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久しぶりの食事
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瑞穂は翔を抱えて走っていたが、まだ振り向けばカフェが見える場所にいるというのにすでに息が上がっていた。外国に行ってから日本にいた頃のように毎日走ることをしていなかった影響かもしれない。しかし、翔を産んでから仕事と育児を掛け持ちして体力を使っていたので、瑞穂なりに体力を維持していたつもりだったのでここまで体力が減っているとは思っていなかった。それだけではなく、瑞穂が重くなったことも少なからず影響があるだろうけど、それは瑞穂にとっては嬉しい悲鳴だ。
「翔、どうしてここに来たの?おうちとは方向違うけど。」
瑞穂は後ろをついてきた母ではなく、抱っこした不安そうにしていた翔に尋ねると、彼は涙を浮かべて上目遣いをした。こういう顔をするときの彼は絶対に自分が悪いと確信していながらも許してもらおうとしていることは知っていた。
「ぼくがおばあちゃんにママにはやくあいたいっていったんだよ。」
「あのお店にいるっていうのはなんでわかったの?」
「それはママのおしごとにむかうときにあのおじさんとあったから。」
「へぇ。」
翔は舌足らずだけど可愛らしい日本語で説明した。彼の何かを身につける速さが通常の人のそれを明らかに上回っていることをさらに認識させられた。それに感心しつつも晴哉が理子の居場所を知っていて優希も一緒に来ていたのだから、瑞穂は優希が教えてくれたことを確信した。
その時、瑞穂の肩が誰かに掴まれて思わず翔を落としそうになった。
心臓を何とか落ち着かせてゆっくりと振り向くと晴哉が板。全く息が乱れていない彼は瑞穂をじっと見ていた。
「おじさん、ママとともだちだって。」
「翔、お腹空かない?」
「がまんできる」
ぐ~
翔はお腹を手で撫でてニコニコ
恥ずかしいはずなのに笑ってごまかす彼に場が一気に和む。
「みーくん、お母さんが翔を連れてどこかでご飯を食べてから帰るわ。みーくんは晴哉さんと話をしなさい。あなたたちは全然会話が足りていないと思うのよ。」
「母さん、経験者ならわかってほしいんだけど。それに、いまさら会話なんて。」
「ええ、経験者だからよ!私はあの人と会話を重ねて今に至るのよ。みーくんはもっと会話をしなさい。会話をするのに、早くも遅くもないわ。」
母は無理やり瑞穂から翔を奪うとそのまま歩き出した。翔はバイバイと手を振って瑞穂から離れていく。子供の親離れが早いとは言うけれど、母親が困っているのに祖母に抱っこされて嬉しそうに離れていく彼に瑞穂は寂しい気持ちになった。
「瑞穂、話をしよう。」
晴哉の言葉に現実に戻された瑞穂は彼と向き合った。
「俺に話すことなどないと言ったはずです。」
「俺にはある。それに、母親からの言葉もあるから断らないよな?」
晴哉が勝ち誇ったように笑った。瑞穂はため息を吐いて手で顔を覆った。
「そんなことを言う人だったっけ?」
「お前には見せなかったからな。」
思わず日本にいた頃のようになってしまった。気が緩んだことで起きたことだけど、もう瑞穂には戻せなかった。瑞穂の負けに晴哉は嬉しそうに笑い、逃がさない意思表示か、瑞穂の手を掴んできてそれに反応が遅れてそのまま引かれた。ただ、足の速さはすぐに瑞穂が追い付いて彼の隣に並べるほどなので、晴哉なりに気を遣ってくれているのだろう。
晴哉と来たのは何度か彼と食べに来たステーキやハンバーグのお店だった。彼とは何度も外食したけど、お肉はここが気に入っていて晴哉はそのことを知っているように何度も連れて来てくれた。ちなみに、値段はファミレスに比べて2倍以上かかるので、晴哉しかお金を払ってなかった。こうして、あの頃から変わらないメニューを見ると、学生の自分はなんて図々しいのだと思った。
このお店に来たのは久しぶりなので、瑞穂は同じメニューを頼んだ。それに、晴哉がクスッと笑ったので瑞穂が彼を見ると彼は肩をすくめた。
「変わらないところばかりだから、つい。」
晴哉の笑顔は瑞穂がよく知っているものだった。この顔を見た瞬間、瑞穂は自分の気持ちを押し込めていたことに気づいて息を飲んだ。今まで色んな理由を付けて彼を避けていた、その本当の理由は彼と一緒にいたい思いが自分の中にあることを彼に悟られたくなかったからだ。Ωであることへの自分の嫌悪と意地、そんなことにこんなところで気づく自分の愚鈍さに瑞穂は自分がおかしくなった。
「どうした?」
瑞穂は顔に気持ちを出していたらしい。晴哉が心配そうに声をかけてきた。
「何でも。ただ、自分はバカだなと思っただけ。」
気恥ずかしくなって瑞穂は顔を上げられなかった。それから、会話がなくなり注文した料理が運ばれて来てもお互いに黙々と食べ進めた。
久しぶりに食べたこのお店の肉は柔らかくて大きさも適度であり、噛むと肉汁が出てきた。口の中で溶けるお肉より長く味わえるこっちの方が瑞穂は好きだった。
「瑞穂、おいしいか?」
晴哉の質問に瑞穂は頷いた。彼に自然と答えてしまったが瑞穂が今更気にしたところで何の意味もなかった。それにこの目の前にたたずむお肉のおいしさはそれよりもずっと価値があった。食い意地が張っていると母に言えば呆れられそうだが、そんな顔をされても痛くも痒くもないし好きなものは好きなのだからしょうがないだろう。
最後まできれいに肉を食べて十分に満足した瑞穂は組んだ手の上に顎をのせてこちらを見ている晴哉を見て現実に戻された。もうしばらく夢の世界に浸かっていてもよかったぐらいだ。
「満足したようで何よりだ。おいしそうに食べてくれるからついお前を色んなお店に連れ出したことを思い出した。」
「確かに。それで体重が増えて走る距離を増やしたから。」
「そうなのか?体型が変わっていなかったことは覚えているけど。そんな努力をしていたとは意外だ。」
晴哉の視線は瑞穂の顔や手などの見える部分を隙間なく見ようとするほどにあちこち動いていた。それに瑞穂はすぐに手を下ろし彼を睨みつけた。
「そんなに見ないでほしいんだけど。俺が苦手なことを知っているくせに。」
「悪い、そんな話をするから見たくなってな。再会してからはそんなことをする余裕もなかったからな。」
「今後もないよ。」
最後の言葉に場が凍り付いた気がした。空気が特に冷えているのは晴哉の周りのような気がして、瑞穂は温かいお茶を飲んだ。体はポカポカだったのか、そこにいくら同じ温度のものを入れても温かく感じることはない。
「そのつもりなのか?」
「前から言っているよ。」
その対応がいけなかったのか、晴哉が立ち上がって今にも襲い掛かるような勢いだった。他人行儀だったのに以前のような口調に戻してしまったのは瑞穂の不覚だったが、それで勘違いするほど晴哉は子供ではないと思っていたのだが、瑞穂は判断を誤ったことを理解した。
「それは俺が運命の番と会ったからだろう!さっきも聞いたように俺とは番にすらなっていない。」
「そこが不思議だった。あの時、彼女と出会ってから晴哉さんは俺に触れることも同じ家にいることさえ嫌がっていたはずで、体調不良だった。それはαがΩを手に入れられない時に出るものだと思って最後に会った時にはそれがなかったから、てっきり番にしたんだと思ったのに。」
「あれはお前に言ってはいけないことを吐いてしまいそうだったから避けていただけだ。あの頃の俺はあまり正気ではなかったからな。あの日、会った時にお前からそう見えたんならそうだったんだろう。俺は別に普通にいたつもりだ。避けていたから気まずかったから謝る準備もしていたし、その緊張があったから普通とは違うかもしれない。それにお前が連絡してくれたのもお茶に誘ってくれたのもあの日が初めてだったから嬉しかったんだ。」
「そうだった?」
瑞穂は晴哉に言われてあの頃のことを思い出した。
確かに、ごはんに行くようになってから誘うのはいつも晴哉の方だったかもしれない。社会人と大学生では時間の自由度が違い過ぎてそういう連絡をするのは気が引けたのは言い訳なのだろうか、瑞穂は少しだけ頭を悩ませた。
「そうだったかも。」
「かも、じゃなくてそうだったんだ。だから、浮かれてたのもある。仕事を詰めるだけ詰めてたからな。」
「本当に仕事をしていたんだ。」
思わず瑞穂は本音を口にしていた。それに気づいた時にはすでに遅く、晴哉が嫌そうに顔をしかめていた。すると、彼はため息を吐いて立ち上がり店を出るように促した。あっさり解放されたので身構えていた自分が馬鹿らしくなった。
店を出ると、晴哉に手を掴まれてそのまま道を歩かされた。どう考えても帰る道ではなくどんどん人気のない道に出ていた。帰宅するにはナビに聞かないとわからないため苦労しそうな予感しかしない。
そうして、到着したのはマンションだった。晴哉と住んでいたそれとは違い、年代を感じる場所であまり彼が好みそうなところではなかった。しかし、そこの一室にさっさと入った彼に急かされるように入れられ、その瞬間、ガチャッと鍵がかかる音がした。それに困惑して視線が定まらなかったが、部屋の方に目を向けると生活感のないリビングが見えた。
「ここは?」
「俺の家だ。」
晴哉の率直な返答に瑞穂は(ですよね)と内心返した。それ以外だったら彼の人格を疑うだろう。
「どうした?」
リビングに案内されたものの座る場所が分からず、気持ち程度に敷かれているカーペットの上に腰を下ろした。モデルルームのように整えられており落ち着かない。掃除をマメにすることは知っていたが、ここまで無意識な空間なのは初めてだった。
「翔、どうしてここに来たの?おうちとは方向違うけど。」
瑞穂は後ろをついてきた母ではなく、抱っこした不安そうにしていた翔に尋ねると、彼は涙を浮かべて上目遣いをした。こういう顔をするときの彼は絶対に自分が悪いと確信していながらも許してもらおうとしていることは知っていた。
「ぼくがおばあちゃんにママにはやくあいたいっていったんだよ。」
「あのお店にいるっていうのはなんでわかったの?」
「それはママのおしごとにむかうときにあのおじさんとあったから。」
「へぇ。」
翔は舌足らずだけど可愛らしい日本語で説明した。彼の何かを身につける速さが通常の人のそれを明らかに上回っていることをさらに認識させられた。それに感心しつつも晴哉が理子の居場所を知っていて優希も一緒に来ていたのだから、瑞穂は優希が教えてくれたことを確信した。
その時、瑞穂の肩が誰かに掴まれて思わず翔を落としそうになった。
心臓を何とか落ち着かせてゆっくりと振り向くと晴哉が板。全く息が乱れていない彼は瑞穂をじっと見ていた。
「おじさん、ママとともだちだって。」
「翔、お腹空かない?」
「がまんできる」
ぐ~
翔はお腹を手で撫でてニコニコ
恥ずかしいはずなのに笑ってごまかす彼に場が一気に和む。
「みーくん、お母さんが翔を連れてどこかでご飯を食べてから帰るわ。みーくんは晴哉さんと話をしなさい。あなたたちは全然会話が足りていないと思うのよ。」
「母さん、経験者ならわかってほしいんだけど。それに、いまさら会話なんて。」
