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戦闘天使ひびき 2話 「響と美玖とフランクフルト」
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夏の朝。澄み切った青空が広がる今日、公園で走る女性の姿がそこにあった。
ブロンドのショートヘアをした純粋に真っすぐな瞳が特徴的な女の子だった。
スポーツ用の薄着。服の上からでも分かる形の良い大きい胸。黒のショートパンツ。
彼女は身体を動かすことを好み、これは日課であり、趣味であった。
清涼な風を切りながら、同じようにジョギングをしてすれ違う他人に対して。
「おはようございまーす!」
眩い笑顔で、ハッキリと大きな声で挨拶を交わす。
それを聞いて嫌な気分をする人間などいないだろう。彼女の挨拶を聞いて、返事を返す者が大半だ。
フッ、フッと息を整えながら彼女は公園のベンチに辿り着き、勢いよく腰かける。
彼女が走っている「桃華公園」はジョギング専用のアスファルトのコースを併設しているほか、大人数の人間が遊べるひろい芝生の敷地を有している。
肩にかけていたタオルで噴き出た汗を拭いていると。
「えい」
「うひゃぁあぁあああ!」
背中に冷たい感触が突如響を襲う。あまりの冷たさに、身体をピーンと伸ばしてビックリする。
驚き振り返ると、そこに女の子が立っていた。
ショートヘアの黒髪。リボンをつけて、優しそうな顔つきをした女の子。小柄な体に比例した胸とお尻を持っており、学校の夏服である白い半袖衣装を身に着けていた。
「美玖! どうしたの、こんな所に」
「響が何時もここで走ってるってきいたから、きちゃった」
響と美玖。
彼女たちは幼い頃から仲良しで、学校も同じ中学校を共に進んでいた。
二人は今年中学三年生という事で、既に二人とも同じ高校の進学を決めていた。そしてそれは、クリスのいる高校でもあった。
美玖の手には二つのペットボトルの清涼飲料水があり、その一つを美玖は響に渡す。
ありがとう! と元気の良い返事で響は受け取り、それを直ぐに口へと運ぶ。
運動した直後で大量の水分を失ったのか、ゴクゴクとそれを飲み干していく。
「あー! 生き返る!」
「響、なんかオジサンみたいな言い方だよ」
「まぁまぁ、良いじゃん本当の事なんだしさ」
「もう、響ったら……」
二人は目の前に広がる芝生の敷地を眺める。
家族連れで遊びに来た人に、犬の散歩がてらに立ち寄った者。幼い子供たちが集まってサッカーをしている光景。
和気藹々としており、それを見て二人は和やかな気持ちに包まれる。
「平和だね、美玖」
「そうだね……今、こうしていられるのは響のおかげでもあるんだよね」
「私一人じゃないからね。クリスちゃんや翼さん、フィンがあって……美玖がいる。だから、私は皆を守るために戦えるんだよ」
へへ、と快活に笑う響。
その笑顔を見れば、どんな悩みや疲れも吹き飛ぶ、魔法のような笑顔だった。
そして、美玖自身もこの響の笑顔に何度も救われた。
会話をしていると、響の鼻がピクリと動く。
キョロキョロ見渡すと、キッチンカーが近くにやってきていた。
見た瞬間、ぐぅううう、と響のお腹から大きな音が鳴る。運動した後でお腹が空いてしまっていた。
「ちょっと買ってくる!」
思い立ったら即行動。
響はキッチンカーに向かい、店員と話をして買い物を済ませると、二つの包みを持って帰ってくる。
「お待たせ! はい、これ美玖の分!」
「ありがとう……って、何買ったの響?」
「それは勿論……じゃーん! フランクフルトだよ!」
串に刺さった腸詰の加工品。大きいサイズで、食べ応えがありそうな見事なものだった。
「うわ、これ大きいね……私の顔ぐらいあるよ?」
美玖は取り出したフランクフルトを顔に近づけ、長さを比べる。
「一番大きいサイズにしたからね。やっぱり運動した後の食事は欠かせないから」
「もう、響って食べ物か運動の事しか頭に無いの?」
呆れたように言う美玖。その問いに対して、響はうーん、と悩む。
しかし、よからぬことを思いついたのか、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「そんな事無いよ? 見てて」
持っていたフランクフルトを少し口に入れると、ゆっくりと前後に動かした後、チュー、チューと音を立てて吸う。
咥えていたフランクフルトをチュパ、と口から離し、下から手で持ち上げるように持ち方を変えた後、今度は側面から舐め始める。美玖はそんな事をする響に釘付けになっていた。
響自身はあまりそういう知識はないが、見様見真似で美玖を驚かせるためだけにやってみたのだ。
驚いている美玖を見て大成功、としてやったり顔の響。
フランクフルトから響は口を離す。
「どうだ、美玖。私はご飯と運動以外にも興味があるんだぞ」
「ねぇ、響」
「ん? どうした美玖」
「じゃあ、今度は私の方を見てて」
響きは一瞬言っている意味が分からなかった。
美玖はフランクフルトを刺した串を持つのではなく、フランクフルトの根元を両手で持つ。
細く白い指がフランクフルトを包み、先端部分に軽く口づけをすると、口に含みしゃぶりはじめる。
「はむ……んっ、はぁ……」
響がしていた動作とは雲泥の差があり、その動きには流れるように澱みが無かった。
時折、美玖から甘い声が漏れる。その表情は光悦していた。
(ちょ……! ちょっと美玖!?)
