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第四章 ヴァスキアの再興
36.これが初夜 *
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エカルトの口づけは噛みつくようで、そのまま食いつされてしまいそう。
束の間離れて角度を変えて、また深く深くラウラの口内に侵し入ってくる。
火傷の残る右手はしっかりラウラの頭を押さえつけていて、息苦しさにずり上がるラウラをけして逃がしてはくれない。
舌の絡みあう水音、空気を求めて漏れる微かな喘ぎ。
湿った身体がまとうのは、湯上りの水気ではなくラウラの身内から湧き出してくるなにか。
月のものが訪れたのか。ぬらりと濡れた足の付け根に、もしそうならこんな恥ずかしいことはないと青くなった。
エカルトがそこに指を這わせた時、本能的に身体を引いた。
「逃げないで」
エカルトの腕がぐいと腰を抱き寄せる。鍛え抜かれた騎士の前に、ラウラごときの抵抗など子犬が暴れているようなものだ。がっちりホールドされて、身じろぎひとつできない。
エカルトの指はさらに奥へと挿しこまれて、ラウラの顔色はさらに青くなる。
月のものはまだ先のはず。だから月のものではない。きっとない。お願いだから違ってほしい。
「まだ口づけだけですよ?」
引き抜いた指をラウラの前に差し出して、エカルトが意地悪く笑った。
てらてらと濡れて光る指にほっとして、同時にかぁっと羞恥に染まる。つまり湧き出したものは、ラウラが雌である証。快感を拾った身体が、エカルトを受け容れられるようにした証だとわかったから。
ふいっと顔を背けると、露わになった首筋に唇が降る。続いて温かな舌がぬらりぬらりと耳朶まで行き来して、羞恥で固くなっていたはずの身体はだんだんに緩み、エカルトの固い指先がことの他優しく胸の頂を摘まみ上げた時、鋭い悲鳴をラウラは上げた。
ぴりりと背筋を駆け抜ける快感に、一切の理性は停止する。
知らない感覚に全身は支配されて、もっと触れてほしいと願ってさえいた。
エカルトの唇と舌がその頂を含んだ時、ラウラの目の裏には白い光が閃いて先ほどよりずっと高い声を上げてしまう。
ぬらりぬらりと緩急をつけた舌の動きが触れられてもいない足の付け根をじんじんさせて、ラウラの身の奥からこぽりとまたなにか、続けて湧き出してくる。
(じれったい)
そう思いついた瞬間、ラウラの両脚はぐいっと大きく割られた。
腿の内側を温かな舌が這う。
奥へ奥へと這い上がるにつれて、ラウラの身の内の熱はさらにひどくなる。
知らない感覚に焦れて腰が揺れる。
ふぅっと熱い息に、びくりと身体が跳ねた。
じんと痺れて焦れ切った頂点を、エカルトの唇が包む。くいと襞を引かれた瞬間むき出しの頂点をぬめりと舐められて、たまらず悲鳴を上げた。
「あぁ……っっ!」
エカルトの舌は飽くことを知らず、ねろりねろりと動き続ける。知らぬ間に挿入った指が、頂点の裏を内側から押し上げている。
白い光がちかちかと瞬いて。
「もう、もうだめだから……」
弾ける瞬間は間近で怖ろしい。
「そのままいって」
濡れてかすれた声。
さらにぬらりと柔らかな刺激を与えられた瞬間、ラウラの全身を銀色の衝撃が貫いた。
はぁはぁと乱れた呼吸を、エカルトの濡れた唇が吸い取ってくれる。
「もう……俺も限界です」
火の出るような告白は熱をもって、余裕のない黄金色の瞳がラウラの許しを請う。
返事の代わりに、はちきれそうなオスにそっと触れた。その先端は、こぼれ出た温みでぬらりと指を滑らせる。
「っっ……!」
苦し気に目を閉じて、エカルトは低く呻いた。
「あなたという人は……。知りませんよ、俺、手加減できないかもしれません」
ラウラの指ごと、エカルトは己のオスを掴む。そのままラウラの濡れてあふれる源に挿れた。
きぃんと熱いひきつれた痛みが走る。続いてじんとしびれた鋭い痛み。
「どうか俺を許して……」
