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319 斜め上にはいかないように
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‥‥‥国王陛下から、ドラゴンの卵をいただき、1週間ほどが経過した。
一応まだ学生の身ゆえに四六時中温めることはできないのだが、ここは召喚士として召喚獣たちがいることによって、卵が冷えることは防げている。
皆が順番を決めて交代しながら、卵を温めることができたからだ。
「まぁ、これも将来のことを考えると勉強になるでござるしな…‥‥種族の本能としてはまだ嫌でござるが、産まれる赤子には罪もないでござるし、良い予行練習にはなるのでござるよ」
「そうでありんすねぇ。わっちとしても、こうやってとぐろを巻きつつ締め上げ過ぎないようにする練習になって、良いでありんすよ」
「んー、こうやって抱くのも悪くないぜ!良い子が出てこーい!できれば強い奴に!」
特に、卵生と思われるルビー、リザ、ティアたちが一番協力的であった。そう言えば、種族的に見るとは繁殖方法は卵だしね‥‥‥でも将来の予行演習とかといわれると、ちょっと考えてしまうところもある。
何にしても、皆が卵を温め合い、時々ノインが検卵を行うのだが、順調に育っているようである。
「そろそろ生まれて良い頃合いですので、目が離せませんネ。早い孵化の分、体躯は小さいらしいので、しっかりと孵化後の保温などが欠かせませんからネ」
「そうなのか?」
「ハイ。しかも、ファフニールの卵とあれば、これはこれで良いデータが取れそうデス。ドラゴンの幼体自体が、お目にかかりにくいですからネ」
ノインも楽しみのようで、頭のアホ毛がいつもよりもぴょこぴょこと機嫌よく動いているように見える。
「それで、また増えるようだけど‥‥‥大所帯になっているニャ」
「それもそうですよね。何かと人数が多いですし、これはこれで大変ですわね」
「と言いながら、二人も孵化は見逃せないんだろ?」
「そりゃそうニャ。誕生は中々大きな出来事になるからニャ」
「色々楽しみですわね」
ルナティアにアリスも、それぞれ見に来ているが…‥‥卵の孵化が楽しみな気持ちはよく分かる。
というか、召喚士になってからようやく最初のころの望みに合ったカッコイイドラゴンを召喚獣に出来そうな機会に期待を抱くからなぁ…‥‥ルビーもドラゴンの仲間と言えば仲間だけど、外見が違うからね。
何にしても、皆が孵化を楽しみにしている中、ついにその時が来た。
ぴき!
「お、旦那様、そろそろ孵化するようだぞ!!」
放課後、スルーズが大きな狐の姿で、そのモフモフに卵を沈めている中、ふと卵の割れる音が鳴り、彼女が叫ぶ。
慌てて全員が集まって、スルーズがそっと卵を割らないように置き、その割れていく光景を皆で確認していく。
ぴきぃ、ぱきぃ!びしぃっ!!
「おお、ひび割れが入ってきたようじゃな」
「内部から必死に割っているようですが、手出しは出来ないのデス。過程はしっかり記録しますけれどネ」
ぱきぱきぱきぃ!
「どうなる、この孵化、無事に生まれる?」
「生まれて欲しい/楽しみ」
「とはいえ、時間がかかるものですわね」
ひび割れが大きくなりつつも、中々姿を見せない中身の子。
けれども、徐々にぼろぼろと割れた欠片が落ちていき、姿を見せ始める。
ばっきぃぃぃん!
そしてついに、中身から殻をふっ飛ばし‥‥‥‥その姿を、俺たちの前に見せてくれた。
「ピャァァァァァァァァ!!」
可愛らしい雄たけびを上げながらも、出てきたのは小さなドラゴン。
ファフニールであり、真っ黒な体躯に宝石のような目が‥‥‥って、あれ?
