190 / 339
精霊の章
閑話 知り過ぎることができない
しおりを挟む
…‥‥真夜中、ルースは熟睡していたはずであった。
だが、ものすごく久し振りの感覚を味わい、目を開くとそこは暗い空間…‥‥ではなかった。
「あれ?」
少し前までは暗闇であり、明かりだったのは…‥‥目の前に浮かぶ黄金の魔導書のみであったはず。
しかし、今はどういうわけかこの空間は暗くはなく、どこか別の世界‥‥‥いや、むしろ最も懐かしいように感じた場所になっていた。
「ここは‥‥‥まさか」
―――――ドコカ察シタヨウダナ、主ヨ。
ルースの驚きの言葉に、ニヤリと笑うような声を出す魔導書。
いつもならば、ここはこの魔導書との会話できる空間であったはずが……驚くべきことに、ルースの前世であった者の私室の空間になっていたのである。
―――――イツモイツモ同ジデハ面白ミガ無イ。ユエニ、主ノ記憶ノ一部ヲ再現シタ。
「前世の俺の私室の再現ってか…‥‥でも一ついいか?」
―――――ナンダ?
「いや、言うのもなんだが…‥‥俺、前世の事をほとんど覚えていないから、ここが見覚えがあったとしても今一つという感想しか出ないぞ」
―――――…‥‥。
ルースのその感想に、魔導書はしばし呆れたようにぽかんとするそぶりを見せた。
とにもかくにも、かなり久し振りの魔導書との会話の時間である。
前回は背後に気を付けろという忠告の時であったが…‥‥今回は何であろうか。
「と言うか、わざわざこんな前世の再現をしたということは、そんな『つまらない場所だったから』という理由だけじゃないよね?ここまでわざわざ手の込んだことをするからには、何か裏があるようにしか思えないのだが」
―――――アア、ソノ通リダ。
ルースの投げかけた疑問の言葉に、魔導書は否定もせずに答えた。
―――――コノ空間ヲ見テ、主ノ今ノ感想カラ察スルニ、前世ヲホボ覚エテイナイナ?
「まぁ、そう言われればそうだけどな」
ただ単に、自分には前の人生の記憶がある。
けれどもそれはあくまで前の人生ということであり、今の自分の人生ではない。
そう考えてしまう故か、そこまで前世の自分に執着がなく、月日が流れていくうちに次第にその中身をルースは忘れていた。
よく小説やアニメであるように現代知識でチートなどを考える輩が聞けばかなりもったいないことをしていると言われるだろうが…‥‥そんなことを言われたとしても、ルースはそう知識を使うことはない。
と言うか、魔法が存在しているこの世界ではそんなに意味もなく、不便ではないからと言うのも理由にある。
とにもかくにも、精々ルースの覚えている前世と言えば、前世の死因が空から降って来た謎の光によるもの程度しかないのであった。
「‥‥‥待てよ?」
そこでふと、ルースはある違和感を覚えた。
この間のフェイカー製の怪物などを見たときには感じていなかったが、よくよく考えてみれば色々とおかしいことに気が付いたのである。
グッグゴコーチ……あの怪物はコオロギやカマキリ、台所にいるイメージのあるGなどの虫のキメラのような外見をしていた。
あれが単なる偶然によって生まれたのであればいいのだが、その外見がどうも意図的な‥‥‥それこそ、考えうる限りの気持ち悪い生き物を詰め込み、いかに気持ち悪さを際立たせるかのような外見だったのだ。
気持ち悪いものが偶然生まれることがあったとしても、一目で何と何が混ざっているような生物を作れるものであろうか?
それにそもそも、これまでフェイカ―と関わって来たが‥‥‥生物兵器とかをよく見かけたが、これはこれでおかしいのだ。
この世界には魔法があるからそのようなものを作り上げる技術があるかもしれないが、それにこだわっているようにも感じさせる。
ルースの思考する様子に、魔導書は何を考えているのかわかったようだ。
―――――主、何ヲ考エテイルノカ、我ニハ分カル。大方、ソノ怪物ヲ作リ上ゲタ相手ガドノヨウナ者カ予想ガツイタノダロウ?
