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インド方面攻略戦
第78話 加藤...
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千代の披露宴で陸軍将校に絡まれたが
その後は滞りなく盛り上がりを見せた
「山本少将殿のことはよく聞き及んでおります」
吉川中佐が隆雄に話しかける
「姉から聞かされてますか...」
「まぁ、それもそうですが陸軍内でも人気がありますよ、支那、ハワイ、東南アジア、豪州、それだけでなくドイツ軍とともにドーバー海峡を制した兜部隊、その意志を継いだ一皇隊...憧れです」
「吉川中佐は航空隊か?」
「えぇ、陸軍戦闘64戦隊戦隊長を務めております」
「ほぉ、では加藤の後継か」
「あぁ、加藤少佐も一皇隊でしたな」
「あぁよくやってくれている」
「直貴さん?酔われてます?」
「山本少将殿について行くので精一杯だよ」
とても涼しげに笑う吉川と嬉しそうに笑う千代を眺めている隆雄の顔はどこか嬉しそうであった
「お義姉さん綺麗ね」
「あぁ、幸せそうだ」
そのまま二次会も終わり隆雄達は吉川中佐の家に招かれた
「吉川中佐のご実家は立派ですな」
義雄が酔っ払ってよく喋る
「貴殿が山本殿か。」
奥から厳ついおじじが出てくる
山本とはここに五十六はいない為必然的に隆雄のことを指す
「吉川閣下、お初にお目にかかります。
兄の不敬お許しください」
「妹の結婚で酔いが回らぬわけもない、何も言わんよ」
吉川直克陸軍第五師団長、階級は中将
「千代さん、披露宴に参列できずあいすまぬ」
「いいえ、お爺様もお忙しい御身でございます。どうかお気になさらず。」
第五師団は東京で起きたクーデターの鎮圧部隊を任され鎮圧後も警護を務めている
そのため陸軍省に鎮圧本部を置き常に警邏隊を巡回させている
「今日は副官に無理言って皆様を招かせていただいた、存分に楽しんで頂きたい、あぁ出来上がってる方は無理をせぬ程で頼むぞ?」
大広間に笑いが起きる
「じい様聞いてください!少将殿は私の三倍は飲んでいるのにこの通り全く普通なのであります!」
「お前も強い方だと思っておったがさらに上がいるか」
直貴ももう出来上がっている
そして1時間も経てばほぼ皆が潰れ始める
「山本殿、此度の反乱聞き及んでおろう」
「もちろんです」
「どう捉える」
「あくまで持論ですが青年将校なりの日本陸軍を憂う気持ちではないでしょうか」
「君が同じ立場なら同じことをしたかね」
「私はそこまで血気盛んではないですよ」
「だが空では米英の戦闘機をハエのように叩き落としているだろう?」
「閣下、敵の顔を見た事はありますか?」
「あぁあるとも、わしも日露戦争に歩兵として参加していた。」
「あの顔を見ると同じ人間なんだと思います。」
「もちろん同じ人間だよ」
「燃え盛る機上で縋るものもなく通り過ぎる敵機を凝視し、殺意の目ではなく、助けてと言わんばかりのあの顔が脳裏に焼き付いているのです」
「....」
「風防を開けようと足掻くでもなくただこちらを見ているだけ。」
「陸とは全く違うのだな。」
「私は陸上戦は恐らくできません。ですから反乱も起こしません。ただ、上層部が陛下を蔑ろにするのであればその瞬間に、その頭上に250kg爆弾を叩きつけます」
「そうか、君は陛下直属の部隊であったな、いわば空の近衛師団か、」
「そうですね」
「いい話を聞いた、ありがとう」
趣旨をずらしたように見えるがこの2人には表面以外にも通じあっていたのかもしれない
「えーんじーんのーおーとー!」
直貴と義雄が気持ちよさそうに歌っている
「隆雄くんは歌わないの?」
「陸軍の軍歌はよく分からない」
「えー」
「なんだよ」
「義兄さん!隆雄くんが歌うって!」
「え?」
「お!少将殿が!」
「いけー!たかおー!」
「えぇ、」
「お供しよう、」
「海軍の軍歌しか歌えませんが....」
「軍艦があろうが」
「ご存知ですか」
「それぐらいはな」
軍艦マーチを直克と隆雄が大熱唱しその日は終わった
1週間後
「ただいま帰った」
司令室に入った瞬間澱んだ空気が隆雄を襲う
「くさ!なんだ!?」
「んぁ、隊長....」
「加藤!なんだ!くさ!」
ボサボサの髭を生やした加藤が返事をする
「面倒事押し付けられ挙句の果てには空襲でまともに寝れず、風呂にも入れずこのザマです」
「これはなんとも....うぉぇ!」
「兄さん!絶対に吐くなら外にしてくれ!」
「隊長....お土産は無いのですか....」
「ある!あるから風呂に入ってこい!」
「あと睡眠時間もください.....」
「わかった!今日明日は全員休め!好きに過ごせ!」
「ありがとうございます....」
「秘書官!お前も休め!仕事は明後日からだ!」
「私は寝ていますし風呂にも入れていますので平気ですが」
「ならなぜ窓を開けん!」
「なんというか、慣れました」
「やっぱり休め!」
隆雄が窓に駆け寄り勢いよく開ける
「やっとマシになった....」
「とんでもない匂いだった......」
隆雄と義雄が机に突っ伏す
