婚約破棄されたから、とりあえず逃げた!

志位斗 茂家波

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まず話すならこっちですよね?

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「‥‥‥本当にすまなかったマテラ公爵令嬢!!」

 私の目の前で、恰幅のいい体を潰れたまんじゅうのように無理やり土下座して謝っているのは、このカック王国の現国王であるタボーメン陛下である。

 メタボをもじった名前のように聞こえるが、これが本当に名前なので私の腹筋をこらえさせなければいけない。

 いやだって、メタボな体形でまさにその名前って……お腹が痛いです。私の笑いの沸点は低いのでちょっときついのです。


「あのヒースには私が何とか言っておくから、どうにか婚約破棄なんてなかったことに」
「ほぅ?でも、あのような馬鹿者が我が娘に対して、虚偽の事で冤罪に陥れようとした事実があること自体が耐えがたい事なのだが?」
「ひぃぃぃぃ!!」

 ついでにと思って、お父様‥‥‥ディア公爵を連れてきたのですが、物凄いこめかみに血管が浮かんで、どれだけ怒っているのかお分かりです。

 なにしろお父様は過去数回あったほかの国との戦争でも前線に積極的に立ち、鬼神のごとく怒涛の勢いで恐れられた人でもあるようですからね。

 その怒りの圧力は半端じゃないですよ。


「あの馬鹿な王子がこの可愛い娘の相手となること自体が苦痛であったが、虚偽によって罪に陥れようとしたこと自体が、もう許されないことなのだ!!この機会に我が公爵家はカック王家への援助や支度金、その他これまでしてきたことを一切打ち切り、この国とは完全に縁を切る!!」
「ま、待ってくれディア公爵殿!!今この国から出ていかれてはもう」
「ではどうしようというのだね?王家には賠償金を支払うような金もないだろう?」
「ぐ・・・・・・・」

 ぐぅの音も出ないような顔で、絶望の顔になる陛下。



 実はこの国、結構な財政赤字状態なんですよね。

 飢饉に盗賊、他国からの戦争を仕掛けられたりともうさんざんで、神に見放されたにも等しい感じなのですよ。

 そのような情勢の中、私がいるディア公爵領では王国以上に栄えまくって、その事から王家に私が嫁ぐことで援助を国にしていこうという話になっていましたが‥‥‥ま、もともとこの国の根本がダメのようですし、陛下を見れば節制とかをしていないのは目に見えています。

 切り捨て時としていいでしょうね。


「そこをなんとか‥‥‥そうでないと本当にもうダメすぎて‥‥‥」
「娘を罪人に仕立て上げようとした馬鹿を止めようともしなかったし、そもそもあのような人が大勢集まる場での騒ぎだ。そこでの重要性も理解していないような愚か者がいる国は、いらんからな」

 もう言い切ったよお父様。賛成ですけど、仮にも王子を愚か者って‥‥‥でもあのバカ相手にはぴったりですから文句はないでしょう。


「で、ではだ、」
「先に言っておくが、他の王子たちと婚約をさせて、あの馬鹿を除籍してなかったことにしようとする手段もなしだからな」
「‥‥‥」

 おおぅ、お父様が先読みして何も言えんか唸った国王陛下が口をパクパクさせているよ。

 と言うか、他の王子たちを代わりに出すとか言っても‥‥‥似たり寄ったりの方が多いのでだめです。

 そもそも私自身がこの国に愛想をつかしているので、とどまる気はないのだよ。



「それでは失礼、本日より我が公爵家はこの国から縁を切り、領地ごと・・・・去るのでね」
「お父様、さらっと私に重労働させようとしていませんかね‥‥‥『転移魔法テレポート』っと」

 魔法を発動させ、何か他の事を述べようと国王が動く前に、私たちはその場から去った。

 あとに残されたのはメタボな国王陛下のみだけど‥‥‥ま、いいか。


 この後重労働が待ち受けているのは嫌だけどね。

「はぁ、本当に私が可愛いのであればこの作業をする分の魔力をお父様から抜き取りますけどいいですか?」
「ああいいとも!!娘のためにこの身を差し出すことにためらいは」
「『魔力吸収マジックドレイン』」
「な、ふおぁぁぁ‥‥‥」

 ‥‥‥うん、魔力をギリギリまですったらお父様脱力・撃沈・気絶の3コンボでぶっ倒れた。

 重労働をするのだし、この程度の犠牲はいいでしょう‥‥‥多分ね。
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