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運命だけど番じゃない相手と運命じゃないけど番の自分
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一年はあっという間に過ぎていく。四季折々の行事には菜桜たちが誘ってくれたことで翔に色々な体験をさせてあげることができた。また、仕事は順調に進み、社員教育も相応の成果を残したことで本社にも伝わり、瑞穂に対して高評価がつけられた。昇進も本社に戻ったら内示が出ることをオークスから電話で受けた。
仕事もプライベートも満足していたのだけど、少し心残りもあった。それは最後に見た晴哉の顔が辛そうなことだった。あれから、晴哉が会社に来ても呼び出されることがないので会うことすらない。それだけ二人の関係は紙のようだ。それに、一週間後には瑞穂は翔を連れて帰国する上に、おそらく今後こんな風に日本に帰国することはないだろう。このまま別れてもしょうがないと瑞穂は思うようになった。
「浅野さん、お客様なのですが。」
社長に早めの挨拶を済ませて帰宅するために部屋から荷物を取りに帰ろうとしたところで、言いにくそうに受付でよく見かける女性から声をかけられた。それに客だと聞いて思い浮かんだのは晴哉だけだが、彼であれば案内役を目の前の女性が担っているので彼は除外された。
「誰ですか?」
「それが。」
彼女はいったん言葉を止めて瑞穂の耳元で囁いた。
「遠月弁護士の運命の方です。」
意外な相手に驚いた。まさか、向こうからあまり面識がないのに会いに来るなんて誰が予想できただろう。
「浅野さんにお会いしたいことと、会社を出て右側にある喫茶店で待っていると仰っていました。」
少し離れた彼女はニコリと笑った。彼女なりに気を遣ってくれたのだろう。受付の前で待たれて騒がれたら迷惑だから。もう定時は過ぎているのでいいかと思い頷いた。
「分かりました。伝えていただいてありがとうございます。」
「気を付けてください。」
お礼に忠告が飛んできた。そんなに相手の様子がおかしかったのか、と不安になりつつ瑞穂は鞄を持って喫茶店に向かった。
チェーン店で日射しを取り込むガラス張りのため店内は昼だと電気をつけなくても明るいのだけど、時期と時間的にそうもいかず外から中が丸見えである。会社が近い為、何かしらの諍いがあれば、明日にはあっという間に噂の的なのでそうならないことを願いながらお店に入った。
待ち人、優希の母親であり晴哉の運命の番である理子は奥の席の二人席に腰掛けていた。淡い桃色が好きなのか、上の服と頭に付いたカチューシャがその色であり、相変わらず年齢がわからない人だと瑞穂は思った。
「お待たせして申し訳ありません。」
瑞穂は開口一番に謝罪した。向こうが勝手に訪ねて来たのでその必要はないが、こういう態度の方が騒ぎにならないかと思っての行動だった。相手は気にしておらず、というか最初から不機嫌を隠さなかった。子供のような人である。
「浅野さんは晴さんとどうなりたいんですか?」
単刀直入過ぎて瑞穂は一瞬固まった。
「どう、とは?」
「わかっているくせに。」
理子は頬を膨らませた。まるで、翔が怒った時のようであるので、どう対応すればいいのか悩んだ。それに、彼女がどこまで知っているのかを把握せずに変な発言をするのは避けたいので、瑞穂はそこを探ることにした。
「職場の関係のままですが」
ここで瑞穂は相手の名前を知らないことに気づいた。面識はあっても名前を知らないことは多々あるので瑞穂は慣れていた。
「あなたと遠月弁護士は夫婦なのでは?」
一瞬止まったことを隠しつつ、チラッ見えた彼女の薬指にはまっている指輪をみて検討した。瑞穂は決して嵌めなかったものだ。
