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学園最後の夏休みで章

250話

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 夏真っ盛りとなり、日差しがギラギラと照り付ける中、皆で決めていた集合地にルースたちは集まっていた。

 タキとヴィーラは用事があるため欠席だが、それ以外の面子……エルゼ、レリア、バト、バルション、ミュル、リディア、ルルリア、アルミア全員がそろっていた。

 なお、スアーンの姿はないが、旅に出ているそうなので別に気にしないでおこう。


 何にせよ、将来的に皆でルースがもらう予定の公爵領予定地を見て回るのだが、この人数ゆえに、ある程度の馬車が欲しいところ。

 と、相談してみたところそれぞれの権力や伝手によって、台数は足りたのだが…‥‥別の問題が起きた。




「じゃぁ、あたしがルース君と同席するということで」
「ちょっと待て、こっちは帝国に行って離れ離れだったんだぞ?共に居たエルゼよりも短いし、ここは譲って欲しい」
「いやいやいや、争うのは良くないアルよ。という訳で、ここは当然この中でも大人な」
「それを言ったらわーたしもそうよね?」
「王城にいる私たちの方が、優先されても良いはずですわよね?」
「お姉様と一緒なのー!」
「あの、私も一応…‥‥」


・・・・・‥馬車は数台、されどもルースは一人。

 できれば同席したいのだが、そうはいかないのである。

 ゆえに、ここに女の争いが起きてしまうのであった。


チュドォォォォォォォン!
ドッゴォォォン!!
ビィムゥゥゥゥゥゥゥ!!

「…‥‥」

 その様子を見て、ルースは皆を止めようとしたが…‥‥そうなった場合、彼女達から詰め寄られてより悲惨な未来になるのが目に見えたため、黙って観戦するしかできないのであった。

「どうしようこれ……」



……結果として、領地予定地の各場所で下車し、そこからローテーションで回すことに決定したのであった。








 なにはともあれ、最初から疲れたような気もしたが、まずは予定通りに領地予定地へ向けて馬車を進め始めた。

 タキたちがいてくれれば、この争いは起きなかったかもしれないが……嘆いても仕方がない事であろう。


「とりあえず、まず最初はここかな?」

 夏真っ盛りでもあるので、最初はできれば涼し気なところへ向かいたい。

 そういう訳で、地図を広げて選んだ領地の場所としては・・・・大きな湖がある処であった。


 まぁ、そもそもの話として、この公爵領予定地と言うのは潰された貴族家の領地が多く含まれている。

 王家から押しつけられたゲフンゲフン、与えられた場所でもあるが、元はその潰された貴族家が運営していた領地でもあるのだ。

 来年、ルースが公爵となって経営するまでは王家が管理しているようだが、各貴族家の土地であった場所は、未だに未開発の場所も多いらしい。

 ゆえに、自然豊か…‥‥と言うか、少々放置されている場所もあるので、まぁ、それなりに綺麗な場所もあるのだ。


 こういう湖から回る事で、涼し気な空気を得て、まだまだ訪れる予定の場所へ向けての鋭気を養おうと、ルースは考えるのであった。







……だがしかし、ルースはまだ知らなかった。

 潰された貴族家が管理していた場所でもあるという事は、その貴族家が何かしらのモノを置いていっている可能性の事を。

 それがどの様なものなのかは、まだ詳細は不明であったが・・・・ろくなものではないものも、混じっていた。

 いや、正確にはモノ・・ではないのだが……‥湖につくまで、その可能性をすっかり頭から抜け落ちて落ちていたのであった‥‥‥‥
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