いぶきの受難

安眠豆腐

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夜の性行為(前)

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 上半身のシャツを引きちぎり、下のパンツをずるりと全部剥ぎ取る。
 こんな夜空の下で、僕は裸体を曝け出すことになった。


(やだ……やだ! 助けて!)


 声を張り上げた。けれど、霞んで消えそうなぐらい小さな声量。
 目から涙が零れる。それを拭くことすらできないぐらい手足は言う事を聞かない。
 裸にされただけでも死にたいぐらい恥ずかしい事なのに、男は僕の目の前で衣服を脱いでいく。
 その表情は先程の人の良さそうな顔とは打って変わり、目が血走り、息を荒げて興奮しきっていた。
 男の行動が何を示すのか、考えたくなかった。
 僕も男だ。そういう事に関して知識がない訳じゃない。けれど、実際目の当たりにしたことはない。
 男は自分の意思で全ての服を取り払うと、そこには黒光りして反り立つバナナのような男物があった。
 ひくひく、と震えて今にも動き出しそうな程不気味で怖いものだった。
 僕のと比べると、圧倒的な大きさで威圧感すら感じる。
 嫌だ。
 嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ!


「誰か助け――――んっ!?」


 準備を終えた男が、四本足の獣のように襲い掛かってきた。
 勢いよく僕に覆いかぶさってくると、それを皮切りに、男が本性を見せる。
 僕の顔に自分の顔を近づけてくると、迷わずその唇を重ねてきた。
 心底嫌悪感がした。
 振り払おうとしたが、顔を両手で固定され、動かすことができない。
 僕が彼女とした時とは全く違う、不快しかない独りよがりの接吻。さらに。


「――――!」


 僕の唇をこじ開けて何かが侵入してくる。
 うねうねと、扉をこじ開けたそれは、口内を嘗め回していく。しゃぶりつくしていく。
 やがて、僕の舌先に触れると、男は激しく自分の舌を絡ませる。
 唾液と共に絡むそれは卑猥な音を立てる。何とか押し返そうと舌を使うが、まるで力がなかった。
 力のない舌は、自分から男の舌を求めているようだった。
 男の目が笑う。きっと、勘違いしたんだ。その証拠と言わんばかりに男が更に激しく絡ませ始める。
 静かな公園に、ジュパジュパと気味の悪い音が耳に届く。
 男の行動は更にエスカレートする。
 僕の口を犯している最中、男が必死に腰を振る。それは、盛りのついた犬のような行動だった。
 下半身をすりつけ、興奮していきり立ったそれを僕の男性器にこすりつけていた。
 気色が悪かった。死にたいと思った。
 けれど、男の男性器が僕のと擦れると何故か変な感じがした。
 男が満足したのか、一方的な好意の口づけは終わりを告げる。
 口を離した瞬間、そのすさまじさを物語るようにお互いの口から唾液の糸が名残惜しそうに垂れる。
 ボタボタとそれは僕の肌を汚していく。


(どうしてこんな事になったんだろう……)


 今頃僕はニュースを思い出す。
 出るべきじゃなかった。お母さんの言う事を聞いておくべきだった。
 そんな後悔を今更しても、最悪の現実はここにある。
 口にしたものを吐き出すように何度も唾を吐く。けど、これはほんの序章に過ぎなかった。
 男は無防備な僕に対し、やりたい放題だった。
 露わになった白肌をなぞるように男の指が僕の頬からゆっくりと下におりて、小さな桃色の突起物に留まる。


(え? 嘘だよね?)


 男は今度は僕の胸にしゃぶりついてきた。
 先程犯したその舌が、今度は僕の胸に襲い掛かる。
 口で吸い、その尖端を丹念に嘗め回す。


「――っ、くっ!」


 舐められるとこそばゆい。ざらざらとした舌先が執拗に乳頭を刺激してくる。必死に男の頭をどかせようとするが、やはり力が入らない。


「何だ、嫌がってる割にはしっかりと感じてるんだな」
「ち、違う! 感じてない!」
「これでも感じてないって?」


 男が指で僕の乳頭を指す。そこには見て分かるぐらいピンと立っていた。
 何で? こんなに気持ち悪いのに? 僕は興奮してるの?


