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330 平穏の代償は払ってないけど
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‥‥‥最後の最後に落とされた、国王陛下による爆弾発言。
と言うか普通は、王女を降嫁するなら公爵家になるとかそもそも本人の意思を無視してはいけないというか…‥‥色々とツッコミどころがあるだろう。
とは言え、そのツッコミの役割は昨晩既に果たされており、一夜明けた今、説明をゆっくり受ける事も兼ねて、ディーの邸にて関係者が集合していた。
なお、国王は流石にこの場にはいない。城伯と言えども位は低い方だし、国王がわざわざ来る場所でもないし…‥‥
「あと、お父様は当分公務でも人前に出られなくなりましたよ。詳細は省きますけれども、王位継承権交代は早まったと見て良いわ」
「そうなのか?」
「ええ、グラディ兄様にゼノバース兄様が、良い笑顔で葬っている最中ですもの。音は聞こえないように色々とやる手もあるのです」
ノインが出した紅茶を飲みつつ、そう説明してくれるのはこの国の第1王女ミウ。
頭が痛そうに、苦々しげな表情をしながらそう言うのだが、国王がどうなったのか大体推測ができてしまう。
「一応、これで繋がりを持つので、無音の魔道具を貸し出しましたが‥‥‥まぁ、万が一が合っても治療はできますので、大丈夫だと思われマス」
「ええ、ありがとうノインさん」
そしてちゃっかりと、ノインから何やら道具を借りたようで、国王の安否は不明となった。
うん、世の中知らないほうがいいこともあるし、断末魔が聞こえないのであれば問う必要もない。
断末魔…‥‥いや、逝ったと考えるのは早すぎだと思うが、そうなってもおかしくないだろうなぁ‥‥‥あの第1王子とか、何となくシスコンの気があった気がするしな。
とにもかくにも、国王が逝ったかどうかは置いておいて、今はなすべきことはそのやらかした内容。
各国共通の諜報としては良いのだが‥‥‥
『それとついでだが、各国からバランスとして鎖も必要となり、我が国から其方に王女を入嫁させることになった。他国からもあるが心しておくがよい』
「‥‥‥このセリフに関して、聞いてないのだが」
「それもそうなのよね。いえ、各国のバランス関係に関しては話には出ていたのだけれども…‥‥」
ノインが記録していた音声を再生し、話を聞くも王女様…‥‥ミウの方も寝耳に水だったようだ。
王女から嫁ぐそうなので、普通に親しく呼んでほしいとも言われたが、流石にその発言は驚く。
「そもそもディー、あなたの事を考えて、お父様はそう発言したと思うのよ」
「というと?」
「‥‥‥アリス、ルナティア、あなたたちがいるからね」
「ニャ?」
「え?」
ミウの言葉に対して、同席していたルナティアとアリスも驚くような表情になる。
色々と説明を聞けば、どうやら話に出ていた「鎖」が関係するそうだ。
‥‥‥仮面の組織、フェイスマスクも潰れ、世界にとっての脅威が消えたと言っていいだろう。
ノインの話だと、あのバケモノに関しては色々と知っていることもあったらしく、そちらの関係者にも再召喚不可能状態の間に話し合いをしたらしく、今後は同類が出ないようにするらしい。
けれども、その脅威が消えたのであれば、次に考えるのは…‥‥その脅威への対抗手段であった俺たちだったらしい。
大きな力が消されたのであれば、それはより大きな力が出たという事。
よく物語などで勧善懲悪、悪を倒して正義が勝つというのもあるが…‥‥その正義が悪へ堕ちないという保証はない。
力がより上な分、俺たちが人々へ牙をむけばどうなるのか、それこそ不安ではないかと言うような声が合ったらしく、国の上層部では何かともめていたそうである。
俺自身は、特に何をするわけでもなく、召喚獣たちと共に卒業後には諜報となり、世界中を見て回る程度にしか考えていなかったが、それでも脅威に映る人はいる。
とは言え、普通に考えてもその脅威を取り除く手段は中々なく、普段の俺たちを知っている人たちでもそんなことはしないと分かっていても、不安な人たちには分かってもらえない。
