石集め

早乙女純章

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 おじさんの手のひらには、きらきらと光りかがやく石がのっていました。

 ゆうくんが見たことのない形の石でした。

 ゆうくんの目は、石と同じようにきらきらとかがやきました。

「きみに、この石をあげよう」

「えっ、ほんとうに!?」

「ああ、本当さ。この石はわたしが開発かいはつしたものでね、ここにしかない特別とくべつなものなんだ。ああ、大丈夫、お金なんていらないよ、ただであげるからね」

「タダで!」

 ゆうくんはお金を全く持っていなかったので、よけいにうれしくて、飛びはねるように喜んでから、その石を自分の手のひらにのせました。

「わあ、きれいだなぁ。こうしてころがしてみると、なんだか花のようにも見える形だ」

「これからも、ここログインハウスに来れば、この石を一つずつあげるよ」

「えっ、これからもくれるの?」

「うん。そのかわり、毎日このログインハウスに来て遊んでいくんだよ。そのお礼に石をひとつずつあげるからね」

「毎日もらえるの? すごーい! うん、わかった、ぼく、毎日ここに来るよ」

 ゆうくんは顔を上げて力いっぱいうなずきました。

「ぼく、きれいな石を集めてるんだ。こんなすごい石、いっぱい集められるの、うれしいなぁ」

 そう言って、またうっとりと手のひらの石をながめます。

「それはよかった、うん、よかったね。それからね、この石をたくさん集めていけば、いつか君が一番ほしいものと交換こうかんできるようになるかもしれないよ」

 ゆうくんはきれいな石を見ることに夢中で、おじさんの言っていることをもうほとんど聞いていませんでした。

「ただし」

 おじさんは、ゆうくんの手から石をさっと取り上げてしまいました。

「あっ」と、ゆうくんは手を伸ばしますが、おじさんの手には届きません。ぴょんととんでみても全然とどきません。

「これをログインハウスの外に持ち出してはダメなんだよ。この特製とくせいのビンに入れておくんだ」

 おじさんは不思議ふしぎな形のガラスビンに石を入れてしまいました。

「その石、外に持ち出しちゃいけないの?」

「そうなんだよ。外に持ち出すとね、この石はたちまち消えてしまうからね」

「消えちゃうの?」

「そう、あとかたもなくね」

「そんなやだよ、こんなにきれいな石なのに」

 ゆうくんは少しがっかりしながらも、石の入ったビンを受け取りました。

 石のかがやきはビンの中に入っていても変わりません。ゆうくんは、これはこれでいいかと思いました。
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