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335 だからいい加減に学べと(二度目‥‥‥数えるのはもうやめていた)
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‥‥‥何度も何度も、経験しているはずである。
昔からと言うか、その力を見た時からと言うか、何と言うか‥‥‥人と言うのは、学ぶ生き物のはず。
だがしかし、それでもやらかす時はやらかし、どうしようもないことがある。
「そう、全員の全力でやった時の凄まじさを知っているはずだったが…‥‥やらかしたな」
「お兄ちゃん‥‥‥何やっているの」
「あらあらまぁまぁ、これまたすごい感じに出来上がったわねぇ」
建て直しされた実家の状態を見て、妹と母がそう口にするが、何とも言えない。
着工して素早く完成したのは良いのだが、ややシャレにはならないだろう。
「設計図を何度か書き直しながら、計算して作ったはずなのですが‥‥‥‥調子に乗り過ぎましたネ」
「最上級の樹木を使ってしまいましたわ」
「溶接作業もやったでござるが、継ぎ目も分からぬでござるなぁ」
「元聖女ゆえに、建物への祝福を‥‥‥とも思ったが、やり過ぎたかもしれぬ」
ノイン、カトレア、ルビー、ゼネがそうつぶやきつつも、その現状を見て彼女達もやり過ぎたと思っている様子。
「グゲェグゲェグゲェェ」
「んー、冷え込むでありんすが、雪が積もってない分動きやすかったでありんすねぇ」
「雪、カット済み、でも絶好調。やり切った」
「引っ張り上げるのは、大変だったがな…‥‥でも、完成すると達成感があるな」
ふぅっと安堵の息を吐きつつも、リリス、リザ、アナスタシア、レイアは満足そうにつぶやく。
「いやはや、陸上でも過ごしやすいように、夏場も楽な小さなプールも作れてよかったぜ!」
「切り裂き/剥き/建設作業/良い刺激」
「いやこれ、今さらだけどやり過ぎたような気がしなくもないのだ‥‥‥常識、自分は持っているはずなのだ」
「ピャァァ?パパ、ママたち、一緒にやれてよかったよ!!」
ティア、ルン、スルーズ、セレナイトも感想を言うが…‥‥うん、楽しかったけど、やり過ぎた気がしなくもない。
もしもこの場に、ルナティアやアリス、ミウがいたらどう言ったのだろうかとも考えたが、彼女たちならばツッコミを入れるだろうか?
とにもかくにも、俺たちは今…‥‥元の家の跡影もない邸に対して、そうつぶやき合うしかないのであった。
建て直した、実家。普通の一軒家から、立派な豪邸へと変貌を遂げてしまった。
全員で手早く作業を済ませて、協力して確認し合い、あちこちの不安要素なども取り除きつつ、帰郷時でもゆったりと過ごせるようにして、母さんの老後なども考慮していたはずだが…‥‥何をどうしてこうなったのだろうか?
見よ、庭だけでも選定された植え込みが見事な像を作り上げている光景を。
見よ、大きな扉ではあるが、自動で開き、内部には豪勢な玄関やその他多くの部屋が出来上がっている光景を。
見よ、室内はそれぞれが過ごしやすいようにこだわりまくり、類を見ない豪華さになっている光景を。
‥‥‥ああ、うん、俺もツッコミを流石に放棄せざるを得ないだろう。
と言うか、彼女達の力の凄まじさは十分理解していたはずなのに、全員で力を合わせればそりゃこうなるのも無理はないというか、いい加減俺も学べと言いたいが…‥‥やらかしてしまった。
「気のゆるみと言うか、油断って怖いなぁ…‥‥」
「お兄ちゃん、今後油断禁止にして欲しいの…‥‥」
‥‥‥妹からの辛辣なツッコミが、今の俺の心には効くのであった。
自分で言っておいてなんだが、ある程度の高揚感とかそういうのって怖いなぁ‥‥‥調子に乗ってやらかす人って、もしやこういうことがあるせいか?
