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1章 転生早々、やらかしも
1-3 交流は割と早めに
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SIDE冒険者ゴリレイオン
「この先か、盗賊たちが入り込んだという森は」
「ええ、間違いないようです。どうやら違法奴隷たちも一緒に引きつれて、潜り込んだようです」
他の冒険者たちと確認しながら、この冒険者ゴリレイオンは今、ボンブル盗賊団の行方を追いながら「暗夜の森」へと向かっていた。
暗夜の森…賊たちが隠れ家にするのはうってつけの場所だろうが、幼い少年少女を連れ込んでいいような場所ではない。
その少年少女たちが、先ほど鑑識の結果確認された違法奴隷商人によって違法に奴隷にされたものたちであるならばなおさらのことだろう。
「全員無事ならばいいが、ボンブル盗賊団は典型的な賊だからな…今頃、物言わぬものにされていてもおかしくはないか」
「できれば早く救助したいが、暗夜の森を踏破できるようなメンツがそろいにくかったせいで、時間がかかったな」
あそこに出る獣や魔物に関してはそこそこ強いものも多く、無事に出るためにはそれなりの腕利きが必要になる。
盗賊団の連中もかなりの被害を出すほどのつわものが多いと聞くからこそ、あの森を選べたのだろう。
とりあえず今は、時間が惜しいので集合次第すぐに出発し、森へ向かう。
そして今、森の入口へたどり着こうとしたその時…ふと、我々は気が付いた。
「ん?なんだ、あれは?」
薄暗い木々の中、なにやらぽうっと光る玉のようなものが飛んでいるのが確認できた。
もしやゴーストかなにかの類かと思ったが、様子がおかしい。
「あ、あれを見ろ!!アレについていっているのは、まさか」
「違法奴隷として囚われていた子供たちか!!」
どうやらその光についてくるかたちで、今回の保護対処である違法奴隷にされた子供たちらしい姿も出てきて、我々はすぐに駆け寄って確認した。
まさかの囚われていたはずの子供たち…全員無事のようだ。
しかも、つけられていた隷属の首輪も外されている。
「いったい、どうして…」
「あのねあのね。あの妖精さんが助けてくれたの!!」
「びびのばしゅって、檻も首輪も壊してくれたんだよ!!」
子供たちの説明によれば、先ほど見えた光るものが解放してくれたらしい。
だが、その前に妖精という言葉に、耳を疑った。
「まて、妖精だと!?」
「そうだよ、逃げている途中で、妖精っていったもん」
妖精…それはここ数百年の間に、すっかり目撃されることがなくなったという、もはや絵本とかでしか見ないような存在。
妖精たちの力というのは人を超えたものがあり、だからこそ悪しき企みを持つ者たちが利用しようとした結果、人間たちとのかかわりが断たれてしまったようだ。
そんな存在が今、いるとは…そう思いながら子供たちが指さす方向を見れば、光る玉のようなものは光量を落とし、その姿を見せた。
見た目はまだ小さな少年のよう見えるが、ほのかに光る体に薄い妖精の翅が生えている、
もはやおとぎ話とかでしか見ないような妖精に、他の冒険者たちも驚愕している様子だが、あっけにとられているばかりではいけないだろう。
ひとまず今は、どういう状況なのか確認するために、まずは妖精とやらに声をかけてみて情報の交換を…いや、待てよ?
おとぎ話とかでしか見なくなったような妖精に子供たちが助けられていましたとか、まともに報告していいものなのだろうか?え、かといって助けれくれたらしい恩人(?)を無下にするようなこともできないし、どうしろと?
場合によってはこれ、盗賊よりも厄介な案件になっていないだろうか…
…違法奴隷にされていた少年少女たちの無事を確認できたのは良いのだが、冒険者ゴリレイオンは余計な悩みが追加されてしまうのであった。
「あのー、おじさん大丈夫か?なんかすごい悩ましい顔になっているよ」
妖精よ、この悩む羽目になった原因に言われても…あ、この妖精しゃべれるのか。
「この先か、盗賊たちが入り込んだという森は」
「ええ、間違いないようです。どうやら違法奴隷たちも一緒に引きつれて、潜り込んだようです」
他の冒険者たちと確認しながら、この冒険者ゴリレイオンは今、ボンブル盗賊団の行方を追いながら「暗夜の森」へと向かっていた。
暗夜の森…賊たちが隠れ家にするのはうってつけの場所だろうが、幼い少年少女を連れ込んでいいような場所ではない。
その少年少女たちが、先ほど鑑識の結果確認された違法奴隷商人によって違法に奴隷にされたものたちであるならばなおさらのことだろう。
「全員無事ならばいいが、ボンブル盗賊団は典型的な賊だからな…今頃、物言わぬものにされていてもおかしくはないか」
「できれば早く救助したいが、暗夜の森を踏破できるようなメンツがそろいにくかったせいで、時間がかかったな」
あそこに出る獣や魔物に関してはそこそこ強いものも多く、無事に出るためにはそれなりの腕利きが必要になる。
盗賊団の連中もかなりの被害を出すほどのつわものが多いと聞くからこそ、あの森を選べたのだろう。
とりあえず今は、時間が惜しいので集合次第すぐに出発し、森へ向かう。
そして今、森の入口へたどり着こうとしたその時…ふと、我々は気が付いた。
「ん?なんだ、あれは?」
薄暗い木々の中、なにやらぽうっと光る玉のようなものが飛んでいるのが確認できた。
もしやゴーストかなにかの類かと思ったが、様子がおかしい。
「あ、あれを見ろ!!アレについていっているのは、まさか」
「違法奴隷として囚われていた子供たちか!!」
どうやらその光についてくるかたちで、今回の保護対処である違法奴隷にされた子供たちらしい姿も出てきて、我々はすぐに駆け寄って確認した。
まさかの囚われていたはずの子供たち…全員無事のようだ。
しかも、つけられていた隷属の首輪も外されている。
「いったい、どうして…」
「あのねあのね。あの妖精さんが助けてくれたの!!」
「びびのばしゅって、檻も首輪も壊してくれたんだよ!!」
子供たちの説明によれば、先ほど見えた光るものが解放してくれたらしい。
だが、その前に妖精という言葉に、耳を疑った。
「まて、妖精だと!?」
「そうだよ、逃げている途中で、妖精っていったもん」
妖精…それはここ数百年の間に、すっかり目撃されることがなくなったという、もはや絵本とかでしか見ないような存在。
妖精たちの力というのは人を超えたものがあり、だからこそ悪しき企みを持つ者たちが利用しようとした結果、人間たちとのかかわりが断たれてしまったようだ。
そんな存在が今、いるとは…そう思いながら子供たちが指さす方向を見れば、光る玉のようなものは光量を落とし、その姿を見せた。
見た目はまだ小さな少年のよう見えるが、ほのかに光る体に薄い妖精の翅が生えている、
もはやおとぎ話とかでしか見ないような妖精に、他の冒険者たちも驚愕している様子だが、あっけにとられているばかりではいけないだろう。
ひとまず今は、どういう状況なのか確認するために、まずは妖精とやらに声をかけてみて情報の交換を…いや、待てよ?
おとぎ話とかでしか見なくなったような妖精に子供たちが助けられていましたとか、まともに報告していいものなのだろうか?え、かといって助けれくれたらしい恩人(?)を無下にするようなこともできないし、どうしろと?
場合によってはこれ、盗賊よりも厄介な案件になっていないだろうか…
…違法奴隷にされていた少年少女たちの無事を確認できたのは良いのだが、冒険者ゴリレイオンは余計な悩みが追加されてしまうのであった。
「あのー、おじさん大丈夫か?なんかすごい悩ましい顔になっているよ」
妖精よ、この悩む羽目になった原因に言われても…あ、この妖精しゃべれるのか。
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