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340 忍び寄るのはなんであれ

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「…‥‥生徒会の仕事は大変だからこそ、休日が本当に楽だ」
「分かるのぅ‥‥‥かつて聖女じゃった時に、休日は楽だと思えたのじゃ。‥‥‥まぁ、油断したら消えたがのぅ」
「何があったんだと聞きたいけど、やめておくよ」

 思い出して遠い目になったゼネに対して、ディーは気を使った。

 彼女の過去のトラウマと言うのは、何かと多いようだが、無理もないと思えてしまう。

 まぁ、今の時代に何故か生きているゼネの妹たちに関しては、現状特に何も仕掛けてこないというか、もう手を出す気もないようなので安心できるが…‥‥トラウマができる理由が見えるのである。


 とはいえここは、神聖国とは離れた王国内であり、出くわすこともないはずだ。

 そもそも彼女の妹たちとの接触も、今のところないので問題ないはず。


「‥‥‥あ、でも結ばれた場合あれが義妹になるのか‥?」

 召喚獣たちとの関係上、その可能性があったのだが…‥‥うん、考えない方が良いのかもしれない。

「儂の方からすると、御前様の妹が義妹になるのじゃが…‥‥うむ、悪くはないのじゃ。と言うか、百万倍、いや、一兆倍…‥‥いい子なのが、心の底から喜ぶべきことなのじゃ…‥‥」
「私の場合、姉妹機が多いので、ご主人様の義妹機体と言うべきものたちが多くなりますけれどネ」
「それはそれでどうなんだろうか」

 ノインの姉妹機の数は把握していないが、型番号から察するにどうやらかなりいるらしい。

 うん、こちらはこちらで家族事情が複雑と言うべきか…‥‥と思っていた中で、ふと思ったことがあった。

「そう言えば、皆普通に俺の召喚獣になっているけど、兄弟姉妹話ってあるのか?」
「そういえばそうですわね」
「皆の家族構成、細かい部分は気にしていなかったでござるな」


‥‥‥召喚士の呼び出す召喚獣は色々とあるが、俺の召喚獣は主に二種類に分かれるところがある。

 この世界で契約したか、召喚によって呼び出して召喚獣になったのかと言う事だろうか。

 前者はゼネやティアが当てはまり、後者はノインやカトレアだが‥‥‥‥家族構成が不明だとすれば、主に後者である。

「自分は/呪いから生まれた/兄弟姉妹無い」
「ピャァァイ!卵から生まれたけど、他知らなーい!!」

 生まれた現場にいた組と言うのもあるが、こちらはこちらで分かりやすい。

 そして話の中で、分かってないのはカトレア、ルビー、リリス、リザ、アナスタシア、レイア、スルーズだが…‥‥

「そもそもわたくしの場合は…‥‥どうだったかしらね?吸血植物仲間はいたけれども、同族は‥うん、覚えてないですわねぇ」
「拙者は天涯孤独だったでござるよ。そもそも召喚される前の事なんぞ、大分忘れていたりするのでござるなぁ」
「グゲェグゲェ、グゲェ」
「わっちは一応、姉妹と言うべき様な蛇仲間はいたでありんすけど…‥‥別れたでありんすしねぇ。ダーリンが契約してこの姿になったでありんすけど、もしもいたらどういう感想が出てくるでありんすかね?」

 なにかと兄弟姉妹に関しての記憶が薄いようでありつつも、それでも覚えていることはあるらしい。

「んー、いなかった」
「こちらは群れでいたような‥‥‥ああ、でも兄弟姉妹は無かったな」
「いないのだ」

 あっさりとないというような召喚獣たちもいるようだが‥‥‥まぁ、それぞれ事情があるのだろう。

「でも、大体の返答としてはいない組かな‥‥?となると、こうやってみんなでいるけどさ、姉や妹って関係みたいに思う部分もあるのか?」
「そうですネ…‥‥なら、私が姉デス」
「あら?そうかしら?姉妹機で09という番号で、姉が多くいるようですし、妹と言う立場でもありますわよね?」
「「‥‥‥」」

 あ、しまった。なんか喧嘩のスイッチを入れてしまったかもしれん。

 なんとなく好奇心で問いかけていたはずだが、喧嘩腰になり合った二人に対して、俺たちはできるだけ喧嘩しないようにすぐさまなだめるのであった‥‥‥‥






‥‥‥姉と妹どちらなのかというような、くだらない喧嘩が起きかけていた丁度その頃。

 ディーの故郷のヌルングルス村の実家では、彼の妹であるセラが働いていた。

「ふんふ~ん♪今日は大量ー♪」
「みー!」
「めー!」

 鼻歌を歌いながらご機嫌な様子のセラの後ろでは、ノインを小さくしたようなメイドたちが…‥‥ミニシスターズと呼ばれる者たちが、川で釣れた獲物たちを運んでいた。

 ノインの子機と言うべきミニシスターズらしいが、彼女がこの場にいない時は、こうやって家の手伝いを自らしているのである。

 魔改造してしまった邸の掃除から始まり、ありとあらゆる家事手伝いもしているのだが…‥‥こうやってお供をして、運べなくなりそうな獲物だとしても運び上げるのである。

 ご機嫌に歩みつつ、もうそろそろ到着するところで…‥‥ふと、セラは足を止めた。

「‥‥‥ん?何、あれ?」
「みー?」
「めー?」

 邸の門となった前に、なにやらぶすぶすと煙を上げて転がっている者たちがいた。

 留守の際の安全対策と言うのを施しているという話を聞いたが…‥‥どうやらそれにかかった者たちらしい。

 結構辺境の村なので、盗人が出てきてもおかしくはないのだが…‥‥それでも、数が妙であった。

「結構、多い?」

 二、三人程度ならばまだわかるのだが、数十人ほどの人数が倒れていた。

 しかも、ただの盗人と言うような服装ではなく…‥‥見たことが無いような、鎧を着た騎士とかまでが転がっている状態。

「‥‥‥お母さんは大丈夫そうとして、何があったの?」

 妙な事態に眉をひそめつつも、ひとまずは兄へ連絡をしたほうが良いのかもしれないと思い、彼女はすぐに安全な邸の中に駆け込んでから行動に移すのであった‥‥‥‥

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