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第24話 一夫?多妻
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あの事件から色々とあった。私が操られている間にミサイルを撃ち、宣戦布告してきた3カ国を、私が一方的に一瞬で滅ぼし、私のその圧倒的な力に世界は戦慄した。
今ではその3カ国は一時的に日本領になっているが、差別はなく平等だ。それに互いに差別し合ったら怒ると私が言ったから大丈夫だろうし、私が植民地にするのはダメと言ったので、近いうちにまともな奴をリーダーにして元の国に戻す予定らしいが、私が責任持って後始末しろという声もある......何も言えない......。
私が民間人にやり返した件は、武装して攻撃している時点で一般市民じゃ無い上に、私は正当防衛で無罪。相手は大体は逮捕されたらしい。それに国に反逆した自衛官や警察官は、全員捕まったらしいから安心した。
そして俺の両親と血が繋がっていない事も分かり、その代わりエルが双子の家族で目が理由で研究所に持って行かれたことを知った時は驚いた。更にこの後驚くことがあったけどね。
そして、今私は死ぬ程下がりに下がった反動なのか、多分人生で1番最高な時期だと思う。思いたい。そうに違いない。
――――――――――――――――
あの事件から約2~3週間後 貴音邸 PM2:00
「ねぇ、見てよ!千劔破~貴音が煙の中から黒くなって出てきた時の写真まだ出回っているよ!あーしが一般人なら、あそこに残って写真撮り続ける度胸無いけど......」
「......カッコいいな!んんんん!!抑えられない!!」
「うちのまっ金金の姿もあるよ!」
「アルの写真もある!んータイトルが日本が生んだ化け物幼女とか酷いな~アルの国籍は日本だけど血は違うし......」
「貴音はホープとか私に名をつけておいて、ディスペア名乗ったのも酷いわね!」
「まあアレは!ミュータンツセイヴァーの洗脳のせいなので仕方ないかと!」
「私の写真もあるけどやっぱり、いつもアラクネって言われるのね~」
「私なんてずっと死神呼びよ......」
「......ねぇ、なんだってこんなに私の家に住む恋人が増えたんだよ?そんで増築していったら、もうこれ屋敷だろ!それにアレの日の次の日に、まさかのSADFのメンバー志願者が来て数日一緒に訓練とかしていたら、実はファンだから付き合いたいとか言われんだぞ!お前らが良いって言うから今日からここに住むけどよ?」
「まあ私が《最初》の彼女って事を忘れてもらわなければ何人でも恋人作ってもいいわって言ったからね......と言うかいい加減結婚しない?」
「そう言うのはムードってのがあるだろ?全部、未来は軽すぎるんだよ!今誰と付き合っているか言おうか?今から来る子、未来、千劔破、響、アルペシア、ホープ、フギン、リカ、そしてDNA検査したら身内は確定だけど二卵性双生児にしてはDNAが30%しか(本来50%)一致しないって出たから、良いじゃんとか言ってエルも!出会った女ほぼ全員と付き合っている!こんなハーレム望んでいたかどうか聞かれたら、はいそうですとしか答えられないけどどうなのよ?不誠実だろ?私」
「うちが考えるに、今の所シンプルに不誠実な事してないからハーレム続いんてんじゃん?兄貴は深く考えすぎんだよ。あと働き過ぎだよ、あの事件の2日後からずっと家にいないじゃん。今日久しぶりに休みだけどさ......」
「付き合いたいなら兄貴呼びはやめろ!私はヒーローなの、休み続けたら救える命も救えないよ。てか、リカとホープにはずっと気になっていた事あるんだけど、リックが寂しいんじゃないか?ここに住ませてもいいんだけど」
「リックはSADFの職員と付き合っているので大丈夫ですよ」
「なんで私に教えてくれない!?いつから!?」
「大体1週間前から......教える必要あるかしら?それに、あなた激務だったらから」
「仲間なんだから祝うつーかなんつーか声かけたいじゃん?」
「まあ8歳のアルでも言いたい事はわかるわよ」
「あーしも」
「そんなものなのかしらねぇ」
「それより学校どうしたんだよアル?響は辞めちまったけど......」
「アルがわざわざ小学校の授業如き受ける理由無い!」
「日本は飛び級は無いんだからさぁ......てかなんで重婚とか合法にしたくせに、薬師寺は飛び級とかまともな事合法にしなかったんだよ」
「あのクズ自体がしたかったんじゃないかしら?」
「それより支持率集めたいからって前に父親から聞いたけどどうなんだろうなぁ」
「それより私は下半身が蜘蛛のせいで寝る時に、私だけ一人ぼっちなのは寂しいのだけど......」
「確かに私が家にいる時は、クソデカベットで意地でも全員で寝るけど、リカは寝る前にハグとかするだけだもんな......って言っても私は睡眠の必要が無いし、家にもあまりいないから、皆寂しい思いさせているよな......フギンみたいに身体に力入れたら人間にならない?」
「そんなミュータント全員ができる物では無いよ!多分だ......」
「あ!??出来たわ......!おお!?それに戻せる......そう言えばやろうだなんて発想がなかったから気が付かなかったのね......あはは......」
「わあ!」
「マジか......それより服が必要だな......リカも脚長くて身長高いな」
「それもめちゃすごいけど、それよりこの記事見てよ~能力のレベル分けにもう一つ銀河級が追加されるって~」
「え?じゃあ私より強い奴がいるの?」
「いや、貴音とエルにアルが存在するから作ったんだって......全世界でも10人いるかいないかとか......アメリカからはレーザークイーン?とジャスティスアメリカは入っているね~あと、あの名前不明のクソ豚も」
「レーザークイーンはジャスティスアメリカの奥さんだよ。能力は光に近い速度で動ける。まあジャックは能力ズルいのに本人の力も強いから......でも、当てにならんよ。無能力者の未来のE4は進化を続けているから、多分そのユニバース級に入るし......てか定義は何?」
「えーっと......1人で24時間以内に先進国並みの軍事力を持つ国を撃破できる力だって......」
「............」
