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学園最後の夏休みで章
262話
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‥‥‥公爵家予定領地の巡回を終え、ルースたちはまた各自、夏休み明けまで自由に過ごすことにした。
中には帝国の方からルーレア皇妃による2泊3日の戦闘合宿の招待状もあったが、どう考えても死に至る未来しか見えなかったので、丁寧にお断りもした。
「そんでもって、久々に自宅部屋でごろごろするのもわるくないなー」
故郷であるバルスト村、そこへ帰還し、夏休みの間はここで過ごすことをルースは決めた。
エルゼも近くに家があったのだが、少々用事が出来たらしく、涙を滝のように流しながらもそちらを優先したようだ。
いわく、ミストラル公爵家としては、来年度辺りにルースと婚姻をエルゼは結ぶので、その前に他家へ嫁いだエルゼの姉たちと連絡を取り合い、念のためにある程度のつながりを確保するためなのだとか。
リディア、ルルリア、アルミアもそれぞれに多様な理由で帰省し、帝国の王女であるレリアは同じようなものかと思いきや、こちらはこちらで色々と面倒な対応を潰しまくっているのだとか。
‥‥‥対応に「おわれている」ではなく「潰している」という点が少々過激だが、間違ってもいないらしい。
何しろ他国にとっては、モーガス帝国とのつながりを強固にするためには、政略結婚が良いと思う人が多いようで、グレイモ王国の、新たな公爵になるルースへ嫁いで王国とのつながりを強化するのは理解できるが、それでもあきらめられないようなところがあるのだとか。
そう言えば、ルーレア皇妃の戦闘合宿の中に、その他国の一部が入っていたような気もするが‥‥‥気にしない方が良いだろう。
一方で、バルション学園長はグリモワール学園の学園長という立場上、今の時期からすでに夏休み明けの作業に備えて仕事をするそうだ。
ミュルも同じく、教師として勤めているので狩りだされているそうだ。
そして、妖精女王でもあるバトの場合は、妖精部隊の編制の修正や、改善案などを行うための会議もあるそうで、ちょっと人気のない場所で妖精たちを集め、色々と会議をしているようである。
「まぁ、たまには一人も良いかな」
いつもいつも、他の皆がいる中で日常を過ごしてきた。
でも、たまにはゆっくりと個人だけで過ごしたい時もあるのだ。
「…‥‥そう言えば、タキたちはまだかな?」
ふと、ルースは思い出す。
夏休み前に言われたが、どうやらこの夏の間タキたちは東方の地へ赴き何かするらしい。
ゆえに、帰還するまで召喚魔法で呼ばないでほしいとも言われたのだが‥‥‥気になるのだ。
まぁ、約束は守る方なので召喚魔法を使用していないが、それでもどことなく寂しいものはある。
ひとまずは、ゆっくりと滅多にない一人だけの時間を楽しみつつ、皆の事をルースは想うのであった‥‥‥
――――――――――――――――――――
…‥‥一方その頃、グレイモ王国の王城内にて、ルルリアとアルミアたちはある現場を目撃してしまった。
(…‥ここ数日、怪しい動作をする人を見かけると思ったら)
(案の定、まともにやらかす気満々なの)
ルーレア皇妃直伝の気配隠蔽術を使いつつ、こっそりと彼女達はその現場を観察する。
そこは王城のとある一室で、特に使用されることが無く、ほぼ物置と化している部屋であったが‥‥‥そこに、複数人の貴族たちの姿があった。
「ああ、今の所これで準備はできているような?」
「間違いないだろう。各所に城に雇われる侍女たちも分からぬような、爆薬を仕掛け終わった」
「あとは結構のタイミングを計るだけか…‥‥一応、こちらの兵力を集めていることはまだバレていないはずだよな?」
「間違いないだろう。こちらとしては、屋敷の修理のため、侍女増員などの費用としてごまかし、色々と準備は進めている」
「ついでにちょっとこちらでも他国との繋がりを得て、クーデタに手を貸してくれるようだ」
「おお、それはありがたいな。こういう事を決行するには人ではもっといるからな」
「ふふふふ、これで王を挿げ替え、そして殿下たちや姫様達も巻き添えにすれば」
「うまいこといけば、我々の天下のはずだ…‥‥」
「「「ぐゅうふふふふっふふう!!」」」
どことなく気持ちの悪い、隠しているような笑い声を聞き、ルルリアたちは思いっきりごみを見るような目でその者たちを見る。
(…‥‥何故、こういう輩はでてしまうのかしら?以前のフェイカーでずいぶんと風通しを良く出来たはずなのにねぇ)
(お姉さま、それは仕方がない事なの。馬鹿は1人見かけたら30人はいると考えた方が良いとも言われているの)
何にしても、これを放置することはできない。
彼らがやろうとしているのは国家転覆でもあり、下手すると国自体が混乱にさらされかねないのだ。
何にしてもより良い正確性を求めるために、彼女達は情報収集に乗り出す。
ルースに嫁ぐ際には王籍を抜いて姫ではなくなるが、それでもまだ現状姫のまま。
なのにその姫らしからぬ、隠密行動を彼女たちは自ら行い、時には人の手を借り、情報と証拠を収集し、言い逃れのできないような状況を着々と創り出していくのであった。
‥‥‥こういう時に使えるので、ルーレア皇妃から色々と学んでよかったとルルリアとアルミアたちは考えていたが、通常の姫がそうやすやすと実行できるわけではないという、ツッコミをする人がいなかったのだが、それはどうでもいい事であった。
中には帝国の方からルーレア皇妃による2泊3日の戦闘合宿の招待状もあったが、どう考えても死に至る未来しか見えなかったので、丁寧にお断りもした。
「そんでもって、久々に自宅部屋でごろごろするのもわるくないなー」
故郷であるバルスト村、そこへ帰還し、夏休みの間はここで過ごすことをルースは決めた。
エルゼも近くに家があったのだが、少々用事が出来たらしく、涙を滝のように流しながらもそちらを優先したようだ。
いわく、ミストラル公爵家としては、来年度辺りにルースと婚姻をエルゼは結ぶので、その前に他家へ嫁いだエルゼの姉たちと連絡を取り合い、念のためにある程度のつながりを確保するためなのだとか。
リディア、ルルリア、アルミアもそれぞれに多様な理由で帰省し、帝国の王女であるレリアは同じようなものかと思いきや、こちらはこちらで色々と面倒な対応を潰しまくっているのだとか。
‥‥‥対応に「おわれている」ではなく「潰している」という点が少々過激だが、間違ってもいないらしい。
何しろ他国にとっては、モーガス帝国とのつながりを強固にするためには、政略結婚が良いと思う人が多いようで、グレイモ王国の、新たな公爵になるルースへ嫁いで王国とのつながりを強化するのは理解できるが、それでもあきらめられないようなところがあるのだとか。
そう言えば、ルーレア皇妃の戦闘合宿の中に、その他国の一部が入っていたような気もするが‥‥‥気にしない方が良いだろう。
一方で、バルション学園長はグリモワール学園の学園長という立場上、今の時期からすでに夏休み明けの作業に備えて仕事をするそうだ。
ミュルも同じく、教師として勤めているので狩りだされているそうだ。
そして、妖精女王でもあるバトの場合は、妖精部隊の編制の修正や、改善案などを行うための会議もあるそうで、ちょっと人気のない場所で妖精たちを集め、色々と会議をしているようである。
「まぁ、たまには一人も良いかな」
いつもいつも、他の皆がいる中で日常を過ごしてきた。
でも、たまにはゆっくりと個人だけで過ごしたい時もあるのだ。
「…‥‥そう言えば、タキたちはまだかな?」
ふと、ルースは思い出す。
夏休み前に言われたが、どうやらこの夏の間タキたちは東方の地へ赴き何かするらしい。
ゆえに、帰還するまで召喚魔法で呼ばないでほしいとも言われたのだが‥‥‥気になるのだ。
まぁ、約束は守る方なので召喚魔法を使用していないが、それでもどことなく寂しいものはある。
ひとまずは、ゆっくりと滅多にない一人だけの時間を楽しみつつ、皆の事をルースは想うのであった‥‥‥
――――――――――――――――――――
…‥‥一方その頃、グレイモ王国の王城内にて、ルルリアとアルミアたちはある現場を目撃してしまった。
(…‥ここ数日、怪しい動作をする人を見かけると思ったら)
(案の定、まともにやらかす気満々なの)
ルーレア皇妃直伝の気配隠蔽術を使いつつ、こっそりと彼女達はその現場を観察する。
そこは王城のとある一室で、特に使用されることが無く、ほぼ物置と化している部屋であったが‥‥‥そこに、複数人の貴族たちの姿があった。
「ああ、今の所これで準備はできているような?」
「間違いないだろう。各所に城に雇われる侍女たちも分からぬような、爆薬を仕掛け終わった」
「あとは結構のタイミングを計るだけか…‥‥一応、こちらの兵力を集めていることはまだバレていないはずだよな?」
「間違いないだろう。こちらとしては、屋敷の修理のため、侍女増員などの費用としてごまかし、色々と準備は進めている」
「ついでにちょっとこちらでも他国との繋がりを得て、クーデタに手を貸してくれるようだ」
「おお、それはありがたいな。こういう事を決行するには人ではもっといるからな」
「ふふふふ、これで王を挿げ替え、そして殿下たちや姫様達も巻き添えにすれば」
「うまいこといけば、我々の天下のはずだ…‥‥」
「「「ぐゅうふふふふっふふう!!」」」
どことなく気持ちの悪い、隠しているような笑い声を聞き、ルルリアたちは思いっきりごみを見るような目でその者たちを見る。
(…‥‥何故、こういう輩はでてしまうのかしら?以前のフェイカーでずいぶんと風通しを良く出来たはずなのにねぇ)
(お姉さま、それは仕方がない事なの。馬鹿は1人見かけたら30人はいると考えた方が良いとも言われているの)
何にしても、これを放置することはできない。
彼らがやろうとしているのは国家転覆でもあり、下手すると国自体が混乱にさらされかねないのだ。
何にしてもより良い正確性を求めるために、彼女達は情報収集に乗り出す。
ルースに嫁ぐ際には王籍を抜いて姫ではなくなるが、それでもまだ現状姫のまま。
なのにその姫らしからぬ、隠密行動を彼女たちは自ら行い、時には人の手を借り、情報と証拠を収集し、言い逃れのできないような状況を着々と創り出していくのであった。
‥‥‥こういう時に使えるので、ルーレア皇妃から色々と学んでよかったとルルリアとアルミアたちは考えていたが、通常の姫がそうやすやすと実行できるわけではないという、ツッコミをする人がいなかったのだが、それはどうでもいい事であった。
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