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出てきたのはロボットのおもちゃで、かっこいいと思えるものでした。
「これまでのおもちゃよりも強くしていけそうだし、これでみんなと互角ぐらいに戦えるかな」
「よかったじゃないか。持ってなかったレア度の高いおもちゃだもんな」
おじさんも手を叩いて祝福してくれます。
「うん」
せっかくお金を払ってまで挑戦したのに虹にならなかったという、どこかもやもやする気分にもなりましたが、これでいいんだと自分を納得させるように何度もうなずきました。
それから、手に入れた金のレアのロボットで毎日遊んで、成長させていきました。もちろん、おじさんからはまた石を毎日一つずつもらってビンの中にためていきました。
「新しいおもちゃ、手に入れたんだってな」
「うん、金のレアのだよ」
友だちにも見せました。友だちはみんな虹のすごいおもちゃを持っているのですが、それでも少し近づけた感じがしてほこらしい気持ちになりました。
「虹じゃないのは残念だったけどさ」
「まあ、でも、金にしてはかっこいいロボットじゃないか。まだ誰も持ってないタイプのみたいだな」
「うん、ぼくのお気に入りにするんだ」
「成長させたら対戦させようぜ」
「うん、しようね」
それからまた日が経って、ゆうくんはいよいよお気に入りのおもちゃを持って、みんなで対戦させる輪に入ろうと思いました。
「ぼくのおもちゃとも対戦しようよ」
「よし、いいぜ。ゆうくんのがどこまで強くなってるのか、やってみようぜ」
ゆうくんはだいぶ成長させられたと思っていたので、良い勝負ができると自信もありました。お金を払って出した特別な金のレアでもあるので、きっと虹に近い強さになってるとも思っていました。良い勝負ができて、勝つこともできれば、石だってそこでもらえるのです。
ところが、いざ、みんなで対戦を始めてみると、ゆうくんはことごとく負けてしまいました。
おしいと思えるような勝負もなく、あっさり負けてしまうのです。
「まー、金のだしな、おれたちの虹のおもちゃにはやっぱ勝てねえよ」
「ここにいるみんな、虹のおもちゃ持ってるしね」
「虹の中では弱いおもちゃでもさ、金のおもちゃになんか楽勝で勝てちゃうんだよね」
「…………」
ゆうくんはがっくりしました。お父さんやお母さんにないしょで持ち出したお金を払ってまで出したおもちゃだったのに、今までと全く変わらない結果だったのです。
ゆうくんはあれだけの石を使ったのに虹が出ませんでしたが、みんな、どうして虹を持っている子ばかりなのか不思議に思って、聞いてみました。すると、どうやらみんな、ゆうくんよりもっとお金を使って石を買って、虹を出したとのことでした。中にはいくら使ったか分からないという子もいました。
それだけ虹を出すことには苦労するとのことでした。
「みんな、そんなにお金を使って……」
ゆうくんは自分の考えの甘さを知りました。それとともに、みんな、そんなにお金を自由に使えることに驚きました。
ここに来ているみんなには、いろいろな点でかなわないと思いました。
そう思うと、たちまち家からだまってお金を持ち出して、石を買ってしまったことが怖くなってきました。この金のおもちゃだって、結局外には持ち出せないのです。何にお金を使ったのと、お父さんやお母さんにきっと怒られてしまいます。
「そうだよ、ぼくはただ、きれいな石を集めたかっただけなんだ。みんなに勝ちたかったのだって、石をもっと集めていきたかったから」
ゆうくんは落ち込みながら、ビンに入っている石を眺めました。
「ぼくは、このきれいな石を集められるだけでよかったんだ」
金のレアのロボットもぎゅっと胸に抱きしめました。
もう一度、石集めを楽しんでいこうと思いました。きれいな石を集めるのが一番楽しいんだから。
「これまでのおもちゃよりも強くしていけそうだし、これでみんなと互角ぐらいに戦えるかな」
「よかったじゃないか。持ってなかったレア度の高いおもちゃだもんな」
おじさんも手を叩いて祝福してくれます。
「うん」
せっかくお金を払ってまで挑戦したのに虹にならなかったという、どこかもやもやする気分にもなりましたが、これでいいんだと自分を納得させるように何度もうなずきました。
それから、手に入れた金のレアのロボットで毎日遊んで、成長させていきました。もちろん、おじさんからはまた石を毎日一つずつもらってビンの中にためていきました。
「新しいおもちゃ、手に入れたんだってな」
「うん、金のレアのだよ」
友だちにも見せました。友だちはみんな虹のすごいおもちゃを持っているのですが、それでも少し近づけた感じがしてほこらしい気持ちになりました。
「虹じゃないのは残念だったけどさ」
「まあ、でも、金にしてはかっこいいロボットじゃないか。まだ誰も持ってないタイプのみたいだな」
「うん、ぼくのお気に入りにするんだ」
「成長させたら対戦させようぜ」
「うん、しようね」
それからまた日が経って、ゆうくんはいよいよお気に入りのおもちゃを持って、みんなで対戦させる輪に入ろうと思いました。
「ぼくのおもちゃとも対戦しようよ」
「よし、いいぜ。ゆうくんのがどこまで強くなってるのか、やってみようぜ」
ゆうくんはだいぶ成長させられたと思っていたので、良い勝負ができると自信もありました。お金を払って出した特別な金のレアでもあるので、きっと虹に近い強さになってるとも思っていました。良い勝負ができて、勝つこともできれば、石だってそこでもらえるのです。
ところが、いざ、みんなで対戦を始めてみると、ゆうくんはことごとく負けてしまいました。
おしいと思えるような勝負もなく、あっさり負けてしまうのです。
「まー、金のだしな、おれたちの虹のおもちゃにはやっぱ勝てねえよ」
「ここにいるみんな、虹のおもちゃ持ってるしね」
「虹の中では弱いおもちゃでもさ、金のおもちゃになんか楽勝で勝てちゃうんだよね」
「…………」
ゆうくんはがっくりしました。お父さんやお母さんにないしょで持ち出したお金を払ってまで出したおもちゃだったのに、今までと全く変わらない結果だったのです。
ゆうくんはあれだけの石を使ったのに虹が出ませんでしたが、みんな、どうして虹を持っている子ばかりなのか不思議に思って、聞いてみました。すると、どうやらみんな、ゆうくんよりもっとお金を使って石を買って、虹を出したとのことでした。中にはいくら使ったか分からないという子もいました。
それだけ虹を出すことには苦労するとのことでした。
「みんな、そんなにお金を使って……」
ゆうくんは自分の考えの甘さを知りました。それとともに、みんな、そんなにお金を自由に使えることに驚きました。
ここに来ているみんなには、いろいろな点でかなわないと思いました。
そう思うと、たちまち家からだまってお金を持ち出して、石を買ってしまったことが怖くなってきました。この金のおもちゃだって、結局外には持ち出せないのです。何にお金を使ったのと、お父さんやお母さんにきっと怒られてしまいます。
「そうだよ、ぼくはただ、きれいな石を集めたかっただけなんだ。みんなに勝ちたかったのだって、石をもっと集めていきたかったから」
ゆうくんは落ち込みながら、ビンに入っている石を眺めました。
「ぼくは、このきれいな石を集められるだけでよかったんだ」
金のレアのロボットもぎゅっと胸に抱きしめました。
もう一度、石集めを楽しんでいこうと思いました。きれいな石を集めるのが一番楽しいんだから。
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