なので、良い落としどころを模索して‥‥‥‥俺たちに各国からの鎖を付けることにしたそうである。
信用し切られないのは残念に思うところもあるが、それで不安を払拭できるならばいいだろう。
「なるほど…‥‥ご主人様と他国とのつながりを付ける事で、ある程度の信用性も確保するのですネ?」
「ええ、そうね。何度も関わっているところならばわかっているけど、関わってないところだと難しいでしょうし‥‥‥だからこそ、つなぎとめる名目でよこされたようなものなのよね」
なお、今回の場合第1王女が城伯の元に来るのであれば、入嫁ではなく降嫁と言う方が正しいような気がするのだが‥‥‥一応、あくまでも形式上のもので、王籍を完全に抜いたわけではない。
「ついでに言うのであれば、この手段としては既に近い物をとっているわよね?」
「え?」
「ほら、アリスにルナティア‥‥‥ついでに言えばゼネもそうなるわよ?」
「何で儂もなのじゃよ?」
「あ、そっか…‥‥ゼネって元聖女だからか!」
言われてみればそうである。
アリスはガランドゥ王国、ルナティアは森林国で、ゼネの場合は生前の出身は聖国である。
とはいえ立場としてはそれぞれ位が違うのだが…‥‥それでも、各国とそれなりに関わっていることを考えるのであれば似たような手を取っていると受け止められてもおかしくはない。
だからこそ、他の国も同様の手段をとればいいと思ったようなのである。
「‥‥‥とは言え、そうバンバンとやってくることは無いはずよ。あくまでも代表的な国々からと言う事にして置けば、それで良いと思う人が多いからね」
今あげた国々でもそれなりに発言力を持ちつつ、バランスを取れているのであれば現状これで良いらしい。
ただし今後、まだまだ増える可能性もあるのだが…‥‥それでも、あまりにも人が多いとディーへの負担も大きいと考え、むしろ関係悪化に繋がりかねないような人材を送っては不味いというのもあるらしい。
そのため厳正なテストなどもあるだろうけれども、この大陸だけでの主要な国々から出ているのであれば良いと判断されたらしい。
「ついでにルナティア、あなた宛てに国書が届いているわよ」
「ニャ?森林国から…‥‥何かニャ?」
っと、ここで思い出したかのようにアリスが手紙を取り出し、ルナティアがそれに目を通した。
そして読み終え…‥‥見間違いかなと言いたいように目をこすりつつも、何度か内容を読んで、それが現実であると認識させられた。
「‥‥‥実家、なんか位が向上したニャ」
「え?どういうことだ?」
「ふむ‥‥‥バランスをとるためですカ」
ルナティアの言葉に対して、何が起きたのかノインはすぐに分かったらしい。
「面子だけを見れば、ルナティアだけは位は平民…‥‥森林国は議会制の国とは言え、それでもできるだけ上位にしたほうが良いと判断して、そのくらいを引き上げたのでしょウ」
「養女とかにはされなかったようだけど…‥‥いきなり貴族様の仲間入りとされちゃったようだニャ…‥‥」
遠い目をして、ルナティアはつぶやく。
いつのまにか立場を合わせるために位を引き上げされた現実が信じられないのだろう。
‥‥‥個人的にはそんなものは気にしていることもなかったのだが…‥‥一応、国の面子と言うのもあるのかもしれない。
「そういうわけで、今日から私もここでお世話になるわね。これからよろしく‥‥‥ディー」
そう言いながらミウはにっこりと笑い、皆へ改めて挨拶をするのであった‥‥‥‥
「‥‥しかし、それじゃと儂もどうなるのかが怖いのじゃが。儂、たしかに元聖女なのじゃが、冤罪で処刑された上に今はナイトメア・ワイトの身じゃぞ?聖国とのつながりと言われても、むしろあそこにはトラウマしかないのじゃが…‥‥」
「そうなのかしら?でも、聖国の方からは祝いの品なども送られてきているそうよ」
「は?聞いてもいないのじゃが?‥‥‥ああ、妹たちかのぅ‥‥」
‥‥‥こちらはこちらで遠い目になったが、トラウマ製造機の事は考えたくないな…‥‥以前の襲撃で大人しくなってたけど、これでまたぶり返したりとかしてないよな?
