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第5話 決意
しおりを挟む自宅 翌日AM:2:00
自分は人目につかない様にこっそり家に着いた、病院から電話あったから起きているだろうから鍵は大丈夫かなと思いドアを開ける。
「ただいま~声さっき聞いたから覚えていると思うけど貴音だよ~」
「「「おかえり」なさい」」
久しぶりの帰宅に家族の全員が迎えてくれた。
「いやー本当に誰だお前って感じだな!」
と笑いながら言う人は父の時克だ。
「今気がついたけど口元のほくろと泣きぼくろは変わらないのね~」
特に深く考えていない感じで話す母、珠江。
「じゃあ、もう俺寝るから、あとネット見てみやばいから」
と冷たい様に言うがわざわざ帰宅を待ってくれている弟の奏音。やはり、家族に会うと安心するものだな。ん?ネット?そう思った瞬間に父が。
「貴音、派手に暴れたなー!あとやばいぞ、病院の人が首相に表彰された梶原貴音が両性化って盗撮写真をSNSの《Z》にポストしていたぞ!」
そう話しながらスマートフォンを渡されて焦ったが、 あれ?これ自分のでも家族のでもないぞ?
「スマホ変えたの?私の修理したのは?もう終わっているでしょ?てか盗撮されてたの!?」
「スマホはお前無職だから古いの使っていただろ?だから修理より新品の最新機種にしたんだよ、退院祝いとして用意していたが想定外の退院だがな、あと警察署で暴れたお前も避難指示無視したバカに盗撮されているぞ!それに警察署の人物とお前が同一人物かどうかで大騒ぎだ、まあデータ移行はしてあるから自分の端末で今見てみろ!」
「わ、わかったよ、あ!あと携帯ありがとう」
取り敢えず確認だ。と思いZを開くとトレンド上位が自分関連の話ばかりだったがトップが自分の話では無さそう?。
1 メテオブレイカー
2 牛
3 貴音
4 薬師寺首相
6 ミノタウロス
7 警察署の婦警
8 九条
9 #ち⚪︎ぽ見せろ梶原貴音
10#ま⚪︎こ見せろ梶原貴音
何と言うか......日本人らしい......ポストを色々見てみると、
「薬師寺首相に表彰されたヒーロー梶原貴音が両性に!」
というポストに自分の写真4枚が貼られていた。古い返信だと信じられていない感じなのだが複数ある、それに警察署の自分に関してのポストの、
「警察署にて婦警と青髪の女が牛の化け物と戦闘、お互いを呼び合う声を聞く限り婦警は九条という名で、青髪の女が貴音と呼ばれていた。」
と自分が両性化しているのは知らない感じで動画付きでポストしたらしい。動画の始まりは自分が吹っ飛ばされてから自分が頭突きしたあたりで自衛官に強制移動させられて終わっていた。
返信には、
「やば、てか貴音って梶原貴音じゃない?数時間前のポストには両性化したって写真載せている人いたし」
「空を飛び化け物の攻撃を防ぐなんてすごい!ヒーロー的な名をつけるなら、人を超越した者でトランセンドマンってどうだ?」
「ダサくない?隕石が破壊された後に現れたからメテオブレイカーなんて名前の方が良いんじゃない?」
「それよりなんてクールビューティーでナイスバディ!」
「いいな!メテオブレイカーの正体を探るべきだ!」
とネットは父の言う通り大騒ぎだ、でもメテオブレイカーか?悪くないな、いやすごく良い!別に自分は隕石壊してないけど、だが漫画でもヒーローの正体がバレると碌な目に遭っていない気がする......どうすれば良い......と考えていると。
「そう深く考えるな、それより国から電話が来ていたぞ、梶原貴音に用がある掛け直せと言って切りやがったよ、あいつら偉そうやなあ」
「それ本当に国?大丈夫なの?」
「お前が表彰される前にかけてきた番号と同じだから多分大丈夫だろう」
そう言うので仕方なく電話をかけた、深夜だけど良いのかな何て考えていると繋がった。
「もしもし~?こんばんは、お世話になっています~梶原貴音ですけども」
「はい、こちらこそお世話になっております。お疲れ様です、私は首相秘書です。今首相の薬師寺と代わりますので少々お待ちください」
は?首相と話すの?あの人は何か苦手なんだよなぁ本心が見えないって言うか......だなんて思っていると首相と代わった。
「もしもし、代わりました薬師寺です。お待たせしまして申し訳ありません。早速本題に入らせてもらいますが今夜起きた出来事の否定を明日の会見でしてほしいのです。」
は?え?無理でしょ?
「貴音です、お疲れ様です。私がさっきあった事をですか?流石に無理があるのではないでしょうか?」
「病院の方は目撃者や盗撮写真の枚数から考えて無理でしょうが、警察署で撮影したのは1名による1本の動画のみなのでAIによる貴音さんの両性化に便乗した承認欲求を満たすためのフェイク動画という事で処理できます。貴音さんには両性化だけ起きたという事にしてもらいたいのです。インターネットで騒がれている《メテオブレイカー》などと言うくだらない物を否定してください、こちらで文章は考えていますのでそれをカメラの前でお読みください」
「失礼ですが、そんな事で鎮静化出来る訳が無いと思います。実際、もう既にミューテェイトやミュータントの存在は公表しているのでしょう?なら私を隠す理由が無いではないでしょうか?」
「民衆が持ち上げスーパーヒーローなどと崇拝する様になれば困るのです。世界中で異変が起きていますが基本犯罪者になるか化け物が暴れるかです、貴音さんの様な世間ではヒーロー扱いされる方が強力なミューテェイトだと困るのです」
こいつ、もしかして能力者を基本悪者にして排除したいのか?国の安定の為に全てを悪にしたいのか?
