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組織との決着で章
238話
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…‥‥ふと、ルースが目覚めると、そこはいつもの見慣れた空間であった。
周囲の明かりはないが己の姿は見え、そして…‥‥
「…‥‥魔導書がいると言う時点で、もう慣れた自分がいるな」
目の前にぷかぷかと浮かぶ黄金の魔導書を見て、思わずルースはそうつぶやいた。
―――――ヨクヤッタナ、主ヨ。
「その口ぶりだと、あの怪物は完全に倒せたと考えて良いのか?」
もうすでに、こちらの状況追把握しているような声で魔導書に語り掛けられたので、ルースはそう質問した。
―――――アア、正確ニハマダダガナ。
その言葉に、ルースは思わず体をガクッとさせる。
そうあっさりと物事は解決していないらしい。…‥‥解決したようなそぶりを見せるとは、上げて落とされた気分である。
―――――イヤ、キチント言ウノデアレバ…‥‥後一歩ダ。
「と言うと、とどめを刺さないといけないという事か」
―――――ソウダ。
魔導書によると、あの怪物は現在爆散し、肉片があたりに散らばっているらしい。
流石に内部からの大爆発には耐えきれなかったようだが、核というか、コアと言うべきか…‥‥いや、なんて言っても同じだが、とりあえずそのような部分だけは綺麗に残っているらしい。
偶然そうなっただけだが、とにもかくにも早く対処しない限りはそれを元にして、復活するそうなのである。
その上…‥‥どうやらそのコアと言うべき部分は、あの影の王が持ちだした魔導書のような物だというのだ。
――――――コピー、ト言ウニハ少々異ナル。フェイカーノ技術ガ加エラレ、マッタクノ別物ダロウ。
「そんなものを、創り出していたとはな…‥‥」
とはいえ、そんなものを創り出す可能性を考えていなかったわけでもない。
現状、フェイカーをフルボッコにしてきたのはルースの持つ黄金の魔導書の力が大きく、その対抗策などを考えたうえで、複製品を作ってみるべきと考える可能性もあったのだ。
とはいえ、そんな複製品をやすやすと作れるわけでもなく、魔導書によれば、かなりの命が奪われた挙句に出来た物らしい。
いわばまがい物で有り、魔導書のコピーどころか所有者の魂を贄に動く化け物と化しているのだというのだ。
「って待てよ、それってつまり、影の王は喰われたと?」
―――――ソウダ。
…‥‥何と言うか、実にあっけない最後のようだった。
あの怪物の体に変化し、魔導書のまがい物を取り込んだ時点で、魂がそのまがい物に喰われてしまったらしい。
とはいえ、意識だけはどういう訳か残り、攻撃するという目的はあったが‥‥‥‥もはや怪物を倒しても人には戻らず、生まれ変わる事もないようだ。
―――――ット、無駄話ヲシテイル暇ハ無イ。急ゲ!!
――――――――――――――――――――
……その言葉と同時に、ルースは目覚めた。
状況を確認してみれば、あの怪物がいた場所には大きなクレーターのような物ができており、ルースたちはその周辺にふっとばされていたようだ。
見れば、別の場所にタキが頭から突き刺さっており、ヴィーラはひっくり返り、マロはその場でコマのように回転していた。
クレーターの中心部に…‥‥目を凝らしてみれば、輝く存在が目に入った。
黄金色に…‥‥いや、フェイカー特有の禍々しい色に変貌し、その不気味な光を放っている。
そして、その光に導かれるようにして、ずるりずるりと肉片が動き、集い始めた。
このまま放置すれば、間違いなく再び復活するであろう。
となれば、ここで一気に破壊するしかない。
未来永劫、このような事が起こらないためにも、ここで因縁を断ち切らないといけないのだ。
「『魔導書顕現』」
ルースは己が持つ黄金の魔導書を顕現させ、魔法の発射体制に移る。
あの大爆発の最中に、偶然とはいえ綺麗な状態で残っているとなれば、相当耐久力はあるだろうし…‥‥生半可な攻撃ではだめだろう。
フェイカーという組織が終わりを告げるためにも、ここは何もかも破壊した方が良い。
……とはいえ、魔導書のコピー、いや、粗悪品を破壊するのであれば…‥‥すべての魔導書の持つ力を複合させた攻撃の方が良いだろう。
赤色は何もかも燃やし尽くしたり、料理の際に微細な火力調整も行える炎に関する力を与える。
青色は何もない場所から泉を創り出したり、その派生なのか氷も扱えるという水に関する力を与える。
緑色は森や林、花畑などに干渉し、木々を活性化させたりなどと、植物に関する力を与える。
黄色は落雷、電撃、麻痺させるなど、電気に関する力を与える。
茶色は地割れを引き起こしたり、土の壁や地震を起こしたりなど、大地に関する力を当てる。
白色は傷を治し、リラックスさせ、辺りを照らすなど、光や癒しに関する力を与える。
黒色は煙幕を張ったり、辺りを暗くしたり、影に入り込んで移動できるなど、闇に関する力を与える。
…‥‥そして、最後にルースの持つ金色の魔導書は、それらをすべて束ね、そしてすべて違う力として発動させる。
「‥‥‥7属性複合、いや8属性複合大魔法『ロスト・グリモワール』!!」
魔法が発動した瞬間、全ての色が綺麗にまじりあった光が放たれ、中心部にあった魔導書のまがい物に照射される。
焼き尽くされ、水流に削り取られ、植物の根に締め上げられ、電撃がほとばしり、土に串刺しにされ、殺菌され、闇へ呑まれる。
そして最後に、黄金の光が一気に降り注いだ。
【gyaaaaaaaaaaaaaaa!!】
何かの断末魔のような声が聞こえたが…‥‥まがい物の魔導書というよりも、化け物として形成されていたのだろうか。
その断末魔も、次第に弱くなっていき…‥‥光がやんだとき、そこにはもう、何もなくなっていたのであった。
それはまるで、最初から何もなかったかのように‥‥‥‥
周囲の明かりはないが己の姿は見え、そして…‥‥
「…‥‥魔導書がいると言う時点で、もう慣れた自分がいるな」
目の前にぷかぷかと浮かぶ黄金の魔導書を見て、思わずルースはそうつぶやいた。
―――――ヨクヤッタナ、主ヨ。
「その口ぶりだと、あの怪物は完全に倒せたと考えて良いのか?」
もうすでに、こちらの状況追把握しているような声で魔導書に語り掛けられたので、ルースはそう質問した。
―――――アア、正確ニハマダダガナ。
その言葉に、ルースは思わず体をガクッとさせる。
そうあっさりと物事は解決していないらしい。…‥‥解決したようなそぶりを見せるとは、上げて落とされた気分である。
―――――イヤ、キチント言ウノデアレバ…‥‥後一歩ダ。
「と言うと、とどめを刺さないといけないという事か」
―――――ソウダ。
魔導書によると、あの怪物は現在爆散し、肉片があたりに散らばっているらしい。
流石に内部からの大爆発には耐えきれなかったようだが、核というか、コアと言うべきか…‥‥いや、なんて言っても同じだが、とりあえずそのような部分だけは綺麗に残っているらしい。
偶然そうなっただけだが、とにもかくにも早く対処しない限りはそれを元にして、復活するそうなのである。
その上…‥‥どうやらそのコアと言うべき部分は、あの影の王が持ちだした魔導書のような物だというのだ。
――――――コピー、ト言ウニハ少々異ナル。フェイカーノ技術ガ加エラレ、マッタクノ別物ダロウ。
「そんなものを、創り出していたとはな…‥‥」
とはいえ、そんなものを創り出す可能性を考えていなかったわけでもない。
現状、フェイカーをフルボッコにしてきたのはルースの持つ黄金の魔導書の力が大きく、その対抗策などを考えたうえで、複製品を作ってみるべきと考える可能性もあったのだ。
とはいえ、そんな複製品をやすやすと作れるわけでもなく、魔導書によれば、かなりの命が奪われた挙句に出来た物らしい。
いわばまがい物で有り、魔導書のコピーどころか所有者の魂を贄に動く化け物と化しているのだというのだ。
「って待てよ、それってつまり、影の王は喰われたと?」
―――――ソウダ。
…‥‥何と言うか、実にあっけない最後のようだった。
あの怪物の体に変化し、魔導書のまがい物を取り込んだ時点で、魂がそのまがい物に喰われてしまったらしい。
とはいえ、意識だけはどういう訳か残り、攻撃するという目的はあったが‥‥‥‥もはや怪物を倒しても人には戻らず、生まれ変わる事もないようだ。
―――――ット、無駄話ヲシテイル暇ハ無イ。急ゲ!!
