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295 普通にそこは理解しているので
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ダンジョンも崩落を確認し、まだ残る夏季休暇。
流石にこれ以上の厄介事はあってほしくないなと思いつつ、のんびりと帰郷生活をディーは楽しんでいた。
「というか、こういう平和が本当に良いよなぁ。心穏やかというか…‥あ、餌だけ持ってかれた」
「んー、惜しいでござるな。拙者の方もやられたでござるよ」
「手づかみの方が早いぜ?」
「釣りの意味、無くなる」
村近くの川にて、今はのんびりと釣りを行っていたが‥‥‥残念ながら今日は調子が悪いらしい。
「カトレア、もう少し木蔭で覆えないかな?やっぱりちょっと暗くした方が釣れやすい気がする」
「わかりましたわ…‥っと、このぐらいかしら?」
「ああ、そのぐらいでいいかな」
ギラギラと太陽が照り付けるが、カトレアが近くに大木を生やし、その木蔭のおかげで守られるので問題ない。
全員でそろって川辺に並び、釣りを楽しむのも中々良いだろう。
「ふわぁぁ‥‥‥釣れないんだけどー、お兄ちゃん」
「まぁ、調子が悪いとこうだからなぁ」
とはいえ、釣りについて来たセラはこの不漁具合につまらなさそうで欠伸をしていた。
そして妹の頭の方には‥‥‥
「チュルルピィ」
「こっちは既に寝ているな」
「まぁ、草食ですし、魚に興味自体が無いのでしょウ」
蝶の飾りのように見えるけれども、そうではないモンスター。
もうすっかり元気になったが、妹に懐いたらしい蝶のモンスターであるウルバリーが眠りこけていた。
騒動が終わった後、ようやく体力が回復したのかウルバリーが飛び始めた。
けれども、何やら懐いた様子で妹の頭にくっつき、野生に帰ることをしなかったのである。
なので今は、ちょっとペットのように妹の頭にいるのであった。
「とはいえ、俺は名前を付けないからな?迂闊に契約でもして召喚獣になったら、それこそまた目も当てられないようなやらかしがありかねないしなぁ‥‥‥」
「御前様のその言葉、物凄く説得力があるのぅ…‥‥」
また美女とかそう言うのになられても困るし、これ以上増やす気もない。
なので、俺が名づけるのではなくセラが適当に「ウル太郎」と名付けておいた。
これで召喚契約を結ばずに済むかは不安なので名前を呼ぶ気はないが…‥‥もうちょっとネーミングはどうにかならなかったのかと思う。
何にしてもペットが増えたのは良いし、俺の方も増やさずに済んだのは幸いだろう。
「グゲェ!!グゲグゲェ!!」
「っと、リリスの竿に今度は食いついた!!逃すなよ!!」
「グゲェ!!」
今一つ釣れない中で、今度はリリスの持っていた竿に魚が食いついたようだ。
逃さないようにと思っていたら…‥‥
ぶちん!!
「「「「「あ」」」」」
‥‥‥まさかの釣り糸が千切れてしまい、見事に逃げられるのであった。
「…‥‥まぁ、こういうこともあるか」
「まどろっこしい/直接/串刺し駄目?」
「釣りなのにそれをやったら駄目だろ」
「いっそ、わっちが上流で水を酒に換えて酔わせてしまう方が楽でありんすかねぇ?」
「毒を投げ込む漁があるそうなので、その類になると思われマス。ですがそれをやられると、魚が全部酒漬けになりますので駄目デス」
ディーたちが平穏な時間を過ごしている丁度その頃。
王城の方では、グラディとゼノバースが机に伏していた。
「…‥‥争う相手が減ったのは良いが」
「‥‥‥こうも見せつけられると辛いな」
「甘いですしねぇ…‥‥苦い物とかが欲しくなりますわよね」
伏している王子たちに対して、王女はそう答えるが、彼女の方も苦笑している。
それもそうだろう。今、王城の中庭の方では甘ったるい光景があるのだから。
「まぁ、何にしても愚弟が婚約者を得て、臣下に下るという方に入ったのは良いのだが‥‥‥海洋王国の方から問い合わせも来たからな」
「まだまだごたついていそうなのに、彼らを引き取りたいって言うしね‥」
中庭の方には、第3王子とその婚約者となったハルモニアが今、甘い時間を過ごしていた。
というか、そのあまりのあまあまぶりには流石に糖分が多すぎたようで、現在王城内苦いものなどの需要が高まっており、やや不足しているのだ。
それに加えて、ハルモニアの出身国である海洋王国モルゼ…‥‥様々なことあがったせいでただ今立て直し中の国からも話があり、少々面倒なことになっていた。
「王家の血筋認定はされていないけど、第8王女が認められていなくとも妹が傍にいて欲しいという話が来たからね。まぁ、今は王女ではなく女王扱いらしいけれど…‥‥」
「臣下たちの力を借りて立て直し中だが、家族がいないというのも寂しいのだろう。気持ちが分からなくもないが、そもそもどこでハルモニアの生存が…‥‥いや、考えればわかってしまうか」
何にしても、この話によるとハルモニアの身柄を海洋王国の方に引き渡してほしいそうである。
もともと排斥してきた国が言うなと思うが、どうやら色々と寂しいのもあり、精神的な癒しを求めているのだろう。
だからこそ、公の場で認められずとも妹を手元に置きたいようである。
「調査によると、第8王女は元々王家だとかそう言うのは関係ないし、妹大事だったようだからねぇ。変な奴が支配していたせいで、従わざるを得なかったんだろうけど、もうそこは吹っ切れたんだろうな」
王家という事で、国王の命令には従う者だ。
けれども、それが間違っているのであれば止めなければいけなかったが…‥‥それがそう簡単にできなかった第8王女。
でも、海洋王国を襲った騒動を通してそのあたりの整理が付き、そのような面倒な考えから解放されたようである。
今は海洋王国の復興のために頑張っているようだが…‥‥まだまだ、問題は山積みな様子。
「だからこそ、万が一のことも考えたいのだろう。認められずともハルモニアは彼女の妹であり、子を成せば何とかして後継ぎにしたいというのもあるだろうからな」
なお、そう言うのであれば第8王女自身が早めに王配を得て、そちらで子を成せばいいとは思うのだが‥‥‥いかんせん、都合のいい相手がいない。
騒動のせいで彼女以外の王族が亡くなってしまったようで、精々あるのは数多くなった遺体ぐらいで、どうしようもない。
万が一のことがあれば、そこで王家が断絶する恐れもあり‥‥‥‥その恐れを出来るだけ取り除きたいようではあった。
「何にしても、エルディムも連れての国籍変更は認めたほうが良いか。もうすでに国王をやるという意思はないようだし、あの甘い様子はもう吐きそうになる」
「僕らも婚約者がいるけど、あそこまで甘くないからね…‥‥羨ましくもあるけど、流石にキツイ…‥‥」
「同感ですわね…‥‥いえ、わたくしにはいないのですけれども、あの光景は辛いものが…‥‥」
甘いものが好きな人もいるだろうが、そんな人でもおそらくは尻尾を捲いて逃げ出したくなるような、糖度120%越えの光景に、そろって溜息を吐く王子たち。
何にしても、夏季休暇の終了辺りをめどに調整が行われ、エルディムとハルモニアは海洋王国への引っ越しが決まりそうなのであった…‥‥
