野獣に餌付けしてしまったらしい

ハル

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朝から驚愕

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 客への挨拶回りはプロジェクトが始まる前の恒例であり、プロジェクトの責任者であるリーダーとリーダー補佐、営業の3人がしている。リーダー補佐をした前回のプロジェクトの時に初めて参加したのだが、いつもは画面の向こうで声だけしか聞いていない人なので、想像していた雰囲気と異なる人がほとんどで驚いた。

 挨拶回りだけだと早く終わるのだけどそれだけではなくプロジェクトの追加や納期の相談があるために、挨拶だけではなくミーティングになり、予想よりも倍以上の時間がかかってしまう。午後に会社を出るとそのまま帰宅をするイメージになる。

 挨拶回りに行って客先を出る頃には定時を回っていたのでその場でお開きになるかと思ったのだが、以前からお世話になっている営業の片桐からごはんに誘われる。一瞬悩んだものの人の輪を乱したことで隣にいるリーダー補佐で同期の生島からの評価が落ちることを恐れるあまり、首を縦に振ってしまう。そして、何より生島はそそくさと帰ってしまったので自分の選択を悔やんだ。だけど、ここで反故にしてしまえば、今度は片桐からの評価が下がってしまうので彼について彼がおすすめだと言っているお店に行く。

 それから聞き流しで居酒屋での時間を過ごしてから酔った片桐をお店に呼んでもらったタクシーに乗らせてから家に帰ろうとする。でも、居酒屋で途中まではいつも通りにウーロン茶やオレンジジュースだったはずだけど、おそらくどこからかお酒が混じっていたのだろう。頭がフワフワと浮いているような感覚がしながらも駅から電車に乗り、家の最寄り駅で降りる。

「頭、痛い。お酒なんてもう飲まない。」

 そこから気分が急に悪くなり休み休み帰宅する。

 そう、記憶では帰宅したはずだった。

 翌朝、日の眩しさで頭痛がする頭を押さえながら目を覚ます。
 
「あ、今日は仕事休みだった。」

 私は何の違和感もなく時計を見て早い時間だったのでそのまま寝ようとしたのだが、布団が固いことに苛つく。

「ちゃんと洗濯しないから布団が固くなった。」

 それに腹がたち布団をボン、ボンと2回思いっきり叩く。

「Ah!」

 急に聞こえないはずの叫びが聞こえて驚く。
 そして、もぞもぞと布団の中で動く物体に気づき、意を決して布団に手を伸ばして布団を取り上げるとそこには上半身を出している金髪男性が寝ている。それに驚いているのだが、向こうは近くにある布団を引っ張って寝ている。

「これ、どういう状況なの?」

 現実逃避をしている。
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