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Who are you? Part2

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 与えられた熱は速く冷めないのと同じように、悲鳴を上げた筋肉はなかなか元通りにならない。腕を動かすこともできず、かろうじて動くのは頭部のみだ。それを最大限に利用して顎だけで前に進もうとするも、顎の力と体の重みでは無理がある。
 さて、どうやって抱きしめる男から逃れてベッドから下りようかと思案していると、クスクスと小さく笑う声が聞こえる。

「起きてたのね。」
「伊月さんの行動が面白くて起きちゃったよ。そんな風に行動する人は見たことない。」
「私もないけど。」

 恥ずかしさで顔が赤くなるので、それを隠すように彼から顔を背ける。

「朝ご飯食べる?伊月さん。」
「あ、いや」

 グー

「・・・・・・」
「・・・・・・」

 なんてお決まりなタイミングで鳴るお腹だと思う。

「我慢せずに食べよう。」
「はぃ。」

 恥ずかしさで彼の誘いに小さく答えるしかできない。

 お腹は空いていても体は全く言うことを聞いてくれないので、彼にシャワー室まで連れてってもらった挙げ句、席までの移動にも補助をお願いしてしまった。断じて、体を洗ったり着替えは自分でどれだけ時間がかかってもした。その時の彼は口を尖らせて不満だと表現していたが、私は絶対に嫌だ。

 朝食を終えて帰る準備をしようとカバンを取ると、彼に阻まれる。

「何をしてるの?」
「帰ろうかと。」
「へぇ、帰るんだ。俺はまだ何も言ってないのに。」
「え?もう用事終わったよね。」

 当たり前だけど、煌との契約にダラダラ話して時間を過ごす項目はない。ただ、外で散歩デート設定は別だ。だから、通常は彼の体が満足したら帰るのが契約までであり、この場合出て行こうとする私の行動の方が正しい。
 しかし、それをわかっても彼が手を離すことはなく、逆にカバンからこちらの方が離れることになる。理解できずに彼に為されるがままになっていると2人掛けソファの上に仰向けにされ、彼が上から乗ってくる。

「そんなにあっさり帰られると寂しいな。もっと居たいって思ってくれないの?」
「明日仕事だから本心を言えば早く帰りたい。」
「へぇ。」

 含みのある相槌の音が返って以降、私にとって気まずい沈黙が続く。
 それを忘れるように最近見た湊君の照れた笑みを思い出す。甘いマスクで感謝の言葉を口にする彼は最強である。彼の物腰柔らかな声もそうなのだけど。

あれ?

 こういう時に限って重要なことに気付く。

「煌君はアニメ好き?」
「いや、好きではないけど、バイトはしてるよ。」

 彼が普段から発する声は彼の見かけによって私が騙されていたが湊君と同じ声音だ。今まで気づかなかったのが不思議なほどだ。彼のファンとして醜態にも等しい状況で、オタク仲間に言えば笑われるだろう。しかし、普通こんなに近くにあんな人気のあるキャラクターの声をしている人がいるとは思わないだろう。

「灯台もと暗しってこういうことを言うんだ。」
「別に隠してないけどね。」

 心の声を読まれた私は口に手で塞ぐ。

「普通に伊月さんが口から出していたよ。ほとんど、心の中は丸聞こえだよ。よく口に出すからね。」
「そうなんだ。気をつけよ。」

 無意識な行為を防ぐ方法など知らないけれど、声が漏れるのは良くない。仕事でもプライベートでも。外面の完璧なキャリアウーマンがあるから、プライベートの私は楽に湊君を見ていられるのだ。
 他のことに頭がいったことが不満なのか、煌がキスを落とす。深くそれでいてゆっくりとしたキスだ。丹念に何かを確認されてるような、それとも刻み込まれているような感覚になる。

「目の前の俺を蔑ろにするなんて伊月さんも大胆なことをするね。さっきまでこのまま帰そうと思ったけどやはりもっと君に刻み込無必要があるね。」
「つまり、私は今日帰されないってことでしょうか?」
「どうだろうね。」

 彼はニヤリと笑い、私の服に手をかける。彼が見せた狩りで獲物を追いかける獣の顔と瞳に私は体を震わせる。

 あれから、体を貪るだけ貪った煌は私をシャワー室に連れて行き、体に全く力が入らない私を好きなように、そして丁寧に洗っていく。体を洗うのにまだ敏感になっている体に彼が触るものだからさらに反応してしまい、ベッドでの続きが始まる。
 体力の限界を迎えて風呂から上がり洋服に着替えたら睡魔に耐えきれず寝てしまう。次の日が仕事なんて意識が完全に消える。

「伊月さん、俺の手から絶対に離さないよ。君がたとえ嫌がってもね。」

 寝る前に彼が小さくそう呟いた気がした。しかし、それにツッコミを入れる体力は残されていない。

 結局、翌日になり、家まで彼に送ってもらう。そのうえ、朝食と昼食まで彼は持たせてくれて、彼のことを見直すことにする。気遣いにかけては彼の評価はすごく高いと思う。偉そうに上から目線で申し訳ない。ここで、彼に何もお礼をしたことがないのに気づき、今度お礼をすることを決める。
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