「違う、これは違う」
「何が違うのかな? 君もしっかり感じてくれて嬉しいなぁ!」
「ん、あっ! やだ、やめて!」


 男が大口を開けて僕の胸にかぶりついてくる。じゅるじゅるとナメクジのようにゆっくりと唾液を染み込ませるように僕の胸を汚していく。
 違う、僕は絶対感じてない。決してそんな事はない!
 男が嘗め回して口を外すと、僕の胸はローションでも塗られたように唾液で妖しく輝いていた。
 何時の間にか、僕は息を荒げていた。頭がぼーっとしている感じがある。
 男は満足気な表情で立ち上がり、自分の陰茎に手を添えた。


「さぁ、お待ちかねの物が来たよ」


 気味の悪い笑みを浮かべてそう呟く。
 嫌だ、それだけは絶対に嫌だ。


「お願いです、それだけはやめてください。僕は男なんです」
「知ってる、知ってる。けどさ、こんな状態の物をそのままにしておくわけにはいかないだろ?」
「お願いします、許してください」
「分かった、分かったよ。じゃあさ、しゃぶってよ。それで満足させたらしない」
「……本当ですか?」
「さっさとしないと気が変わっちゃうかもなー?」


 僕は覚悟を決めるしかなかった。
 男は寝そべったままの僕の上半身だけを起こし、口元にそれを突きつけてくる。
 自分にもついている筈なのに、こうして目の前で見ると化物の触手のようにグロテスクだった。


(これを口に入れるの?)


 知識はある。けど、そんな事当然したことなんかない。
 まして男の一物はバナナのような大きさで、こんなのを口に入り切るとは思えない。
 おそるおそるそれを僕は口を開いて入れようとしたら。


「あー! もうじれったいんだよ!」


 男が声を上げて、それを強引に僕の口に突っ込んだ。
 ズボボボ、と僕の顎が外れるかと思うほどの大きな物が口に入った。
 息が出来ない。完全に口を塞がれて、否が応にも男のそれをしゃぶるような形になっていた。
 酷い味だった。臭くて、気持ち悪い。


「ほら、早くフェラしろよ」
「ふぁ、ふぁい……」


 男の物を両手で包み込んで、ゆっくりと頭を前後に動かす。


「舌も使えよ。ちゃんと丁寧にな」


 男の指示通り、口内の舌で男のそれを触ると、気持ちいいのかビクビクと震えるのが分かる。
 ゆっくりと、優しく傷つけないようにそれを舐める。


(なんか、アイスキャンディーを舐めるような感じかな?)


 ジュパジュパと男のそれを舐める。丹念に、舐める。


「んふっ……んっ……! あふっ」
「おお、良いじゃねぇか。君才能あるよ」
「ふぉんとうれすか?」
「は? 喜んでるの? こんなこと言われて」


 言われて気づいた。
 おかしい。僕は本当に今、喜んでいたような気がした。
 何か、変だ僕。


「だけど、もうちょっと速くしてくれないとな。これじゃあイケねぇよ!」
「――――ッ!?」


 僕の後頭部を男が掴むと、強引に僕の口を前後に動かし始める。
 乱暴すぎて頭がおかしくなりそうなぐらいの速さだった。
 舐める余裕なんてない。完全に玩具にされていた。
 口をオナホ扱いされて、男のおチンチンが、太いおチンチンが何度も動く。
 きっと絶頂が近い。
 唾液とチンポ汁が混じり合って、凄い味だった。
 一瞬、動きが止まったと思った瞬間、口に大量の液体が放出される。
 僕にそれを拒否する権利はなかった。
 口に納まりきらないほどの量の精液が、僕の口端から白い涎となって出ていく。
 それだけじゃない。男はまだ出し切って無かったのか、二度三度大きく伸縮した後、更に精液を出す。
 僕は自分を強姦した男の精液を飲むしかなかった。
 だって、口が男のチンコに塞がれてるんだ、それしか方法がない。
 ゴクリ、ゴクリと僕は喉を鳴らした。
 マズイ。口はもう男の白濁液でネトネトでベトベト。最悪だ。


 男は僕を見下ろす。
 光悦した様子だった。まるで僕を屈服させたような満足そうな笑み。
 やがて男は自分の一物をゆっくりと引き抜く。ようやく解放された僕は苦しくて、咳込む。
 イタチの最後っ屁のように一度大きく伸縮した男のそれが僕の髪に、顔に掛かる。
 臭くて最悪だ。


「これで、許してもらえるんですよね?」
「許す? そんなわけないだろ?」
「そんな! 話が違う」
「満足させたら、って言っただろ? ほら、これが満足してるのか?」


 男が指さした方向には、先程あれだけ出した物とは思えないぐらい反り立っていた。
 信じられなかった。
 むしろ、出した後の方がみなぎっているようにも見えた。
 僕のとは全然違う、太いたくましい物が立っていた。
 それに手を触れると、驚くぐらい熱かった。


「すごい……」
「そうだろ? だから、満足させるには口だけじゃダメなんだって事さ!」
「あっ!」

 男は抵抗できない僕を四つん這いにさせる。
 僕は手足を拘束された哀れな小鹿だった。差し出すように白い尻を男に向けていた。
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