微妙な雰囲気になっているとインターホンが鳴った。
「あ!来たか!ちょっと出てくる」
そう言いながら貴音は玄関に走って行くと、少しすると高身長の中性的イケメンを連れて貴音は戻ってきた。
「いやー、こんなに愛されて幸せだよな!全員会うの初めてじゃない?自己紹介よろしく~」
「預かりました。ボクは月読凪と申します。受け入れて頂ける様、努力致しますので何卒よろしくお願い申し上げます」
と微笑みながら名乗る凪。
「失礼ですが、お、男ですか?」
「ん?いや、違うよ。男装の麗人的な感じだよ。ふんわり言うならボーイッシュ?千劔破もクール系だし似た様なものかな?」
「ボクは短髪ですが......千劔破さんは......写真で見せてもらった限り貴女でしょうか?お綺麗で羨ましいです」
「そうです、アタシが千劔破です。ありがとうございます、貴女の麗しさには敵いませんよ」
「ありがとうございます......」
「褒め合うのも良い事だけど、名前以外も自己紹介お願い......あと、どうせみんな敬語使ってないから使わんで良いんじゃ無い......かな?」
「それはどうかな......?取り敢えず、自己紹介を再開させて頂きます。年齢は19歳で能力はテレパシーなど色々出来ますが、簡単に言うと精神関連の能力です。特技は恥ずかしながら......大食いです。あと身長は179センチです......」
「貴音並みに大きいわね......《1番目》の彼女の私的には敬語必要ないわ。それよりも精神系って......」
「そうなんだよ!私が狂った事件の次の日に、わざわざ志願してくれたんだよ!そして志願理由が、私なら守れるかもって!だから、あと欲しいのは......ずっと言っている水系の味方くらいかな~?」
そう言い途中の貴音を無視して未来は凪の手を取る。
「ありがとう......!凪って呼ばせてもらうわ。凪の精神はヒーローそのものよ!」
「えぇ!?ボ、ボクがヒーローだなんて......ただ憧れている人が酷い目に遭うのをもう見たく無いと思っただけです......」
「だから、それがヒーローなのよ!あと敬語は良いって!」
「! そんなに褒めてくれるなんてありがとう......未来」
「......」
貴音は無視されたのが悲しいが、すぐ打ち解けたみたいだから良いやと割り切ろうとしている。
「ねぇ!わかりやすい様に、あーしらも自己紹介した方がいいんじゃない?」
「そうね!そうしましょ!最初は私から......」
そう言いながら全員が自己紹介を終えて貴音が質問した。
「凪?トラウマを抉る可能性が高い質問をしていいか?」
「な、なに?良いけど......」
「能力者の殆どは、大きなネガティブな感情を抱き続けたり、命の危険を感じた人なんだけど凪は思い当たる事ある?これは能力の理解に繋がる可能性があるから、必要な事だから質問するんだ。例えば千劔破は目上のうざい奴らを見返したい、立場を変えたいって思いから、物の位置交換って能力になったんだ」
「今が楽しくてアタシ自身が忘れていたわ......」
「ボクは......病んで高校卒業後から引きこもっていたからかな......そこからヒーローを見て少しマシになったけど......」
「そうか......ありがとう。ただあまり意味が無かったかもしれない......めんご......」
「いいよ!今はボク幸せだから!貴音は優しく受け入れてくれたからね!」
「アルは病弱で、不死身の吸血鬼とかに憧れていたからこうなったのかぁ。アメリカのヒーローのあの人と嫁はなんであの能力なの?」
「............目の前で自分の子供が暴走したトラックに轢かれて死んでしまったのが原因らしい......ジャスティスアメリカの方は、時間が止まってくれれば助かったのにと悔やみ、レーザークイーンは私がもっと速く動けたら助けれたのにと悔やんだから......と本人たちは言っていたよ......苦しみが強い分能力が強くなるんだ......今の能力者としての強者の証明は、実は弱者や瀕死状態の証明なんだ......だが例外もある。例えば首相は身体から本が出せてその本に物を仕舞えるが、その能力になる原因が本人は思い当たらないし、だったらどちらかと言うと政治家的には、人に異常に好かれる能力が欲しかったと冗談を言っていたよ」
「......」
死ぬほど空気は重くなった。
「アームストロング夫妻はもう踏ん切りついているから大丈夫だよ......!!そ、それより、響とエルはなんで、その能力?」
「あーしは多分服装とか自由にさせてくれない学校に怒り爆発だから爆発なのかも......まあもう辞めたけど」
「うちは元からの特異体質のオレンジの眼のせいで人に注目されたり集まってくるんだよね。髪も地毛だし、教祖に祭り上げられたから自由が欲しくて、この地位の縛りを砕き、飛び立ちたいからかな......?緑色の方はよくわからないや。ただ教祖になって見てきた苦しむ人が多いから、助けたくて回復能力なのかな?植物操作と両性は多分オマケ......てか、それ言うならメテオブレイカーの兄貴の方がおかしいだろ」
「確かに貴音は能力多すぎるし意味不明ね」
「完全蜘蛛だった頃の私を見逃す程優しいのに......そう言う能力では無いし......」
「兄貴呼びやめろ!......んー、まず私は脚を切断されて自由に動けない不満が、最初の能力の浮遊。その次の怪力は悪を取り締まる為。ビームとか撃てるのは雷に当たってからだからなぁ......あと火炎と氷結は本当に意味がわからない......それに目が紫になった時は人を浮かし、落とし叩きつけるのもよくわからない......しかも、なんなら今は紫の目になれないし、火も冷気も少ししか使えないし、アーマーを身に纏うのも出来ない......わけわかめ......」
「えー?ウチは自由に出来るのに!?」
そう言うと浮遊し金色のアーマーを身に纏った。
「ズルい......てか、それ出来るなら私より強いんじゃない?」
「いやー、兄......貴音には勝てる気がしないなぁ。だってアーマー、火炎と冷気、紫の眼の能力......恐らく重力操作かな?それが無いのに、光速に動ける奴と時を止める奴。更に8人のアメリカトップヒーローと戦って殺さずに圧勝でしょ?うちには真似出来んわ~......」