――――――――――――――――――――
……その言葉と同時に、ルースは目覚めた。
状況を確認してみれば、あの怪物がいた場所には大きなクレーターのような物ができており、ルースたちはその周辺にふっとばされていたようだ。
見れば、別の場所にタキが頭から突き刺さっており、ヴィーラはひっくり返り、マロはその場でコマのように回転していた。
クレーターの中心部に…‥‥目を凝らしてみれば、輝く存在が目に入った。
黄金色に…‥‥いや、フェイカー特有の禍々しい色に変貌し、その不気味な光を放っている。
そして、その光に導かれるようにして、ずるりずるりと肉片が動き、集い始めた。
このまま放置すれば、間違いなく再び復活するであろう。
となれば、ここで一気に破壊するしかない。
未来永劫、このような事が起こらないためにも、ここで因縁を断ち切らないといけないのだ。
「『魔導書顕現』」
ルースは己が持つ黄金の魔導書を顕現させ、魔法の発射体制に移る。
あの大爆発の最中に、偶然とはいえ綺麗な状態で残っているとなれば、相当耐久力はあるだろうし…‥‥生半可な攻撃ではだめだろう。
フェイカーという組織が終わりを告げるためにも、ここは何もかも破壊した方が良い。
……とはいえ、魔導書のコピー、いや、粗悪品を破壊するのであれば…‥‥すべての魔導書の持つ力を複合させた攻撃の方が良いだろう。
赤色は何もかも燃やし尽くしたり、料理の際に微細な火力調整も行える炎に関する力を与える。
青色は何もない場所から泉を創り出したり、その派生なのか氷も扱えるという水に関する力を与える。
緑色は森や林、花畑などに干渉し、木々を活性化させたりなどと、植物に関する力を与える。
黄色は落雷、電撃、麻痺させるなど、電気に関する力を与える。
茶色は地割れを引き起こしたり、土の壁や地震を起こしたりなど、大地に関する力を当てる。
白色は傷を治し、リラックスさせ、辺りを照らすなど、光や癒しに関する力を与える。
黒色は煙幕を張ったり、辺りを暗くしたり、影に入り込んで移動できるなど、闇に関する力を与える。
…‥‥そして、最後にルースの持つ金色の魔導書は、それらをすべて束ね、そしてすべて違う力として発動させる。
「‥‥‥7属性複合、いや8属性複合大魔法『ロスト・グリモワール』!!」
魔法が発動した瞬間、全ての色が綺麗にまじりあった光が放たれ、中心部にあった魔導書のまがい物に照射される。
焼き尽くされ、水流に削り取られ、植物の根に締め上げられ、電撃がほとばしり、土に串刺しにされ、殺菌され、闇へ呑まれる。
そして最後に、黄金の光が一気に降り注いだ。
【gyaaaaaaaaaaaaaaa!!】
何かの断末魔のような声が聞こえたが…‥‥まがい物の魔導書というよりも、化け物として形成されていたのだろうか。
その断末魔も、次第に弱くなっていき…‥‥光がやんだとき、そこにはもう、何もなくなっていたのであった。
それはまるで、最初から何もなかったかのように‥‥‥‥
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