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学園2年目

110話

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‥‥‥人が恐れるものとは何だろうか?

 災害、嫉妬、怨嗟、執念…‥‥様々なものが挙げられる中、ルースは目の前の光景を見て、最も恐ろしいのは「怒り」だと結論付けた。



「さてと、どうしてルース君を攫った挙句‥‥‥」
「先ほどの大爆発まで何があったのか‥‥‥」
「「ゆっくり聞かせてもらおうか?」」

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 背後に激怒した虎や般若、龍などが見えるかのような迫力を持ったエルゼとレリアに対して、責められて物凄い恐怖を感じているのか、涙目になりながらミルは悲鳴を上げた。



‥‥‥正直言って、見ている側にとってもかなりの恐怖である。あ、ミルが気絶したところを無理やり起こし始めた。




【‥‥‥うわぁ、あれは本気で怖いのじゃ】

 流石に見ていられなかったので、少しその場からタキやバト、ついでに一緒についてきていたらしいバルション学園長とともに避難していた。

 かつて国を滅ぼしたことのあるタキにとっても、エルゼたちの迫力には押されたようである。


――――――アレ、本当ニ人間?モウ化物ダヨ。

 ガタガタと震えながらバトがそうつぶやく。

「本当なーら、そーの手の人達に任せーて情報を吐かせーるのだーけれどーも…‥‥あれで十分そうーね」


 流石の学園長も、彼女達の迫力には参ったようであった。

 尋問はエルゼたちに任せるとして、いったん情報整理の時間である。



【ところで召喚主殿、その姿は一体どうしたのじゃ?】
『いやまぁ、色々あって‥‥‥それに、俺がいなくなった後どうなっていたんだ?』

 タキがルースの容姿の変化に質問しつつ、ルースもタキたちにここに至るまでの経緯を質問し、まずはその経緯から話し始めたのであった。








 さかのぼること数時間前、ルースがミルの手によって連れ去られた後、エルゼたちはまずは頼れそうな相手として、学園長の元へ駆けていった。

 学園長は詳しい話を聞き、すぐさま捜索の手配を出そうとしたが、どうも転移の道具か何かが使用されたらしく、すぐにどこにいるのかまでは分からない。

 そこで、追いかけるための手段として考えられたのがタキの協力である。



 タキはルースによって召喚されるモンスターであり、その両者の間には召喚時に何かしらのつながりが出来ており、その為にルースはタキを召喚できているようなので、その逆が出来ないかと考えられたのである。


 ちょうどエルモアの家にて、バトと一緒に精霊についての話を聞いていたところで、突然窓から飛び込み、揺さぶって尋ねてきたエルゼたちに、当初は面食らったそうである。

‥‥‥ついでに揺さぶられる時に、ふとタキの胸元を見てエルゼがさらに激しく揺さぶって、2,3度ほど嘔吐するほど気分を悪くしたらしい。

 だがしかし、何とか落ち着いて事情を聞き、ルースの危機を理解したのである。

 その場にいたバトもその話を聞き、いてもたってもいられずに捜索に乗り出したのはいいが‥‥‥


【召喚される側である我の場合、召喚主殿の居場所の方角はなんとなくで分かるのじゃが‥‥‥その詳細な位置情報までは分からなかったのじゃ】



 それでも何とか方角さえわかれば突き進めばいいので、大きな狐の姿へなり、エルゼたちを背に乗せて全速力で駆け抜けてきたそうだ。


「まーさかこことは思わなーかったけどね。ここってもーう国境境なのーよ」

 どうやら相当な距離があったようで、国境ギリギリの位置だったようである。


【まぁ、それで後は細かい場所を探そうとしていたら、物凄い大爆発が見えて…‥‥その位置へ行ってみて、ようやく召喚主殿に会えたというわけじゃ】

 苦労しつつも、ようやく見つけ出せたルースを見て、タキは安堵の息を吐いた。

―――――デモ、主様ノ気配ガ違ウヨ?
【それもそうじゃな。なんかこう、人間やめたのかのぅ?】
『やめたというか、なんというか…‥‥』


 容姿以外にも、気配や纏う雰囲気などからバトやタキはルースがいつもとは違う状態なのを勘z煮たらしい。

 しかも、ここに来るまでに一度何かが途切れたような気がしつつも、またつながったという感覚があったそうなのだ。

【なんかこう、召喚主殿が命を落として、生き返ったみたいな・・・・・】
『あー‥‥‥まぁ、大体合っているといえば合っているな』


 とりあえず、ルースはタキたちが来るまでに何がったのか、話をし始めた。









…‥‥洞窟内で、ミルによって心臓を潰されたところを聞き、ピクッとタキとバトの顔が険しいものになった。

【・・・・・なんじゃと?一度殺されたじゃと?】
―――――デ、復活シテソレ…‥‥ウン、チョットエルゼ達二加ワッテクルネ。
【ああ、そうじゃな。そうしたほうが良さそうじゃな】


『あ、ちょっと、おい』
「引き留めーるのは無理そーうね。‥‥‥元が生徒だっーたから止めさせたーいけど、殺人未遂なーのはちょっとね」

 エルゼたち同様の怒りのオーラを纏い、尋問中の場所へ向かうタキたちをルースは引き留めようとしたが、学園長が肩にポンッと手を置き、無駄だということを伝えた。


 数分後、ミルの絶叫が度を増したのは言うまでもない。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!本気で、今は、すまなかったと、思っているのでアルうぅぅぅぅぅぅ!!だから、持てる限りの情報をだすからどうかそれはやめてえぇぇぇぇぇぇ!!」
「ルース君を亡き者にしようとした時点で許せないのよ!!」
「フェイカー内の抗争もあったようだけど、流石に殺人未遂はだめだろ!!」
【召喚主殿に対してなにをやってんのじゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!】
―――――有罪!!主様ガ生キテイルカラマダ良イケド、トリアエズ処刑!!
「だからそれは本気で、え?ちょっとそれはやめやめやめやめまだ生ああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」




『‥‥‥い、一体何が起きているんだ』
「少なーくとも、想像しーないほーうが幸せーな事ね。まぁ、それはとーもかくとして、その体、確かにおかーしいというか人間の状態でーはないわ。一度、診てもらった方がいいわーね」

 とにもかくにも、何とか戻るためには彼女たちが尋問を終えるまで待つ必要性があるのだが、まだまだ時間がかかりそうである…‥‥


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