ゆうれいのぼく

早乙女純章

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 ぼくが他のゆうれいから逃げていると、人の形をしたままのめずらしいゆうれいに出会った。女の人の姿をしたゆうれいだ。

「きみもゆうれいなの?」とぼくはきいた。

「分からないわ。わたし、ゆうれいなのか人間なのか」

 ゆうれいになりきれないゆうれい。

 この女の人もぼくとおなじようにみんなから逃げているようだった。

「いっしょに行こう」

「えぇ、分かったわ、あなたについていく」

 ぼくの居場所は見つけられなかったけど、彼女の居場所をぼくが見つけてあげたい。

 いっしょに逃げていると、うしろからたくさんのゆうれいが追いかけてきた。

「ゆうれいなのに、ゆうれいらしくないやつらがいるぞ」

 みんな、ぼくたちをふつうのゆうれいにしようとした。

 ぼくたちは、必死ひっしに逃げて、逃げて、地上へとおりていった。
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