23 / 44
第二章 ヴァスキアの王子
23.告げる
しおりを挟む
アングラード侯爵配下の騎士五千、うち家族を持たない者は三千だ。
そのほとんどは八年前に一族すべてを失っていた。マラーク国王には恨みしかない。
ではそのすべてが信頼に足る騎士かとなると、違う。
時間が経てばどんな恨みや憎しみも薄れゆく。負の激しい感情を抱えたまま、生きてゆくのは苦しいものだ。だからそうなっても不思議ではない。
人として責めることではない。が、戦力としてはあてにならない。
ルトとテオは、激しい恨みや怒りの感情を残したままの者、あるいは故国ヴァスキアの再興を強く望む者を三千の騎士から注意深く選んでいった。
残ったのはおよそ二千。思ったより多かった。
「貴公はいったい何者だ?」
アングラード侯爵配下の騎士団長の名はクラシー。黒に近い茶の髪に同じ色の瞳をした壮年の騎士だ。右目の上から下にかけて大きな刀傷がある。
その彼は主君アングラード侯爵に指示された部屋へ入るなり、ルトをまっすぐにみつめて聞いた。
騎士団の要になる男だ。彼の信頼と忠誠は、なんとしてでも得たい。
ルトは騎士服の上着、その下のシャツを黙々と取り去った。その下にある醜い火傷の引きつれ、それを見せるために。
「この傷は八年前のものだ」
右首下から腰にかけてひきつれた、ひどい火傷の痕。
はっと息を飲んだクラシーが、すぐさま跪いた。
「クラウス・フォン・ブラウンフェルスと申します。ブラウンフェルス騎士団長でございました」
顔を上げぬまま肩を震わせている。
「よく……よくご無事で。グレイグ神のご加護に感謝いたします」
「ブラウンフェルス伯爵? あなたこそよくご無事で!」
抱きつかんばかりの勢いで近寄ったテオが、クラウスの隣に座りこむ。
「テオバルトです。あなたに鍛えていただいたこともある。憶えておいでですか?」
「ドナウアー辺境伯のご子息か。たしか2番目の。生きていらしたか」
図体の大きな男が抱き合って泣く姿は、少し趣味の違う人々には良いものなのだろうが。あいにく三人が三人とも、漢に酔う趣味はない。
感動の再会を果たした後は、あっさりと話を戻した。
「殿下は我らを指揮なさるのですな。そのおつもりで私をお呼びになったのでしょう」
ルトには答えるまでもない問いだ。発したクラウスも質問したというより、確認だったろう。
「鉄の絆を守れる者をあらためて選抜してくれ。アングラード侯爵の工作と併せて、遅くとも3年以内に決着をつけたい」
「承知いたしました」
帰れるのですねと、クラウスの目が潤んだ。
王妃宮のラウラは相変わらず清らかな日々を送っていた。
逃げきってみせると表明した日から、腹痛だの胃痛だの気分が悪いのと理由をつけてはシメオンの訪れを拒み、それではと医師を送られても拒む。銀の分銅の姫の不調は特別な医師によらねば治らないなどと言いはって、診察も受けない。
どうやら仮病だとバレても良いと開き直っているようだ。そもそも銀の分銅の姫は病気になどならない。
だがさすがにこれで三年過ごすのは無理だ。ラウラもわかっているようで、もうはっきり嫌だと言葉にするしかないかと最近では口にしている。
国王と愛妾との仲は切れてはいないから、夫婦不和の責任は夫側にある。一夫一婦の教えを守らない夫に、神殿は冷たいのだ。
本当のところ、熱心な求愛を拒んでいるのはラウラの方だ。数か月の間、シメオンは愛妾のもとへ通っていない。それでも愛妾を放逐していないのだから、王宮内で妻妾同居という罰当たりでふしだらな暮らしを送っているには違いなく、神殿は諫言を繰り返していた。
「本当に放逐なんてされたら困るわ」
政略結婚である以上、そうなれば受け容れなくてはならないとラウラはため息をつく。
「このまま三年逃げ切って、修道院へ駆け込もうと思ってるのに」
俗世にいるままだと、また他の誰かに嫁げと言われる。それなら世を捨てるのが一番いい。そういう計画のようだ。
3カ月近く妻に拒否され続けているシメオンが、その日は珍しく強引で、力づくでラウラの部屋へ入ってきた。
「お引き取りください」
力で騎士にかなうはずもない。楽々と取り押さえられてあえなく追い出された。
不敬だと騒ぎ立てていたが、主の安全を護ることが護衛騎士の役目なのだから相手が誰であろうと関係ない。むしろ国王だからこそ、殴りはしなかったのだ。感謝してほしい。
その後のこと。
疲れ切った表情で首を振りながら、ラウラが言った。
「最初からあんな風に熱心だったら、少しは違ったのかもしれないけれど。いまさら……どうしようもないのにね」
ぴくりと、ルトの眉がはね上がる。
最初から今のようにラウラに執着していれば、ラウラの気持ちが動いたと?