「いやー、あの時は勝てて調子乗ったけど多分......それに絶対手加減して貰ったと思うよ」
と笑いながら言う貴音にホープは事実を告げる。
「いえ、私達を助けた後に少しその事を話していたけど本気だったって言っていたわよ」
「えっ!?」
「ねぇ、アタシ思ったんだけど、貴音の能力って命の危機や負の感情が大きくなればなるほど全知全能に近づき強くなるんじゃない......?」
「なら、筋が簡単に通る......ボクが感情を読み取ってみるからみんなに共有するね!」
「テレパシー!アル感じてみたい!」
「いやいや!そんな事しなくていいよ、凪!面倒だろ......」
「............ッ!?」
読み取った瞬間に、顔面蒼白になり腰が抜け床にへたり込む凪。貴音の精神に共鳴し、泣く者も居れば悲観し呆然とする者もいた。
「俺の............俺の本当の心を見てしまったか......醜いよな......」
「こんな......こんなに強い苦しみと憎しみ、それに悲しみは......とてもじゃ無いが1人が耐えれる物では無い......貴音は大勢に裏切られたばかり......ボクが配慮に欠けていた......ごめんなさい......」
「いいんだ、すまない......みんな幻滅したなら気にしないで、俺の事は忘れて別れ......」
そう言う貴音をビンタし泣きながら抱きつく未来。
「そんな事気安く言うのは止めてッ!こんな......なんであなた明るく振る舞えるの......?こんなに苦しく......人を信用出来ない状態でヒーローを続けるなんて!」
そう言うと貴音はヒーローの在り方を話し始める。
「ヒーローは......市民を信じ守護する者。ヒーローは自ら、己の深い苦しみを共有しない。 ヒーローは明るく気丈に振る舞い皆の心の拠り所になる者。ヒーローは人の更生の可能性を信じ赦す心を持つ者。俺は......俺の信条を守りヒーローを......だ、だが......洗脳されていた上に敵国とは言えヒ、人を大量の殺してしまった......俺ッ......おれはなにものになればいい............」
そう言うと誰も見たことがない程に、咽び泣き崩れてしまった。
「くッ......ボクが洗脳の前に加入していれば............」
「凪は仕方ないよ!あーしらが......前から一緒にいる、あーしらは貴音の身体が強いからって理由で、精神病を患っている事すら忘れ、頼り、甘え、ただ彼女になっただけで頼るだけで頼らせなかったあーしらの不手際......ごめんなさい......」
「アタシも憧れていただけ......それは理解からは程遠いのに......」
「私も助けられてばかりよね......よく考えたら一緒に住み始めたのに、仕事で私達の時間取れなかったものね......ごめん、心の柱になり痛みも分かち合わせて......」
そう皆が励ます中に脳内にまたあの声が聞こえ始めた。
(だからあなたはヒーローに向いていないメテオではなくワールドをブレイクしなさい)
「ッ!?この脳内に響く声は!」
「ふざけんじゃねぇよ!!まだ貴音を狙う気か!!」
「能力と知能を増幅して貰った恩は忘れませんが、この恨みも忘れませんわよ......」
「このクソ豚がっ!うちの信者使って探し出してやる!」
「うぐ......うう......」
(ディスペアよりワールドブレイカーになりなさい、これは命令です。)
「ワールド......ブレイカー?」
(つまらない名を貴音につけるな!何の為にボクが加入したと思っている!させる訳な無い!豚、ボクとタイマンだよ......)
(!?誰?初めてよ。こんなに干渉し返されるなんて)
(何が目的か知らないけど貴音はあんたの駒じゃない!)
「みんな!貴音に声をかけ続けて!前はそれで妨害したんでしょ?」
目が半開きで涙を大量に流しながら口を開け、壁にもたれかかる放心状態の貴音に声をかける彼女達。
「..................」
「このフギンに!優しさと名前を与えてくれたのは貴音だ!戻ってくるんだ!恋人という物の認識が甘かった!私は貴音が苦しんでいる認識も甘かった!頼ってくれ!よく考えたら貴音は、全然みんなに頼らないじゃないか!貴音のヒーローの信条は尊敬に値するが一部を変え!私達に甘えろ!」
(無駄だ、前は黒くなったせいで遮断されたが今は完全に廃人に近い!無駄なんだよ!)
(うるせぇんだよ、この豚!人の隙につけ込む事しか出来ないクズが!)
凪は頭に手を当て集中し過ぎたあまり鼻血が出始める。
「凪!鼻血が......」
「いいから!ボクの事は無視して貴音に声を!」
「わかった......貴音?虫だった頃の記憶は曖昧だけど潰そうとせず逃がそうとしてくれた。この事実は忘れず残り続けるわ。よく考えたら出会いから今に至るまで助けたり、支えるなんてしなかったわ!お願い!恩を返し愛を与えさせて......ミュータントも愛してくれる差別のない優しいあなたが苦しむのは見たくないの!」
「そうよ、言うのは2度目かしら?ホープって私につけたでしょう?私はあなたの希望になりたい。リカから聞いていた以上に、優しく勇ましいあなたに甘えていたわ!反省する......戻って!」
「うううぅ......俺は世界を破壊......いや!救う......」
(あああ、この割り込んでくるガキに声をかける女が邪魔よ!ミウス!殺しに行け!メテオブレイカー!お前は民衆に裏切られたんだ、認めろ。ヒーローは求められていない)
(黙れ黙れっ!隕石が降る前から、そうお前達が知能を得る前からヒーローやってんだよ!)
(そうだ、だから壊れた。お前達は使うだけ使ってメンテナンスをして上に、手綱を握っていないんだよ!梶原貴音!虹を掴もうとせず全てを破壊し尽くすんだ)
「クソッ!その通りなのが腹立つわ!私も貴音に止めてもらわなかったら殺人兵器だった。メンテナンスされずに壊れゆく定めを、壊してくれた貴音が壊れて欲しくないのよ!戻ってきて!」
(皆さん!ミノスという奴が近づいています!迎撃を......)
「私とアルとエルが出るわよ!多分、現状トップ3が出なければマズいわ!」
「「わかった!」」
そう言いながら凪が感知した方向に向かう。
(ミノスが来て、お前らを目の前で半殺しにした時!完全に壊れ私の駒になるわ!)
(うるさいッッ!!貴音の頭から消えろ!)