魔導書のその言葉に、ルースは頷いた。
「‥‥‥この予想が当たっていたとすれば、色々と辻妻が遭うというか……それにその可能性が否定できないということもないし…‥‥でも、いくらなんでもそんなことがあるのか?」
ルースはそうつぶやいたが、否定されないところを見ると真実のようであった。
―――――主ノ予想通リ、現在フェイカーデ生物兵器ヲ作ッテイルノハ、主ト同ジ「前世ノ記憶保持者」デアル。
魔導書の告げた言葉に、ルースは己の予想が当たっていることを理解してしまった。
考えてみれば、この世界で今まで兵器として扱われてきたのはマジックアイテムや魔法、普通に剣や槍と言ったものであり、「生物兵器」なんてものを考えたのはフェイカーぐらいしか思いつかない。
タキやヴィーラといった国滅ぼしのモンスターがいるからと言って、生物兵器とは言わずに普通にモンスターと言っているのだ。
だが、フェイカ―が扱うのは「生物兵器」‥‥‥それこそ、ルースのように前世の知識があるような者がSFなどでその言葉を知った者が扱うような物ばかり。
グッグゴコーチの外見も、作り上げた人物がきもち悪さを追求し、虫嫌いであれば嫌なものを詰め込んだのであろう。
その他にも色々とあるかもしれないが…‥‥とにもかくにも、確信は持てた。
ただ、一つ気になる点があった。
「魔導書、なんでお前がそんなことを確信を持って言えるんだ?フェイカー側でもあるまいし、そんな内部の情報を言えるなんて、いや、そもそも前から俺についての忠告とかをしてくれるが、そんな未来の事を分かっているように告げてくるなんて、おかしくないか?」
――――――‥‥‥。
ルースのその問いかけに、しばし魔導書は黙り込む。
何も言えないのか、それとも言えないようになっているのか…‥‥それは分からない。
だが、一つ言えるとすれば、この魔導書は怪しいということである。
…‥‥いや、そもそも喋る魔導書と言う時点で色々とおかしいけれどね。
とにもかくにも、黙っていた魔導書はしばし考える様なそぶりを見せた後、言葉を発した。
―――――ソノ質問、今答エルノハ不可能。‥‥‥ダガ、一部ダケ話ソウ。
全てを答えることはしないが、それでも話せる範囲であれば可能らしい。
それだけでもいいので、魔導書の言葉にルースは耳を傾けた。
…‥‥そして、ある事を知った。
「‥‥‥え?」
その事実を聞き、ルースは唖然とした。
前々から怪しいとは思っていたのだが…‥‥時期やタイミングを考えても、おかしくはない。
けれども、どうしてもそうだと受け入れるには頭が混乱し、まとまらない。
「いやちょっと待って、え、本当に…‥‥そうな、」
もう一度問いかけようとしたが…‥‥もう、時間切れだった。
いや、むしろ話している間にその可能な範囲を超えてしまったのかもしれない。
魔導書がいきなり輝き、目を防いで光をしのいだところで…‥‥ルースの意識は途切れた。
そして翌日、ルースは今回あったその離された内容の事だけは覚えていなかった。
何かを言われたのは確か。
けれども、まるで消されたかのように、すっぽりとその部分だけ記憶が無くなっていたのである。
……魔導書に不信感を覚えたが、どうすることもできない。
今はただ、忘れたのであれば忘れておくべきかと思いつつも、心の底では魔導書に不信感を抱くのであった‥‥‥‥
だが、ものすごく久し振りの感覚を味わい、目を開くとそこは暗い空間…‥‥ではなかった。
「あれ?」
少し前までは暗闇であり、明かりだったのは…‥‥目の前に浮かぶ黄金の魔導書のみであったはず。
しかし、今はどういうわけかこの空間は暗くはなく、どこか別の世界‥‥‥いや、むしろ最も懐かしいように感じた場所になっていた。
「ここは‥‥‥まさか」
―――――ドコカ察シタヨウダナ、主ヨ。
ルースの驚きの言葉に、ニヤリと笑うような声を出す魔導書。
いつもならば、ここはこの魔導書との会話できる空間であったはずが……驚くべきことに、ルースの前世であった者の私室の空間になっていたのである。
―――――イツモイツモ同ジデハ面白ミガ無イ。ユエニ、主ノ記憶ノ一部ヲ再現シタ。
「前世の俺の私室の再現ってか…‥‥でも一ついいか?」
―――――ナンダ?