考えたくもなかった。
「陛下だってわたくしと同じ。王族の義務として、この結婚を受け容れたはずなのに。このザマでしょう?
のぼせあがって決まり事を破ったり、果ては国を傾けたり。恋とか愛とか、とても迷惑な感情ね」
ラウラのこれまでを思えば、仕方のない言葉だ。
だがルトにはこたえる言葉だった。
故国への責任と番への恋慕。このふたつがルトをここまで生かしてくれた。
特に番への恋情はけして悟らせてはならなかった。国のために他に夫を持つ身の彼女に、ルトこそが番なのだと知らせてはならないと厳に戒められた。
七歳からこれまで、ルトがどれほど自分を抑えてきたか。
ラウラは番をかぎ分けらない。だから仕方ないと理屈ではわかっている。
それでも哀しくて悔しい。
「違う」
抑えきれなかった。
あふれ出した激情が、理性を駆逐する。
「そんなものと一緒にするな」
押し殺した熱が、声の温度を低くする。
目が熱い。濡れてあふれて、目の前のラウラの顔が滲んだ。
「ルト?」
ラウラが頬に指を伸ばしてくる。
触れられた箇所が、かあっと熱を持った。
「優しい子ね。わたくしのために泣いてくれる」
自分が泣いているのだと、初めて気づいた。
あふれ出す涙には、抑え込んだ思いも載っている。
ついに口を開いた。
「七歳からです。俺はずっとあなただけを見ていました」
「え……」
ラウラの紫の瞳がこぼれんばかりに見開かれている。薄く開いた唇がはくはくと動いて、彼女の動揺を伝えてくれる。
「同じだけの愛をとは望みません。今はただ、俺があなたを愛していると、それだけを知っていてほしい」
おろした銀の髪をひとすくいして、ルトはそっと唇を押しあてる。
ふわりとイチゴの優しく甘い香りが鼻先をかすめて、さらに涙がこみあげた。
ようやく告げることのできた思いに胸は熱く、今すぐにでも抱きしめて口づけたい。
その衝動に、ルトは必死で耐えていた。
そのほとんどは八年前に一族すべてを失っていた。マラーク国王には恨みしかない。
ではそのすべてが信頼に足る騎士かとなると、違う。
時間が経てばどんな恨みや憎しみも薄れゆく。負の激しい感情を抱えたまま、生きてゆくのは苦しいものだ。だからそうなっても不思議ではない。
人として責めることではない。が、戦力としてはあてにならない。
ルトとテオは、激しい恨みや怒りの感情を残したままの者、あるいは故国ヴァスキアの再興を強く望む者を三千の騎士から注意深く選んでいった。
残ったのはおよそ二千。思ったより多かった。
「貴公はいったい何者だ?」
アングラード侯爵配下の騎士団長の名はクラシー。黒に近い茶の髪に同じ色の瞳をした壮年の騎士だ。右目の上から下にかけて大きな刀傷がある。
その彼は主君アングラード侯爵に指示された部屋へ入るなり、ルトをまっすぐにみつめて聞いた。
騎士団の要になる男だ。彼の信頼と忠誠は、なんとしてでも得たい。
ルトは騎士服の上着、その下のシャツを黙々と取り去った。その下にある醜い火傷の引きつれ、それを見せるために。
「この傷は八年前のものだ」
右首下から腰にかけてひきつれた、ひどい火傷の痕。
はっと息を飲んだクラシーが、すぐさま跪いた。
「クラウス・フォン・ブラウンフェルスと申します。ブラウンフェルス騎士団長でございました」
顔を上げぬまま肩を震わせている。
「よく……よくご無事で。グレイグ神のご加護に感謝いたします」
「ブラウンフェルス伯爵? あなたこそよくご無事で!」
抱きつかんばかりの勢いで近寄ったテオが、クラウスの隣に座りこむ。
「テオバルトです。あなたに鍛えていただいたこともある。憶えておいでですか?」
「ドナウアー辺境伯のご子息か。たしか2番目の。生きていらしたか」
図体の大きな男が抱き合って泣く姿は、少し趣味の違う人々には良いものなのだろうが。あいにく三人が三人とも、漢に酔う趣味はない。
感動の再会を果たした後は、あっさりと話を戻した。
「殿下は我らを指揮なさるのですな。そのおつもりで私をお呼びになったのでしょう」
ルトには答えるまでもない問いだ。発したクラウスも質問したというより、確認だったろう。
「鉄の絆を守れる者をあらためて選抜してくれ。アングラード侯爵の工作と併せて、遅くとも3年以内に決着をつけたい」
「承知いたしました」
帰れるのですねと、クラウスの目が潤んだ。
王妃宮のラウラは相変わらず清らかな日々を送っていた。
逃げきってみせると表明した日から、腹痛だの胃痛だの気分が悪いのと理由をつけてはシメオンの訪れを拒み、それではと医師を送られても拒む。銀の分銅の姫の不調は特別な医師によらねば治らないなどと言いはって、診察も受けない。
どうやら仮病だとバレても良いと開き直っているようだ。そもそも銀の分銅の姫は病気になどならない。
だがさすがにこれで三年過ごすのは無理だ。ラウラもわかっているようで、もうはっきり嫌だと言葉にするしかないかと最近では口にしている。
国王と愛妾との仲は切れてはいないから、夫婦不和の責任は夫側にある。一夫一婦の教えを守らない夫に、神殿は冷たいのだ。
本当のところ、熱心な求愛を拒んでいるのはラウラの方だ。数か月の間、シメオンは愛妾のもとへ通っていない。それでも愛妾を放逐していないのだから、王宮内で妻妾同居という罰当たりでふしだらな暮らしを送っているには違いなく、神殿は諫言を繰り返していた。
「本当に放逐なんてされたら困るわ」