「‥‥なんか、白くないか?」
「おかしいですね、アルビノなのでしょうカ?」
ファフニールの特徴は事前に学んでおいたのだが、出てきた幼体は何やら容姿が違っている。
真っ黒な体表のはずが、なんか真っ白だし、目も宝石のようとはいえ真っ赤なルビーのようだし‥‥‥なんか聞いていたものとは違うな?
どういうことなのか調べるために、まずは卵から出たばかりの体が乾くのを待ち、こういう事に関しての検査は得意なノインとゼネが調べてゆく。
「‥ぬ?どういうことじゃ?ファフニールは闇が得意のはずじゃが…‥‥」
「んー、遺伝子的にはアルビノって訳でもないらしいですが…‥‥これ、突然変異してマス」
「どういうことだ?」
調べ終え、怪訝そうな顔をした二人に問いかける。
「闇どころか、まったくの反対の属性を帯びているようじゃ。どちらかと言えば、光とか聖とか、そっち方面の方を得意とするのかもしれん」
「遺伝子レベルでのデータを確認しましたが…‥‥大きく反転しているようデス。元が実験台とされかけていたので、フェイスマスクの投薬などが関与と思いましたが、これ自然によるものデス」
話によれば、確かにファフニールであることは間違いないようなのだが、その性質が大きく反転しているらしい。
色合いが違うのも反転しており、中身の性質がそのまま体に現れているからこそ、この容姿になっているようだ。
「確率としてはかなり低いのですが‥‥かなり希少な個体になったようですし、体調としては悪い所もな、」
「ピャァァ!!ピヤァァァ!!」
「あ、鳴き始めた」
「‥‥‥お腹が空いているようデス。卵内の養分を既に使い切っているようですし、最初はまず、ご飯をあげましょウ」
とにもかくにも、ファフニールの幼体なのは間違いないと言えば間違いないようだ。
ただし、性質は思いっきり正反対になっているようだし、まだまだ分からないこともある。
とりあえず、無事に生まれてきてくれたことに感謝しつつ、ご飯の用意をしてもらうのであった‥‥‥‥
「そう言えば、幼体の食事ってどうするんだ?」
「そのあたりはきちんとデータ取得済みデス。事前に成長に合わせてのメニューを用意しておきましたからネ」
一応まだ学生の身ゆえに四六時中温めることはできないのだが、ここは召喚士として召喚獣たちがいることによって、卵が冷えることは防げている。
皆が順番を決めて交代しながら、卵を温めることができたからだ。
「まぁ、これも将来のことを考えると勉強になるでござるしな…‥‥種族の本能としてはまだ嫌でござるが、産まれる赤子には罪もないでござるし、良い予行練習にはなるのでござるよ」
「そうでありんすねぇ。わっちとしても、こうやってとぐろを巻きつつ締め上げ過ぎないようにする練習になって、良いでありんすよ」
「んー、こうやって抱くのも悪くないぜ!良い子が出てこーい!できれば強い奴に!」
特に、卵生と思われるルビー、リザ、ティアたちが一番協力的であった。そう言えば、種族的に見るとは繁殖方法は卵だしね‥‥‥でも将来の予行演習とかといわれると、ちょっと考えてしまうところもある。
何にしても、皆が卵を温め合い、時々ノインが検卵を行うのだが、順調に育っているようである。
「そろそろ生まれて良い頃合いですので、目が離せませんネ。早い孵化の分、体躯は小さいらしいので、しっかりと孵化後の保温などが欠かせませんからネ」
「そうなのか?」
「ハイ。しかも、ファフニールの卵とあれば、これはこれで良いデータが取れそうデス。ドラゴンの幼体自体が、お目にかかりにくいですからネ」
ノインも楽しみのようで、頭のアホ毛がいつもよりもぴょこぴょこと機嫌よく動いているように見える。
「それで、また増えるようだけど‥‥‥大所帯になっているニャ」
「それもそうですよね。何かと人数が多いですし、これはこれで大変ですわね」
「と言いながら、二人も孵化は見逃せないんだろ?」
「そりゃそうニャ。誕生は中々大きな出来事になるからニャ」
「色々楽しみですわね」
ルナティアにアリスも、それぞれ見に来ているが…‥‥卵の孵化が楽しみな気持ちはよく分かる。
というか、召喚士になってからようやく最初のころの望みに合ったカッコイイドラゴンを召喚獣に出来そうな機会に期待を抱くからなぁ…‥‥ルビーもドラゴンの仲間と言えば仲間だけど、外見が違うからね。
何にしても、皆が孵化を楽しみにしている中、ついにその時が来た。
ぴき!