あまりにも意外な光景に、傍で見ている響は目が離せずにいた。
そして、動きが止まると、美玖の喉がゴクリ、と一度大きく鳴ったのが見える。
勢いよくフランクフルトを口から外した後、美玖は口から糸を引いて落ちる唾液を左手で受け止めた。
「凄い量……こんなに出されたら口から零れちゃった。それに、まだこんなに固いままだなんて…」
「だ、出された? 固いまま?」
「ダメぇ……私、これ以上は……」
するり、と美玖は自分の下腹部に手を持っていき、意味深に擦りはじめる。
響は美玖の次の言葉を逃すまいと、生唾をゴクリと飲み込み、ジッと耳を傾けた。
「…………はい、ここでおしまい」
「へ? おしまい?」
「そうだよ。どうだった? 私の演技」
「ず、ずるいよー! 美玖! その先は!」
「ありません。大体、響があんなことするからいけないんだからね。お返し」
ぷい、と顔を背ける美玖。先程の行動が美玖の機嫌を損ねてしまった事を理解し、あはは、と苦笑いをする響。
「でも、美玖の凄い迫真の演技だった。見ててドキドキした。ああいうことしたことあるの?」
「し、したことない! ないからね!」
「えー? でも、想像にしては生々しかったよ?」
「そ、そういう知識も少しはある……だけだから」
「え? 何? 美玖何か言った?」
「な、何も言ってないから! ……これ、どうしようか?」
「それはもちろん……食べるでしょ!」
唾液にまみれたフランクフルトをガブリと響は噛みついた。歯ごたえの良い皮から、パリッと良い音がなる。
ようやく本来の使われ方をされるフランクフルト。
何にも気にしていない様子の響に、美玖はやれやれ、といった様子で食べている姿を眺めていた。
ブロンドのショートヘアをした純粋に真っすぐな瞳が特徴的な女の子だった。
スポーツ用の薄着。服の上からでも分かる形の良い大きい胸。黒のショートパンツ。
彼女は身体を動かすことを好み、これは日課であり、趣味であった。
清涼な風を切りながら、同じようにジョギングをしてすれ違う他人に対して。
「おはようございまーす!」
眩い笑顔で、ハッキリと大きな声で挨拶を交わす。
それを聞いて嫌な気分をする人間などいないだろう。彼女の挨拶を聞いて、返事を返す者が大半だ。
フッ、フッと息を整えながら彼女は公園のベンチに辿り着き、勢いよく腰かける。
彼女が走っている「桃華公園」はジョギング専用のアスファルトのコースを併設しているほか、大人数の人間が遊べるひろい芝生の敷地を有している。
肩にかけていたタオルで噴き出た汗を拭いていると。
「えい」
「うひゃぁあぁあああ!」
背中に冷たい感触が突如響を襲う。あまりの冷たさに、身体をピーンと伸ばしてビックリする。
驚き振り返ると、そこに女の子が立っていた。
ショートヘアの黒髪。リボンをつけて、優しそうな顔つきをした女の子。小柄な体に比例した胸とお尻を持っており、学校の夏服である白い半袖衣装を身に着けていた。
「美玖! どうしたの、こんな所に」
「響が何時もここで走ってるってきいたから、きちゃった」
響と美玖。
彼女たちは幼い頃から仲良しで、学校も同じ中学校を共に進んでいた。
二人は今年中学三年生という事で、既に二人とも同じ高校の進学を決めていた。そしてそれは、クリスのいる高校でもあった。
美玖の手には二つのペットボトルの清涼飲料水があり、その一つを美玖は響に渡す。
ありがとう! と元気の良い返事で響は受け取り、それを直ぐに口へと運ぶ。
運動した直後で大量の水分を失ったのか、ゴクゴクとそれを飲み干していく。
「あー! 生き返る!」
「響、なんかオジサンみたいな言い方だよ」
「まぁまぁ、良いじゃん本当の事なんだしさ」
「もう、響ったら……」
二人は目の前に広がる芝生の敷地を眺める。
家族連れで遊びに来た人に、犬の散歩がてらに立ち寄った者。幼い子供たちが集まってサッカーをしている光景。
和気藹々としており、それを見て二人は和やかな気持ちに包まれる。
「平和だね、美玖」
「そうだね……今、こうしていられるのは響のおかげでもあるんだよね」
「私一人じゃないからね。クリスちゃんや翼さん、フィンがあって……美玖がいる。だから、私は皆を守るために戦えるんだよ」