ダメだ、3人達に精神攻撃の援護をする暇もない......何、この豚は。
「ねえ?ホープとリカの思い出を......」
――――――――――――――
貴音邸の近くの外 PM4:44
「人の悲鳴が聞こえる!こっち!」
その方角に少し進む先で見たもので、未来は最悪の記憶が蘇る。
「こっ......こいつは!」
「んん?お前はあの時の警察かァ?銀髪にイメチェンという奴か?」
「知っているの?未来?」
「こいつは貴音が能力に目覚めた時に襲ってきた奴だ......ニュースを思い出して、見たことあるはずよ」
「うちニュース見ないんだよね......」
「アルは思い出した!そして、こいつが未来と貴音を殺しかけた事も」
「屠殺し損ねた......な?なぁ?前より知能も力も上がったぞ!我は!牛の王!ミノス!そしてお前らコロス!」
そう言いながら手に持った巨大なアックスをアルペシアに振り下ろすが。
「これだけ?子供狙うなんて悪い牛ね!」
そう言いながらアックスごとミノスを持ち上げぶん投げた。
「なぁぁにぃ???」
轟音と共にコンクリートに打ち付けられたが直ぐに起き上がり。
「チビなのに強い!?......はっ!?」
驚くミノスの前には変身した黒と金の2人に、眼が赤く光る幼女が浮遊していた。
「前は良くもやったわね。このモード、ランページをやっと使いこなせるようになったから、このモードの初陣の相手の、お前はサンドバッグ役よ」
「うちの兄貴と未来を殺そうとしたらしいわね、悪いけど最終形態でやらせてもらうわよ」
「アルも浮くの慣れたからヤるよ」
「ぐっ!ぐわああああああ!!」
ヤケクソに突っ込んでくるミノスを3人は片手で受け止め同時に軽く蹴り飛ばした。
「うごおあああああああああ」
壁を突き破り続けて吹っ飛んで行ったのでその方向に向かったら完全に気絶しているミノスを前に。
「......噛ませってやつね............」
「うち警察と本國さんに報告しておくわ」
「じゃあ、アルはこの牛が死なない程度に凍らせて暴れないようにしとく」
――――――――――――――――
貴音邸 PM5:01
「終わった!貴音は!?」
そう言いながら帰宅する3人。
(おい、豚。お前の仲間は敗れて、警察に捕まったぞ。力を見誤り過ぎじゃない?)
(なにぃ!?何故だ!)
未来とエル、アルが凪の肩に手を置く。
(私とのリベンジマッチはタイマンでも余裕だったわね)
(うち変身しなくてもいけたわー)
(ざこ)
(畜生!!ならいい!メテオブレイカーの精神を焼き切って正真正銘廃人にしてやるわ!!)
(絶対にさせない!畜生はテメェだろ!)
「マズい!こちらも最終手段に出る。ボクの身体に触れてエネルギーを貸して!じゃないと貴音が死んじゃう!」
全員が同意の返事をする前に身体に触れる。
(私は期間が短いから言えた事じゃないけど、貴音はこんなに愛されているの、そしてその愛を上手く伝えれなかった事を悔み、真に愛し合い全てを分かち合う関係にしたい私達の愛の力と、利用したいだけの豚の力......どちらが勝つかな?)
(黙れぇえ!メテオブレイカーッ!このクズ野郎がああ!!!家畜にされた我らが恨み!!崩壊しろォ!!)
だがしかし、侵食するどころか精神の力の押し合いが劣勢になっていく豚。
(無駄、私達は命に変えても守る。そう、あの人にしてもらった様に)
(うるさぁい!何故精神崩壊させれない!家畜の恨みッ!!)
ホープが答える。
(前も言った気がするけど、ミュータントはそういうのは折り合いつけて共存してんだよ。バーカ)
(ちくしょぉうううう......)
(隙につけ込むカスが隙見せたなッ!終わりだあああああ!!)
完全に静まり返る部屋。
「終わった......勝った!豚は今頃気絶しているはず、運が悪ければ死んでいる!」
「やったー!!!」
と全員が喜んでいる中貴音が起き上がる。
「うぅ......これは......凪!?血塗れに......ああ、そうか、また迷惑を......」
「だから!そういう事は言わないでダーリン、今までごめんなさいね」
未来は優しく言いながら口元にキスをする。
「ちょっと!アルも!」
「いや、うちも頑張ったから!」
「ボクの鼻血は大丈夫......それよりボクも......」
キスをされまくった貴音。
「ははっ......ありがとう。だけど、ヒーローは......」
「ヒーローは暫く休止よ」
「えっ」
「あなた精神病でニートになった事とかが、負い目に感じて世界飛び回って働き過ぎ。実際、もうここにいる全員が働かずに散財しても暮らせるくらいに養えるレベルで稼いでいるわよ」
「アルとイチャイチャしろ!もうアル老けないんだからアレしても良いだろ!セッ......」
「わかった!わかったからそれを言葉に出すな!本当にダメだから!」
「とにかく凪の事も知りたいしアタシ達、休暇......いや、いっそ結婚してハネムーン行っちゃう!?うふふふふ!!!そうなったら!!あああああああ!!!」
「千劔破って......」
「凪、ちなみに未来もかなり酷いぞ、それより会って短いがどうする?」
「会ったばかりだけど許してくれるなら......したい」
と照れながら言う凪に貴音が。
「電撃結婚って言われるくらい早いけど!?いいの?」
「2度も乙女に答えさせんなよ、兄......貴音」
「お前は......まあ良い、でもハネムーンは無理だ。俺たちはヒーローだ......」
そう話す途中に突然外から大声が聞こえた。
「俺が来た!」
「え??ジャック?なんで?」
そう言いながら開ける。
「いや、あの豚の能力でお前達のやり取りが全世界に流れたぞ!」
「は?」
「嘘でしょ......恥ずかしい......」
「いーや!夫婦は愛し合う分にはいくら愛し合っても良いって事だぜ!それより、声が聞こえたから大統領の制止を無視して来たが、もう終わっている上に、なんなら結婚するんだってな!」
「そうね......そうなるねジャック、結婚式をもしやるなら呼ぶよ」
「やるならじゃなく、絶対しろ!お前は馬鹿か!」
「いやーでも暇が......」
「何の為に俺が来たと思っている!俺の独断だが、お前が楽しんでいる間は、日本を守るから気にするな!俺の嫁と、お前が戦った8人の奴らに、ルーキーヒーロー達も来る!安心しろ!」
「でも、大山さんとか早井くんが......」
「お前の仲間は、お前を祝福しない奴らか?」
「いや、それはないけど......」
