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迷いの冬で章
183話
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『なるほどなるほど、そっちはかなり前世の記憶があるやつか』
『そうなの。でも、そちらは余り無いようなの?』
『そんな感じかな。知識はあれども、前世の自分がどういうのだったのか、死の間際ぐらいしか覚えていないからなぁ‥‥‥』
「あのー、二人ともどういう言語で会話しているのですか?」
「あ、姉さまスイマセン。ちょっと意気投合したの」
「いや、こちらこそ会話ができてしまって、ついつい話し込んでしまった」
路地裏から移動し、一旦安全そうな場所へ移動したところで、ルースと少女が話していたところで、会話に入れずに残されていた少女が口を開いたところで、ようやくその存在を彼らは思い出したのであった。
というか、先ほど思いっきりこの世界の言語ではなく‥‥‥日本語で会話した時点で、色々不審に思われている可能性が高い。
でも、ついつい前世持ち同士で会話が盛り上がったのは、ルースにとっては貴重な体験になったのだった。
「さてと、ちょっと会話に盛り上がってしまったが…‥‥それは置いておくとして、貴女たちがこの路地裏に最近現れたという女帝コンビなのか?」
「そう言われているのは聞くけれども…‥‥なんかその呼ばれ方は嫌なのよね」
「ええ?そうなの?姉さまが良く呼ばれる『アイアンクイーン』ってかっこいいですの!!それに比べて、私の『トラウマ製造機クイーン』って、ごろが悪いですの!」
「確かにごろ悪いというか……何でそんな物騒な呼ばれ方をしているんだ?」
先ほどの蹂躙劇を見ても、その呼ばれ方の由来がいまいちわからない。
「蹂躙女王」とかならばまだ納得できるのだが‥‥‥アイアンとかトラウマ製造機ってどこから来たのだろうか?
「うーん、わたくしの場合は最初にここにきて襲われた時に、頭が寂しい人の頭を使って撃退したのが原因そうなのよね」
「私は姉さまに不埒な事をやろうとした輩に対して、5分で自殺寸前まで言葉責めしたのが原因かも!」
……前者はまだ良いとして、後者が明らかにやばそうである。
「え?自殺寸前って…‥言葉だけでか?」
「ええ、姉さまに対して欲情していたようだから、いろいろと吹き込んで、ついでに心をえぐりにえぐりまくっただけですの!」
それはそれで恐ろしい才能なような気がする。
と、ここでルースはなぜここに来たのかというそもそもの目的を思い出した。
この女帝コンビが、現在行方不明中の王女疑惑があったので確かめるという目的を。
結果として、学園長が確認してその疑惑が晴れ‥‥‥いや、この場合は確定したと言うべきなのだろうか。
とにもかくにも、王女たちであると言うのは分かったが、ここからどうすればいいのだろうか。
普通に家出を辞めて王城に戻ってくださいとも言い難いし、かと言ってこの機会を逃せばまた離れて見つけにくいことになる可能性もあるし…‥‥
「ん?難しい顔をしてどうしたのかしら?」
悩んでいるルースの様子に気が付いたのか、アイアンクイーンと呼ばれている王女の方が声をかけてきた。
「あ、えっと、その…‥‥」
素直に口に出しそうになったが、ここで焦って直球で聞いたら色々と不味そうである。
となれば、この場を乗り切る質問として正しいのは…‥‥
「女帝コンビと呼ばれている貴女たちの名前って何だろうか、と疑問に思ってね。ちょっと聞きづらいような気がしてさ」
「わたくしたちの名ですか?‥‥‥そうね、確かにアイアンクイーンと呼ばれるのも面白くないですし、教えても良いでしょう。わたくしの名は王家の、コホン、ルルリアですわ」
「姉さまのその呼び名かっこいと思うのにな…‥‥まぁ、別に良いの。私の方はアルミアなの!」
とっさに考えた質問だったが、あっさりと彼女たちは答えてくれた。
「そっちが名乗ったし、俺も名乗っておくよ。俺の名はルースだ」
「そう、覚えておきますわね」
「事情が似たような感じの者同士、親しみを込めて名を呼ばせてもらうの!‥‥‥あ、でも姉さまに何か下心を持って近づいたら、転生者としてではなく妹として阻止させてもらうから覚悟してなの」
……アルミアの言葉が、かなり怖いんだが…‥‥これが重度のシスコンと言うやつなのであろうか。
とにもかくにも、名を知り合えたのは良いことである。
一旦、この場を離れるようだが、アルミアの方と何かと事情が似ていたから、今度は日を改めて転生者同士という共通点を元に話をすることを約束し、ルースは路地裏から出た。
彼女達の姿が見えなくなり、きちんとその場を去れたところで……
「‥‥ちょっといいかしらーね、ルース。第2王女様でもあーるアルミア様と何か言葉を交えーて、驚愕し、楽しんでいーたようだーけれどーも‥‥‥『転生者』って何なのかしらね?」
姿を消す魔法を解除し、肩をつかむ学園長の問いかけに、ルースは冷や汗を流す。
‥‥‥ついつい転生者同士で日本語で話したりしちゃったけれども、これ絶対にこの人に知られてはいけないことだったような気がするなぁ。
