙が重い。
視界の端に、黒革のブーツが入って、その後。
下げた頭のすぐ上、ほんの間近で。
「変わった姿をしているが…。
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前世の記憶にあるままだった。
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