野獣に餌付けしてしまったらしい

ハル

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キャリアウーマンだけど癒しは大事

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 大学卒業後大企業勤務

 親戚からは羨ましがられる、社会に合った人生だと自負している。それを裏付けるように月に一度一人でだけど鉱物の焼肉か鍋、寿司のどれかを食べに行ける。そんな順風満帆な生活を送っていると思っている。

「都築さん、この件なんですけど。」

 会社の後輩で新人が質問に来たのでそれに対応した。これも先輩としての務めとして全うしていたつもりだったし、なるべく分かりやすく教えていたからか、後輩たちからの評判は上々と自負している。

「都築さん、かっこいいよね。」
「都築さんってキャリアウーマンを絵にかいたみたい。」

 なんて、声が聞こえてしまうのも日常だ。

 それに自分の中でやる気も上がるのはしょうがない。これほどに自分のポテンシャルを上げてくれるエネルギー源は他にないだろう。

「ありがとうございます。都築さん。対応してみます。」

 教えていた後輩は自分の席に戻って行く。

 今日も今日とて職場では完璧なキャリアウーマンだ。帰り際に上司からも次のプロジェクトのチームリーダーを任された。今のプロジェクトでもチームリーダー補佐だったので前回の業務内容を認められたという証拠だ。それと同時に給料が上がることを示している。それだけで気持ちはうなぎ登りだが、それをなるべく表現しないようにいつものようににこやかに笑ってお礼を言って会社を出る。

「やったー!昇給が決定だ。」

 帰った会社が借り上げている賃貸アパートの一室で帰り道のコンビニで買った惣菜と炊いてあるごはんを食べながらあの時に喜べなかった分だけ喜んだ。ウーロン茶を片手に誰もいない空を切るが乾杯をする。
 惣菜は油っぽいものが苦手なのでブロッコリーの和え物やサラダラーメンなどのあっさりとしたものだ。たまになら揚げ物も食べるが、ほとんどはこういった野菜類が多い。ただ、コンビニは揚げ物よりもこういった惣菜の方が高いために本当なら自炊なのだが、こういう時は楽してもいいと思う。

「うん、今日も私は頑張ったよ。」

 夕飯を食べながら一日の疲労を癒す。
 夕食後はお風呂に入って足上げ開脚をして一日の足の疲労を軽減させてからiPadを開いてイヤホンを耳にセット、そして、動画を再生させる。
 もちろん、アニメだ。別にフィギュアを集めたり漫画を何冊も購入したりはしないのだけど、アニメ情報だけは必ずチェックして、それを動画サイトの月額を払ってでも見ている。オタクかもしれないけど、好きなものは好きなのだから止められないし、これがあるから仕事を頑張れるのかもしれない。確かに周囲からの褒め言葉もモチベーションを上げているのだけど、これは別の、そう、私にとっては心臓を動かしているに近い感覚で止めてはいけない。

「うう、かっこいい。」

 そして、アニメの良い部分は何度も再生して聞いてしまう。

「あれ、もう11時過ぎている。」

 そんなことをしていれば、あっという間に時間は経っていたのですぐに動画を消して寝る。

 キャリアウーマンとなるためにはこうした努力も大切。
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