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日常
第二百九十五話 カルボナーラ
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「あ、やべ。今何時だ」
慌てて時計を確認すれば午前七時半。今日は土曜日、課外、ということは八時から授業だ。うん、だいぶやばいな。
「いかんいかん」
朝飯は……悠長に食ってる暇はないが、なにも食わないわけにはいかない。とりあえず着替えて、荷物も準備して、それから、なんだっけ。
昨日、ちょっとだけと思って始めたゲームが妙に盛り上がって、結局寝落ちした。土曜課外はいつもより遅く出発するから、平日と同じ時間に起きれば予習も準備も済むと思って油断した。あー、もう、こういうところだよ、俺。
「今日は何だっけ、英語……ん?」
時間割り確認のために手帳を開く。しかし、今日のところに時間割も何もない。あれ? 書き忘れたか?
壁に貼っている年間予定表を見てみる。
「あ、今日休みか」
なんだよ、焦ったあ。もー、なんなんだよ。あぁ、びっくりした。まあ……よかった、よかった。
しかし、確認不足だ。反省反省。
「……さて」
制服ではなく普段着に着替える。最近はもうすっかり暖かくなって、暑いと思う日もあるぐらいなので、半袖でいいだろう。
慌てる必要がなくなったので、朝飯はしっかり食おう。
油をひいたフライパンにベーコンを四枚、卵を二つ。焼いている間にお湯を沸かしておいて、味噌玉も準備する。なんか野菜も食べたいなあ。あ、そういやキャベツあったな。ちょっと千切りにしてベーコンエッグに添えるとしよう。
ご飯もよそって、いい朝ごはんだ。
「いただきます」
ベーコンエッグ、程よく半熟だ。黄身を割って醤油をかけ、ベーコンでくるんで食べる。香ばしいベーコンの味と塩気、噛みしめればあふれ出す卵のまろやかさ。ご飯もかきこめば最高にうまい。
みそ汁の具は巻き麩。このつるんとした口当たりが好きだ。
「まさか休みだったとは……」
年に何回かこういう勘違いをする。逆に、課外があるのに無いと勘違いすることはないので、それだけは救いだ。無いのにあると勘違いする分は、自分が「なんだそれ」と思うだけだが、逆はそういうわけにはいかないもんなあ。
そういや入学式の日、学生と保護者はそれぞれ集合時間違ったけど、それ勘違いして保護者の集合時間に合わせてきてたやついたなあ。誰だっけ。隣のクラスだったことは覚えてんだけど。
まあいいや。それより、今日をどう過ごすか考えるとしよう。
晩飯ちょっと凝ったものでも作ろうかなあ。
「ごちそうさまでした」
朝食を食ったらとりあえず予習と課題をこなしておく。今日は休みだったので何とかなったが、次、マジで課外を忘れたり寝坊したりしたときに痛い目見ないように。気を抜いていたら、こういうミスは続いてしまうからな。
「はー……っと、もうこんな時間か」
朝起きるのがのんびりだと午前中が過ぎるのが早い。
昼飯はパン焼くか。それと……ああ、ヤングコーンあったし野菜炒めでもするか。ピーマンと、トマトと……味付けどうしようかな。醤油と柚子胡椒はどうだろう。あの組み合わせ、うまいんだよなあ。
「よっしゃ」
考えてたら腹減った。
パンを焼きながら野菜炒めを。ベビーコーンはそのままでもいいけど、今日は切り分ける。ピーマンも同じくらいのサイズにし、トマトはプチトマトなのでそのままで。
オリーブオイルで炒めたら、火を消す直前に醤油を回しかけ柚子胡椒も和える。おお、いい香りだ。
パンもいい感じに焼けたな。バター塗って食おう。
「いただきます」
ベビーコーンは焼いた方がうまい気がする。ほのかに甘く、みずみずしく、何より食感がいい。ピーマンの程よい苦みとトマトのはじけるかすかな酸味と甘みがいい。醤油の香ばしさと柚子胡椒のピリッとした刺激がいいアクセントだ。
パンにのせて食ってもいい。まろやかなバターと小麦の風味にピリ辛な舌触りがよく合う。
あ、そういやこのパン、今日までだったなあ、消費期限。昼間いっぺんに食える量じゃないし、晩に食うか。