「良いから!1ヶ月くらい結婚前に遊んどけ!でも、まあ流石に世界の危機は戻って来てもらうが」
「そりゃあもちろん!それだけで良いのか?」
「メテオブレイカーのおかげでどれだけ、世界の治安が維持されたと思っているんだ!お前に恩を返し切れる奴なんてそうそういねぇぜ!」
「............ありがとう、ジャック。」
「気にすんな!」
そう言いながら握手し手を組む。
「じゃあ、本國首相に言いに行くから!邪魔して悪いな!」
「いえ、ありがとうございます......」
「お幸せに~!何度もしつこいが、式は絶対やれよ!そして俺を呼べよ!」
そう言うと飛び立って行った。
「......じゃあ、みんな、どうする?どこ行こうか!」
今ではその3カ国は一時的に日本領になっているが、差別はなく平等だ。それに互いに差別し合ったら怒ると私が言ったから大丈夫だろうし、私が植民地にするのはダメと言ったので、近いうちにまともな奴をリーダーにして元の国に戻す予定らしいが、私が責任持って後始末しろという声もある......何も言えない......。
私が民間人にやり返した件は、武装して攻撃している時点で一般市民じゃ無い上に、私は正当防衛で無罪。相手は大体は逮捕されたらしい。それに国に反逆した自衛官や警察官は、全員捕まったらしいから安心した。
そして俺の両親と血が繋がっていない事も分かり、その代わりエルが双子の家族で目が理由で研究所に持って行かれたことを知った時は驚いた。更にこの後驚くことがあったけどね。
そして、今私は死ぬ程下がりに下がった反動なのか、多分人生で1番最高な時期だと思う。思いたい。そうに違いない。
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あの事件から約2~3週間後 貴音邸 PM2:00
「ねぇ、見てよ!千劔破~貴音が煙の中から黒くなって出てきた時の写真まだ出回っているよ!あーしが一般人なら、あそこに残って写真撮り続ける度胸無いけど......」
「......カッコいいな!んんんん!!抑えられない!!」
「うちのまっ金金の姿もあるよ!」
「アルの写真もある!んータイトルが日本が生んだ化け物幼女とか酷いな~アルの国籍は日本だけど血は違うし......」
「貴音はホープとか私に名をつけておいて、ディスペア名乗ったのも酷いわね!」
「まあアレは!ミュータンツセイヴァーの洗脳のせいなので仕方ないかと!」
「私の写真もあるけどやっぱり、いつもアラクネって言われるのね~」
「私なんてずっと死神呼びよ......」
「......ねぇ、なんだってこんなに私の家に住む恋人が増えたんだよ?そんで増築していったら、もうこれ屋敷だろ!それにアレの日の次の日に、まさかのSADFのメンバー志願者が来て数日一緒に訓練とかしていたら、実はファンだから付き合いたいとか言われんだぞ!お前らが良いって言うから今日からここに住むけどよ?」
「まあ私が《最初》の彼女って事を忘れてもらわなければ何人でも恋人作ってもいいわって言ったからね......と言うかいい加減結婚しない?」
「そう言うのはムードってのがあるだろ?全部、未来は軽すぎるんだよ!今誰と付き合っているか言おうか?今から来る子、未来、千劔破、響、アルペシア、ホープ、フギン、リカ、そしてDNA検査したら身内は確定だけど二卵性双生児にしてはDNAが30%しか(本来50%)一致しないって出たから、良いじゃんとか言ってエルも!出会った女ほぼ全員と付き合っている!こんなハーレム望んでいたかどうか聞かれたら、はいそうですとしか答えられないけどどうなのよ?不誠実だろ?私」
「うちが考えるに、今の所シンプルに不誠実な事してないからハーレム続いんてんじゃん?兄貴は深く考えすぎんだよ。あと働き過ぎだよ、あの事件の2日後からずっと家にいないじゃん。今日久しぶりに休みだけどさ......」
「付き合いたいなら兄貴呼びはやめろ!私はヒーローなの、休み続けたら救える命も救えないよ。てか、リカとホープにはずっと気になっていた事あるんだけど、リックが寂しいんじゃないか?ここに住ませてもいいんだけど」
「リックはSADFの職員と付き合っているので大丈夫ですよ」
「なんで私に教えてくれない!?いつから!?」
「大体1週間前から......教える必要あるかしら?それに、あなた激務だったらから」
「仲間なんだから祝うつーかなんつーか声かけたいじゃん?」
「まあ8歳のアルでも言いたい事はわかるわよ」
「あーしも」
「そんなものなのかしらねぇ」
「それより学校どうしたんだよアル?響は辞めちまったけど......」
「アルがわざわざ小学校の授業如き受ける理由無い!」
「日本は飛び級は無いんだからさぁ......てかなんで重婚とか合法にしたくせに、薬師寺は飛び級とかまともな事合法にしなかったんだよ」
「あのクズ自体がしたかったんじゃないかしら?」
「それより支持率集めたいからって前に父親から聞いたけどどうなんだろうなぁ」
「それより私は下半身が蜘蛛のせいで寝る時に、私だけ一人ぼっちなのは寂しいのだけど......」
「確かに私が家にいる時は、クソデカベットで意地でも全員で寝るけど、リカは寝る前にハグとかするだけだもんな......って言っても私は睡眠の必要が無いし、家にもあまりいないから、皆寂しい思いさせているよな......フギンみたいに身体に力入れたら人間にならない?」
「そんなミュータント全員ができる物では無いよ!多分だ......」
「あ!??出来たわ......!おお!?それに戻せる......そう言えばやろうだなんて発想がなかったから気が付かなかったのね......あはは......」
「わあ!」
「マジか......それより服が必要だな......リカも脚長くて身長高いな」
「それもめちゃすごいけど、それよりこの記事見てよ~能力のレベル分けにもう一つ銀河級が追加されるって~」
「え?じゃあ私より強い奴がいるの?」
「いや、貴音とエルにアルが存在するから作ったんだって......全世界でも10人いるかいないかとか......アメリカからはレーザークイーン?とジャスティスアメリカは入っているね~あと、あの名前不明のクソ豚も」
「レーザークイーンはジャスティスアメリカの奥さんだよ。能力は光に近い速度で動ける。まあジャックは能力ズルいのに本人の力も強いから......でも、当てにならんよ。無能力者の未来のE4は進化を続けているから、多分そのユニバース級に入るし......てか定義は何?」