「‥‥‥なんか今、ディーがやらかした気がするわね」
「そんな事を言わずとも、やらかしている気配はしているな」
「なんというか、僕らの方も彼らにずいぶん毒されているというか、勘で分かるようになったよねぇ」
ディーが自身のやらかしに対して遅い後悔をしている中、王城の方でミウがつぶやくと、ゼノバースとグラディがツッコミを入れた。
冬季休暇ゆえに、王族の者たちもそれぞれ集まっているのだが、第3王子であるエルディムの姿はそこにはない。
「ああ、そういえば婚約者と共に新婚旅行に行くって言ってたな…‥‥まだ挙式も上げていないのに、早すぎないか?」
「まぁ、普通は王族の挙式は色々と準備がいるのだが…‥‥あいつは手早くやったからなぁ」
「こういう時だけ、仕事が早すぎるのもどうなのかしらね…‥‥」
この場にいない第3王子の事を思うと、はぁぁっと諦めているように溜息を吐く。
もはや彼は戻らず、王位継承権争いから脱落したのは良いのだが、どことなく素直には喜べないのである。
とは言え、ミウの方もディーの元に嫁ぐことから、彼女も王位継承権も放棄しており…‥‥第1王子であるゼノバースと第2王子であるグラディとの争いだけになっていた。
「しかし、あと数年もしないうちに卒業できるのは良いのだが…‥‥」
「父上、無茶なものを出してきたな‥‥‥」
「‥‥‥嫁ぐことになって、良かったかもしれない」
はぁぁっと再び溜息を吐く王子たちを見て、ミウはぼそっとそうつぶやく。
王位継承しなくていい立場になったのは良いのだが、する立場である彼らには今回、国王からとある課題が出されたのだ。
それが、どうも次期国王の座に関して影響する類のようであり…‥‥かなりの難題と言うか、面倒事の様子。
だがしかし、その内容は外部には漏らせないようで、家族でも秘密にさせられるようで、ミウは聞いていない。
けれども、父である国王のこれまでの行動やその他諸々を考慮すると、とんでもない事をやらされそうになっているのだと推測はできる。
そのため、今は関係ない争いごとから脱出出来ていることに、ほっと安堵の息をつくのであった‥‥‥
「でも、これを出してきたってことは、もうすぐ退位する気か」
「結構しがみついていたけど、あっさり離すような‥‥‥でも、この課題を出してきているからあっさりでもないのか」
「そのあたりは不明だが‥‥‥‥もしや父上、ディーが卒業後に諜報になっても何かしらやらかされそうで、それから逃げるために退位を決めているのでは?」
「いやいや、流石にあの父上でもそんなことは‥‥‥‥ありえるのか」
‥‥‥そして王子たちは、出てきたその疑惑に頭を抱えたくはなったが、詳しい事は後で聞き出そうと心に決めるのであった。
昔からと言うか、その力を見た時からと言うか、何と言うか‥‥‥人と言うのは、学ぶ生き物のはず。
だがしかし、それでもやらかす時はやらかし、どうしようもないことがある。
「そう、全員の全力でやった時の凄まじさを知っているはずだったが…‥‥やらかしたな」
「お兄ちゃん‥‥‥何やっているの」
「あらあらまぁまぁ、これまたすごい感じに出来上がったわねぇ」
建て直しされた実家の状態を見て、妹と母がそう口にするが、何とも言えない。
着工して素早く完成したのは良いのだが、ややシャレにはならないだろう。
「設計図を何度か書き直しながら、計算して作ったはずなのですが‥‥‥‥調子に乗り過ぎましたネ」
「最上級の樹木を使ってしまいましたわ」
「溶接作業もやったでござるが、継ぎ目も分からぬでござるなぁ」
「元聖女ゆえに、建物への祝福を‥‥‥とも思ったが、やり過ぎたかもしれぬ」
ノイン、カトレア、ルビー、ゼネがそうつぶやきつつも、その現状を見て彼女達もやり過ぎたと思っている様子。
「グゲェグゲェグゲェェ」
「んー、冷え込むでありんすが、雪が積もってない分動きやすかったでありんすねぇ」
「雪、カット済み、でも絶好調。やり切った」
「引っ張り上げるのは、大変だったがな…‥‥でも、完成すると達成感があるな」
ふぅっと安堵の息を吐きつつも、リリス、リザ、アナスタシア、レイアは満足そうにつぶやく。
「いやはや、陸上でも過ごしやすいように、夏場も楽な小さなプールも作れてよかったぜ!」
「切り裂き/剥き/建設作業/良い刺激」
「いやこれ、今さらだけどやり過ぎたような気がしなくもないのだ‥‥‥常識、自分は持っているはずなのだ」
「ピャァァ?パパ、ママたち、一緒にやれてよかったよ!!」
ティア、ルン、スルーズ、セレナイトも感想を言うが…‥‥うん、楽しかったけど、やり過ぎた気がしなくもない。
もしもこの場に、ルナティアやアリス、ミウがいたらどう言ったのだろうかとも考えたが、彼女たちならばツッコミを入れるだろうか?