「いや、言うのもなんだが…‥‥俺、前世の事をほとんど覚えていないから、ここが見覚えがあったとしても今一つという感想しか出ないぞ」
―――――…‥‥。
ルースのその感想に、魔導書はしばし呆れたようにぽかんとするそぶりを見せた。
とにもかくにも、かなり久し振りの魔導書との会話の時間である。
前回は背後に気を付けろという忠告の時であったが…‥‥今回は何であろうか。
「と言うか、わざわざこんな前世の再現をしたということは、そんな『つまらない場所だったから』という理由だけじゃないよね?ここまでわざわざ手の込んだことをするからには、何か裏があるようにしか思えないのだが」
―――――アア、ソノ通リダ。
ルースの投げかけた疑問の言葉に、魔導書は否定もせずに答えた。
―――――コノ空間ヲ見テ、主ノ今ノ感想カラ察スルニ、前世ヲホボ覚エテイナイナ?
「まぁ、そう言われればそうだけどな」
ただ単に、自分には前の人生の記憶がある。
けれどもそれはあくまで前の人生ということであり、今の自分の人生ではない。
そう考えてしまう故か、そこまで前世の自分に執着がなく、月日が流れていくうちに次第にその中身をルースは忘れていた。
よく小説やアニメであるように現代知識でチートなどを考える輩が聞けばかなりもったいないことをしていると言われるだろうが…‥‥そんなことを言われたとしても、ルースはそう知識を使うことはない。
と言うか、魔法が存在しているこの世界ではそんなに意味もなく、不便ではないからと言うのも理由にある。
とにもかくにも、精々ルースの覚えている前世と言えば、前世の死因が空から降って来た謎の光によるもの程度しかないのであった。
「‥‥‥待てよ?」
そこでふと、ルースはある違和感を覚えた。
この間のフェイカー製の怪物などを見たときには感じていなかったが、よくよく考えてみれば色々とおかしいことに気が付いたのである。
グッグゴコーチ……あの怪物はコオロギやカマキリ、台所にいるイメージのあるGなどの虫のキメラのような外見をしていた。
あれが単なる偶然によって生まれたのであればいいのだが、その外見がどうも意図的な‥‥‥それこそ、考えうる限りの気持ち悪い生き物を詰め込み、いかに気持ち悪さを際立たせるかのような外見だったのだ。
気持ち悪いものが偶然生まれることがあったとしても、一目で何と何が混ざっているような生物を作れるものであろうか?
それにそもそも、これまでフェイカ―と関わって来たが‥‥‥生物兵器とかをよく見かけたが、これはこれでおかしいのだ。
この世界には魔法があるからそのようなものを作り上げる技術があるかもしれないが、それにこだわっているようにも感じさせる。
ルースの思考する様子に、魔導書は何を考えているのかわかったようだ。
―――――主、何ヲ考エテイルノカ、我ニハ分カル。大方、ソノ怪物ヲ作リ上ゲタ相手ガドノヨウナ者カ予想ガツイタノダロウ?
魔導書のその言葉に、ルースは頷いた。
「‥‥‥この予想が当たっていたとすれば、色々と辻妻が遭うというか……それにその可能性が否定できないということもないし…‥‥でも、いくらなんでもそんなことがあるのか?」
ルースはそうつぶやいたが、否定されないところを見ると真実のようであった。
―――――主ノ予想通リ、現在フェイカーデ生物兵器ヲ作ッテイルノハ、主ト同ジ「前世ノ記憶保持者」デアル。
魔導書の告げた言葉に、ルースは己の予想が当たっていることを理解してしまった。
考えてみれば、この世界で今まで兵器として扱われてきたのはマジックアイテムや魔法、普通に剣や槍と言ったものであり、「生物兵器」なんてものを考えたのはフェイカーぐらいしか思いつかない。
タキやヴィーラといった国滅ぼしのモンスターがいるからと言って、生物兵器とは言わずに普通にモンスターと言っているのだ。
だが、フェイカ―が扱うのは「生物兵器」‥‥‥それこそ、ルースのように前世の知識があるような者がSFなどでその言葉を知った者が扱うような物ばかり。
グッグゴコーチの外見も、作り上げた人物がきもち悪さを追求し、虫嫌いであれば嫌なものを詰め込んだのであろう。
その他にも色々とあるかもしれないが…‥‥とにもかくにも、確信は持てた。
ただ、一つ気になる点があった。
「魔導書、なんでお前がそんなことを確信を持って言えるんだ?フェイカー側でもあるまいし、そんな内部の情報を言えるなんて、いや、そもそも前から俺についての忠告とかをしてくれるが、そんな未来の事を分かっているように告げてくるなんて、おかしくないか?」
――――――‥‥‥。
ルースのその問いかけに、しばし魔導書は黙り込む。
何も言えないのか、それとも言えないようになっているのか…‥‥それは分からない。
だが、一つ言えるとすれば、この魔導書は怪しいということである。
…‥‥いや、そもそも喋る魔導書と言う時点で色々とおかしいけれどね。
とにもかくにも、黙っていた魔導書はしばし考える様なそぶりを見せた後、言葉を発した。
―――――ソノ質問、今答エルノハ不可能。‥‥‥ダガ、一部ダケ話ソウ。
全てを答えることはしないが、それでも話せる範囲であれば可能らしい。
それだけでもいいので、魔導書の言葉にルースは耳を傾けた。
…‥‥そして、ある事を知った。
「‥‥‥え?」
その事実を聞き、ルースは唖然とした。
前々から怪しいとは思っていたのだが…‥‥時期やタイミングを考えても、おかしくはない。
けれども、どうしてもそうだと受け入れるには頭が混乱し、まとまらない。
「いやちょっと待って、え、本当に…‥‥そうな、」
もう一度問いかけようとしたが…‥‥もう、時間切れだった。
いや、むしろ話している間にその可能な範囲を超えてしまったのかもしれない。
魔導書がいきなり輝き、目を防いで光をしのいだところで…‥‥ルースの意識は途切れた。
そして翌日、ルースは今回あったその離された内容の事だけは覚えていなかった。
何かを言われたのは確か。
けれども、まるで消されたかのように、すっぽりとその部分だけ記憶が無くなっていたのである。
……魔導書に不信感を覚えたが、どうすることもできない。
今はただ、忘れたのであれば忘れておくべきかと思いつつも、心の底では魔導書に不信感を抱くのであった‥‥‥‥
0
お気に入りに追加
1,196
あなたにおすすめの小説
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
【完結】数十分後に婚約破棄&冤罪を食らうっぽいので、野次馬と手を組んでみた
月白ヤトヒコ
ファンタジー
「レシウス伯爵令嬢ディアンヌ! 今ここで、貴様との婚約を破棄するっ!?」
高らかに宣言する声が、辺りに響き渡った。
この婚約破棄は数十分前に知ったこと。
きっと、『衆人環視の前で婚約破棄する俺、かっこいい!』とでも思っているんでしょうね。キモっ!
「婚約破棄、了承致しました。つきましては、理由をお伺いしても?」
だからわたくしは、すぐそこで知り合った野次馬と手を組むことにした。
「ふっ、知れたこと! 貴様は、わたしの愛するこの可憐な」
「よっ、まさかの自分からの不貞の告白!」
「憎いねこの色男!」
ドヤ顔して、なんぞ花畑なことを言い掛けた言葉が、飛んで来た核心的な野次に遮られる。
「婚約者を蔑ろにして育てた不誠実な真実の愛!」
「女泣かせたぁこのことだね!」
「そして、婚約者がいる男に擦り寄るか弱い女!」
「か弱いだぁ? 図太ぇ神経した厚顔女の間違いじゃぁねぇのかい!」
さあ、存分に野次ってもらうから覚悟して頂きますわ。
設定はふわっと。
『腐ったお姉様。伏してお願い奉りやがるから、是非とも助けろくださいっ!?』と、ちょっと繋りあり。『腐ったお姉様~』を読んでなくても大丈夫です。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
全てを奪われ追放されたけど、実は地獄のようだった家から逃げられてほっとしている。もう絶対に戻らないからよろしく!
蒼衣翼
ファンタジー
俺は誰もが羨む地位を持ち、美男美女揃いの家族に囲まれて生活をしている。
家や家族目当てに近づく奴や、妬んで陰口を叩く奴は数しれず、友人という名のハイエナ共に付きまとわれる生活だ。
何よりも、外からは最高に見える家庭環境も、俺からすれば地獄のようなもの。
やるべきこと、やってはならないことを細かく決められ、家族のなかで一人平凡顔の俺は、みんなから疎ましがられていた。
そんなある日、家にやって来た一人の少年が、鮮やかな手並みで俺の地位を奪い、とうとう俺を家から放逐させてしまう。
やった! 準備をしつつも諦めていた自由な人生が始まる!
俺はもう戻らないから、後は頼んだぞ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる