【完結】マザコン夫と離婚したら、年下の護衛騎士(実は王子)が熱烈に求愛してきます

yukiwa (旧PN 雪花)

文字の大きさ
上 下
36 / 44
第四章 ヴァスキアの再興

36.これが初夜 *

しおりを挟む
 エカルトの口づけは噛みつくようで、そのまま食いつされてしまいそう。
 束の間離れて角度を変えて、また深く深くラウラの口内に侵し入ってくる。
 火傷の残る右手はしっかりラウラの頭を押さえつけていて、息苦しさにずり上がるラウラをけして逃がしてはくれない。

 舌の絡みあう水音、空気を求めて漏れる微かな喘ぎ。
 湿った身体がまとうのは、湯上りの水気ではなくラウラの身内から湧き出してくるなにか。
 月のものが訪れたのか。ぬらりと濡れた足の付け根に、もしそうならこんな恥ずかしいことはないと青くなった。
 エカルトがそこに指を這わせた時、本能的に身体を引いた。
 
「逃げないで」

 エカルトの腕がぐいと腰を抱き寄せる。鍛え抜かれた騎士の前に、ラウラごときの抵抗など子犬が暴れているようなものだ。がっちりホールドされて、身じろぎひとつできない。
 エカルトの指はさらに奥へと挿しこまれて、ラウラの顔色はさらに青くなる。
 月のものはまだ先のはず。だから月のものではない。きっとない。お願いだから違ってほしい。
 
「まだ口づけだけですよ?」

 引き抜いた指をラウラの前に差し出して、エカルトが意地悪く笑った。
 てらてらと濡れて光る指にほっとして、同時にかぁっと羞恥に染まる。つまり湧き出したものは、ラウラが雌である証。快感を拾った身体が、エカルトを受け容れられるようにした証だとわかったから。
 ふいっと顔を背けると、露わになった首筋に唇が降る。続いて温かな舌がぬらりぬらりと耳朶まで行き来して、羞恥で固くなっていたはずの身体はだんだんに緩み、エカルトの固い指先がことの他優しく胸の頂を摘まみ上げた時、鋭い悲鳴をラウラは上げた。
 ぴりりと背筋を駆け抜ける快感に、一切の理性は停止する。
 知らない感覚に全身は支配されて、もっと触れてほしいと願ってさえいた。
 エカルトの唇と舌がその頂を含んだ時、ラウラの目の裏には白い光が閃いて先ほどよりずっと高い声を上げてしまう。
 ぬらりぬらりと緩急をつけた舌の動きが触れられてもいない足の付け根をじんじんさせて、ラウラの身の奥からこぽりとまたなにか、続けて湧き出してくる。

(じれったい)

 そう思いついた瞬間、ラウラの両脚はぐいっと大きく割られた。
 腿の内側を温かな舌が這う。
 奥へ奥へと這い上がるにつれて、ラウラの身の内の熱はさらにひどくなる。
 知らない感覚に焦れて腰が揺れる。
 ふぅっと熱い息に、びくりと身体が跳ねた。
 じんと痺れて焦れ切った頂点を、エカルトの唇が包む。くいと襞を引かれた瞬間むき出しの頂点をぬめりと舐められて、たまらず悲鳴を上げた。

「あぁ……っっ!」

 エカルトの舌は飽くことを知らず、ねろりねろりと動き続ける。知らぬ間に挿入はいった指が、頂点の裏を内側から押し上げている。
 白い光がちかちかと瞬いて。

「もう、もうだめだから……」

 弾ける瞬間は間近で怖ろしい。

「そのままいって」

 濡れてかすれた声。
 さらにぬらりと柔らかな刺激を与えられた瞬間、ラウラの全身を銀色の衝撃が貫いた。
 はぁはぁと乱れた呼吸を、エカルトの濡れた唇が吸い取ってくれる。

「もう……俺も限界です」

 火の出るような告白は熱をもって、余裕のない黄金色の瞳がラウラの許しを請う。
 返事の代わりに、はちきれそうなオスにそっと触れた。その先端は、こぼれ出た温みでぬらりと指を滑らせる。

「っっ……!」

 苦し気に目を閉じて、エカルトは低く呻いた。

「あなたという人は……。知りませんよ、俺、手加減できないかもしれません」

 ラウラの指ごと、エカルトは己のオスを掴む。そのままラウラの濡れてあふれる源に挿れた。
 きぃんと熱いひきつれた痛みが走る。続いてじんとしびれた鋭い痛み。

「どうか俺を許して……」

 言葉と同時に、ずんと奥まで貫かれた。
 内側をひき破られる痛みに、悲鳴が上がる。

「ようやく……だ。やっとあなたを手に入れた」

 つながったままラウラをひしと抱きしめて、エカルトは震えている。
 目を開ければ、間近に黄金色の瞳が濡れていた。

「愛しています、俺のラウラ。どうかもう、俺の他には目を向けないで」

 緩やかに動き出したエカルトの腰が、だんだんに速度を上げてゆく。
 激しく揺さぶられながら、いつのまにかラウラも泣いていた。
 愛されて抱かれる夜の、なんと愛おしく幸せなことだろう。
 与えられる快感のすべてが愛おしく嬉しい。

「他が見えるわけない。エカルトしか、もう見えない」

 エカルトの汗の滴を受けながら、右手をその頬に伸ばす。
 エカルトの動きがさらに速くなる。

「愛していると言ってください、ラウラ。俺だけだ、俺を愛していると。どうか」

 滴る汗はまるで雨のようで、不思議なことにその一滴ごとにふわりと桜の良い香りがする。
 もう十分、ラウラの身体が愛を告げているだろうに、それでも言葉を強請るエカルトをいじらしく愛おしいと思う。

「愛しているわ、エカルト。わたくしのただ一人の伴侶。あなたしか見えない。この先もうずっと」

 そう告げた瞬間、ラウラの身体の中でエカルトが弾けた。
 くっっと苦し気な声を上げて、美しい眉をひそめ背をのけぞらせて。

「ラウラ……。今のはなかったことにしてください」

 気まずそうにふいっと顔を背けたエカルトが、ふてくされたように口にする。

「もう一度、最初からやり直しましょう」

 つい先ほどまで生娘だったラウラに、なんということを言う。
 下腹と足の付け根はずくんずくんと鈍い痛みを訴えて、おそらく充血もしているだろうに。
 嫌だと無言で見上げると、エカルトはすっきりきれいな笑顔を返してくる。

「今度は痛くありません。ラウラ、ね? いいでしょう?」

 昔からこの笑顔に弱いラウラが、結局二度目を許してしまう。
 翌朝、鈍い痛みに腰痛まで加わって、ラウラは当分の間の同衾禁止を言い渡す。
 エカルトがこの世の終わりのような顔をしたのは、言うまでもない。
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

いつか彼女を手に入れる日まで

月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

根暗令嬢の華麗なる転身

しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」 ミューズは茶会が嫌いだった。 茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。 公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。 何不自由なく、暮らしていた。 家族からも愛されて育った。 それを壊したのは悪意ある言葉。 「あんな不細工な令嬢見たことない」 それなのに今回の茶会だけは断れなかった。 父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。 婚約者選びのものとして。 国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず… 応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*) ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。 同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。 立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。 一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。 描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。 ゆるりとお楽しみください。 こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。

純白の牢獄

ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください

楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。 ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。 ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……! 「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」 「エリサ、愛してる!」 ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。

私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました

山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。 ※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。 コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。 ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。 トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。 クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。 シモン・ノアイユ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。 ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。 シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。 〈あらすじ〉  コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。  ジレジレ、すれ違いラブストーリー

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...