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学園最後の夏休みで章
閑話 スアーン夏休み旅道中 その1
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…‥‥スアーンは考えていた。
普段、友として接してはいるが、その友に対して自分は恐ろしく劣っているのではないかと。
何しろ友は、精霊王の孫、黄金の魔導書所有者、婚約内定(大勢)、国滅ぼしのモンスター召喚可能、来年の卒業時には公爵…‥‥など、考えれば考えるだけ、遠い存在と言うか、勝ち目がなさすぎる。
それに対してスアーン自身は、元ガキ大将、茶色の魔導書の所有者、ぎっくり腰再発の爆弾持ち、彼女はいたが既に縁切れ…‥‥考えれば考えるほど、悲しくなった。
何にしても、このままではいけないとスアーンは思う。
普通に過ごして、普通の人生で終わって良いのか?いや、それはない。
友は波乱万丈な出来事が多すぎるので、そこまでにはなりたくはないが、それでも何かを成し遂げたい。
そう考えたスアーンは、己の実力を高め、世界を見るために、夏休みを利用して見分を広めようと旅に出たのであった。
……だがしかし、現在。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!喰われる喰われる喰われる――――!!」
【ぶもっしゃぁぁぁぁぁ!!】
「というかここはどこだぁぁぁぁぁ!!」
普通に旅をしていたはずなのに、今スアーンはどことも知れぬ土地に迷い込み、大きな怪物に追われていた。
辺りは燃えた土地が多く、今追ってきている怪物も見たことがない異形の生物。
一体何をどうしてこんなところに迷いこんでしまったのかスアーンは分からず、今はただ、ひたすら子の怪物から逃げる事しかできないのだ。
「『魔導書顕現』!!『魔導書顕現』!!『魔導書顕現』!!‥‥‥でねぇぇぇぇぇ!!」
土の魔法でどうにかして逃げようとスアーンは考えたが、どういうわけか魔導書が顕現せず、魔法が扱えない。
「うぉぉぉぉぉぉ!!こんなところで人生を終えてたまるかぁぁぁぁぁ!!」
ぎゆっ!!
「あ」
‥‥‥ふと、必死に走っていると何かまずいものを踏んだ気がして、スアーンはそれを見た。
【ぐるるるるる……ぐがごぉぉぉぉぉ!!】
「追加されたぁぁぁぁあ!!」
別の異形の生物の尻尾を踏んづけたようであり、彼を追いかける生物が追加された。
さらに必死になって逃げるのだが…‥‥
むぎっ!! ぐいっ!! ぶちっ!! ずしっ!!
【【【【うごがぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!】】】】
「やっべぇぇぇ!!なんでこうなるんだぁぁぁぁぁぁ!!」
行く先々でどんどん追加されて、遂に異形の生物たちは100頭を超えてしまった。
死ぬ気で逃亡するスアーンであったが、体力の限界が来た。
「ぜぇっ、ぜぇっ……」
息も耐えだえになり、目もかすみ、もはや動けない。
ばったぁぁん!!
ついには足を動かせずにぶっ倒れ、地面にスアーンはうつぶせとなる。
【【【【ぐごあぁぁぁぁぁぁぁ!!】】】】
ずどどどっ!!っと地響きを立て、異形の生物たちはスアーンに近づいてくる。
もはやここまでかとスアーンは思い、覚悟した‥‥‥‥その時であった。
「・・・・・何だ?なぜここに人間が?」
ふと、誰かの声がスアーンの耳に入った。
だが、スアーンはもはや体力の限界で意識を失いかけており、その姿を見ることができない。
けれども、ここで聞こえた声に、スアーンはすがるしかなかった。
「ど……どうにか‥た、助けて‥‥‥ほし‥」
最後まで言い切れず、ふっと意識を手放すスアーン。
最後に感じたのは、「ふむ、まぁ良いだろう」という返事と、そのすぐ後に爆音が鳴り響いたことぐらいであった…‥‥
普段、友として接してはいるが、その友に対して自分は恐ろしく劣っているのではないかと。
何しろ友は、精霊王の孫、黄金の魔導書所有者、婚約内定(大勢)、国滅ぼしのモンスター召喚可能、来年の卒業時には公爵…‥‥など、考えれば考えるだけ、遠い存在と言うか、勝ち目がなさすぎる。
それに対してスアーン自身は、元ガキ大将、茶色の魔導書の所有者、ぎっくり腰再発の爆弾持ち、彼女はいたが既に縁切れ…‥‥考えれば考えるほど、悲しくなった。
何にしても、このままではいけないとスアーンは思う。
普通に過ごして、普通の人生で終わって良いのか?いや、それはない。
友は波乱万丈な出来事が多すぎるので、そこまでにはなりたくはないが、それでも何かを成し遂げたい。
そう考えたスアーンは、己の実力を高め、世界を見るために、夏休みを利用して見分を広めようと旅に出たのであった。
……だがしかし、現在。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!喰われる喰われる喰われる――――!!」
【ぶもっしゃぁぁぁぁぁ!!】
「というかここはどこだぁぁぁぁぁ!!」
普通に旅をしていたはずなのに、今スアーンはどことも知れぬ土地に迷い込み、大きな怪物に追われていた。
辺りは燃えた土地が多く、今追ってきている怪物も見たことがない異形の生物。
一体何をどうしてこんなところに迷いこんでしまったのかスアーンは分からず、今はただ、ひたすら子の怪物から逃げる事しかできないのだ。
「『魔導書顕現』!!『魔導書顕現』!!『魔導書顕現』!!‥‥‥でねぇぇぇぇぇ!!」
土の魔法でどうにかして逃げようとスアーンは考えたが、どういうわけか魔導書が顕現せず、魔法が扱えない。
「うぉぉぉぉぉぉ!!こんなところで人生を終えてたまるかぁぁぁぁぁ!!」
ぎゆっ!!
「あ」
‥‥‥ふと、必死に走っていると何かまずいものを踏んだ気がして、スアーンはそれを見た。
【ぐるるるるる……ぐがごぉぉぉぉぉ!!】
「追加されたぁぁぁぁあ!!」
別の異形の生物の尻尾を踏んづけたようであり、彼を追いかける生物が追加された。
さらに必死になって逃げるのだが…‥‥
むぎっ!! ぐいっ!! ぶちっ!! ずしっ!!
【【【【うごがぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!】】】】
「やっべぇぇぇ!!なんでこうなるんだぁぁぁぁぁぁ!!」
行く先々でどんどん追加されて、遂に異形の生物たちは100頭を超えてしまった。
死ぬ気で逃亡するスアーンであったが、体力の限界が来た。
「ぜぇっ、ぜぇっ……」
息も耐えだえになり、目もかすみ、もはや動けない。
ばったぁぁん!!
ついには足を動かせずにぶっ倒れ、地面にスアーンはうつぶせとなる。
【【【【ぐごあぁぁぁぁぁぁぁ!!】】】】
ずどどどっ!!っと地響きを立て、異形の生物たちはスアーンに近づいてくる。
もはやここまでかとスアーンは思い、覚悟した‥‥‥‥その時であった。
「・・・・・何だ?なぜここに人間が?」
ふと、誰かの声がスアーンの耳に入った。
だが、スアーンはもはや体力の限界で意識を失いかけており、その姿を見ることができない。
けれども、ここで聞こえた声に、スアーンはすがるしかなかった。
「ど……どうにか‥た、助けて‥‥‥ほし‥」
最後まで言い切れず、ふっと意識を手放すスアーン。
最後に感じたのは、「ふむ、まぁ良いだろう」という返事と、そのすぐ後に爆音が鳴り響いたことぐらいであった…‥‥
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