609 / 854
日常
第五百七十二話 食べ歩き
しおりを挟む
飯を食って参道に戻ったら、自由時間だ。一時間後くらいに駅に集合であれば、あちこち回れそうだな。咲良はすでに雑踏にまぎれてしまい、朝比奈も百瀬も目当ての店に行ってしまった。
「さて……」
焼きたての焼餅を食べながら、これからどこに行こうか考える。どこもかしこも人が多いしなあ。
パリッとした餅の表面、もちっ、とろっとした中身。あんこの甘さは絶妙で、粒あんの口当たりがたまらない。少ししっとりしてくると、餅のやわらかさが際立ってうまいんだなあ。久々に食った。
「とりあえず、向こうだな」
せんべい屋に行こう。
ここの七味せんべい、毎回チャレンジしてるけど辛くてなあ。うまそうだから、いける気がするんだよ。今日も一枚、買ってみよう。それと醤油と塩と……うち帰って、緑茶と食べよう。
のりがついた大きめのせんべいも買う。食べ歩き用もあったので、それも買う。
店の横はちょっと静かな路地になっているので、そこに入って少し食べていこう。
うーん、いい歯ごたえ。ゴリゴリ、バリバリとした感じとのりのパリパリ感がたまらない。濃い醤油味がいいなあ。のりの風味がよく合う。でかいし、全部食べきれるかなって感じだけど、うまいから食べきれるんだなあ。香ばしいものは、進む。
ペットボトルのお茶を買って、水分補給。次はどこ行くかな。
「喫茶店かあ……」
あるんだよなあ、ここ。なんか古くて雰囲気のある喫茶店。木造二階建てで、しっとりとした雰囲気で、大人っぽい感じ。なかなか入る勇気、出ないなあ。また今度来ます。
都会の象徴的なカフェもあるんだよな。結構人が入っている。限定メニューとかあるのだろうか。気になるけど、あの行列を待つ気力はない。よく並ぶよなあ……店の中、参道に負けず劣らずの人口密度だ。
あ、ジェラート屋さん発見。運がいいな、人が少ない。人気店だからいつも人が多いけど、今はちょうど人波が切れたようだった。
「いらっしゃいませ」
明るく開放的な雰囲気の店内は、新しい木の匂いで満ちている。木の匂いって好きだなあ。へえ、雑貨とかも売ってるのか。
うわ、ジェラートの種類いっぱいある。何だよ、悩むじゃないか。バニラ、チョコレート、ピスタチオにいちご、ナッツだけでもいっぱいあるなあ。オレンジとかもあるのか。抹茶も捨てがたい。季節限定、フランボワーズチョコか……赤と茶色のコントラストがきれいだ。
……よし、決めた。
「チョコレートといちごとピスタチオで」
「はい。少々お待ちください」
プレジャスのアイス屋はコロコロ転がしてまん丸なアイスが出来上がるけど、こっちはねっとり、張り付ける感じなんだよな。どっちも見ていて楽しい。ジェラートはなかなか見慣れないので、一層ワクワクする。
「お待たせしました~」
「ありがとうございます」
どうしよう。どんな順番で食べようかなあ。とりあえず店先のベンチに座って、と。
フルーツ系のいちごか、はたまた甘いチョコレートか、あるいは緑色がうきうきするピスタチオか。
よし、まずはいちごだな。ねっとりしつつも、口に入れるとするりととろける。鼻に抜けるフレッシュな香りがたまらなく春っぽい。シャーベットっぽい感じのところもあるから、おいしいなあ。
次はピスタチオかな。香りはほのかで、でもちゃんとナッツらしい香りがする。ピスタチオのジェラートは、結構好きだ。なんかこう、じわじわ来るおいしさと魅力というものがある。
チョコレートは濃いなあ。ほろ苦くもねっとりと甘く、口いっぱいにチョコレートの香りが膨らんでいく。ちょっとフルーティな感じもするんだよな。ほろ苦さと甘さ、濃厚さの向こう側に、ふわりと香る果実感。
いろいろ組み合わせながら食うのもうまい。香りが良すぎて頭が追い付かないくらいだ。カップについたやつもしつこくかすって食べる。
はあ、うまかった。
「次は何食べようかなあ……」
あっ、しまった。ザラメ付きのせんべい買ってない。あれは買わなきゃダメでしょ。買いに行こう。
「よしよし……」
無事確保。このしょっぱさと甘さのバランスがたまらんのだよなあ。
さて、そろそろ駅の方へ行くか。確かベンチあったよな。
「ふーっ……」
まだ誰も来てないな。ま、のんびり待とう。
それにしても人多いなあ。行きかう人たちから聞こえる声は、日本語に限らない。この辺の方言とも違う言葉も聞こえてくる。小さい頃はもうちょっと少なかった気もするんだけどなあ……気づいてなかっただけなのかな。
参道も好きだけど、裏道も結構好きなんだよな。店はあまりないから人は少ないんだけど、古い建物とかあってワクワクする。
博物館もいいよな。今、確か企画展やってたよな。人多いんかなあ。行きたいなあ。今から行くにしても時間絶対足りないし、今度一人で来た時に行くとするか。
……うーん、なんかもう一個、餅食いたくなてきた。うちであとで食べるように買ったのがあるし、食うか。数も十分あることだしなあ。
「いただきます」
持ち帰り用は焼きたてを箱に詰めるが、時間がたつとしんなりする。この塩梅がまたいいんだなあ。
ぺりぺりとビニールをはがし、餅を出す。
ちょっとかための歯ざわり。さっき買ったからほんのり温かい。もちもち感は増し、歯ごたえも加わっている。そうそう、この歯触りと口当たりが好きなんだよなあ。焼きたても好きだけど、時間がたったのも好きなんだ。
あんこもごろごろしててなあ。甘みが増すような感じだ。
そこにペットボトルの緑茶。うん、相性抜群だな。
せっかくだし、せんべいも一個食おうかな。ザラメ食べたい。醤油ベースのせんべいに、きらきら光る大粒のザラメがたっぷりだ。
口をけがしそうな食感だ。でも、うまい。砂糖醤油とはまた違うこの感じ。砂糖の甘さがダイレクトに伝わって来て、醤油の香ばしさが鼻に抜ける。ゴリゴリ感がたまらない。ザラメも余すことなく食べたいものだ。
なんか、めっちゃ食ったなあ、今日。腹いっぱいだ。
うち帰ったら、熱い緑茶でも入れようかな。
「ごちそうさまでした」
「さて……」
焼きたての焼餅を食べながら、これからどこに行こうか考える。どこもかしこも人が多いしなあ。
パリッとした餅の表面、もちっ、とろっとした中身。あんこの甘さは絶妙で、粒あんの口当たりがたまらない。少ししっとりしてくると、餅のやわらかさが際立ってうまいんだなあ。久々に食った。
「とりあえず、向こうだな」
せんべい屋に行こう。
ここの七味せんべい、毎回チャレンジしてるけど辛くてなあ。うまそうだから、いける気がするんだよ。今日も一枚、買ってみよう。それと醤油と塩と……うち帰って、緑茶と食べよう。
のりがついた大きめのせんべいも買う。食べ歩き用もあったので、それも買う。
店の横はちょっと静かな路地になっているので、そこに入って少し食べていこう。
うーん、いい歯ごたえ。ゴリゴリ、バリバリとした感じとのりのパリパリ感がたまらない。濃い醤油味がいいなあ。のりの風味がよく合う。でかいし、全部食べきれるかなって感じだけど、うまいから食べきれるんだなあ。香ばしいものは、進む。
ペットボトルのお茶を買って、水分補給。次はどこ行くかな。
「喫茶店かあ……」
あるんだよなあ、ここ。なんか古くて雰囲気のある喫茶店。木造二階建てで、しっとりとした雰囲気で、大人っぽい感じ。なかなか入る勇気、出ないなあ。また今度来ます。
都会の象徴的なカフェもあるんだよな。結構人が入っている。限定メニューとかあるのだろうか。気になるけど、あの行列を待つ気力はない。よく並ぶよなあ……店の中、参道に負けず劣らずの人口密度だ。
あ、ジェラート屋さん発見。運がいいな、人が少ない。人気店だからいつも人が多いけど、今はちょうど人波が切れたようだった。
「いらっしゃいませ」
明るく開放的な雰囲気の店内は、新しい木の匂いで満ちている。木の匂いって好きだなあ。へえ、雑貨とかも売ってるのか。
うわ、ジェラートの種類いっぱいある。何だよ、悩むじゃないか。バニラ、チョコレート、ピスタチオにいちご、ナッツだけでもいっぱいあるなあ。オレンジとかもあるのか。抹茶も捨てがたい。季節限定、フランボワーズチョコか……赤と茶色のコントラストがきれいだ。
……よし、決めた。
「チョコレートといちごとピスタチオで」
「はい。少々お待ちください」
プレジャスのアイス屋はコロコロ転がしてまん丸なアイスが出来上がるけど、こっちはねっとり、張り付ける感じなんだよな。どっちも見ていて楽しい。ジェラートはなかなか見慣れないので、一層ワクワクする。
「お待たせしました~」
「ありがとうございます」
どうしよう。どんな順番で食べようかなあ。とりあえず店先のベンチに座って、と。
フルーツ系のいちごか、はたまた甘いチョコレートか、あるいは緑色がうきうきするピスタチオか。
よし、まずはいちごだな。ねっとりしつつも、口に入れるとするりととろける。鼻に抜けるフレッシュな香りがたまらなく春っぽい。シャーベットっぽい感じのところもあるから、おいしいなあ。
次はピスタチオかな。香りはほのかで、でもちゃんとナッツらしい香りがする。ピスタチオのジェラートは、結構好きだ。なんかこう、じわじわ来るおいしさと魅力というものがある。
チョコレートは濃いなあ。ほろ苦くもねっとりと甘く、口いっぱいにチョコレートの香りが膨らんでいく。ちょっとフルーティな感じもするんだよな。ほろ苦さと甘さ、濃厚さの向こう側に、ふわりと香る果実感。
いろいろ組み合わせながら食うのもうまい。香りが良すぎて頭が追い付かないくらいだ。カップについたやつもしつこくかすって食べる。
はあ、うまかった。
「次は何食べようかなあ……」
あっ、しまった。ザラメ付きのせんべい買ってない。あれは買わなきゃダメでしょ。買いに行こう。
「よしよし……」
無事確保。このしょっぱさと甘さのバランスがたまらんのだよなあ。
さて、そろそろ駅の方へ行くか。確かベンチあったよな。
「ふーっ……」
まだ誰も来てないな。ま、のんびり待とう。
それにしても人多いなあ。行きかう人たちから聞こえる声は、日本語に限らない。この辺の方言とも違う言葉も聞こえてくる。小さい頃はもうちょっと少なかった気もするんだけどなあ……気づいてなかっただけなのかな。
参道も好きだけど、裏道も結構好きなんだよな。店はあまりないから人は少ないんだけど、古い建物とかあってワクワクする。
博物館もいいよな。今、確か企画展やってたよな。人多いんかなあ。行きたいなあ。今から行くにしても時間絶対足りないし、今度一人で来た時に行くとするか。
……うーん、なんかもう一個、餅食いたくなてきた。うちであとで食べるように買ったのがあるし、食うか。数も十分あることだしなあ。
「いただきます」
持ち帰り用は焼きたてを箱に詰めるが、時間がたつとしんなりする。この塩梅がまたいいんだなあ。
ぺりぺりとビニールをはがし、餅を出す。
ちょっとかための歯ざわり。さっき買ったからほんのり温かい。もちもち感は増し、歯ごたえも加わっている。そうそう、この歯触りと口当たりが好きなんだよなあ。焼きたても好きだけど、時間がたったのも好きなんだ。
あんこもごろごろしててなあ。甘みが増すような感じだ。
そこにペットボトルの緑茶。うん、相性抜群だな。
せっかくだし、せんべいも一個食おうかな。ザラメ食べたい。醤油ベースのせんべいに、きらきら光る大粒のザラメがたっぷりだ。
口をけがしそうな食感だ。でも、うまい。砂糖醤油とはまた違うこの感じ。砂糖の甘さがダイレクトに伝わって来て、醤油の香ばしさが鼻に抜ける。ゴリゴリ感がたまらない。ザラメも余すことなく食べたいものだ。
なんか、めっちゃ食ったなあ、今日。腹いっぱいだ。
うち帰ったら、熱い緑茶でも入れようかな。
「ごちそうさまでした」
19
お気に入りに追加
253
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!


妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
「一晩一緒に過ごしただけで彼女面とかやめてくれないか」とあなたが言うから
キムラましゅろう
恋愛
長い間片想いをしていた相手、同期のディランが同じ部署の女性に「一晩共にすごしただけで彼女面とかやめてくれないか」と言っているのを聞いてしまったステラ。
「はいぃ勘違いしてごめんなさいぃ!」と思わず心の中で謝るステラ。
何故なら彼女も一週間前にディランと熱い夜をすごした後だったから……。
一話完結の読み切りです。
ご都合主義というか中身はありません。
軽い気持ちでサクッとお読み下さいませ。
誤字脱字、ごめんなさい!←最初に謝っておく。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜
野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」
「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」
この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。
半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。
別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。
そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。
学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー
⭐︎毎日朝7時に最新話を投稿します。
⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。
※表紙絵、挿絵はAI作成です。
※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる