300 / 339
学園最後の夏休みで章
268話
しおりを挟む
……精霊たちが密かに暮らしたり、休んでいたりする精霊の隠れ里。
そこで今、ルースは過ごしていた。
自身の体にある力のバランスが崩れたので、その修正のために精霊王に言われ、この場所で過ごしているのだが、中々居心地が良い。
精霊化状態も、ここではずっと維持が可能なようで、少しばかり自分が人間であったと忘れそうにもなった。
……いや、忘れてはいけないことである。しかし、残念ながら精霊王いわく少々やめている状態でもあるので間違いでもなかった。
とは言え、悩んでいても仕方がない。
寿命が少々伸びた程度とも言えるので、むしろより長い人生を過ごせるようになったことを喜べばいいだろう。
とにもかくにも、適当にフワフワ漂うだけでも、この場所は中々過ごすのに適していた。
できればエルゼ達も呼びたいが…‥‥精霊の隠れ里と言うだけあって、精霊だけしかいる事ができないようである。。
試しに精霊状態を解除すれば、綺麗にその場から砲丸投げのような軌道を描いて追い出されたのだ。
『……あ、でも子供が出来た場合、そっちは可能なのかな?』
そこでふと、ルースはそう思いついた。
もしも遠い未来、子どもたちができれば、その子供たちも精霊状態になって訪れる事が出来るのではなかろうか。
『って、今から何を考えているんだよ俺は!!』
想像したら、一気に恥ずかしくなったルース。
なぜならば、子どもができればという事はエルゼ達とそういうことをするわけで有り、一応公爵にもなるのであれば跡継ぎとかも必要なのは理解できるが…‥‥それでもまだ気が早すぎる。
流石に色々と煩悩のように思え、一旦想像すると意識してしまうので、ルースはその考えを振り払おうと、飛行速度を上げて隠れ里の内部を飛び回っていた…‥‥その時である。
バチィッ!!
『ん?』
ふと、何処かで何かが破れたような、電気がショートしたかのような音が聞こえ、ルースは宙にとどまる。
キョロキョロとあたりを見てみれば、隠れ里の奥の方に、何か火花が飛び散っているのが目に見て取れた。
『なんだろうか?』
いやな予感は特にしないが、それでも微妙な勘が働くので、ルースはその場所へ向かってみた。
バチバチバチィッツ!!
「すごい火花が散っているというか、何かが破ろうとしているのか?」
現場に到着した時には、物凄く火花が飛び散っていた。
何かの封印が解けるのかと思いたいが、物騒な話しを精霊王からは聞いていないので、そのような事はないはず。
なにかしらの物体が無理やり隠れ里に入り込もうとしているような感じもするが…‥‥何しろここは精霊だけの場所。
ゆえに、精霊以外が入り込もうとしても追い出されるのが関の山だ。
そのまま放置しているうちに、火花が大きくなる。
バチバチ!!バチバチィイイイイイイイッツ!!
バッチィィィィィィン!!
「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
と、次の瞬間大きく火花がはじけ飛び、何かが出現した。
それと同時にこの隠れ里の機能、精霊以外を排除する機能が働いたのか、悲鳴を上げながらその何かが飛び出したが…‥‥
『あれ?』
ふと、その悲鳴にルースは聞き覚えがあった。
放物線を描き、里から追い出されるように吹っ飛んでいくその姿。
そう、それは…‥‥
『す、スアーン!?』
夏休みの間、何処かへ鍛え直すとか言っていたそうで、行方知れずだったスアーンである。
そのまま飛んでいく彼の後を、ルースは急いで追いかけるのであった‥‥‥‥
そこで今、ルースは過ごしていた。
自身の体にある力のバランスが崩れたので、その修正のために精霊王に言われ、この場所で過ごしているのだが、中々居心地が良い。
精霊化状態も、ここではずっと維持が可能なようで、少しばかり自分が人間であったと忘れそうにもなった。
……いや、忘れてはいけないことである。しかし、残念ながら精霊王いわく少々やめている状態でもあるので間違いでもなかった。
とは言え、悩んでいても仕方がない。
寿命が少々伸びた程度とも言えるので、むしろより長い人生を過ごせるようになったことを喜べばいいだろう。
とにもかくにも、適当にフワフワ漂うだけでも、この場所は中々過ごすのに適していた。
できればエルゼ達も呼びたいが…‥‥精霊の隠れ里と言うだけあって、精霊だけしかいる事ができないようである。。
試しに精霊状態を解除すれば、綺麗にその場から砲丸投げのような軌道を描いて追い出されたのだ。
『……あ、でも子供が出来た場合、そっちは可能なのかな?』
そこでふと、ルースはそう思いついた。
もしも遠い未来、子どもたちができれば、その子供たちも精霊状態になって訪れる事が出来るのではなかろうか。
『って、今から何を考えているんだよ俺は!!』
想像したら、一気に恥ずかしくなったルース。
なぜならば、子どもができればという事はエルゼ達とそういうことをするわけで有り、一応公爵にもなるのであれば跡継ぎとかも必要なのは理解できるが…‥‥それでもまだ気が早すぎる。
流石に色々と煩悩のように思え、一旦想像すると意識してしまうので、ルースはその考えを振り払おうと、飛行速度を上げて隠れ里の内部を飛び回っていた…‥‥その時である。
バチィッ!!
『ん?』
ふと、何処かで何かが破れたような、電気がショートしたかのような音が聞こえ、ルースは宙にとどまる。
キョロキョロとあたりを見てみれば、隠れ里の奥の方に、何か火花が飛び散っているのが目に見て取れた。
『なんだろうか?』
いやな予感は特にしないが、それでも微妙な勘が働くので、ルースはその場所へ向かってみた。
バチバチバチィッツ!!
「すごい火花が散っているというか、何かが破ろうとしているのか?」
現場に到着した時には、物凄く火花が飛び散っていた。
何かの封印が解けるのかと思いたいが、物騒な話しを精霊王からは聞いていないので、そのような事はないはず。
なにかしらの物体が無理やり隠れ里に入り込もうとしているような感じもするが…‥‥何しろここは精霊だけの場所。
ゆえに、精霊以外が入り込もうとしても追い出されるのが関の山だ。
そのまま放置しているうちに、火花が大きくなる。
バチバチ!!バチバチィイイイイイイイッツ!!
バッチィィィィィィン!!
「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
と、次の瞬間大きく火花がはじけ飛び、何かが出現した。
それと同時にこの隠れ里の機能、精霊以外を排除する機能が働いたのか、悲鳴を上げながらその何かが飛び出したが…‥‥
『あれ?』
ふと、その悲鳴にルースは聞き覚えがあった。
放物線を描き、里から追い出されるように吹っ飛んでいくその姿。
そう、それは…‥‥
『す、スアーン!?』
夏休みの間、何処かへ鍛え直すとか言っていたそうで、行方知れずだったスアーンである。
そのまま飛んでいく彼の後を、ルースは急いで追いかけるのであった‥‥‥‥
0
お気に入りに追加
1,196
あなたにおすすめの小説
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
【完結】数十分後に婚約破棄&冤罪を食らうっぽいので、野次馬と手を組んでみた
月白ヤトヒコ
ファンタジー
「レシウス伯爵令嬢ディアンヌ! 今ここで、貴様との婚約を破棄するっ!?」
高らかに宣言する声が、辺りに響き渡った。
この婚約破棄は数十分前に知ったこと。
きっと、『衆人環視の前で婚約破棄する俺、かっこいい!』とでも思っているんでしょうね。キモっ!
「婚約破棄、了承致しました。つきましては、理由をお伺いしても?」
だからわたくしは、すぐそこで知り合った野次馬と手を組むことにした。
「ふっ、知れたこと! 貴様は、わたしの愛するこの可憐な」
「よっ、まさかの自分からの不貞の告白!」
「憎いねこの色男!」
ドヤ顔して、なんぞ花畑なことを言い掛けた言葉が、飛んで来た核心的な野次に遮られる。
「婚約者を蔑ろにして育てた不誠実な真実の愛!」
「女泣かせたぁこのことだね!」
「そして、婚約者がいる男に擦り寄るか弱い女!」
「か弱いだぁ? 図太ぇ神経した厚顔女の間違いじゃぁねぇのかい!」
さあ、存分に野次ってもらうから覚悟して頂きますわ。
設定はふわっと。
『腐ったお姉様。伏してお願い奉りやがるから、是非とも助けろくださいっ!?』と、ちょっと繋りあり。『腐ったお姉様~』を読んでなくても大丈夫です。
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
真実の愛に婚約破棄を叫ぶ王太子より更に凄い事を言い出した真実の愛の相手
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式が終わると突然王太子が婚約破棄を叫んだ。
反論する婚約者の侯爵令嬢。
そんな侯爵令嬢から王太子を守ろうと、自分が悪いと言い出す王太子の真実の愛のお相手の男爵令嬢は、さらにとんでもない事を口にする。
そこへ………
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる