織田戦国伝

ソータ

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美濃侵攻

第拾捌章 織田信清謀反

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織田軍は総戦力を動員し美濃へ侵攻を開始した。
その数は西美濃三人衆を加え6万を超えた
足がかりとして木下秀吉に命じ砦を築かせようとしたが城を築き他の家臣を驚かせ、当人は侍大将、重臣へと上り詰めた

「申し上げます!敵の奇襲です!」
「どこにぶつかった」
「はっ、木下様率いる東の城壁にございます」
「十兵衛と又左を援軍として差し向けよ」
「はっ!」

「落とせ!落とせ!絶対に登らせるでねぇぞ!」
「藤吉郎!」
「前田様!明智様!」
「援軍仕る」
「かたじけにゃあぞんじます!」
「前田勢は木下勢と共に壁を登る兵をたたき落とせ!」
「明智勢は鉄砲で後続を絶て!」
この東壁での戦いは終始一貫して織田軍の防戦になった。
被害が少なく50にも満たない戦死者であったが対する斎藤家は200で攻め170程を失うほどの無謀な突撃となった

「これが我が孫の戦い方とは信じたくないのぉ」
「あまりにも兵を軽んじすぎている。愚策じゃ」
斎藤家から織田家に来た者は皆同じ事を口にしていた
「道三様」
西美濃三人衆が道三の前に座った
「お主ら...」
「誠に申し訳なく存じまする。」
そして3人とも深々と頭を下げた
「寝返った我らをお許し下さるとは思いませぬ。
しかし、頭だけは下げさせていただきまする」
「なに、お主らとてお家を守る為の考えのもと動いたのであろう、何も思わぬ、それに儂も生きておる故、謝らずとも良い」
「大殿....」
「今は同じ織田家の家臣ぞ」
「有難う存じまする。」
「励むが良い」
「少し、信長様に言葉が似ましたな」
「良い風を産む良き男ぞ」
「はっ」

2日目も斎藤軍は東壁を攻めたが
1日目同様に木下秀吉、前田利家、明智光秀の防陣に阻まれ退却、その後離れたところから大砲を撃ち東壁をぶち破るも中には入れなかった
そうして2日目も斎藤軍は大した戦果を出せず退却した

「殿、いつまで籠城するのです」
「あと3日はこのまま動く気は無い」
「何故にござる!」
「...」
秀吉が周りをキョロキョロと見回している
「ん、如何した秀吉」
「あ、滝川様と氏家様が見当たらないと思いまして」
「ん?確かにおらぬな...まさか、寝ておるということはあるまいな!」
「あの2人なら今稲葉山城におるぞ」
「な!」
「儂が教えた抜け道を通りまだ城へ抜けられるか試しておる」
「2人が帰ってくるまでの日数があと3日ということにござるな」
「うむ」
「なればなんとしてでもここは守り抜かねばなるまい」
「そんな躍起になるほど難しい話でもないでしょう...」
「恒興!そう揚げ足を取るでない!」
「如何にも!そんな戦力差では御座らぬぞ!」
「又左ぁ!」
「何故私だけ!」
「しかしあの大砲は厄介じゃ」
「確かに東壁は直ぐに修理が済んだから良いものを何ヶ所もやられれば追いつかぬ」
「門にでも撃ち込まれれば少数とは言え城の中に入ってくるやも」
「そうなれば皆殺しにするまで!」
「まるで悪党じゃ」
「又左ぁ!」
「だから何故!」

3日目は懸念通り東右壁、東左壁、東門に大砲が撃ち込まれ100程入り込んだ
1日目の右壁の3将に加え柴田勝家、丹羽長秀、蜂須賀小六が左壁に配置されており丹羽長秀が負傷
東門は森可成、稲葉良通、佐久間信盛が当たった
各地で織田軍は斎藤軍を撃退、3日目も乗り越えた
しかしその夜思わぬ知らせが入った
「申し上げます!」
「如何した、夜襲か?」
「犬山城、織田信清様....ご謀反!」
「なんだと!?何かの間違いでは無いのか!」
「誠にござる...」
「お主は確か」
「毛利長秀にございます...」
「その傷は如何いたした」
「その信清に斬られた傷にござる!
上申致します!犬山城織田信清は斎藤に内通しております!」
「....で、あるか....」
「まさか、そんな....」
「信時....信包...」
「「はっ」」
「龍重...成政...」
「「はっ」」
「うぬに犬山城"討伐"を命ず」
「「はっ!」」

4日目
尾張国犬山城
犬山城は夜明けと共に総大将織田信時率いる織田信包、斎藤龍重、佐々成政の総勢1万2000に攻め立てられていた
既に時刻は10:00を回り本格的に攻城戦が始まっている
犬山城の門がひとつ破られそこから続々と信時軍がなだれ込み大乱戦となる
「信清は生け捕りにせよ!」
「なぜ織田軍が織田を攻めてくる!」
「お主らの主が裏切りおったからよ!」
「お助けを!」
「ふんっ!」
既に城門付近は血の海とかしていた。
「ここで潰さねば美濃攻めは長引くぞ!」
信包、龍重は自ら城内へ侵入し敵を屠り倒す
信包は城内の構造を熟知しているためスラスラと大広間へたどり着く
「ぐぁ....」
ドサッと広間の前に家臣が倒れ込むのを見て信清は驚いた
「の、信包....お主がやったのか?」
「この軍の総大将は、守山城主織田信時也」
「な、なぜじゃ!なぜ同じ織田を攻める!」
「白々しいな」
「なに!?」
「織田信清...お主は我らが兄、織田信長に対し謀反を企て実行した」
「な、何を」
「毛利長秀が、墨俣まで知らせに来た」
「ちっ....」
「認めるのだな?」
「あぁ、しかしここでお前を殺し、信時を殺せば俺は美濃へ行ける」
「お前、本気で言っているのか?」
「何?」
「既に美濃侵攻は織田軍優勢で動いている。
今更美濃へ行ったとして兄上に攻められ稲葉山ごと陥落するだけよ」
「しかし、信長は墨俣から動いておらぬと」
「別働隊が動いているからな」
「ならばここにも用などない!」
「ん!?ぐっ....!」
いきなり突っ込んできた信清に押し倒され信包はその場に倒れてしまった
その隙に信清は天守から出て抜け道から馬で逃走、甲斐国へ落ち延びた
家臣達は裏切りを知らず重臣も少数しか知らなかったこととして主犯格3人を打首それ以外は犬山城新城主として立てられた池田恒興の下に着くことになった

美濃国墨俣城
墨俣城の4日目は特に敵からの攻撃もなく平穏な日だった
夜まで城壁守備を任されたもの達が警戒していたが何も無いまま夜を迎えその日は夜襲もなく終わった
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