「私がお断りしたら......どうされるおつもりですか......?」
「......強制ではなくこれはお願いです、拒否されるならそれは仕方のない事だと思い貴音さんの意思を尊重し、こちらだけで処理します」
この言い方、俺の好きなヒーロー物とかの展開だとマズい気がする。自分らの最悪の結末の流れだ。
「......承知いたしました、お受け致します。」
世間にはヒーローがいなく、政府がヒーローという流れを作りたいと感じた。ならば、俺に読ませた事を後悔させてやる。
「ありがとうございます。貴音さんならしてくださると思いましたよ、では本日の正午に首相官邸で行います。交通費はお出ししますので普通の方法でお越しください。その場で文章をお渡ししますのでよろしくお願い致します。あ、それと表彰の時みたいに冗談は話さないでくださいね。笑いは必要ありませんので、それでは失礼致します」
こんのクソガキが人工ミューテェイトが出来ないとわかったら1番に排除してやるからな。
「切れたか......」
何かわからないが焦りがみえた、いつかこの疑惑を確証にしてやるからな。
「内容はなんだったんだ?」
「会見だって、ネットで騒がれているメテオブレイカーと貴音の同一人物説の否定」
「やっぱり薬師寺はクソ野郎だなあ、支持率の上げ方も適当に色々と重婚やら同性婚とかを合法にしたりと中身のない奴だしな、お前は本当に否定するのか?」
それは良いんじゃないかなと思いつつもクソ野郎なのは同意だ。
「いいやと言いたいけどした方が良いかな......父さん......?」
自分の家族ってだけで今まで碌でもない目に合わせてきた家族のことを今更考えて弱気になっていたら。
「否定したくないのは顔を見ればわかる、お前の顔は代わっても表情は何一つ変わらない子だな!俺達の事は心配するな!」
そう大笑いながら自分の肩を軽く叩く父。
「ありがとう......どこまでやれるかわからないけど家族は絶対に守るから......」
と泣きそうになる自分に父は。
「実は俺も変な事出来る様になったんだ、これで自衛と奏音と珠江は守れるはずだ!」
そう言うと服を脱ぎ始めた。
「何してんの!?雰囲気ぶち壊しなんですけど??」
「良いから見てろ!」
そう言うと全身の毛が太くなり硬化し逆立ち尖る、まるでハリネズミの様だ。
「な!?すご!毛深くてラッキーだったね」
「今までむさ苦しい何て言われたが、これで文句は言わせないな!」
2人で笑っていたが時間を見たらもう朝の4時だ。
「てか時間やばい、寝よう」
「ん?ああ、そうだな、おやすみ」
「おやすみ~」
そう言いながら久しぶりに自室に戻り安心した、薬も飲んだし寝ようと思ったが寝れない。
「睡眠薬強くなったのに効かない......」
目を閉じて抱き枕を抱いていたが、そのまま朝を迎えてしまった。全く眠気は来ないどころか疲労も感じない。
「私もしかして寝なくていい身体になっちゃった?それとも頑丈になった身体に睡眠薬が効かないだけか......」
――――――――――
首相官邸 AM11:45分
「こちらが文章です、そろそろ始まりますのでお願いします、先に首相が否定しましたのでスムーズに行くと思います」
そう首相秘書に渡された文章はあまり良い物ではない内容だ。
「わかりました、では行きます」
そう言いながら、よくテレビで見る首相官邸の会見場に入る。表彰された場所とは違い一般人立ってが会見しているのは殆ど見ない場所なのが事態の重さを感じる。入った直後に響めくが無視し、お偉いさんが立っているのをよく見る机の前に立った。
「どうも、梶原貴音です。久しぶりに自分の足で歩いたので少し遅れてしまいました」
ブラック過ぎて微妙な笑いが起きた。
「同日の深夜に私が暴れたと言うZでのポストが......」
記者が遮って発言した。
「薬師寺総理が先程仰った、深夜起きた事のミノタウロスに立ち向かうヒーローの青髪の女性の動画がAIによるフェイク動画だという話を信じられると思いますか?身体は変化している上に、それに動画の投稿者が警察署を破壊したな......」
「確かに信じられないのはわかります、だからと言って憶測と陰謀論めいた事だけで物を言うのも如何と思います、私があたかも救世主の様なヒーローかのように......」
「別に救世主とかは言われていません」
「ああ、そうですね......なら大丈夫です......第一に私は表彰された事があるってだけで、私はヒーローには向いていないと思うし、精神病だし、しくじって脚も無くすし......」
「本筋に戻ってください」
と首相秘書が言う。
「でははっきり、言いましょう......真実は............」
「俺がメテオブレイカーだ」
そう言い浮遊する自分の姿を撮影するシャッター音と響めきで包まれた。ちょっと好きな映画の真似し過ぎたかな......
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