歩道橋銀河通信

早乙女純章

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          ◇

 歩道橋ではもっと不思議な現象が起きていた。
 歩道橋にだけ雨が降っている。
 星のお兄さんが立つ歩道橋だけに集中して。
 ぼくが襲われている間にあんなところまで逃げていたんだ。
 雨を降らせている源は――『みずあめ』。
 ぼくをおおっていた『みずあめ』と、日向をおおっていたあめもんも離れていって、空にぽかり、と魚が気泡を吐くように浮かんでいった。
「わたしをおおった『あめもん』ちゃんと、景太君をおおった『みずあめ』ちゃんが他の『みずあめ』ちゃんたちを目覚めさせていったんだわ」
「ぼくも、『みずあめ』の声を聞いたよ」
 歩道橋の上空に細かく分裂した沢山の『みずあめ』が集まって、雨を降らせていた。その体は琥珀から銀色に変わっていた。
「景太君、あれ」
 日向が涙をぬぐいながら星のお兄さんを指差した。
 星のお兄さんは呆然と雨に打たれている。
「体が光ってる!」
 お兄さんは『みずあめ』の雨に呼応するように銀色の光を帯びて点滅している。
 光は、まるで大昔の人々が着ていた白い着物のように見えた。昔……いつか幼い頃、絵本で見たような神様の姿になったお兄さんは、両手を広げて雨を受け止めて、清々しい顔をしていた。
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