「ええ、経験者だからよ!私はあの人と会話を重ねて今に至るのよ。みーくんはもっと会話をしなさい。会話をするのに、早くも遅くもないわ。」
母は無理やり瑞穂から翔を奪うとそのまま歩き出した。翔はバイバイと手を振って瑞穂から離れていく。子供の親離れが早いとは言うけれど、母親が困っているのに祖母に抱っこされて嬉しそうに離れていく彼に瑞穂は寂しい気持ちになった。
「瑞穂、話をしよう。」
晴哉の言葉に現実に戻された瑞穂は彼と向き合った。
「俺に話すことなどないと言ったはずです。」
「俺にはある。それに、母親からの言葉もあるから断らないよな?」
晴哉が勝ち誇ったように笑った。瑞穂はため息を吐いて手で顔を覆った。
「そんなことを言う人だったっけ?」
「お前には見せなかったからな。」
思わず日本にいた頃のようになってしまった。気が緩んだことで起きたことだけど、もう瑞穂には戻せなかった。瑞穂の負けに晴哉は嬉しそうに笑い、逃がさない意思表示か、瑞穂の手を掴んできてそれに反応が遅れてそのまま引かれた。ただ、足の速さはすぐに瑞穂が追い付いて彼の隣に並べるほどなので、晴哉なりに気を遣ってくれているのだろう。
晴哉と来たのは何度か彼と食べに来たステーキやハンバーグのお店だった。彼とは何度も外食したけど、お肉はここが気に入っていて晴哉はそのことを知っているように何度も連れて来てくれた。ちなみに、値段はファミレスに比べて2倍以上かかるので、晴哉しかお金を払ってなかった。こうして、あの頃から変わらないメニューを見ると、学生の自分はなんて図々しいのだと思った。
このお店に来たのは久しぶりなので、瑞穂は同じメニューを頼んだ。それに、晴哉がクスッと笑ったので瑞穂が彼を見ると彼は肩をすくめた。
「変わらないところばかりだから、つい。」
晴哉の笑顔は瑞穂がよく知っているものだった。この顔を見た瞬間、瑞穂は自分の気持ちを押し込めていたことに気づいて息を飲んだ。今まで色んな理由を付けて彼を避けていた、その本当の理由は彼と一緒にいたい思いが自分の中にあることを彼に悟られたくなかったからだ。Ωであることへの自分の嫌悪と意地、そんなことにこんなところで気づく自分の愚鈍さに瑞穂は自分がおかしくなった。
「どうした?」
瑞穂は顔に気持ちを出していたらしい。晴哉が心配そうに声をかけてきた。
「何でも。ただ、自分はバカだなと思っただけ。」
気恥ずかしくなって瑞穂は顔を上げられなかった。それから、会話がなくなり注文した料理が運ばれて来てもお互いに黙々と食べ進めた。
久しぶりに食べたこのお店の肉は柔らかくて大きさも適度であり、噛むと肉汁が出てきた。口の中で溶けるお肉より長く味わえるこっちの方が瑞穂は好きだった。
「瑞穂、おいしいか?」
晴哉の質問に瑞穂は頷いた。彼に自然と答えてしまったが瑞穂が今更気にしたところで何の意味もなかった。それにこの目の前にたたずむお肉のおいしさはそれよりもずっと価値があった。食い意地が張っていると母に言えば呆れられそうだが、そんな顔をされても痛くも痒くもないし好きなものは好きなのだからしょうがないだろう。
最後まできれいに肉を食べて十分に満足した瑞穂は組んだ手の上に顎をのせてこちらを見ている晴哉を見て現実に戻された。もうしばらく夢の世界に浸かっていてもよかったぐらいだ。
「満足したようで何よりだ。おいしそうに食べてくれるからついお前を色んなお店に連れ出したことを思い出した。」
「確かに。それで体重が増えて走る距離を増やしたから。」
「そうなのか?体型が変わっていなかったことは覚えているけど。そんな努力をしていたとは意外だ。」
晴哉の視線は瑞穂の顔や手などの見える部分を隙間なく見ようとするほどにあちこち動いていた。それに瑞穂はすぐに手を下ろし彼を睨みつけた。