へへ、と快活に笑う響。
その笑顔を見れば、どんな悩みや疲れも吹き飛ぶ、魔法のような笑顔だった。
そして、美玖自身もこの響の笑顔に何度も救われた。
会話をしていると、響の鼻がピクリと動く。
キョロキョロ見渡すと、キッチンカーが近くにやってきていた。
見た瞬間、ぐぅううう、と響のお腹から大きな音が鳴る。運動した後でお腹が空いてしまっていた。
「ちょっと買ってくる!」
思い立ったら即行動。
響はキッチンカーに向かい、店員と話をして買い物を済ませると、二つの包みを持って帰ってくる。
「お待たせ! はい、これ美玖の分!」
「ありがとう……って、何買ったの響?」
「それは勿論……じゃーん! フランクフルトだよ!」
串に刺さった腸詰の加工品。大きいサイズで、食べ応えがありそうな見事なものだった。
「うわ、これ大きいね……私の顔ぐらいあるよ?」
美玖は取り出したフランクフルトを顔に近づけ、長さを比べる。
「一番大きいサイズにしたからね。やっぱり運動した後の食事は欠かせないから」
「もう、響って食べ物か運動の事しか頭に無いの?」
呆れたように言う美玖。その問いに対して、響はうーん、と悩む。
しかし、よからぬことを思いついたのか、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「そんな事無いよ? 見てて」
持っていたフランクフルトを少し口に入れると、ゆっくりと前後に動かした後、チュー、チューと音を立てて吸う。
咥えていたフランクフルトをチュパ、と口から離し、下から手で持ち上げるように持ち方を変えた後、今度は側面から舐め始める。美玖はそんな事をする響に釘付けになっていた。
響自身はあまりそういう知識はないが、見様見真似で美玖を驚かせるためだけにやってみたのだ。
驚いている美玖を見て大成功、としてやったり顔の響。
フランクフルトから響は口を離す。
「どうだ、美玖。私はご飯と運動以外にも興味があるんだぞ」
「ねぇ、響」
「ん? どうした美玖」
「じゃあ、今度は私の方を見てて」
響きは一瞬言っている意味が分からなかった。
美玖はフランクフルトを刺した串を持つのではなく、フランクフルトの根元を両手で持つ。
細く白い指がフランクフルトを包み、先端部分に軽く口づけをすると、口に含みしゃぶりはじめる。
「はむ……んっ、はぁ……」
響がしていた動作とは雲泥の差があり、その動きには流れるように澱みが無かった。
時折、美玖から甘い声が漏れる。その表情は光悦していた。
(ちょ……! ちょっと美玖!?)
あまりにも意外な光景に、傍で見ている響は目が離せずにいた。
そして、動きが止まると、美玖の喉がゴクリ、と一度大きく鳴ったのが見える。
勢いよくフランクフルトを口から外した後、美玖は口から糸を引いて落ちる唾液を左手で受け止めた。
「凄い量……こんなに出されたら口から零れちゃった。それに、まだこんなに固いままだなんて…」
「だ、出された? 固いまま?」
「ダメぇ……私、これ以上は……」
するり、と美玖は自分の下腹部に手を持っていき、意味深に擦りはじめる。
響は美玖の次の言葉を逃すまいと、生唾をゴクリと飲み込み、ジッと耳を傾けた。
「…………はい、ここでおしまい」
「へ? おしまい?」
「そうだよ。どうだった? 私の演技」
「ず、ずるいよー! 美玖! その先は!」
「ありません。大体、響があんなことするからいけないんだからね。お返し」
ぷい、と顔を背ける美玖。先程の行動が美玖の機嫌を損ねてしまった事を理解し、あはは、と苦笑いをする響。
「でも、美玖の凄い迫真の演技だった。見ててドキドキした。ああいうことしたことあるの?」
「し、したことない! ないからね!」
「えー? でも、想像にしては生々しかったよ?」
「そ、そういう知識も少しはある……だけだから」
「え? 何? 美玖何か言った?」
「な、何も言ってないから! ……これ、どうしようか?」
「それはもちろん……食べるでしょ!」
唾液にまみれたフランクフルトをガブリと響は噛みついた。歯ごたえの良い皮から、パリッと良い音がなる。
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