ゆうれいのぼく

早乙女純章

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 ゆうれいのぼくは、モンスターを見つけた。

『あくのひみつそしき』が、地球とはちがう異世界いせかいからせた、こわいモンスターたちだった。

 するどいつめやきばを持っていて、さらには魔法まほうも使って、平和な世界をめちゃくちゃにしようとしていた。

 この世のものではないモンスターたちがとつぜんあらわれて、まちの人々は大さわぎ。

 なんだかぼくは、このモンスターたちが、すこしなつかしく思えた。

 このモンスターがぼくの帰る場所だったりして。

 よし、モンスターの中の一匹に宿ってみよう。

 ぼくが宿ると、モンスターはおとなしくなった。

 他のモンスターたちの歩みを魔法で止めて、もといた世界に帰していく。

 まちの人々は、はくしゅかっさい。こわいモンスターだってみんなの役に立てるんだ。

 そうか、このモンスターがぼくの帰る場所だったんだ。なりたい自分はこれだったんだ。

 そう思ったのもつかのま、ぼくはモンスターから抜け出てしまった。

 もとのゆうれいにもどってしまった。

 もうそのモンスターには宿れなかったけれど、モンスターはおとなしいまま、みんなに大切にされながら、もといた世界に帰っていった。

 そうか、ぼくの出番はもうないのか。ぼくのいる場所はここじゃなかったんだ。

 何でもないぼくは、飛んでいった。
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