「お、旦那様、そろそろ孵化するようだぞ!!」
放課後、スルーズが大きな狐の姿で、そのモフモフに卵を沈めている中、ふと卵の割れる音が鳴り、彼女が叫ぶ。
慌てて全員が集まって、スルーズがそっと卵を割らないように置き、その割れていく光景を皆で確認していく。
ぴきぃ、ぱきぃ!びしぃっ!!
「おお、ひび割れが入ってきたようじゃな」
「内部から必死に割っているようですが、手出しは出来ないのデス。過程はしっかり記録しますけれどネ」
ぱきぱきぱきぃ!
「どうなる、この孵化、無事に生まれる?」
「生まれて欲しい/楽しみ」
「とはいえ、時間がかかるものですわね」
ひび割れが大きくなりつつも、中々姿を見せない中身の子。
けれども、徐々にぼろぼろと割れた欠片が落ちていき、姿を見せ始める。
ばっきぃぃぃん!
そしてついに、中身から殻をふっ飛ばし‥‥‥‥その姿を、俺たちの前に見せてくれた。
「ピャァァァァァァァァ!!」
可愛らしい雄たけびを上げながらも、出てきたのは小さなドラゴン。
ファフニールであり、真っ黒な体躯に宝石のような目が‥‥‥って、あれ?
「‥‥なんか、白くないか?」
「おかしいですね、アルビノなのでしょうカ?」
ファフニールの特徴は事前に学んでおいたのだが、出てきた幼体は何やら容姿が違っている。
真っ黒な体表のはずが、なんか真っ白だし、目も宝石のようとはいえ真っ赤なルビーのようだし‥‥‥なんか聞いていたものとは違うな?
どういうことなのか調べるために、まずは卵から出たばかりの体が乾くのを待ち、こういう事に関しての検査は得意なノインとゼネが調べてゆく。
「‥ぬ?どういうことじゃ?ファフニールは闇が得意のはずじゃが…‥‥」
「んー、遺伝子的にはアルビノって訳でもないらしいですが…‥‥これ、突然変異してマス」
「どういうことだ?」
調べ終え、怪訝そうな顔をした二人に問いかける。
「闇どころか、まったくの反対の属性を帯びているようじゃ。どちらかと言えば、光とか聖とか、そっち方面の方を得意とするのかもしれん」
「遺伝子レベルでのデータを確認しましたが…‥‥大きく反転しているようデス。元が実験台とされかけていたので、フェイスマスクの投薬などが関与と思いましたが、これ自然によるものデス」
話によれば、確かにファフニールであることは間違いないようなのだが、その性質が大きく反転しているらしい。
色合いが違うのも反転しており、中身の性質がそのまま体に現れているからこそ、この容姿になっているようだ。
「確率としてはかなり低いのですが‥‥かなり希少な個体になったようですし、体調としては悪い所もな、」
「ピャァァ!!ピヤァァァ!!」
「あ、鳴き始めた」
「‥‥‥お腹が空いているようデス。卵内の養分を既に使い切っているようですし、最初はまず、ご飯をあげましょウ」
とにもかくにも、ファフニールの幼体なのは間違いないと言えば間違いないようだ。
ただし、性質は思いっきり正反対になっているようだし、まだまだ分からないこともある。
とりあえず、無事に生まれてきてくれたことに感謝しつつ、ご飯の用意をしてもらうのであった‥‥‥‥
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