もしも、あのウルトラハイパーグレードシスコン拗らせ軍団が再び火を灯したのであれば、下手すると俺の命が狙われかねない気がするが…‥‥うん、祝いの品などを見ると、流石にそこまで行きすぎてはいないと強く思いたい…‥‥
と言うか普通は、王女を降嫁するなら公爵家になるとかそもそも本人の意思を無視してはいけないというか…‥‥色々とツッコミどころがあるだろう。
とは言え、そのツッコミの役割は昨晩既に果たされており、一夜明けた今、説明をゆっくり受ける事も兼ねて、ディーの邸にて関係者が集合していた。
なお、国王は流石にこの場にはいない。城伯と言えども位は低い方だし、国王がわざわざ来る場所でもないし…‥‥
「あと、お父様は当分公務でも人前に出られなくなりましたよ。詳細は省きますけれども、王位継承権交代は早まったと見て良いわ」
「そうなのか?」
「ええ、グラディ兄様にゼノバース兄様が、良い笑顔で葬っている最中ですもの。音は聞こえないように色々とやる手もあるのです」
ノインが出した紅茶を飲みつつ、そう説明してくれるのはこの国の第1王女ミウ。
頭が痛そうに、苦々しげな表情をしながらそう言うのだが、国王がどうなったのか大体推測ができてしまう。
「一応、これで繋がりを持つので、無音の魔道具を貸し出しましたが‥‥‥まぁ、万が一が合っても治療はできますので、大丈夫だと思われマス」
「ええ、ありがとうノインさん」
そしてちゃっかりと、ノインから何やら道具を借りたようで、国王の安否は不明となった。
うん、世の中知らないほうがいいこともあるし、断末魔が聞こえないのであれば問う必要もない。
断末魔…‥‥いや、逝ったと考えるのは早すぎだと思うが、そうなってもおかしくないだろうなぁ‥‥‥あの第1王子とか、何となくシスコンの気があった気がするしな。
とにもかくにも、国王が逝ったかどうかは置いておいて、今はなすべきことはそのやらかした内容。
各国共通の諜報としては良いのだが‥‥‥
『それとついでだが、各国からバランスとして鎖も必要となり、我が国から其方に王女を入嫁させることになった。他国からもあるが心しておくがよい』
「‥‥‥このセリフに関して、聞いてないのだが」
「それもそうなのよね。いえ、各国のバランス関係に関しては話には出ていたのだけれども…‥‥」
ノインが記録していた音声を再生し、話を聞くも王女様…‥‥ミウの方も寝耳に水だったようだ。
王女から嫁ぐそうなので、普通に親しく呼んでほしいとも言われたが、流石にその発言は驚く。
「そもそもディー、あなたの事を考えて、お父様はそう発言したと思うのよ」
「というと?」
「‥‥‥アリス、ルナティア、あなたたちがいるからね」
「ニャ?」
「え?」
ミウの言葉に対して、同席していたルナティアとアリスも驚くような表情になる。
色々と説明を聞けば、どうやら話に出ていた「鎖」が関係するそうだ。
‥‥‥仮面の組織、フェイスマスクも潰れ、世界にとっての脅威が消えたと言っていいだろう。
ノインの話だと、あのバケモノに関しては色々と知っていることもあったらしく、そちらの関係者にも再召喚不可能状態の間に話し合いをしたらしく、今後は同類が出ないようにするらしい。
けれども、その脅威が消えたのであれば、次に考えるのは…‥‥その脅威への対抗手段であった俺たちだったらしい。
大きな力が消されたのであれば、それはより大きな力が出たという事。
よく物語などで勧善懲悪、悪を倒して正義が勝つというのもあるが…‥‥その正義が悪へ堕ちないという保証はない。
力がより上な分、俺たちが人々へ牙をむけばどうなるのか、それこそ不安ではないかと言うような声が合ったらしく、国の上層部では何かともめていたそうである。
俺自身は、特に何をするわけでもなく、召喚獣たちと共に卒業後には諜報となり、世界中を見て回る程度にしか考えていなかったが、それでも脅威に映る人はいる。
とは言え、普通に考えてもその脅威を取り除く手段は中々なく、普段の俺たちを知っている人たちでもそんなことはしないと分かっていても、不安な人たちには分かってもらえない。
なので、良い落としどころを模索して‥‥‥‥俺たちに各国からの鎖を付けることにしたそうである。
信用し切られないのは残念に思うところもあるが、それで不安を払拭できるならばいいだろう。