「えーっと......1人で24時間以内に先進国並みの軍事力を持つ国を撃破できる力だって......」
「............」
微妙な雰囲気になっているとインターホンが鳴った。
「あ!来たか!ちょっと出てくる」
そう言いながら貴音は玄関に走って行くと、少しすると高身長の中性的イケメンを連れて貴音は戻ってきた。
「いやー、こんなに愛されて幸せだよな!全員会うの初めてじゃない?自己紹介よろしく~」
「預かりました。ボクは月読凪と申します。受け入れて頂ける様、努力致しますので何卒よろしくお願い申し上げます」
と微笑みながら名乗る凪。
「失礼ですが、お、男ですか?」
「ん?いや、違うよ。男装の麗人的な感じだよ。ふんわり言うならボーイッシュ?千劔破もクール系だし似た様なものかな?」
「ボクは短髪ですが......千劔破さんは......写真で見せてもらった限り貴女でしょうか?お綺麗で羨ましいです」
「そうです、アタシが千劔破です。ありがとうございます、貴女の麗しさには敵いませんよ」
「ありがとうございます......」
「褒め合うのも良い事だけど、名前以外も自己紹介お願い......あと、どうせみんな敬語使ってないから使わんで良いんじゃ無い......かな?」
「それはどうかな......?取り敢えず、自己紹介を再開させて頂きます。年齢は19歳で能力はテレパシーなど色々出来ますが、簡単に言うと精神関連の能力です。特技は恥ずかしながら......大食いです。あと身長は179センチです......」
「貴音並みに大きいわね......《1番目》の彼女の私的には敬語必要ないわ。それよりも精神系って......」
「そうなんだよ!私が狂った事件の次の日に、わざわざ志願してくれたんだよ!そして志願理由が、私なら守れるかもって!だから、あと欲しいのは......ずっと言っている水系の味方くらいかな~?」
そう言い途中の貴音を無視して未来は凪の手を取る。
「ありがとう......!凪って呼ばせてもらうわ。凪の精神はヒーローそのものよ!」
「えぇ!?ボ、ボクがヒーローだなんて......ただ憧れている人が酷い目に遭うのをもう見たく無いと思っただけです......」
「だから、それがヒーローなのよ!あと敬語は良いって!」
「! そんなに褒めてくれるなんてありがとう......未来」
「......」
貴音は無視されたのが悲しいが、すぐ打ち解けたみたいだから良いやと割り切ろうとしている。
「ねぇ!わかりやすい様に、あーしらも自己紹介した方がいいんじゃない?」
「そうね!そうしましょ!最初は私から......」
そう言いながら全員が自己紹介を終えて貴音が質問した。
「凪?トラウマを抉る可能性が高い質問をしていいか?」
「な、なに?良いけど......」
「能力者の殆どは、大きなネガティブな感情を抱き続けたり、命の危険を感じた人なんだけど凪は思い当たる事ある?これは能力の理解に繋がる可能性があるから、必要な事だから質問するんだ。例えば千劔破は目上のうざい奴らを見返したい、立場を変えたいって思いから、物の位置交換って能力になったんだ」
「今が楽しくてアタシ自身が忘れていたわ......」
「ボクは......病んで高校卒業後から引きこもっていたからかな......そこからヒーローを見て少しマシになったけど......」
「そうか......ありがとう。ただあまり意味が無かったかもしれない......めんご......」
「いいよ!今はボク幸せだから!貴音は優しく受け入れてくれたからね!」
「アルは病弱で、不死身の吸血鬼とかに憧れていたからこうなったのかぁ。アメリカのヒーローのあの人と嫁はなんであの能力なの?」
「............目の前で自分の子供が暴走したトラックに轢かれて死んでしまったのが原因らしい......ジャスティスアメリカの方は、時間が止まってくれれば助かったのにと悔やみ、レーザークイーンは私がもっと速く動けたら助けれたのにと悔やんだから......と本人たちは言っていたよ......苦しみが強い分能力が強くなるんだ......今の能力者としての強者の証明は、実は弱者や瀕死状態の証明なんだ......だが例外もある。例えば首相は身体から本が出せてその本に物を仕舞えるが、その能力になる原因が本人は思い当たらないし、だったらどちらかと言うと政治家的には、人に異常に好かれる能力が欲しかったと冗談を言っていたよ」
「......」
死ぬほど空気は重くなった。
「アームストロング夫妻はもう踏ん切りついているから大丈夫だよ......!!そ、それより、響とエルはなんで、その能力?」
「あーしは多分服装とか自由にさせてくれない学校に怒り爆発だから爆発なのかも......まあもう辞めたけど」
「うちは元からの特異体質のオレンジの眼のせいで人に注目されたり集まってくるんだよね。髪も地毛だし、教祖に祭り上げられたから自由が欲しくて、この地位の縛りを砕き、飛び立ちたいからかな......?緑色の方はよくわからないや。ただ教祖になって見てきた苦しむ人が多いから、助けたくて回復能力なのかな?植物操作と両性は多分オマケ......てか、それ言うならメテオブレイカーの兄貴の方がおかしいだろ」
「確かに貴音は能力多すぎるし意味不明ね」
「完全蜘蛛だった頃の私を見逃す程優しいのに......そう言う能力では無いし......」
「兄貴呼びやめろ!......んー、まず私は脚を切断されて自由に動けない不満が、最初の能力の浮遊。その次の怪力は悪を取り締まる為。ビームとか撃てるのは雷に当たってからだからなぁ......あと火炎と氷結は本当に意味がわからない......それに目が紫になった時は人を浮かし、落とし叩きつけるのもよくわからない......しかも、なんなら今は紫の目になれないし、火も冷気も少ししか使えないし、アーマーを身に纏うのも出来ない......わけわかめ......」
「えー?ウチは自由に出来るのに!?」
そう言うと浮遊し金色のアーマーを身に纏った。
「ズルい......てか、それ出来るなら私より強いんじゃない?」
「いやー、兄......貴音には勝てる気がしないなぁ。だってアーマー、火炎と冷気、紫の眼の能力......恐らく重力操作かな?それが無いのに、光速に動ける奴と時を止める奴。更に8人のアメリカトップヒーローと戦って殺さずに圧勝でしょ?うちには真似出来んわ~......」
