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2年目の夏の章
127話
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夏休みの観光旅行として、ルースたちがモーガス帝国に訪れて1週間が経過した。
「で、今日は帝国の南東にある軍港か」
「ええ、帝国内の観光スポットとしては外せないところらしいわね」
「その通りだと思うな。あそこは普段海軍のために船が置いてあるが、その真横の方に、観光客勧誘のためのビーチがあるんだ。砂浜も綺麗だし、その他にもいろいろあって面白いぞ」
帝国の南東にあるというバルスレイド軍港。
そこは、帝国の海軍のための港でもあるらしいのだが、そこから少し離れた位置に観光客の勧誘のためのビーチが設置されているという。
なんでも、軍事的に活動するだけでは不満などが貯まって荒れてしまうことがあるので、その不満解消のために、わざわざ工事を行ってビーチを設置したそうである。
そしたら気合いを入れ過ぎたらしく、綺麗な観光スポットになると思ったために、帝国がそのビーチを観光スポットに設定したところ、これが思いのほか他国に大うけ。
その為に、帝国に来たら訪れたい観光スポットトップ10に選ばれもした。
…‥‥と言うわけで、そんな場所を逃すはずもなく、ルースたちは楽しむために向かっていた。
「しかし、こういう所に限って人が多そうだよなぁ‥‥」
「ああ、それは大丈夫なはずだ」
ルースの疑問に対して、レリアは答えた。
「こういう時ばかりは、私の王女としての権限で貸し切り状態にさせてもらったのだ!」
「‥‥‥そういえば、レリアってこの帝国の王女だったね」
「帝国の王城に泊まって今更!?」
さすがにこれはルースの冗談である。
本来であれば、帝国での観光は宿に泊まってと考えていたのだが、そこでレリアが客人として招待してくれることとなり、王城での寝泊まりが可能になったのだ。
・・・・・とはいえ、王城での寝泊まりで問題がなかったわけではない。
「流石に、こんなところまでくれば何もないよな?」
「ルース君、疑心暗鬼になっているわね‥‥」
「いやまぁ、他人事じゃないから笑い飛ばせないな‥」
ルースの言葉に、皆は苦笑いを浮かべた。
王城内にて、ここ数日、明らかに人為的な事が行われていた。
主に、ルースの身辺で。
ルーレア皇妃の手によって風呂場の仕切りが破壊されたので、その修復まで男女交代制だったはずなのに、ルースが入浴するタイミングに限って、なぜか女湯に切り替えられ、脱衣所や浴場内でエルゼやレリアに出くわしたり、
朝食が用意されているから、部屋に呼びに行ったほうが良いと言われて向かったら、なぜか扉が開いていて、着替えのところに入ってしまったり、
城内の見学で、適当に歩いていたらなぜかレリアたちとぶつかったり、
別の格好スポットへ行く際に、どういうわけか水をかぶって皆でびしょぬれになって、衣服が透けてドキッとさせられたり、
訓練場で、ちょっと体がなまって夏休み明けの学園長の訓練でやらかさないように動かしていたら、どこからかナイフが飛んできてレリアの服を切り裂いたり、
挙句の果てには、城の仕掛けのせいか落とし穴に落ちて、そのままどういうわけかレリアたちのところへダイブしたり…‥‥
「…‥‥どういうわけか、本当についていないというか、いや世間一般の男子から見ればついているのかもしれないけどなぁ‥‥」
思い出しただけで、ルースは遠い目をした。
どれもこれも偶然のように思えるが、ナイフとか城の仕掛けの時点で人為的なものがあるのが目に見えている。
「なんであんなに多くやられたのでしょうね?しかも、タイミング的にレリアとの方が多いですわね?」
「予想できるとしたら……母上かなぁ?」
エルゼのつぶやきに、レリアはそう答える。
どうもそのどれもが、レリアの母親であるルーレア皇妃の仕業が予想されるのだ。
その為に一旦城から離れてみて、その出方を伺うというのも今回のビーチ行きの目的でもあった。
(とりあえず、母上のやることに関して家族内では強く言えないしなぁ‥‥)
(ご家庭が苦労されているようね。まぁ、でもあたしの方にも配慮しているみたいなところがあるからこそ、こちらも強く言えないのが事実よね)
ルースに聞かれないように、エルゼとレリアはひそひそと話し合った。
個人的には、二人ともルーレア皇妃の手によってルースと色々遭遇する場面が増えるのはうれしい。
ルースをレリアとくっつける目的が見えるが、ルースを想うエルゼにも配慮しているので文句はさほどない。
だがしかし、故意によってやられることは二人にとって望むところではないのだ。
できれば自然に、ルースの方から求めてほしいと思うのだ。
(というか、いささかその手が古いように思われるのよね)
(何かしらの参考文献を読んでいるのかもしれないけど‥‥‥母上は古典的なものが好きだからなぁ)
あと、少々気になる点が一つ。
(……そういえば、バトは?)
(ルースのポケットの中で寝ているようだけど‥‥‥最近寝ることは増えているなぁ)
ふと思って、エルゼ達が目を向けたのはルースのポケットの中で寝ているバトである。
彼女に関してはルーレア皇妃の魔の手とも言うべきことから逃れているようだが、その代わりにやけに寝ることが多くなったように感じられるのだ。
とはいえ、その疑問はわからないし……そこまで問題となっているわけでもない。
ルースに好意を抱いているのは分かるが、寝ていてくれている分リードできるのはいいことなのである。
その為、その事に関しては特に触れる必要はないとエルゼたちは判断した。
…‥‥しかし、その時皆知らなかった。
なぜ、バトがよく眠るようになったのか。
彼女自身、良く分かっていないのかもしれないが、本能的にやっているのだ。
それがどの様なことになるのか、後々判明するのであった‥‥‥
「で、今日は帝国の南東にある軍港か」
「ええ、帝国内の観光スポットとしては外せないところらしいわね」
「その通りだと思うな。あそこは普段海軍のために船が置いてあるが、その真横の方に、観光客勧誘のためのビーチがあるんだ。砂浜も綺麗だし、その他にもいろいろあって面白いぞ」
帝国の南東にあるというバルスレイド軍港。
そこは、帝国の海軍のための港でもあるらしいのだが、そこから少し離れた位置に観光客の勧誘のためのビーチが設置されているという。
なんでも、軍事的に活動するだけでは不満などが貯まって荒れてしまうことがあるので、その不満解消のために、わざわざ工事を行ってビーチを設置したそうである。
そしたら気合いを入れ過ぎたらしく、綺麗な観光スポットになると思ったために、帝国がそのビーチを観光スポットに設定したところ、これが思いのほか他国に大うけ。
その為に、帝国に来たら訪れたい観光スポットトップ10に選ばれもした。
…‥‥と言うわけで、そんな場所を逃すはずもなく、ルースたちは楽しむために向かっていた。
「しかし、こういう所に限って人が多そうだよなぁ‥‥」
「ああ、それは大丈夫なはずだ」
ルースの疑問に対して、レリアは答えた。
「こういう時ばかりは、私の王女としての権限で貸し切り状態にさせてもらったのだ!」
「‥‥‥そういえば、レリアってこの帝国の王女だったね」
「帝国の王城に泊まって今更!?」
さすがにこれはルースの冗談である。
本来であれば、帝国での観光は宿に泊まってと考えていたのだが、そこでレリアが客人として招待してくれることとなり、王城での寝泊まりが可能になったのだ。
・・・・・とはいえ、王城での寝泊まりで問題がなかったわけではない。
「流石に、こんなところまでくれば何もないよな?」
「ルース君、疑心暗鬼になっているわね‥‥」
「いやまぁ、他人事じゃないから笑い飛ばせないな‥」
ルースの言葉に、皆は苦笑いを浮かべた。
王城内にて、ここ数日、明らかに人為的な事が行われていた。
主に、ルースの身辺で。
ルーレア皇妃の手によって風呂場の仕切りが破壊されたので、その修復まで男女交代制だったはずなのに、ルースが入浴するタイミングに限って、なぜか女湯に切り替えられ、脱衣所や浴場内でエルゼやレリアに出くわしたり、
朝食が用意されているから、部屋に呼びに行ったほうが良いと言われて向かったら、なぜか扉が開いていて、着替えのところに入ってしまったり、
城内の見学で、適当に歩いていたらなぜかレリアたちとぶつかったり、
別の格好スポットへ行く際に、どういうわけか水をかぶって皆でびしょぬれになって、衣服が透けてドキッとさせられたり、
訓練場で、ちょっと体がなまって夏休み明けの学園長の訓練でやらかさないように動かしていたら、どこからかナイフが飛んできてレリアの服を切り裂いたり、
挙句の果てには、城の仕掛けのせいか落とし穴に落ちて、そのままどういうわけかレリアたちのところへダイブしたり…‥‥
「…‥‥どういうわけか、本当についていないというか、いや世間一般の男子から見ればついているのかもしれないけどなぁ‥‥」
思い出しただけで、ルースは遠い目をした。
どれもこれも偶然のように思えるが、ナイフとか城の仕掛けの時点で人為的なものがあるのが目に見えている。
「なんであんなに多くやられたのでしょうね?しかも、タイミング的にレリアとの方が多いですわね?」
「予想できるとしたら……母上かなぁ?」
エルゼのつぶやきに、レリアはそう答える。
どうもそのどれもが、レリアの母親であるルーレア皇妃の仕業が予想されるのだ。
その為に一旦城から離れてみて、その出方を伺うというのも今回のビーチ行きの目的でもあった。
(とりあえず、母上のやることに関して家族内では強く言えないしなぁ‥‥)
(ご家庭が苦労されているようね。まぁ、でもあたしの方にも配慮しているみたいなところがあるからこそ、こちらも強く言えないのが事実よね)
ルースに聞かれないように、エルゼとレリアはひそひそと話し合った。
個人的には、二人ともルーレア皇妃の手によってルースと色々遭遇する場面が増えるのはうれしい。
ルースをレリアとくっつける目的が見えるが、ルースを想うエルゼにも配慮しているので文句はさほどない。
だがしかし、故意によってやられることは二人にとって望むところではないのだ。
できれば自然に、ルースの方から求めてほしいと思うのだ。
(というか、いささかその手が古いように思われるのよね)
(何かしらの参考文献を読んでいるのかもしれないけど‥‥‥母上は古典的なものが好きだからなぁ)
あと、少々気になる点が一つ。
(……そういえば、バトは?)
(ルースのポケットの中で寝ているようだけど‥‥‥最近寝ることは増えているなぁ)
ふと思って、エルゼ達が目を向けたのはルースのポケットの中で寝ているバトである。
彼女に関してはルーレア皇妃の魔の手とも言うべきことから逃れているようだが、その代わりにやけに寝ることが多くなったように感じられるのだ。
とはいえ、その疑問はわからないし……そこまで問題となっているわけでもない。
ルースに好意を抱いているのは分かるが、寝ていてくれている分リードできるのはいいことなのである。
その為、その事に関しては特に触れる必要はないとエルゼたちは判断した。
…‥‥しかし、その時皆知らなかった。
なぜ、バトがよく眠るようになったのか。
彼女自身、良く分かっていないのかもしれないが、本能的にやっているのだ。
それがどの様なことになるのか、後々判明するのであった‥‥‥
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