言葉と同時に、ずんと奥まで貫かれた。
内側をひき破られる痛みに、悲鳴が上がる。
「ようやく……だ。やっとあなたを手に入れた」
つながったままラウラをひしと抱きしめて、エカルトは震えている。
目を開ければ、間近に黄金色の瞳が濡れていた。
「愛しています、俺のラウラ。どうかもう、俺の他には目を向けないで」
緩やかに動き出したエカルトの腰が、だんだんに速度を上げてゆく。
激しく揺さぶられながら、いつのまにかラウラも泣いていた。
愛されて抱かれる夜の、なんと愛おしく幸せなことだろう。
与えられる快感のすべてが愛おしく嬉しい。
「他が見えるわけない。エカルトしか、もう見えない」
エカルトの汗の滴を受けながら、右手をその頬に伸ばす。
エカルトの動きがさらに速くなる。
「愛していると言ってください、ラウラ。俺だけだ、俺を愛していると。どうか」
滴る汗はまるで雨のようで、不思議なことにその一滴ごとにふわりと桜の良い香りがする。
もう十分、ラウラの身体が愛を告げているだろうに、それでも言葉を強請るエカルトをいじらしく愛おしいと思う。
「愛しているわ、エカルト。わたくしのただ一人の伴侶。あなたしか見えない。この先もうずっと」
そう告げた瞬間、ラウラの身体の中でエカルトが弾けた。
くっっと苦し気な声を上げて、美しい眉をひそめ背をのけぞらせて。
「ラウラ……。今のはなかったことにしてください」
気まずそうにふいっと顔を背けたエカルトが、ふてくされたように口にする。
「もう一度、最初からやり直しましょう」
つい先ほどまで生娘だったラウラに、なんということを言う。
下腹と足の付け根はずくんずくんと鈍い痛みを訴えて、おそらく充血もしているだろうに。
嫌だと無言で見上げると、エカルトはすっきりきれいな笑顔を返してくる。
「今度は痛くありません。ラウラ、ね? いいでしょう?」
昔からこの笑顔に弱いラウラが、結局二度目を許してしまう。
翌朝、鈍い痛みに腰痛まで加わって、ラウラは当分の間の同衾禁止を言い渡す。
エカルトがこの世の終わりのような顔をしたのは、言うまでもない。
束の間離れて角度を変えて、また深く深くラウラの口内に侵し入ってくる。
火傷の残る右手はしっかりラウラの頭を押さえつけていて、息苦しさにずり上がるラウラをけして逃がしてはくれない。
舌の絡みあう水音、空気を求めて漏れる微かな喘ぎ。
湿った身体がまとうのは、湯上りの水気ではなくラウラの身内から湧き出してくるなにか。
月のものが訪れたのか。ぬらりと濡れた足の付け根に、もしそうならこんな恥ずかしいことはないと青くなった。
エカルトがそこに指を這わせた時、本能的に身体を引いた。
「逃げないで」
エカルトの腕がぐいと腰を抱き寄せる。鍛え抜かれた騎士の前に、ラウラごときの抵抗など子犬が暴れているようなものだ。がっちりホールドされて、身じろぎひとつできない。
エカルトの指はさらに奥へと挿しこまれて、ラウラの顔色はさらに青くなる。
月のものはまだ先のはず。だから月のものではない。きっとない。お願いだから違ってほしい。
「まだ口づけだけですよ?」
引き抜いた指をラウラの前に差し出して、エカルトが意地悪く笑った。
てらてらと濡れて光る指にほっとして、同時にかぁっと羞恥に染まる。つまり湧き出したものは、ラウラが雌である証。快感を拾った身体が、エカルトを受け容れられるようにした証だとわかったから。
ふいっと顔を背けると、露わになった首筋に唇が降る。続いて温かな舌がぬらりぬらりと耳朶まで行き来して、羞恥で固くなっていたはずの身体はだんだんに緩み、エカルトの固い指先がことの他優しく胸の頂を摘まみ上げた時、鋭い悲鳴をラウラは上げた。
ぴりりと背筋を駆け抜ける快感に、一切の理性は停止する。
知らない感覚に全身は支配されて、もっと触れてほしいと願ってさえいた。
エカルトの唇と舌がその頂を含んだ時、ラウラの目の裏には白い光が閃いて先ほどよりずっと高い声を上げてしまう。