ルースは遠い目をして後悔をしつつ、仕方がなくバルション学園長に事情を説明するのであった…‥‥
『そうなの。でも、そちらは余り無いようなの?』
『そんな感じかな。知識はあれども、前世の自分がどういうのだったのか、死の間際ぐらいしか覚えていないからなぁ‥‥‥』
「あのー、二人ともどういう言語で会話しているのですか?」
「あ、姉さまスイマセン。ちょっと意気投合したの」
「いや、こちらこそ会話ができてしまって、ついつい話し込んでしまった」
路地裏から移動し、一旦安全そうな場所へ移動したところで、ルースと少女が話していたところで、会話に入れずに残されていた少女が口を開いたところで、ようやくその存在を彼らは思い出したのであった。
というか、先ほど思いっきりこの世界の言語ではなく‥‥‥日本語で会話した時点で、色々不審に思われている可能性が高い。
でも、ついつい前世持ち同士で会話が盛り上がったのは、ルースにとっては貴重な体験になったのだった。
「さてと、ちょっと会話に盛り上がってしまったが…‥‥それは置いておくとして、貴女たちがこの路地裏に最近現れたという女帝コンビなのか?」
「そう言われているのは聞くけれども…‥‥なんかその呼ばれ方は嫌なのよね」
「ええ?そうなの?姉さまが良く呼ばれる『アイアンクイーン』ってかっこいいですの!!それに比べて、私の『トラウマ製造機クイーン』って、ごろが悪いですの!」
「確かにごろ悪いというか……何でそんな物騒な呼ばれ方をしているんだ?」
先ほどの蹂躙劇を見ても、その呼ばれ方の由来がいまいちわからない。
「蹂躙女王」とかならばまだ納得できるのだが‥‥‥アイアンとかトラウマ製造機ってどこから来たのだろうか?
「うーん、わたくしの場合は最初にここにきて襲われた時に、頭が寂しい人の頭を使って撃退したのが原因そうなのよね」
「私は姉さまに不埒な事をやろうとした輩に対して、5分で自殺寸前まで言葉責めしたのが原因かも!」
……前者はまだ良いとして、後者が明らかにやばそうである。
「え?自殺寸前って…‥言葉だけでか?」
「ええ、姉さまに対して欲情していたようだから、いろいろと吹き込んで、ついでに心をえぐりにえぐりまくっただけですの!」
それはそれで恐ろしい才能なような気がする。
と、ここでルースはなぜここに来たのかというそもそもの目的を思い出した。
この女帝コンビが、現在行方不明中の王女疑惑があったので確かめるという目的を。
結果として、学園長が確認してその疑惑が晴れ‥‥‥いや、この場合は確定したと言うべきなのだろうか。
とにもかくにも、王女たちであると言うのは分かったが、ここからどうすればいいのだろうか。
普通に家出を辞めて王城に戻ってくださいとも言い難いし、かと言ってこの機会を逃せばまた離れて見つけにくいことになる可能性もあるし…‥‥
「ん?難しい顔をしてどうしたのかしら?」
悩んでいるルースの様子に気が付いたのか、アイアンクイーンと呼ばれている王女の方が声をかけてきた。
「あ、えっと、その…‥‥」
素直に口に出しそうになったが、ここで焦って直球で聞いたら色々と不味そうである。
となれば、この場を乗り切る質問として正しいのは…‥‥
「女帝コンビと呼ばれている貴女たちの名前って何だろうか、と疑問に思ってね。ちょっと聞きづらいような気がしてさ」
「わたくしたちの名ですか?‥‥‥そうね、確かにアイアンクイーンと呼ばれるのも面白くないですし、教えても良いでしょう。わたくしの名は王家の、コホン、ルルリアですわ」
「姉さまのその呼び名かっこいと思うのにな…‥‥まぁ、別に良いの。私の方はアルミアなの!」
とっさに考えた質問だったが、あっさりと彼女たちは答えてくれた。
「そっちが名乗ったし、俺も名乗っておくよ。俺の名はルースだ」
「そう、覚えておきますわね」
「事情が似たような感じの者同士、親しみを込めて名を呼ばせてもらうの!‥‥‥あ、でも姉さまに何か下心を持って近づいたら、転生者としてではなく妹として阻止させてもらうから覚悟してなの」
……アルミアの言葉が、かなり怖いんだが…‥‥これが重度のシスコンと言うやつなのであろうか。
とにもかくにも、名を知り合えたのは良いことである。
一旦、この場を離れるようだが、アルミアの方と何かと事情が似ていたから、今度は日を改めて転生者同士という共通点を元に話をすることを約束し、ルースは路地裏から出た。
彼女達の姿が見えなくなり、きちんとその場を去れたところで……
「‥‥ちょっといいかしらーね、ルース。第2王女様でもあーるアルミア様と何か言葉を交えーて、驚愕し、楽しんでいーたようだーけれどーも‥‥‥『転生者』って何なのかしらね?」
姿を消す魔法を解除し、肩をつかむ学園長の問いかけに、ルースは冷や汗を流す。
‥‥‥ついつい転生者同士で日本語で話したりしちゃったけれども、これ絶対にこの人に知られてはいけないことだったような気がするなぁ。
ルースは遠い目をして後悔をしつつ、仕方がなくバルション学園長に事情を説明するのであった…‥‥
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