「いやー、あの時は勝てて調子乗ったけど多分......それに絶対手加減して貰ったと思うよ」
と笑いながら言う貴音にホープは事実を告げる。
「いえ、私達を助けた後に少しその事を話していたけど本気だったって言っていたわよ」
「えっ!?」
「ねぇ、アタシ思ったんだけど、貴音の能力って命の危機や負の感情が大きくなればなるほど全知全能に近づき強くなるんじゃない......?」
「なら、筋が簡単に通る......ボクが感情を読み取ってみるからみんなに共有するね!」
「テレパシー!アル感じてみたい!」
「いやいや!そんな事しなくていいよ、凪!面倒だろ......」
「............ッ!?」
読み取った瞬間に、顔面蒼白になり腰が抜け床にへたり込む凪。貴音の精神に共鳴し、泣く者も居れば悲観し呆然とする者もいた。
「俺の............俺の本当の心を見てしまったか......醜いよな......」
「こんな......こんなに強い苦しみと憎しみ、それに悲しみは......とてもじゃ無いが1人が耐えれる物では無い......貴音は大勢に裏切られたばかり......ボクが配慮に欠けていた......ごめんなさい......」
「いいんだ、すまない......みんな幻滅したなら気にしないで、俺の事は忘れて別れ......」
そう言う貴音をビンタし泣きながら抱きつく未来。
「そんな事気安く言うのは止めてッ!こんな......なんであなた明るく振る舞えるの......?こんなに苦しく......人を信用出来ない状態でヒーローを続けるなんて!」
そう言うと貴音はヒーローの在り方を話し始める。
「ヒーローは......市民を信じ守護する者。ヒーローは自ら、己の深い苦しみを共有しない。 ヒーローは明るく気丈に振る舞い皆の心の拠り所になる者。ヒーローは人の更生の可能性を信じ赦す心を持つ者。俺は......俺の信条を守りヒーローを......だ、だが......洗脳されていた上に敵国とは言えヒ、人を大量の殺してしまった......俺ッ......おれはなにものになればいい............」
そう言うと誰も見たことがない程に、咽び泣き崩れてしまった。
「くッ......ボクが洗脳の前に加入していれば............」
「凪は仕方ないよ!あーしらが......前から一緒にいる、あーしらは貴音の身体が強いからって理由で、精神病を患っている事すら忘れ、頼り、甘え、ただ彼女になっただけで頼るだけで頼らせなかったあーしらの不手際......ごめんなさい......」
「アタシも憧れていただけ......それは理解からは程遠いのに......」
「私も助けられてばかりよね......よく考えたら一緒に住み始めたのに、仕事で私達の時間取れなかったものね......ごめん、心の柱になり痛みも分かち合わせて......」
そう皆が励ます中に脳内にまたあの声が聞こえ始めた。
(だからあなたはヒーローに向いていないメテオではなくワールドをブレイクしなさい)
「ッ!?この脳内に響く声は!」
「ふざけんじゃねぇよ!!まだ貴音を狙う気か!!」
「能力と知能を増幅して貰った恩は忘れませんが、この恨みも忘れませんわよ......」
「このクソ豚がっ!うちの信者使って探し出してやる!」
「うぐ......うう......」
(ディスペアよりワールドブレイカーになりなさい、これは命令です。)
「ワールド......ブレイカー?」
(つまらない名を貴音につけるな!何の為にボクが加入したと思っている!させる訳な無い!豚、ボクとタイマンだよ......)
(!?誰?初めてよ。こんなに干渉し返されるなんて)
(何が目的か知らないけど貴音はあんたの駒じゃない!)
「みんな!貴音に声をかけ続けて!前はそれで妨害したんでしょ?」
目が半開きで涙を大量に流しながら口を開け、壁にもたれかかる放心状態の貴音に声をかける彼女達。
「..................」
「このフギンに!優しさと名前を与えてくれたのは貴音だ!戻ってくるんだ!恋人という物の認識が甘かった!私は貴音が苦しんでいる認識も甘かった!頼ってくれ!よく考えたら貴音は、全然みんなに頼らないじゃないか!貴音のヒーローの信条は尊敬に値するが一部を変え!私達に甘えろ!」
(無駄だ、前は黒くなったせいで遮断されたが今は完全に廃人に近い!無駄なんだよ!)
(うるせぇんだよ、この豚!人の隙につけ込む事しか出来ないクズが!)
凪は頭に手を当て集中し過ぎたあまり鼻血が出始める。
「凪!鼻血が......」
「いいから!ボクの事は無視して貴音に声を!」
「わかった......貴音?虫だった頃の記憶は曖昧だけど潰そうとせず逃がそうとしてくれた。この事実は忘れず残り続けるわ。よく考えたら出会いから今に至るまで助けたり、支えるなんてしなかったわ!お願い!恩を返し愛を与えさせて......ミュータントも愛してくれる差別のない優しいあなたが苦しむのは見たくないの!」
「そうよ、言うのは2度目かしら?ホープって私につけたでしょう?私はあなたの希望になりたい。リカから聞いていた以上に、優しく勇ましいあなたに甘えていたわ!反省する......戻って!」
「うううぅ......俺は世界を破壊......いや!救う......」
(あああ、この割り込んでくるガキに声をかける女が邪魔よ!ミウス!殺しに行け!メテオブレイカー!お前は民衆に裏切られたんだ、認めろ。ヒーローは求められていない)
(黙れ黙れっ!隕石が降る前から、そうお前達が知能を得る前からヒーローやってんだよ!)
(そうだ、だから壊れた。お前達は使うだけ使ってメンテナンスをして上に、手綱を握っていないんだよ!梶原貴音!虹を掴もうとせず全てを破壊し尽くすんだ)
「クソッ!その通りなのが腹立つわ!私も貴音に止めてもらわなかったら殺人兵器だった。メンテナンスされずに壊れゆく定めを、壊してくれた貴音が壊れて欲しくないのよ!戻ってきて!」
(皆さん!ミノスという奴が近づいています!迎撃を......)
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「「わかった!」」
そう言いながら凪が感知した方向に向かう。
(ミノスが来て、お前らを目の前で半殺しにした時!完全に壊れ私の駒になるわ!)
(うるさいッッ!!貴音の頭から消えろ!)