ぬらりぬらりと緩急をつけた舌の動きが触れられてもいない足の付け根をじんじんさせて、ラウラの身の奥からこぽりとまたなにか、続けて湧き出してくる。
(じれったい)
そう思いついた瞬間、ラウラの両脚はぐいっと大きく割られた。
腿の内側を温かな舌が這う。
奥へ奥へと這い上がるにつれて、ラウラの身の内の熱はさらにひどくなる。
知らない感覚に焦れて腰が揺れる。
ふぅっと熱い息に、びくりと身体が跳ねた。
じんと痺れて焦れ切った頂点を、エカルトの唇が包む。くいと襞を引かれた瞬間むき出しの頂点をぬめりと舐められて、たまらず悲鳴を上げた。
「あぁ……っっ!」
エカルトの舌は飽くことを知らず、ねろりねろりと動き続ける。知らぬ間に挿入った指が、頂点の裏を内側から押し上げている。
白い光がちかちかと瞬いて。
「もう、もうだめだから……」
弾ける瞬間は間近で怖ろしい。
「そのままいって」
濡れてかすれた声。
さらにぬらりと柔らかな刺激を与えられた瞬間、ラウラの全身を銀色の衝撃が貫いた。
はぁはぁと乱れた呼吸を、エカルトの濡れた唇が吸い取ってくれる。
「もう……俺も限界です」
火の出るような告白は熱をもって、余裕のない黄金色の瞳がラウラの許しを請う。
返事の代わりに、はちきれそうなオスにそっと触れた。その先端は、こぼれ出た温みでぬらりと指を滑らせる。
「っっ……!」
苦し気に目を閉じて、エカルトは低く呻いた。
「あなたという人は……。知りませんよ、俺、手加減できないかもしれません」
ラウラの指ごと、エカルトは己のオスを掴む。そのままラウラの濡れてあふれる源に挿れた。
きぃんと熱いひきつれた痛みが走る。続いてじんとしびれた鋭い痛み。
「どうか俺を許して……」
言葉と同時に、ずんと奥まで貫かれた。
内側をひき破られる痛みに、悲鳴が上がる。
「ようやく……だ。やっとあなたを手に入れた」
つながったままラウラをひしと抱きしめて、エカルトは震えている。
目を開ければ、間近に黄金色の瞳が濡れていた。
「愛しています、俺のラウラ。どうかもう、俺の他には目を向けないで」
緩やかに動き出したエカルトの腰が、だんだんに速度を上げてゆく。
激しく揺さぶられながら、いつのまにかラウラも泣いていた。
愛されて抱かれる夜の、なんと愛おしく幸せなことだろう。
与えられる快感のすべてが愛おしく嬉しい。
「他が見えるわけない。エカルトしか、もう見えない」
エカルトの汗の滴を受けながら、右手をその頬に伸ばす。
エカルトの動きがさらに速くなる。
「愛していると言ってください、ラウラ。俺だけだ、俺を愛していると。どうか」
滴る汗はまるで雨のようで、不思議なことにその一滴ごとにふわりと桜の良い香りがする。
もう十分、ラウラの身体が愛を告げているだろうに、それでも言葉を強請るエカルトをいじらしく愛おしいと思う。
「愛しているわ、エカルト。わたくしのただ一人の伴侶。あなたしか見えない。この先もうずっと」
そう告げた瞬間、ラウラの身体の中でエカルトが弾けた。
くっっと苦し気な声を上げて、美しい眉をひそめ背をのけぞらせて。
「ラウラ……。今のはなかったことにしてください」
気まずそうにふいっと顔を背けたエカルトが、ふてくされたように口にする。
「もう一度、最初からやり直しましょう」
つい先ほどまで生娘だったラウラに、なんということを言う。
下腹と足の付け根はずくんずくんと鈍い痛みを訴えて、おそらく充血もしているだろうに。
嫌だと無言で見上げると、エカルトはすっきりきれいな笑顔を返してくる。
「今度は痛くありません。ラウラ、ね? いいでしょう?」
昔からこの笑顔に弱いラウラが、結局二度目を許してしまう。
翌朝、鈍い痛みに腰痛まで加わって、ラウラは当分の間の同衾禁止を言い渡す。
エカルトがこの世の終わりのような顔をしたのは、言うまでもない。
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