「見回り.....」
「するから休ませてくれ.....」
「付き合う....」
「助かる.....」
その後は滞りなく盛り上がりを見せた
「山本少将殿のことはよく聞き及んでおります」
吉川中佐が隆雄に話しかける
「姉から聞かされてますか...」
「まぁ、それもそうですが陸軍内でも人気がありますよ、支那、ハワイ、東南アジア、豪州、それだけでなくドイツ軍とともにドーバー海峡を制した兜部隊、その意志を継いだ一皇隊...憧れです」
「吉川中佐は航空隊か?」
「えぇ、陸軍戦闘64戦隊戦隊長を務めております」
「ほぉ、では加藤の後継か」
「あぁ、加藤少佐も一皇隊でしたな」
「あぁよくやってくれている」
「直貴さん?酔われてます?」
「山本少将殿について行くので精一杯だよ」
とても涼しげに笑う吉川と嬉しそうに笑う千代を眺めている隆雄の顔はどこか嬉しそうであった
「お義姉さん綺麗ね」
「あぁ、幸せそうだ」
そのまま二次会も終わり隆雄達は吉川中佐の家に招かれた
「吉川中佐のご実家は立派ですな」
義雄が酔っ払ってよく喋る
「貴殿が山本殿か。」
奥から厳ついおじじが出てくる
山本とはここに五十六はいない為必然的に隆雄のことを指す
「吉川閣下、お初にお目にかかります。
兄の不敬お許しください」
「妹の結婚で酔いが回らぬわけもない、何も言わんよ」
吉川直克陸軍第五師団長、階級は中将
「千代さん、披露宴に参列できずあいすまぬ」
「いいえ、お爺様もお忙しい御身でございます。どうかお気になさらず。」
第五師団は東京で起きたクーデターの鎮圧部隊を任され鎮圧後も警護を務めている
そのため陸軍省に鎮圧本部を置き常に警邏隊を巡回させている
「今日は副官に無理言って皆様を招かせていただいた、存分に楽しんで頂きたい、あぁ出来上がってる方は無理をせぬ程で頼むぞ?」
大広間に笑いが起きる
「じい様聞いてください!少将殿は私の三倍は飲んでいるのにこの通り全く普通なのであります!」
「お前も強い方だと思っておったがさらに上がいるか」
直貴ももう出来上がっている
そして1時間も経てばほぼ皆が潰れ始める
「山本殿、此度の反乱聞き及んでおろう」
「もちろんです」
「どう捉える」
「あくまで持論ですが青年将校なりの日本陸軍を憂う気持ちではないでしょうか」
「君が同じ立場なら同じことをしたかね」
「私はそこまで血気盛んではないですよ」
「だが空では米英の戦闘機をハエのように叩き落としているだろう?」
「閣下、敵の顔を見た事はありますか?」
「あぁあるとも、わしも日露戦争に歩兵として参加していた。」
「あの顔を見ると同じ人間なんだと思います。」
「もちろん同じ人間だよ」
「燃え盛る機上で縋るものもなく通り過ぎる敵機を凝視し、殺意の目ではなく、助けてと言わんばかりのあの顔が脳裏に焼き付いているのです」
「....」
「風防を開けようと足掻くでもなくただこちらを見ているだけ。」
「陸とは全く違うのだな。」
「私は陸上戦は恐らくできません。ですから反乱も起こしません。ただ、上層部が陛下を蔑ろにするのであればその瞬間に、その頭上に250kg爆弾を叩きつけます」
「そうか、君は陛下直属の部隊であったな、いわば空の近衛師団か、」
「そうですね」
「いい話を聞いた、ありがとう」
趣旨をずらしたように見えるがこの2人には表面以外にも通じあっていたのかもしれない
「えーんじーんのーおーとー!」
直貴と義雄が気持ちよさそうに歌っている
「隆雄くんは歌わないの?」
「陸軍の軍歌はよく分からない」
「えー」
「なんだよ」
「義兄さん!隆雄くんが歌うって!」
「え?」
「お!少将殿が!」
「いけー!たかおー!」
「えぇ、」
「お供しよう、」
「海軍の軍歌しか歌えませんが....」
「軍艦があろうが」
「ご存知ですか」
「それぐらいはな」
軍艦マーチを直克と隆雄が大熱唱しその日は終わった
1週間後
「ただいま帰った」
司令室に入った瞬間澱んだ空気が隆雄を襲う
「くさ!なんだ!?」
「んぁ、隊長....」
「加藤!なんだ!くさ!」
ボサボサの髭を生やした加藤が返事をする
「面倒事押し付けられ挙句の果てには空襲でまともに寝れず、風呂にも入れずこのザマです」
「これはなんとも....うぉぇ!」
「兄さん!絶対に吐くなら外にしてくれ!」
「隊長....お土産は無いのですか....」
「ある!あるから風呂に入ってこい!」
「あと睡眠時間もください.....」
「わかった!今日明日は全員休め!好きに過ごせ!」
「ありがとうございます....」
「秘書官!お前も休め!仕事は明後日からだ!」
「私は寝ていますし風呂にも入れていますので平気ですが」
「ならなぜ窓を開けん!」
「なんというか、慣れました」
「やっぱり休め!」
隆雄が窓に駆け寄り勢いよく開ける
「やっとマシになった....」
「とんでもない匂いだった......」
隆雄と義雄が机に突っ伏す
「見回り.....」
「するから休ませてくれ.....」
「付き合う....」
「助かる.....」
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