過去あり無自覚美少年が幸せになるまで

睡蓮

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同室はイケメン君

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 カードキーで勝手に入ってもいいのかな?でもちゃんとインターホン押した方が..うーんどうしよ。

悩んだ後、びっくりさせたら悪いと思い、インターホンを鳴らすことにした。
開けてくれるまでほんの数秒だったけど、緊張でドキドキと胸が鳴り、すごく長い時間に思えた。

ガチャッ

「誰?」

真っ黒な髪に金色の切れ目、両耳にピアスをつけたイケメンさんが出てきた。

 やっぱりこの学園はイケメンしかいないんだ。

《初めまして、転入してきた流川翠です。よろしくお願いします。》

何故だか同室者は切れ目を見開いて驚いている。

「あ、あぁ。俺は伊柊院怜だ。よろしく。」

そう言って扉を開けてくれた。

 おぉ、荷物ちゃんとある!

「お前の部屋は左側な。」

《ありがとう!》

 寮長が大変なんていうから身構えちゃったじゃん。
 よしっ、荷物片付けないと

ガチャッ

 あれ?

ガチャガチャッ

 スーツケース…開かない?

「借して」

ガチャガチャ…カチャン

 おぉ~。開いた~。

《ありがと》

「あぁ。…えっと、俺がやってもいいやつ、ある?」

《…荷物手伝ってくれるの?》

「ん。」

 めっちゃいい人だ~!

《ありがとう!じゃああそこの段ボールから小物出しといてくれる?》

聞いてみると彼は、ん。とまた返事をし、黙々と段ボールを開け始めた。

 伊柊院君が同じ部屋でよかった~。伊柊院君、なんか安心するんだよなぁ。

そんなことを思いながら、翠も黙々と作業に取り掛かっていた。
ふと、伊柊院君の方を見てみると

 あっ!

伊柊院君が意外そうに大きなサメのぬいぐるみを見ている。

 にぃにが夜、ちゃんと寝れるよう入れといてくれたサメさん‼︎
 恥ずかしいっ
 えっと、何か話を

《伊柊院君、手伝ってくれてありがとう。おかげで思ってたよりもすごい早く終わったよ。》

「なぁ、お前、俺が怖くないの?」

《えっ?うん。だって伊柊院君優しいじゃん。》

「そんなこと、初めて言われたよ。」

そう言って伊柊院君はフッと笑った。そしてまた少し照れたように

「怜でいいよ。俺も翠って呼ぶから。」

《うん。分かった。あと、僕は怜が同室でよかったって思ってるんだからね。》

ふにゃっと笑っていうと、怜は顔を背けてまた、ん。と返事をした。

《そうだ!よかったらこの後一緒に食堂に行かない?》

「あぁ。いいよ。」

そうして、翠は嬉々として食堂へ向かったのだった。




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