政略結婚である以上、そうなれば受け容れなくてはならないとラウラはため息をつく。
「このまま三年逃げ切って、修道院へ駆け込もうと思ってるのに」
俗世にいるままだと、また他の誰かに嫁げと言われる。それなら世を捨てるのが一番いい。そういう計画のようだ。
3カ月近く妻に拒否され続けているシメオンが、その日は珍しく強引で、力づくでラウラの部屋へ入ってきた。
「お引き取りください」
力で騎士にかなうはずもない。楽々と取り押さえられてあえなく追い出された。
不敬だと騒ぎ立てていたが、主の安全を護ることが護衛騎士の役目なのだから相手が誰であろうと関係ない。むしろ国王だからこそ、殴りはしなかったのだ。感謝してほしい。
その後のこと。
疲れ切った表情で首を振りながら、ラウラが言った。
「最初からあんな風に熱心だったら、少しは違ったのかもしれないけれど。いまさら……どうしようもないのにね」
ぴくりと、ルトの眉がはね上がる。
最初から今のようにラウラに執着していれば、ラウラの気持ちが動いたと?
考えたくもなかった。
「陛下だってわたくしと同じ。王族の義務として、この結婚を受け容れたはずなのに。このザマでしょう?
のぼせあがって決まり事を破ったり、果ては国を傾けたり。恋とか愛とか、とても迷惑な感情ね」
ラウラのこれまでを思えば、仕方のない言葉だ。
だがルトにはこたえる言葉だった。
故国への責任と番への恋慕。このふたつがルトをここまで生かしてくれた。
特に番への恋情はけして悟らせてはならなかった。国のために他に夫を持つ身の彼女に、ルトこそが番なのだと知らせてはならないと厳に戒められた。
七歳からこれまで、ルトがどれほど自分を抑えてきたか。
ラウラは番をかぎ分けらない。だから仕方ないと理屈ではわかっている。
それでも哀しくて悔しい。
「違う」
抑えきれなかった。
あふれ出した激情が、理性を駆逐する。
「そんなものと一緒にするな」
押し殺した熱が、声の温度を低くする。
目が熱い。濡れてあふれて、目の前のラウラの顔が滲んだ。
「ルト?」
ラウラが頬に指を伸ばしてくる。
触れられた箇所が、かあっと熱を持った。
「優しい子ね。わたくしのために泣いてくれる」
自分が泣いているのだと、初めて気づいた。
あふれ出す涙には、抑え込んだ思いも載っている。
ついに口を開いた。
「七歳からです。俺はずっとあなただけを見ていました」
「え……」
ラウラの紫の瞳がこぼれんばかりに見開かれている。薄く開いた唇がはくはくと動いて、彼女の動揺を伝えてくれる。
「同じだけの愛をとは望みません。今はただ、俺があなたを愛していると、それだけを知っていてほしい」
おろした銀の髪をひとすくいして、ルトはそっと唇を押しあてる。
ふわりとイチゴの優しく甘い香りが鼻先をかすめて、さらに涙がこみあげた。
ようやく告げることのできた思いに胸は熱く、今すぐにでも抱きしめて口づけたい。
その衝動に、ルトは必死で耐えていた。
10
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください
楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。
ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。
ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……!
「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」
「エリサ、愛してる!」
ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。
私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました
山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。
※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。
コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。
ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。
トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。
クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。
シモン・ノアイユ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。
ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。
シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。
〈あらすじ〉
コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。
ジレジレ、すれ違いラブストーリー
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる