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学園最後の夏休みで章

263話

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‥‥‥ミストラル公爵家が持つ、グレイモ王国の王都にある邸にて、彼女達は集まっていた。

「へぇ、謀反を起こそうとする輩がいるのね」
「間違いないの。この目や耳、ついでに小型記録マジックアイテムなどでばっちり証拠は押さえてあるの」
「こーっちでもそれなりの権限を使って調べてみーたけれども、大体同じ情報ね」

 エルゼ、ルルリアとアルミア、バルション学園長の4人はその一室で集まり、とある話をしていたのである。

 その話しとは、ルルリアたちが手に入れた、とある馬鹿暴走貴族共のクーデターを起こそうとしていることであった。

 本当はミュルもここへ来ようとしていたが、彼女は何やら自身の武器である金棒の新調のための様々な予定と重なってくることはできなかったが、それでもこのメンバーだけでも十分であった。

「理由が、ルース君が爵位を得て、その土地を自分のものにしたかったが、できなかったが故の思い切った行動‥‥‥‥いや、これただの馬鹿集団じゃないかしら?」
「ある国の支援を受けて、実行に移そうとしているようですが、その過程でもグダグダしたところがあるようで、その感想は間違ってないともいえますわね」

 この謀反やクーデターなどと言える行い、どうもただの馬鹿集団が寄せ集めて行うのではなく、ある国の支援を受けて行うらしいところも、きちんと情報を得ていた。

「支援国は‥‥‥ルンブル王国?あれ?この国って確か…‥‥」
「今はこの国の属国となーっている国だったわーね」

 その見覚えのある国の名前に、エルゼは首を傾げ、バルションは回答した。



‥‥‥ルンブル王国とは、かつてこのグレイモ王国に宣戦布告してきた国であった。

 第2王子を含む開戦派と呼ばれる者たちが暴走し、反魔導書グリモワール組織フェイカーの手も借りて、戦争を仕掛け、領地の略奪などを企んでいたのである。

 だがしかし、世の中そううまくいくことなく、戦場に投入していた秘密兵器が脱走し、ルースの手によって討伐され、そこから勢いに流されて、見事に敗戦した国でもあった。

 
 戦後処理として、第2王子含む開戦派の者たちを処罰したが、色々と事情があったので国を潰さずに、属国扱いにして、色々と便宜を図り、現在もなんとか保っているはずの国であったが…‥‥


「‥‥‥甘かーったというべきかしらね。これ、第2王子含む開戦派とーやらの生き残りがいたようね」

 全部処刑され、終わっていたかと思いきや、どうやら生き残りがいたらしい。

 処刑の際に必死に懇願し、同情を買ってどうにか流刑地行きとなったり、爵位の格下げなどになんとか抑え込んだ者たちがいたらしく、それらが再び活動し始めたようである。

 とは言え、今回はフェイカーがいない。

 もうルースが潰したのもあり、彼らが頼れるのは自分たちだけなのであろう。

 それでも再び日の目を見ようと悪事を画策し、どうやらグレイモ王国内のクーデターを起こそうとしている輩共と接触し、援助をすることに決定したようである。

「相当貧しいはずなのに、どうやったのかしら?」
「限界ギリギリまでの蓄えを放出し、クーデター成功後に見返りを得て、そこからさらに復権という筋書きだったと思われるの」

 捕らぬ狸の皮算用のような企みではあるが、貧しい蓄えだったとしても、全部集めればそれなりのものになる。

 いわば、彼らは自分たちが再び返り咲くために大規模な投資を行い、都合の良いように考えてグレイモ王国にも牙をむいたと推測された。


「‥‥‥反逆罪で処刑されたはずの第2王子なども確認されているようだし、相当あの国は参っていたはずなのに、身内に厳しくなり切れなかったのかしらね?」
「これ、下手すーるとグレイモ王国側からしてみても、ルンブル王国を完全に解体することができーてしまうよ」

 戦後に国民の状態を考え、条件を多々出して、援助もしたのだが…‥‥この件がはっきりとしているのであれば、完全に条約など様々な事に違反している。

 完全に公に出れば、もはや国としての立場すら危うくなることが容易に予想できた。



…‥‥とは言え、ルンブル王国そのものは冬が非常に厳しく、貧しい国でもあるので、属国から直接統治しようとしても、うまみはない。

 むしろ、使い道があるのかどうかすら怪しいというか、それとも開発の余地がありそうなのに改善できていないというべきか…‥‥


 なかなか厄介なその問題に対して、エルゼ達は頭を使う。

 いい解決策がないか、こう馬鹿と国をまとめてべしんとお仕置きできるようなことがないかと考えに考えたが、答えは出なかった。

 こんな国際的にも難しくなりそうな問題は、現在いるこのメンバーだけでは判断しづらい。

 かと言って、国王陛下にすぐに報告し様にも、クーデターがすぐにでも起こされたら意味がない。


 ならばどうするか。

「‥‥‥やっぱり、表立って動かないほうが良さそうようね」
「ええ、隠れーてやっていくべーきね」


 表立ってできないのであれば、自分たちがやってしまうのが良い。

 か弱い(?)女性たちでどこまでやれるのかは分からないが‥‥‥‥それでもこの平和を乱されたくなかったのだ。

(特に、ルース君に対して色々と恨みつらみを言っていそうな、努力を放棄し、他人を貶めるだけしかない無能な馬鹿たちは全て葬りさってあげたいわね…‥‥)
(私が敵の戦力を統べて薙ぎ払えばいいかーもしれなーいけれど、そーれだと色々と面倒な輩もいーるのよね。なんにしても、また生徒やルースに害をなーそうとしているようだし、心から折ってあげなーいとね)
(今こそ、ルーレア皇妃様からの様々な武術、暗殺術の教えを活かす時なのかもしれませんわね。王女としての立場上、いらないかもと思ったりもしましたが、かなり役立ちますわ)
(転生しても、やっぱりどこにでもこういう輩はいるの。うん、潰す事決定なの)

 各自の想いは色々あるが、とりあえず全部の敵を殲滅するという事で一致したのであった。

「ところで、この事ルース君に話そうかしら?」
「うーむ、別に良いかもしーれないわ。最後の夏休み、彼には負担をかーけたくないもの」

 エルゼも一応生徒なのだが、バルション学園長的にはルースの方を重視するらしい。


 何にしてもこの瞬間、敵対している勢力は殲滅及び滅亡が決定したも同然であった…‥‥
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