それならなんかパンに合う料理を……スパゲティかな。
ミートソースか、たらこか、あるいはそれ以外か。なんか今日は違ったものが食べたい。
「ん、あれ作ってみるか」
食べたいと思いながらなかなか作らなかったあれ。
パンにも合うぞ、きっと。
「ごちそうさまでした」
用意するのは豆乳、にんにく、ベーコン、白だし、粉チーズ、黒コショウ。
カルボナーラ、初めて作るなあ。
牛乳で作るのが本当なんだろうけど、豆乳の方があっさりしていていいのだとか。
ベーコンは短冊切りにして、フライパンでオリーブオイルとニンニクと一緒に炒める。豆乳、白だし、粉チーズ、黒コショウは別に、ボウルに一緒にしておいて、ベーコンがいい感じに色づいたところで入れる。
あとは沸騰する直前まで火を通せばよし、と。
「生卵トッピングすんだよな……」
麺を茹でながら考える。先にソースに入れたらやっぱかたまるかな。火が通った卵の方が好きなんだよなあ。
よし、入れてみるか。
黄身だけを溶いて、火を消して、回し入れてみる。ぐるぐるかき混ぜて……お、いい感じじゃね? あ、いや、すごいかき玉みたいになってきた。まあ麺入れたら何とかなるだろ。
しっかり絡めて……と。
「いただきます」
ずいぶんトロッとした感じになった。
麺にソースをしっかりとまとわせて食べてみる。お、いいじゃん、上出来。おいしい。まろやかな豆乳のコクにチーズの風味がよく合ってる。黒コショウが味を引き締め、白だしでうま味が倍増する。
和風のカルボナーラ、いいな、これ。
ソースがずいぶんとろとろで、ポタージュのようでもある。パンを浸して食べるとうまい。ジャガイモも合うだろうなあ。それこそつぶしたジャガイモ混ぜたらポタージュになるのでは? 今度やってみよう。
きっとリゾットでもいいな。うん、うまいだろうな。作ってみよう。マカロニもありか。
これなら余しがちな豆乳も消費できるし、いいな。
なんだか落ち着かない一日の出だしだったが、まあ、こんな晩飯が食えたので良しとしよう。終わり良ければすべて良し、だ。
……でも一応、今日やったところ、見直しておこうかな。
「ごちそうさまでした」
慌てて時計を確認すれば午前七時半。今日は土曜日、課外、ということは八時から授業だ。うん、だいぶやばいな。
「いかんいかん」
朝飯は……悠長に食ってる暇はないが、なにも食わないわけにはいかない。とりあえず着替えて、荷物も準備して、それから、なんだっけ。
昨日、ちょっとだけと思って始めたゲームが妙に盛り上がって、結局寝落ちした。土曜課外はいつもより遅く出発するから、平日と同じ時間に起きれば予習も準備も済むと思って油断した。あー、もう、こういうところだよ、俺。
「今日は何だっけ、英語……ん?」
時間割り確認のために手帳を開く。しかし、今日のところに時間割も何もない。あれ? 書き忘れたか?
壁に貼っている年間予定表を見てみる。
「あ、今日休みか」
なんだよ、焦ったあ。もー、なんなんだよ。あぁ、びっくりした。まあ……よかった、よかった。
しかし、確認不足だ。反省反省。
「……さて」
制服ではなく普段着に着替える。最近はもうすっかり暖かくなって、暑いと思う日もあるぐらいなので、半袖でいいだろう。
慌てる必要がなくなったので、朝飯はしっかり食おう。
油をひいたフライパンにベーコンを四枚、卵を二つ。焼いている間にお湯を沸かしておいて、味噌玉も準備する。なんか野菜も食べたいなあ。あ、そういやキャベツあったな。ちょっと千切りにしてベーコンエッグに添えるとしよう。
ご飯もよそって、いい朝ごはんだ。
「いただきます」
ベーコンエッグ、程よく半熟だ。黄身を割って醤油をかけ、ベーコンでくるんで食べる。香ばしいベーコンの味と塩気、噛みしめればあふれ出す卵のまろやかさ。ご飯もかきこめば最高にうまい。
みそ汁の具は巻き麩。このつるんとした口当たりが好きだ。
「まさか休みだったとは……」
年に何回かこういう勘違いをする。逆に、課外があるのに無いと勘違いすることはないので、それだけは救いだ。無いのにあると勘違いする分は、自分が「なんだそれ」と思うだけだが、逆はそういうわけにはいかないもんなあ。
そういや入学式の日、学生と保護者はそれぞれ集合時間違ったけど、それ勘違いして保護者の集合時間に合わせてきてたやついたなあ。誰だっけ。隣のクラスだったことは覚えてんだけど。
まあいいや。それより、今日をどう過ごすか考えるとしよう。
晩飯ちょっと凝ったものでも作ろうかなあ。
「ごちそうさまでした」
朝食を食ったらとりあえず予習と課題をこなしておく。今日は休みだったので何とかなったが、次、マジで課外を忘れたり寝坊したりしたときに痛い目見ないように。気を抜いていたら、こういうミスは続いてしまうからな。
「はー……っと、もうこんな時間か」
朝起きるのがのんびりだと午前中が過ぎるのが早い。
昼飯はパン焼くか。それと……ああ、ヤングコーンあったし野菜炒めでもするか。ピーマンと、トマトと……味付けどうしようかな。醤油と柚子胡椒はどうだろう。あの組み合わせ、うまいんだよなあ。
「よっしゃ」
考えてたら腹減った。
パンを焼きながら野菜炒めを。ベビーコーンはそのままでもいいけど、今日は切り分ける。ピーマンも同じくらいのサイズにし、トマトはプチトマトなのでそのままで。
オリーブオイルで炒めたら、火を消す直前に醤油を回しかけ柚子胡椒も和える。おお、いい香りだ。
パンもいい感じに焼けたな。バター塗って食おう。
「いただきます」
ベビーコーンは焼いた方がうまい気がする。ほのかに甘く、みずみずしく、何より食感がいい。ピーマンの程よい苦みとトマトのはじけるかすかな酸味と甘みがいい。醤油の香ばしさと柚子胡椒のピリッとした刺激がいいアクセントだ。
パンにのせて食ってもいい。まろやかなバターと小麦の風味にピリ辛な舌触りがよく合う。
あ、そういやこのパン、今日までだったなあ、消費期限。昼間いっぺんに食える量じゃないし、晩に食うか。
それならなんかパンに合う料理を……スパゲティかな。
ミートソースか、たらこか、あるいはそれ以外か。なんか今日は違ったものが食べたい。
「ん、あれ作ってみるか」
食べたいと思いながらなかなか作らなかったあれ。
パンにも合うぞ、きっと。
「ごちそうさまでした」
用意するのは豆乳、にんにく、ベーコン、白だし、粉チーズ、黒コショウ。
カルボナーラ、初めて作るなあ。
牛乳で作るのが本当なんだろうけど、豆乳の方があっさりしていていいのだとか。
ベーコンは短冊切りにして、フライパンでオリーブオイルとニンニクと一緒に炒める。豆乳、白だし、粉チーズ、黒コショウは別に、ボウルに一緒にしておいて、ベーコンがいい感じに色づいたところで入れる。
あとは沸騰する直前まで火を通せばよし、と。
「生卵トッピングすんだよな……」
麺を茹でながら考える。先にソースに入れたらやっぱかたまるかな。火が通った卵の方が好きなんだよなあ。
よし、入れてみるか。
黄身だけを溶いて、火を消して、回し入れてみる。ぐるぐるかき混ぜて……お、いい感じじゃね? あ、いや、すごいかき玉みたいになってきた。まあ麺入れたら何とかなるだろ。
しっかり絡めて……と。
「いただきます」
ずいぶんトロッとした感じになった。
麺にソースをしっかりとまとわせて食べてみる。お、いいじゃん、上出来。おいしい。まろやかな豆乳のコクにチーズの風味がよく合ってる。黒コショウが味を引き締め、白だしでうま味が倍増する。
和風のカルボナーラ、いいな、これ。
ソースがずいぶんとろとろで、ポタージュのようでもある。パンを浸して食べるとうまい。ジャガイモも合うだろうなあ。それこそつぶしたジャガイモ混ぜたらポタージュになるのでは? 今度やってみよう。
きっとリゾットでもいいな。うん、うまいだろうな。作ってみよう。マカロニもありか。
これなら余しがちな豆乳も消費できるし、いいな。
なんだか落ち着かない一日の出だしだったが、まあ、こんな晩飯が食えたので良しとしよう。終わり良ければすべて良し、だ。
……でも一応、今日やったところ、見直しておこうかな。
「ごちそうさまでした」
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