俺にとってはあなたが運命でした

ハル

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一人暮らし、さようなら

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 僕、浅野瑞穂は大学入学とともに一人暮らしを始めた。実家から電車で30分のところなので通学も十分に可能だったが、少しだけ反抗期だったのと憧れがあったためだった。最初は親がいないことで初めて入ったコンビニをきっかけに、店内のおにぎりやサンドイッチに目覚めてから三食コンビニという名の冷蔵庫に通った。
 そんな生活を続けたからか、夏季休暇の為に実家に帰省すると母の顔色が真っ青やら真っ赤にせわしなくしたかと思えば、肩をバシバシと叩いてきた。その目には涙が滲んでいて、そのうえ上目遣いに見えた。そして、

「みーくん!」

 と言ったのを皮切りにして瑞穂に対して心配なのか怒っているのかわからない言葉をつづっていた。その声を鬱陶しく思いながらも、昔から”もやし”と言われていた体もさらに細くなったことはなんとなくわかっていたので、母の

「帰ってきさない!」

 との提案に頷いた。
 その後の行動は早かった。わずか三ヶ月ほどの一人暮らしだったうえに家具家電付きのマンションだったので、荷物は洋服のみだった。もともと、自炊をすると思っていなかった母親が調理器具も買い揃えなかったし、瑞穂も必要性を感じていなかったので、コンビニにどっぷりはまってもしかたなかっただろうと思う。
 ボストンバッグ一つを持って母と実家までの道を歩いていると実家に帰省した時は気づかなかったけれど、空き家だったはずの隣の家から笑い声が聞こえていた。

「ねえ、隣の家、誰か入ったの?」

 瑞穂が言うと、母は嬉しそうにした。

「そうよ。嵯峨さんと言うの。美形の旦那さんに美人のパートナーさん、それに可愛い二人のお子さんの四人家族よ。とても賑やかで私まで嬉しくなってしまうのよ。」
「へえ、子供がいるんだ。煩そう。」
「こら!そういうことを言わないの。絶対、みーくんは気に入るわよ。だって、本当にお子さんたち可愛いんだもの。天使だわ。」
「そんなことはないと思うけど。」

 母は呆れていたが、瑞穂は全く関わる気になれなかった。関わることで周囲から嫌われるならまだしも、無視されれば自分が傷つくので、それぐらいなら最初から関係を持たない方がいい。

「僕はこのままでいい。」
「何か言った?」
「いいや、なんでもないよ。」

 変な子、と母は言いつつも家に入った。
 母の手料理を久しぶりに食べたので食べ過ぎた。
 コンビニのおにぎりやサンドイッチは確かにおいしくてお腹が満たされたけれど、母の手料理ほど気分が上がることはなかった。一人暮らしをする前まではいつも食べていた味はお金では手に入らないのかもしれない。
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