大東亜架空戦記

ソータ

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東太平洋海戦

第60話 意味ある死

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立島と隆雄は無事ハワイにつきそれぞれの持ち場に着いた

「本当にここは最前線なのか?」
「そうですよ。ただアメリカ本土からは離れてますから戦闘機とかが飛んでこれないだけです」
「いつか艦隊が来ますよ隊長殿」
「平井さん、敬語はやめてください」
「うるせー!階級抜かされた立場になってみろ!なんで俺だけいつも置いてきぼりなんだよ!」
隆雄は大尉、宮田も二飛曹から上飛曹へ進級していた
「僕も昇進してないですよ」
新しい4番機の山谷がつぶやく
「お前、良い奴だな」
「まぁ、予科練上がりなので宮田さんと同じですけどね」
「予科練上がりってだけで....」
「操練上がりには辛い言葉だな」
「なんで俺だけ操練上がりなんすかぁ!」
「知るかよお前の選んだ道だろうに」
「ぐぅのねも出ない...」
突如ブザーがなる
「着替えよう」
4人は第三種兵装から飛行服へ着替え滑走路に出た
すると直ぐに自分たちの戦闘機が格納庫から出されエンジンが回る
「攻撃機もでてきたってことは艦隊か」
「全員集まれ!」
「前田作戦参謀殿に敬礼!...直れ!」
「今回の出撃は艦隊攻撃である先制攻撃を加えるべく諸君らを送る。必ず沈めてこい!敵の詳細であるが、空母4隻、戦艦3隻、巡洋艦8隻、駆逐艦18隻の大艦隊だ。敵はここまで艦隊を修復している、この物量侮るべからずだ。心してかかれ!」
「はっ!」
すぐに各隊で行動を確認し航空機に乗り込んだ
「山本1番出る!」
攻撃隊に続き戦闘機隊も出撃する
陸軍航空隊も上がってきた
「こちら田山攻撃1番!海軍攻撃隊に合流する!」
「こちら田淵1番了解した。我が隊の後に続け」
「了解!」
陸海軍合同攻撃隊約60機、陸海軍攻撃隊護衛戦闘機約70機が敵艦隊目指し飛んでいく様は圧巻だった

しかしアメリカ軍も直ぐにレーダーにて日本軍攻撃隊をキャッチ。迎撃隊を飛ばす
「こちらトリストン、敵攻撃隊を目視で確認...
正直言うと勝てる気がしないどうぞ」
「どういうことだ」
「多すぎる!100機はいるぞ!」
「本気で潰しにかかってる!」
アメリカ軍の迎撃隊はF4Uが40機、戦闘機だけでも約2倍の数を相手にしなければいけない
しかし接敵したからにはやらねばならない
アメリカ軍迎撃隊は日本軍編隊に突っ込んでいく

「シコルスキーだ!」
海軍のひとりが叫ぶ
「全機攻撃開始!」
護衛戦闘機が半数だけ敵機に襲いかかる
「F4Uか、クソッタレ!」
ジェームスもF4Uと格闘戦になるが相手は格闘戦を抜けようとする
「わかるぜその気持ち!日本機とは格闘戦したくないよな!だけど俺だちゃ日本軍だどこまでも追いかけるぜ!」
元アメリカ軍だからこそ相手の行動は読める
「鈴木!後ろにいるぞ!」
ジェームスが仲間の方を見て忠告する
「来てくれ!」
直後鈴木の後ろにいた敵機が粉砕する。
すぐに零戦が上に向かっていくのが見えた
隆雄の機だ
「すげぇ...」
「戦闘機隊に通達!陸軍も聞いてくれ!シコルスキーの増援だ!」
アメリカ軍は最初の無線通信の時に上空直援のために上がっていたF4Uを全機迎撃に回した
その増援が日本軍攻撃隊に迫っていた
「こちら田村!こっちは任せてください!そっちはそっちの敵を!」
攻撃隊について行った方の直援隊から頼もしい言葉が帰ってきた
「田村そっちの指揮はお前が取れ、任せたぞ」
「了解!」
最初に会敵した隆雄達はF4Uをあらかた仕留めた
しかし燃料が心許ないためハワイへ帰還する
「攻撃隊は大丈夫でしょうか」
宮田が不安をこぼす
「田村も腕利きだ、期待して待ってよう」
「指揮を執ったことはないが腕は確かだ、任せたからにはやってもらうしかない」
2時間もすると攻撃隊が帰ってきた
「おいおい、煙吹いてる奴らもいるぜ」
先に帰ってきていた戦闘機隊の兵士がザワつく
田淵機が一番最初に着陸する
「田淵さんでも被弾してるのか。」
「山本!一緒に報告来てくれ!」
隆雄はすぐに走っていく
「どうしたんですかあれ、さすがに被弾しすぎです」
「敵さんが艦爆まで迎撃のために出てきやがった戦闘機だけなら何とかなったものの艦爆まで出てこられたら数が違いすぎる」
「田村の機を待ってもいいですか」
「ああ」
攻撃隊が全て着陸し戦闘機隊が着陸し始める
攻撃隊と比べても戦闘機隊はズタボロだった
被弾していない戦闘機が居ないほどにズタボロにやられている
「山本隊長...申し訳ありません!」
田村が駆け寄ってきて一番最初に発した言葉は謝罪だった
「せっかく任せていただいたのに...こんな結果で...僚機も2機失って...」
「田村、報告するのは俺じゃない、司令室に着いてこい」
「はい......」

「田淵攻撃1番入ります」
「山本戦闘1番、田村戦闘6番入ります」
「攻撃はどうだった」
「まず、攻撃は成功と言えます」
「戦果は」
「敵空母2隻は轟沈確実、戦艦1隻撃沈確実また戦艦1隻は航行不能に陥ったものと思われます。軽巡2隻轟沈確実、以上」
「大戦果だな。被害報告」
「攻撃隊は未帰還16機です」
「戦闘機隊の最初に会敵した我々の損害に関しましては未帰還2機です」
「こ、攻撃隊に随伴した我々の損害は...」
田村が少し俯く
「早く言え」
「随伴した戦闘機隊の損害は.....未帰還24機であります.....」
「手酷くやられたもんだな」
「申し訳ありません...」
「戦闘機隊は頑張ってくれました」
田淵が口を開ける
「攻撃隊が16機で済んだのは戦闘機隊が敵を引き付けてくれたからです」
「わかってる咎めるつもりは無い」
「えっ」
「お前らは攻撃隊護衛の任を全うしたのだろう?」
「し、しかし貴重な戦闘機を...」
「田淵攻撃直前の詳細は」
「レーダーにて探知されていたらしく戦闘機隊が待ち構えていました。戦闘機隊だけなら何とかなりましたが旧式のドーントレスまで出してきて戦闘機隊そっちのけで攻撃隊に向かってきました」
「それで16機で済んだならむしろ大戦果だと俺は思う」
「田村」
隆雄が呼ぶ
「はい」
「気にするなとは言わん。だけどな後悔することは違うぞ」
「どういうことですか」
「戦友の死を無駄にするなってことだよ」
「山本の言う通りだ。お前らは屍の上に立ってる。死んで行った戦友の分も敵を倒して勝利をもたらす。戦友の死を意味あるものにするのはお前らだ」
「「「はっ!」」」
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