上 下
348 / 373

336 密かに流れるその噂

しおりを挟む
‥‥‥実家を摩訶不思議な豪邸に変えてしまったが、後悔しても仕方がない。

 家主であった母の許可も貰っていたし、ここまで魔改造してしまったとはいえ、便利にはなったはずである。

「けれども、動く廊下とかできるのは、やり過ぎたと思うなぁ…‥‥」
「何を動力にしているのかが、謎なのじゃが」
「一応、試験的に導入しただけですので、まだ改善の余地はありますけれどネ」

 うみょーんっと動く、動く廊下。

 外観よりも内部は広く作られているようで、移動しやすいようにという配慮で設置されているようだが、その動力は不明である。

 ノインいわく、光学迷彩塗装とやらで見えなくした風力発電機を稼働させ、なおかつ屋根にも太陽光による‥‥‥とりあえず、色々と隠している発電装置とやらで稼働できるらしい。

 見えなくするのは景観保護のためだというが、滅茶苦茶な技術を投入されていると思えば良いのか。

‥‥‥下手をすると、技術的に結構ぶっとんでいるのではないだろうか?

 そう考えると、秘匿したほうが良いのかもしれない。


 より便利になったと考えれば、気にしなくていいか。

 そう思いつ、本日は‥‥‥‥


「雪のドーム自体は雪解けまでは無事だけど、補修作業は必要か…‥‥」
「細かい部分で、強度を上げておくのデス。一応、計算上は大丈夫なのですが、やっておく必要がありマス」
「そうなる、でも、この時期なら楽々」

 ノインのお手製ジェットブーツで久しぶりに飛びながら、雪のドームの補修作業を行っていた。

 先日の猛吹雪の際に、アナスタシアが創り上げた雪のドーム。

 強度自体はかなり優れており、何かと壊れにくいそうだが、それでも材料は雪であり、気温が上がれば溶けるもの。

 気温が上がり始めれば自然と溶解し、被害なく消え去るそうだが、それでも万が一を考えると、不安な個所は修正したほうが良いらしい。

 そのため現在、冷気を吹きつけて氷で補強させつつ、一部をノイン御手製人工降雪機で補強していた。


「ピャァァ、この降雪機そこそこ重いかも!」
「本当は自然の雪を使えばいいかもしれませんが、質を考えるとこちらを利用したほうが良いのデス。降雪機の方への水は‥‥‥」
「そっちは大丈夫だぜ!水ならまだまだ、ドバドバ出し放題だ!」

 ティアが水魔法を使用して、水を供給して人工降雪機の停止はない様子。

 と言うか普段は、ナイフや鎖鎌を扱う彼女が魔法を使う光景って不思議なものがあるような‥‥‥いやまぁ、できると言えばできるか。

「ついでに儂も、冷気用の魔法を使っているのじゃけれども…‥‥少量で済むのは負担が無くて良いのぅ」
「まだまだドバドバ行くぜぇ!!」

 人工降雪機の原料タンクへ向かって、魔法を放つティアにゼネ。

 彼女達のおかげで、補修作業はストップせずに進められそうであった。








スパァァン!!
「っと/一本/切断完了」
「オーライオーライ、よし、確保!」
「ふむ、これだけあれば十分可能」

 ディーたちが作業しているその頃、村で利用している伐採現場では今、ルンたちが木々を切断し、まとめていた。

「よいしょっと、これだけやれば、切断した分はまた回復しますわね」

 切断され、根っこごと掘り返された場所にカトレアが新しい苗木を植樹し、きちんと後のことを考えての作業。

 リアカーに丸太を載せてレイアが運んだり、スルーズが巨大な狐の姿に戻って横に括り付けて輸送するなど、手段は様々。

「にしても、これだけ運んで良い物なのか?使い道が無いように思えるのだが…‥‥」
「ノインいわく、主都の方の屋敷改装に利用するそうなのだ」

 何にしても、利用できそうなものがあれば、運んでおくに越したことは無い。

 本当はここにリリスがいたほうが、彼女に投入して輸送の手間を省けるのだが…‥‥生憎彼女は彼女で、現在仕事中である。

「大量に入っていた、資材をぶちまけたらしいからな…‥‥滑って転んで、勢いで全部出るとはな」
「彼女らしからぬミスだが、あると言えばあるのだろうな」

 珍しいミスによる後始末のようで、寒い外には出たくないリザも手伝っており、整理整頓作業中の様子。

 なので、作業を終えた後には運び終えた資材も整理しながら投入する予定である。

「だが…‥‥出した資材の量が多かったが、あそこまであったか?覚えがないのだが…‥‥」
「ノインがリリスに頼んで、蓄えていたらしいのだ。なにかと企んでいたようだが…‥‥まぁ、悪い事をするわけでもあるまい」

 色々と気になりはするものの、どう扱うかまで把握することもない。

 自分たいの主のためになるのならば文句もないし…‥‥いちいち気にしていたらきりがないというのもあるのだろう。

 
 主従はどこか似たというか、メイドのやらかす内容にツッコミを皆放棄したというべきか…‥‥それは慣れと言うべきなのかもしれないが、誰もノインに向かって問いかける気はないのであった…‥‥

「ところでふと思ったが、この冬季休暇も明ければまた学園だが‥‥‥‥学ぶ内容、今さらながらあるのだろうか?」
「濃い一年を送っているようなのだ…‥‥まだまだ面子の中で新米だが、その学園で学ぶようなことは無いような気がするのだ…‥‥」

しおりを挟む
感想 771

あなたにおすすめの小説

好色一代勇者 〜ナンパ師勇者は、ハッタリと機転で窮地を切り抜ける!〜(アルファポリス版)

朽縄咲良
ファンタジー
【HJ小説大賞2020後期1次選考通過作品(ノベルアッププラスにて)】 バルサ王国首都チュプリの夜の街を闊歩する、自称「天下無敵の色事師」ジャスミンが、自分の下半身の不始末から招いたピンチ。その危地を救ってくれたラバッテリア教の大教主に誘われ、神殿の下働きとして身を隠す。 それと同じ頃、バルサ王国東端のダリア山では、最近メキメキと発展し、王国の平和を脅かすダリア傭兵団と、王国最強のワイマーレ騎士団が激突する。 ワイマーレ騎士団の圧勝かと思われたその時、ダリア傭兵団団長シュダと、謎の老女が戦場に現れ――。 ジャスミンは、口先とハッタリと機転で、一筋縄ではいかない状況を飄々と渡り歩いていく――! 天下無敵の色事師ジャスミン。 新米神官パーム。 傭兵ヒース。 ダリア傭兵団団長シュダ。 銀の死神ゼラ。 復讐者アザレア。 ………… 様々な人物が、徐々に絡まり、収束する…… 壮大(?)なハイファンタジー! *表紙イラストは、澄石アラン様から頂きました! ありがとうございます! ・小説家になろう、ノベルアッププラスにも掲載しております(一部加筆・補筆あり)。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

【完結】妃が毒を盛っている。

ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。 王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。 側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。 いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。 貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった―― 見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。 「エルメンヒルデか……。」 「はい。お側に寄っても?」 「ああ、おいで。」 彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。 この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……? ※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!! ※妖精王チートですので細かいことは気にしない。 ※隣国の王子はテンプレですよね。 ※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り ※最後のほうにざまぁがあるようなないような ※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい) ※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中 ※完結保証……保障と保証がわからない! 2022.11.26 18:30 完結しました。 お付き合いいただきありがとうございました!

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

処理中です...