「そんなに見ないでほしいんだけど。俺が苦手なことを知っているくせに。」
「悪い、そんな話をするから見たくなってな。再会してからはそんなことをする余裕もなかったからな。」
「今後もないよ。」
最後の言葉に場が凍り付いた気がした。空気が特に冷えているのは晴哉の周りのような気がして、瑞穂は温かいお茶を飲んだ。体はポカポカだったのか、そこにいくら同じ温度のものを入れても温かく感じることはない。
「そのつもりなのか?」
「前から言っているよ。」
その対応がいけなかったのか、晴哉が立ち上がって今にも襲い掛かるような勢いだった。他人行儀だったのに以前のような口調に戻してしまったのは瑞穂の不覚だったが、それで勘違いするほど晴哉は子供ではないと思っていたのだが、瑞穂は判断を誤ったことを理解した。
「それは俺が運命の番と会ったからだろう!さっきも聞いたように俺とは番にすらなっていない。」
「そこが不思議だった。あの時、彼女と出会ってから晴哉さんは俺に触れることも同じ家にいることさえ嫌がっていたはずで、体調不良だった。それはαがΩを手に入れられない時に出るものだと思って最後に会った時にはそれがなかったから、てっきり番にしたんだと思ったのに。」
「あれはお前に言ってはいけないことを吐いてしまいそうだったから避けていただけだ。あの頃の俺はあまり正気ではなかったからな。あの日、会った時にお前からそう見えたんならそうだったんだろう。俺は別に普通にいたつもりだ。避けていたから気まずかったから謝る準備もしていたし、その緊張があったから普通とは違うかもしれない。それにお前が連絡してくれたのもお茶に誘ってくれたのもあの日が初めてだったから嬉しかったんだ。」
「そうだった?」
瑞穂は晴哉に言われてあの頃のことを思い出した。
確かに、ごはんに行くようになってから誘うのはいつも晴哉の方だったかもしれない。社会人と大学生では時間の自由度が違い過ぎてそういう連絡をするのは気が引けたのは言い訳なのだろうか、瑞穂は少しだけ頭を悩ませた。
「そうだったかも。」
「かも、じゃなくてそうだったんだ。だから、浮かれてたのもある。仕事を詰めるだけ詰めてたからな。」
「本当に仕事をしていたんだ。」
思わず瑞穂は本音を口にしていた。それに気づいた時にはすでに遅く、晴哉が嫌そうに顔をしかめていた。すると、彼はため息を吐いて立ち上がり店を出るように促した。あっさり解放されたので身構えていた自分が馬鹿らしくなった。
店を出ると、晴哉に手を掴まれてそのまま道を歩かされた。どう考えても帰る道ではなくどんどん人気のない道に出ていた。帰宅するにはナビに聞かないとわからないため苦労しそうな予感しかしない。
そうして、到着したのはマンションだった。晴哉と住んでいたそれとは違い、年代を感じる場所であまり彼が好みそうなところではなかった。しかし、そこの一室にさっさと入った彼に急かされるように入れられ、その瞬間、ガチャッと鍵がかかる音がした。それに困惑して視線が定まらなかったが、部屋の方に目を向けると生活感のないリビングが見えた。
「ここは?」
「俺の家だ。」
晴哉の率直な返答に瑞穂は(ですよね)と内心返した。それ以外だったら彼の人格を疑うだろう。
「どうした?」
リビングに案内されたものの座る場所が分からず、気持ち程度に敷かれているカーペットの上に腰を下ろした。モデルルームのように整えられており落ち着かない。掃除をマメにすることは知っていたが、ここまで無意識な空間なのは初めてだった。
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