「いいえ、晴さんが優希の父親を気遣って結婚はしてくれないんですよ。私のことも大事にしたいって。あんな男のことを気にすることもないのに。それに、私としては優希のことをいっそあっちにあげてもいいかなって。」
「は?」
子供に対してのあまりのいいように瑞穂は嫌悪を持った。まるで、子供を物のようだ。目の前の子供のような女性が顔を赤くして恥じらっている様子に目を疑った。
「だって、子供が邪魔だから一度も晴さんは私が発情期の時でも触れようとしてこないんです。薬を飲ませて一緒にはいてくれても絶対に触れてこない。運命なのに、私たちは。」
彼女の話を瑞穂は黙って聞いていた。一人の女の子である彼女はだんだん涙目になっていた。こんな話を聞かされて、晴哉が男性に殴られた時のことを思い出し、彼女の話は本当のことだと思った。しかし、これからどうしていいか分からず、瑞穂は石像になった。
「この指輪だって、私がお願いして買ってもらったもので、晴さんは優しいから私のお願いは何でも聞いてくれて。」
涙声でまだ続く聞いている方からすれば自慢話に拍車がかかったようだ。時計を見ると翔が迎えを頼んだ母と家に帰る途中ぐらいだろう。そんなことを考えていたら、目の前の女性から睨みつけられてその圧で現実に戻された。
「余裕ですね?」
嘲笑を浮かべた彼女の目を見てとっさに瑞穂は後ろにのけぞった。体の芯から冷えていく感覚で、初めて感じるものだった。まるで、得たいのしれないものと対峙しているようだった。
「Ωにとって番は何をおいても手に入れたいものですよね。それが運命の番なら何をおいても。」
彼女はストローで氷を叩き始めた。何度も何度も怒りをぶつけているような音が響いていた。
「何が言いたいんですか?」
瑞穂がやっと言葉を絞りだし彼女に尋ねると、彼女はフッと馬鹿にしたように笑ったかと思うと見下したような目で見てきた。
「いい加減とぼけるのはやめて。あなたなんでしょ?晴さんが言っていた番って。」
「・・・・。」
彼女の言葉は確信していた。翔といるところに会ったり、瑞穂一人でも何度か会ったが、その時に彼女に変わった様子はなかった。彼女が言ったように運命の番は特別であり、だからこそ、そんな相手の番が目の前にいて変わらずにいられることは考えられなかった。それなのに、このタイミングでこの話をすることになったのだから、彼女に何か変化が会ったのだろう。そんなことを思いつつ、瑞穂は目の前の女性を見ていた。
理子は目を細めて指を指した。
「やっぱりね。ずっとおかしいと思っていたのよね。確信を持ったのはあなたの息子、たしか翔君だったかな。あの子に会った時にわかった。」
翔が父親である晴哉に似ている部分はないので瑞穂は安心していた。実際、晴哉はたぶん気づいていないし、彰彦や奈桜、理人たちも初対面ではそうだった。それなのに、彼女はその翔を見て気づいた、というので耳を疑った。
「知らないの?αは分からないけれど、Ωは子供の親がわかるって。それは同じ空間にいるときに限られるけれど、翔君と晴さんは同じαの匂いがした。私は彼を見て胸が高鳴ったから。」
彼女は胸に手を当てて顔を赤らめて目には恋をするような光が纏っていた。自分とそう変わらない女性がこの間言葉を覚えたような子供に対してそんな顔をしていると思うと子供の親として嫌悪感どころか恐怖しかないだろう。
「そんな顔をしないで、翔君に胸が高鳴ったとしても晴さんほどではないし、これほどの年の差は乗り越えられないから。でも、あなたが番だとわかったし、あなたたちは会う頻度が多いから、どういう気なのかと思って。」
「いや、あの、どうこうする気はありません。私はただ仕事で帰国することになっただけですから。」
「あーもう、そういうのいいの。そういう事情じゃなくても晴さんとどうする気なのかって聞いているの!」