とにもかくにも、俺たちは今…‥‥元の家の跡影もない邸に対して、そうつぶやき合うしかないのであった。
建て直した、実家。普通の一軒家から、立派な豪邸へと変貌を遂げてしまった。
全員で手早く作業を済ませて、協力して確認し合い、あちこちの不安要素なども取り除きつつ、帰郷時でもゆったりと過ごせるようにして、母さんの老後なども考慮していたはずだが…‥‥何をどうしてこうなったのだろうか?
見よ、庭だけでも選定された植え込みが見事な像を作り上げている光景を。
見よ、大きな扉ではあるが、自動で開き、内部には豪勢な玄関やその他多くの部屋が出来上がっている光景を。
見よ、室内はそれぞれが過ごしやすいようにこだわりまくり、類を見ない豪華さになっている光景を。
‥‥‥ああ、うん、俺もツッコミを流石に放棄せざるを得ないだろう。
と言うか、彼女達の力の凄まじさは十分理解していたはずなのに、全員で力を合わせればそりゃこうなるのも無理はないというか、いい加減俺も学べと言いたいが…‥‥やらかしてしまった。
「気のゆるみと言うか、油断って怖いなぁ…‥‥」
「お兄ちゃん、今後油断禁止にして欲しいの…‥‥」
‥‥‥妹からの辛辣なツッコミが、今の俺の心には効くのであった。
自分で言っておいてなんだが、ある程度の高揚感とかそういうのって怖いなぁ‥‥‥調子に乗ってやらかす人って、もしやこういうことがあるせいか?
「‥‥‥なんか今、ディーがやらかした気がするわね」
「そんな事を言わずとも、やらかしている気配はしているな」
「なんというか、僕らの方も彼らにずいぶん毒されているというか、勘で分かるようになったよねぇ」
ディーが自身のやらかしに対して遅い後悔をしている中、王城の方でミウがつぶやくと、ゼノバースとグラディがツッコミを入れた。
冬季休暇ゆえに、王族の者たちもそれぞれ集まっているのだが、第3王子であるエルディムの姿はそこにはない。
「ああ、そういえば婚約者と共に新婚旅行に行くって言ってたな…‥‥まだ挙式も上げていないのに、早すぎないか?」
「まぁ、普通は王族の挙式は色々と準備がいるのだが…‥‥あいつは手早くやったからなぁ」
「こういう時だけ、仕事が早すぎるのもどうなのかしらね…‥‥」
この場にいない第3王子の事を思うと、はぁぁっと諦めているように溜息を吐く。
もはや彼は戻らず、王位継承権争いから脱落したのは良いのだが、どことなく素直には喜べないのである。
とは言え、ミウの方もディーの元に嫁ぐことから、彼女も王位継承権も放棄しており…‥‥第1王子であるゼノバースと第2王子であるグラディとの争いだけになっていた。
「しかし、あと数年もしないうちに卒業できるのは良いのだが…‥‥」
「父上、無茶なものを出してきたな‥‥‥」
「‥‥‥嫁ぐことになって、良かったかもしれない」
はぁぁっと再び溜息を吐く王子たちを見て、ミウはぼそっとそうつぶやく。
王位継承しなくていい立場になったのは良いのだが、する立場である彼らには今回、国王からとある課題が出されたのだ。
それが、どうも次期国王の座に関して影響する類のようであり…‥‥かなりの難題と言うか、面倒事の様子。
だがしかし、その内容は外部には漏らせないようで、家族でも秘密にさせられるようで、ミウは聞いていない。
けれども、父である国王のこれまでの行動やその他諸々を考慮すると、とんでもない事をやらされそうになっているのだと推測はできる。
そのため、今は関係ない争いごとから脱出出来ていることに、ほっと安堵の息をつくのであった‥‥‥
「でも、これを出してきたってことは、もうすぐ退位する気か」
「結構しがみついていたけど、あっさり離すような‥‥‥でも、この課題を出してきているからあっさりでもないのか」
「そのあたりは不明だが‥‥‥‥もしや父上、ディーが卒業後に諜報になっても何かしらやらかされそうで、それから逃げるために退位を決めているのでは?」
「いやいや、流石にあの父上でもそんなことは‥‥‥‥ありえるのか」
‥‥‥そして王子たちは、出てきたその疑惑に頭を抱えたくはなったが、詳しい事は後で聞き出そうと心に決めるのであった。
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