「なるほど…‥‥ご主人様と他国とのつながりを付ける事で、ある程度の信用性も確保するのですネ?」
「ええ、そうね。何度も関わっているところならばわかっているけど、関わってないところだと難しいでしょうし‥‥‥だからこそ、つなぎとめる名目でよこされたようなものなのよね」
なお、今回の場合第1王女が城伯の元に来るのであれば、入嫁ではなく降嫁と言う方が正しいような気がするのだが‥‥‥一応、あくまでも形式上のもので、王籍を完全に抜いたわけではない。
「ついでに言うのであれば、この手段としては既に近い物をとっているわよね?」
「え?」
「ほら、アリスにルナティア‥‥‥ついでに言えばゼネもそうなるわよ?」
「何で儂もなのじゃよ?」
「あ、そっか…‥‥ゼネって元聖女だからか!」
言われてみればそうである。
アリスはガランドゥ王国、ルナティアは森林国で、ゼネの場合は生前の出身は聖国である。
とはいえ立場としてはそれぞれ位が違うのだが…‥‥それでも、各国とそれなりに関わっていることを考えるのであれば似たような手を取っていると受け止められてもおかしくはない。
だからこそ、他の国も同様の手段をとればいいと思ったようなのである。
「‥‥‥とは言え、そうバンバンとやってくることは無いはずよ。あくまでも代表的な国々からと言う事にして置けば、それで良いと思う人が多いからね」
今あげた国々でもそれなりに発言力を持ちつつ、バランスを取れているのであれば現状これで良いらしい。
ただし今後、まだまだ増える可能性もあるのだが…‥‥それでも、あまりにも人が多いとディーへの負担も大きいと考え、むしろ関係悪化に繋がりかねないような人材を送っては不味いというのもあるらしい。
そのため厳正なテストなどもあるだろうけれども、この大陸だけでの主要な国々から出ているのであれば良いと判断されたらしい。
「ついでにルナティア、あなた宛てに国書が届いているわよ」
「ニャ?森林国から…‥‥何かニャ?」
っと、ここで思い出したかのようにアリスが手紙を取り出し、ルナティアがそれに目を通した。
そして読み終え…‥‥見間違いかなと言いたいように目をこすりつつも、何度か内容を読んで、それが現実であると認識させられた。
「‥‥‥実家、なんか位が向上したニャ」
「え?どういうことだ?」
「ふむ‥‥‥バランスをとるためですカ」
ルナティアの言葉に対して、何が起きたのかノインはすぐに分かったらしい。
「面子だけを見れば、ルナティアだけは位は平民…‥‥森林国は議会制の国とは言え、それでもできるだけ上位にしたほうが良いと判断して、そのくらいを引き上げたのでしょウ」
「養女とかにはされなかったようだけど…‥‥いきなり貴族様の仲間入りとされちゃったようだニャ…‥‥」
遠い目をして、ルナティアはつぶやく。
いつのまにか立場を合わせるために位を引き上げされた現実が信じられないのだろう。
‥‥‥個人的にはそんなものは気にしていることもなかったのだが…‥‥一応、国の面子と言うのもあるのかもしれない。
「そういうわけで、今日から私もここでお世話になるわね。これからよろしく‥‥‥ディー」
そう言いながらミウはにっこりと笑い、皆へ改めて挨拶をするのであった‥‥‥‥
「‥‥しかし、それじゃと儂もどうなるのかが怖いのじゃが。儂、たしかに元聖女なのじゃが、冤罪で処刑された上に今はナイトメア・ワイトの身じゃぞ?聖国とのつながりと言われても、むしろあそこにはトラウマしかないのじゃが…‥‥」
「そうなのかしら?でも、聖国の方からは祝いの品なども送られてきているそうよ」
「は?聞いてもいないのじゃが?‥‥‥ああ、妹たちかのぅ‥‥」
‥‥‥こちらはこちらで遠い目になったが、トラウマ製造機の事は考えたくないな…‥‥以前の襲撃で大人しくなってたけど、これでまたぶり返したりとかしてないよな?
もしも、あのウルトラハイパーグレードシスコン拗らせ軍団が再び火を灯したのであれば、下手すると俺の命が狙われかねない気がするが…‥‥うん、祝いの品などを見ると、流石にそこまで行きすぎてはいないと強く思いたい…‥‥
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