理子は手を振って苛ついていた。彼女の口調が変わっており乱暴な感じになっていた。駅や通りを歩いていた時に見かける高校生のそれだった。
「私はΩで運命の相手なの。だから、あなたがいると私はあまり良い気がしないのはΩのあなたにもわかると思う。まあ、あなたはΩらしい生活はしていないけど。」
彼女の言葉の最後には憎悪が明らかだった。確かに、社会的に平等と言われつつあるΩだけど、そのほとんどが番がいて結婚という形で法的に家庭がある場合に限られていた。それに対して、番がいるとは言ってもほとんどその関係がない子持ちで一人親のΩである瑞穂は一流企業に勤務し、親と同居しているとはいえ公平に評価されている瑞穂は恵まれているだろう。彼女の言いたいことを瑞穂は分かる気がした。
「まぁ、私には浅野さんみたいに働くことはできないけどね。私に必要なのはお金があってかっこいい男なのよね。それに叶った最初の男は私だけじゃなくてたくさんのセフレがいたの。Ωもαもβも関係なくね。それで飽きたらポイって感じだったの。私は運よく子供を産んだからお金と子供の交換ができるの。でも、年が上がっていくとそう言う相手と一緒にいられないから、このタイミングで運命の相手、それも私の理想そのものを体現したみたいな人に会えてよかったって思ったの。そして、うまく行くはずだったのに、あなたにいられたら晴さんがいつまで経っても私の方に来ないの。」
一気にまくし立てたから彼女は息を整えるために息を吐いた。そして、瑞穂をまっすぐに見つめて口の端をあげた。
「だから、早く消えてほしいのよ。あなたには一日も早く。」
彼女の目に宿るのは明らかに狂気だった。Ωに生まれたから宿ったのか、それとも、彼女の中にある晴哉への恋心故か、瑞穂にはわからない。ずっと瑞穂は考えていた。晴哉とこじれた理由を。Ωになったことを理由にしていないか、最近彼と再会して瑞穂の頭の中にたまによぎる出口のない考えばかりだった。目を閉じて以前の晴哉のことを思い出そうとしても、もうΩである瑞穂にとっては加工されたような彼の姿しかわからない。目を開けた瑞穂は理子を見て返答をしようとした。
「何をしているんだ?」
口を開いたところで声をかけてきたのは晴哉だった。その後ろには優希と翔と母がいて瑞穂は状況を理解することができずにいた。
仕事もプライベートも満足していたのだけど、少し心残りもあった。それは最後に見た晴哉の顔が辛そうなことだった。あれから、晴哉が会社に来ても呼び出されることがないので会うことすらない。それだけ二人の関係は紙のようだ。それに、一週間後には瑞穂は翔を連れて帰国する上に、おそらく今後こんな風に日本に帰国することはないだろう。このまま別れてもしょうがないと瑞穂は思うようになった。
「浅野さん、お客様なのですが。」
社長に早めの挨拶を済ませて帰宅するために部屋から荷物を取りに帰ろうとしたところで、言いにくそうに受付でよく見かける女性から声をかけられた。それに客だと聞いて思い浮かんだのは晴哉だけだが、彼であれば案内役を目の前の女性が担っているので彼は除外された。
「誰ですか?」
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「遠月弁護士の運命の方です。」
意外な相手に驚いた。まさか、向こうからあまり面識がないのに会いに来るなんて誰が予想できただろう。
「浅野さんにお会いしたいことと、会社を出て右側にある喫茶店で待っていると仰っていました。」
少し離れた彼女はニコリと笑った。彼女なりに気を遣ってくれたのだろう。受付の前で待たれて騒がれたら迷惑だから。もう定時は過ぎているのでいいかと思い頷いた。
「分かりました。伝えていただいてありがとうございます。」
「気を付けてください。」
お礼に忠告が飛んできた。そんなに相手の様子がおかしかったのか、と不安になりつつ瑞穂は鞄を持って喫茶店に向かった。
チェーン店で日射しを取り込むガラス張りのため店内は昼だと電気をつけなくても明るいのだけど、時期と時間的にそうもいかず外から中が丸見えである。会社が近い為、何かしらの諍いがあれば、明日にはあっという間に噂の的なのでそうならないことを願いながらお店に入った。
待ち人、優希の母親であり晴哉の運命の番である理子は奥の席の二人席に腰掛けていた。淡い桃色が好きなのか、上の服と頭に付いたカチューシャがその色であり、相変わらず年齢がわからない人だと瑞穂は思った。
「お待たせして申し訳ありません。」
瑞穂は開口一番に謝罪した。向こうが勝手に訪ねて来たのでその必要はないが、こういう態度の方が騒ぎにならないかと思っての行動だった。相手は気にしておらず、というか最初から不機嫌を隠さなかった。子供のような人である。
「浅野さんは晴さんとどうなりたいんですか?」
単刀直入過ぎて瑞穂は一瞬固まった。
「どう、とは?」
「わかっているくせに。」
理子は頬を膨らませた。まるで、翔が怒った時のようであるので、どう対応すればいいのか悩んだ。それに、彼女がどこまで知っているのかを把握せずに変な発言をするのは避けたいので、瑞穂はそこを探ることにした。
「職場の関係のままですが」
ここで瑞穂は相手の名前を知らないことに気づいた。面識はあっても名前を知らないことは多々あるので瑞穂は慣れていた。
「あなたと遠月弁護士は夫婦なのでは?」
一瞬止まったことを隠しつつ、チラッ見えた彼女の薬指にはまっている指輪をみて検討した。瑞穂は決して嵌めなかったものだ。
「いいえ、晴さんが優希の父親を気遣って結婚はしてくれないんですよ。私のことも大事にしたいって。あんな男のことを気にすることもないのに。それに、私としては優希のことをいっそあっちにあげてもいいかなって。」
「は?」
子供に対してのあまりのいいように瑞穂は嫌悪を持った。まるで、子供を物のようだ。目の前の子供のような女性が顔を赤くして恥じらっている様子に目を疑った。
「だって、子供が邪魔だから一度も晴さんは私が発情期の時でも触れようとしてこないんです。薬を飲ませて一緒にはいてくれても絶対に触れてこない。運命なのに、私たちは。」
彼女の話を瑞穂は黙って聞いていた。一人の女の子である彼女はだんだん涙目になっていた。こんな話を聞かされて、晴哉が男性に殴られた時のことを思い出し、彼女の話は本当のことだと思った。しかし、これからどうしていいか分からず、瑞穂は石像になった。
「この指輪だって、私がお願いして買ってもらったもので、晴さんは優しいから私のお願いは何でも聞いてくれて。」
涙声でまだ続く聞いている方からすれば自慢話に拍車がかかったようだ。時計を見ると翔が迎えを頼んだ母と家に帰る途中ぐらいだろう。そんなことを考えていたら、目の前の女性から睨みつけられてその圧で現実に戻された。
「余裕ですね?」
嘲笑を浮かべた彼女の目を見てとっさに瑞穂は後ろにのけぞった。体の芯から冷えていく感覚で、初めて感じるものだった。まるで、得たいのしれないものと対峙しているようだった。
「Ωにとって番は何をおいても手に入れたいものですよね。それが運命の番なら何をおいても。」
彼女はストローで氷を叩き始めた。何度も何度も怒りをぶつけているような音が響いていた。
「何が言いたいんですか?」
瑞穂がやっと言葉を絞りだし彼女に尋ねると、彼女はフッと馬鹿にしたように笑ったかと思うと見下したような目で見てきた。
「いい加減とぼけるのはやめて。あなたなんでしょ?晴さんが言っていた番って。」
「・・・・。」
彼女の言葉は確信していた。翔といるところに会ったり、瑞穂一人でも何度か会ったが、その時に彼女に変わった様子はなかった。彼女が言ったように運命の番は特別であり、だからこそ、そんな相手の番が目の前にいて変わらずにいられることは考えられなかった。それなのに、このタイミングでこの話をすることになったのだから、彼女に何か変化が会ったのだろう。そんなことを思いつつ、瑞穂は目の前の女性を見ていた。
