ゆうれいのぼく

早乙女純章

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 他のゆうれいは、いろいろなものに宿やどってきたぼくとはちがって、何かに宿るということはできなかった。

 みんな、特別とくべつなことができるぼくをうらやましがった。

「おまえ、すごいんだな」

「でも、他の何かになりたいなんて、そんなのばかなことだよ」

「なんで?」ぼくはききかえす。

「だってさ、ゆうれいであることがすごいことなんだよ」

 みんな、ゆうれいであることにほこりをもっていた。

 ときどき、地上におりて、『べろべろばー』となにかをおどろかしていた。それだけでおもしろいようだった。

「みんなおんなじゆうれいなんだから、おんなじことをしようよ」

「そうだそうだ」

「おんなじゆうれいなのに、みんなよりもすごいことができるだなんて、こいつなまいきだぞ」

 ぼくの居場所は本当にここなのか、少し不安になった。

 ぼくは他のゆうれいから逃げるようにはなれていった。
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