ダメだ、3人達に精神攻撃の援護をする暇もない......何、この豚は。
「ねえ?ホープとリカの思い出を......」
――――――――――――――
貴音邸の近くの外 PM4:44
「人の悲鳴が聞こえる!こっち!」
その方角に少し進む先で見たもので、未来は最悪の記憶が蘇る。
「こっ......こいつは!」
「んん?お前はあの時の警察かァ?銀髪にイメチェンという奴か?」
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「こいつは貴音が能力に目覚めた時に襲ってきた奴だ......ニュースを思い出して、見たことあるはずよ」
「うちニュース見ないんだよね......」
「アルは思い出した!そして、こいつが未来と貴音を殺しかけた事も」
「屠殺し損ねた......な?なぁ?前より知能も力も上がったぞ!我は!牛の王!ミノス!そしてお前らコロス!」
そう言いながら手に持った巨大なアックスをアルペシアに振り下ろすが。
「これだけ?子供狙うなんて悪い牛ね!」
そう言いながらアックスごとミノスを持ち上げぶん投げた。
「なぁぁにぃ???」
轟音と共にコンクリートに打ち付けられたが直ぐに起き上がり。
「チビなのに強い!?......はっ!?」
驚くミノスの前には変身した黒と金の2人に、眼が赤く光る幼女が浮遊していた。
「前は良くもやったわね。このモード、ランページをやっと使いこなせるようになったから、このモードの初陣の相手の、お前はサンドバッグ役よ」
「うちの兄貴と未来を殺そうとしたらしいわね、悪いけど最終形態でやらせてもらうわよ」
「アルも浮くの慣れたからヤるよ」
「ぐっ!ぐわああああああ!!」
ヤケクソに突っ込んでくるミノスを3人は片手で受け止め同時に軽く蹴り飛ばした。
「うごおあああああああああ」
壁を突き破り続けて吹っ飛んで行ったのでその方向に向かったら完全に気絶しているミノスを前に。
「......噛ませってやつね............」
「うち警察と本國さんに報告しておくわ」
「じゃあ、アルはこの牛が死なない程度に凍らせて暴れないようにしとく」
――――――――――――――――
貴音邸 PM5:01
「終わった!貴音は!?」
そう言いながら帰宅する3人。
(おい、豚。お前の仲間は敗れて、警察に捕まったぞ。力を見誤り過ぎじゃない?)
(なにぃ!?何故だ!)
未来とエル、アルが凪の肩に手を置く。
(私とのリベンジマッチはタイマンでも余裕だったわね)
(うち変身しなくてもいけたわー)
(ざこ)
(畜生!!ならいい!メテオブレイカーの精神を焼き切って正真正銘廃人にしてやるわ!!)
(絶対にさせない!畜生はテメェだろ!)
「マズい!こちらも最終手段に出る。ボクの身体に触れてエネルギーを貸して!じゃないと貴音が死んじゃう!」
全員が同意の返事をする前に身体に触れる。
(私は期間が短いから言えた事じゃないけど、貴音はこんなに愛されているの、そしてその愛を上手く伝えれなかった事を悔み、真に愛し合い全てを分かち合う関係にしたい私達の愛の力と、利用したいだけの豚の力......どちらが勝つかな?)
(黙れぇえ!メテオブレイカーッ!このクズ野郎がああ!!!家畜にされた我らが恨み!!崩壊しろォ!!)
だがしかし、侵食するどころか精神の力の押し合いが劣勢になっていく豚。
(無駄、私達は命に変えても守る。そう、あの人にしてもらった様に)
(うるさぁい!何故精神崩壊させれない!家畜の恨みッ!!)
ホープが答える。
(前も言った気がするけど、ミュータントはそういうのは折り合いつけて共存してんだよ。バーカ)
(ちくしょぉうううう......)
(隙につけ込むカスが隙見せたなッ!終わりだあああああ!!)
完全に静まり返る部屋。
「終わった......勝った!豚は今頃気絶しているはず、運が悪ければ死んでいる!」
「やったー!!!」
と全員が喜んでいる中貴音が起き上がる。
「うぅ......これは......凪!?血塗れに......ああ、そうか、また迷惑を......」
「だから!そういう事は言わないでダーリン、今までごめんなさいね」
未来は優しく言いながら口元にキスをする。
「ちょっと!アルも!」
「いや、うちも頑張ったから!」
「ボクの鼻血は大丈夫......それよりボクも......」
キスをされまくった貴音。
「ははっ......ありがとう。だけど、ヒーローは......」
「ヒーローは暫く休止よ」
「えっ」
「あなた精神病でニートになった事とかが、負い目に感じて世界飛び回って働き過ぎ。実際、もうここにいる全員が働かずに散財しても暮らせるくらいに養えるレベルで稼いでいるわよ」
「アルとイチャイチャしろ!もうアル老けないんだからアレしても良いだろ!セッ......」
「わかった!わかったからそれを言葉に出すな!本当にダメだから!」
「とにかく凪の事も知りたいしアタシ達、休暇......いや、いっそ結婚してハネムーン行っちゃう!?うふふふふ!!!そうなったら!!あああああああ!!!」
「千劔破って......」
「凪、ちなみに未来もかなり酷いぞ、それより会って短いがどうする?」
「会ったばかりだけど許してくれるなら......したい」
と照れながら言う凪に貴音が。
「電撃結婚って言われるくらい早いけど!?いいの?」
「2度も乙女に答えさせんなよ、兄......貴音」
「お前は......まあ良い、でもハネムーンは無理だ。俺たちはヒーローだ......」
そう話す途中に突然外から大声が聞こえた。
「俺が来た!」
「え??ジャック?なんで?」
そう言いながら開ける。
「いや、あの豚の能力でお前達のやり取りが全世界に流れたぞ!」
「は?」
「嘘でしょ......恥ずかしい......」
「いーや!夫婦は愛し合う分にはいくら愛し合っても良いって事だぜ!それより、声が聞こえたから大統領の制止を無視して来たが、もう終わっている上に、なんなら結婚するんだってな!」
「そうね......そうなるねジャック、結婚式をもしやるなら呼ぶよ」
「やるならじゃなく、絶対しろ!お前は馬鹿か!」
「いやーでも暇が......」
「何の為に俺が来たと思っている!俺の独断だが、お前が楽しんでいる間は、日本を守るから気にするな!俺の嫁と、お前が戦った8人の奴らに、ルーキーヒーロー達も来る!安心しろ!」
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「いや、それはないけど......」
「良いから!1ヶ月くらい結婚前に遊んどけ!でも、まあ流石に世界の危機は戻って来てもらうが」
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「メテオブレイカーのおかげでどれだけ、世界の治安が維持されたと思っているんだ!お前に恩を返し切れる奴なんてそうそういねぇぜ!」
「............ありがとう、ジャック。」
「気にすんな!」
そう言いながら握手し手を組む。
「じゃあ、本國首相に言いに行くから!邪魔して悪いな!」
「いえ、ありがとうございます......」
「お幸せに~!何度もしつこいが、式は絶対やれよ!そして俺を呼べよ!」
そう言うと飛び立って行った。
「......じゃあ、みんな、どうする?どこ行こうか!」
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