理子は目を細めて指を指した。
「やっぱりね。ずっとおかしいと思っていたのよね。確信を持ったのはあなたの息子、たしか翔君だったかな。あの子に会った時にわかった。」
翔が父親である晴哉に似ている部分はないので瑞穂は安心していた。実際、晴哉はたぶん気づいていないし、彰彦や奈桜、理人たちも初対面ではそうだった。それなのに、彼女はその翔を見て気づいた、というので耳を疑った。
「知らないの?αは分からないけれど、Ωは子供の親がわかるって。それは同じ空間にいるときに限られるけれど、翔君と晴さんは同じαの匂いがした。私は彼を見て胸が高鳴ったから。」
彼女は胸に手を当てて顔を赤らめて目には恋をするような光が纏っていた。自分とそう変わらない女性がこの間言葉を覚えたような子供に対してそんな顔をしていると思うと子供の親として嫌悪感どころか恐怖しかないだろう。
「そんな顔をしないで、翔君に胸が高鳴ったとしても晴さんほどではないし、これほどの年の差は乗り越えられないから。でも、あなたが番だとわかったし、あなたたちは会う頻度が多いから、どういう気なのかと思って。」
「いや、あの、どうこうする気はありません。私はただ仕事で帰国することになっただけですから。」
「あーもう、そういうのいいの。そういう事情じゃなくても晴さんとどうする気なのかって聞いているの!」
理子は手を振って苛ついていた。彼女の口調が変わっており乱暴な感じになっていた。駅や通りを歩いていた時に見かける高校生のそれだった。
「私はΩで運命の相手なの。だから、あなたがいると私はあまり良い気がしないのはΩのあなたにもわかると思う。まあ、あなたはΩらしい生活はしていないけど。」
彼女の言葉の最後には憎悪が明らかだった。確かに、社会的に平等と言われつつあるΩだけど、そのほとんどが番がいて結婚という形で法的に家庭がある場合に限られていた。それに対して、番がいるとは言ってもほとんどその関係がない子持ちで一人親のΩである瑞穂は一流企業に勤務し、親と同居しているとはいえ公平に評価されている瑞穂は恵まれているだろう。彼女の言いたいことを瑞穂は分かる気がした。
「まぁ、私には浅野さんみたいに働くことはできないけどね。私に必要なのはお金があってかっこいい男なのよね。それに叶った最初の男は私だけじゃなくてたくさんのセフレがいたの。Ωもαもβも関係なくね。それで飽きたらポイって感じだったの。私は運よく子供を産んだからお金と子供の交換ができるの。でも、年が上がっていくとそう言う相手と一緒にいられないから、このタイミングで運命の相手、それも私の理想そのものを体現したみたいな人に会えてよかったって思ったの。そして、うまく行くはずだったのに、あなたにいられたら晴さんがいつまで経っても私の方に来ないの。」
一気にまくし立てたから彼女は息を整えるために息を吐いた。そして、瑞穂をまっすぐに見つめて口の端をあげた。
「だから、早く消えてほしいのよ。あなたには一日も早く。」
彼女の目に宿るのは明らかに狂気だった。Ωに生まれたから宿ったのか、それとも、彼女の中にある晴哉への恋心故か、瑞穂にはわからない。ずっと瑞穂は考えていた。晴哉とこじれた理由を。Ωになったことを理由にしていないか、最近彼と再会して瑞穂の頭の中にたまによぎる出口のない考えばかりだった。目を閉じて以前の晴哉のことを思い出そうとしても、もうΩである瑞穂にとっては加工されたような彼の姿しかわからない。目を開けた瑞穂は理子を見て返答をしようとした。
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