「ああ、そうなるとエルディムの留学の方も調整しないとな。今の海洋王国へ引っ越しさせるが、勉学などはまだ学ぶ必要がある」
「とはいえ、船が今そこまで余裕が無いらしいからねぇ。こちらから出すしかないか」
「わたくしも戻らないといけませんわね…‥‥はぁ」
…‥‥色々と面倒事が多いとはいえ、それでも彼らは王族であり、きちんと考えて決める必要がある。
国王である父親にもきちんと話を通し、そのあたりも何とかしないといけないのであった。
「ああ、わたくしも早く婚約者を内定させたいですわね…‥‥留学先で、色々と誘われるのはいいけれども、王族という部分しか見てない殿方が多いのは辛いですわね」
「むぅ、妹の幸せを考えるとそちらの方も考えないといけないが…‥‥複雑なものだな」
「いっその事、ディー君でもどうかなと言いたいけど‥‥‥城伯だし、他に召喚獣もいるからね。彼を狙う環境に入れるのはどうかと思うし、そこはどう思うのかな?」
「‥‥‥悪くはないとは思ってますけれども…‥‥色々と考えるところもありますのよねぇ」
何はともあれ、夏はまだ長いようで、じっくりと考える羽目になるのであった…‥‥‥
「ああ、そう言えばダンジョンの報告も来ていたな。潰したらしいが害にしかならかったらしいから良いが、色々と面倒なので前に失敗したダンジョンを一気に消滅させたいらしい」
「あのメイドから詳細な計画書が来たけど…‥‥コレ、下手したら地面に大穴が開くし、許可するべきなのかな?」
「…‥‥色々と無茶苦茶な人が多いってのも、考えものですわよねぇ」
流石にこれ以上の厄介事はあってほしくないなと思いつつ、のんびりと帰郷生活をディーは楽しんでいた。
「というか、こういう平和が本当に良いよなぁ。心穏やかというか…‥あ、餌だけ持ってかれた」
「んー、惜しいでござるな。拙者の方もやられたでござるよ」
「手づかみの方が早いぜ?」
「釣りの意味、無くなる」
村近くの川にて、今はのんびりと釣りを行っていたが‥‥‥残念ながら今日は調子が悪いらしい。
「カトレア、もう少し木蔭で覆えないかな?やっぱりちょっと暗くした方が釣れやすい気がする」
「わかりましたわ…‥っと、このぐらいかしら?」
「ああ、そのぐらいでいいかな」
ギラギラと太陽が照り付けるが、カトレアが近くに大木を生やし、その木蔭のおかげで守られるので問題ない。
全員でそろって川辺に並び、釣りを楽しむのも中々良いだろう。
「ふわぁぁ‥‥‥釣れないんだけどー、お兄ちゃん」
「まぁ、調子が悪いとこうだからなぁ」
とはいえ、釣りについて来たセラはこの不漁具合につまらなさそうで欠伸をしていた。
そして妹の頭の方には‥‥‥
「チュルルピィ」
「こっちは既に寝ているな」
「まぁ、草食ですし、魚に興味自体が無いのでしょウ」
蝶の飾りのように見えるけれども、そうではないモンスター。
もうすっかり元気になったが、妹に懐いたらしい蝶のモンスターであるウルバリーが眠りこけていた。
騒動が終わった後、ようやく体力が回復したのかウルバリーが飛び始めた。
けれども、何やら懐いた様子で妹の頭にくっつき、野生に帰ることをしなかったのである。
なので今は、ちょっとペットのように妹の頭にいるのであった。
「とはいえ、俺は名前を付けないからな?迂闊に契約でもして召喚獣になったら、それこそまた目も当てられないようなやらかしがありかねないしなぁ‥‥‥」
「御前様のその言葉、物凄く説得力があるのぅ…‥‥」
また美女とかそう言うのになられても困るし、これ以上増やす気もない。
なので、俺が名づけるのではなくセラが適当に「ウル太郎」と名付けておいた。
これで召喚契約を結ばずに済むかは不安なので名前を呼ぶ気はないが…‥‥もうちょっとネーミングはどうにかならなかったのかと思う。
何にしてもペットが増えたのは良いし、俺の方も増やさずに済んだのは幸いだろう。
「グゲェ!!グゲグゲェ!!」
「っと、リリスの竿に今度は食いついた!!逃すなよ!!」
「グゲェ!!」
今一つ釣れない中で、今度はリリスの持っていた竿に魚が食いついたようだ。
逃さないようにと思っていたら…‥‥
ぶちん!!
「「「「「あ」」」」」
‥‥‥まさかの釣り糸が千切れてしまい、見事に逃げられるのであった。
「…‥‥まぁ、こういうこともあるか」
「まどろっこしい/直接/串刺し駄目?」
「釣りなのにそれをやったら駄目だろ」
「いっそ、わっちが上流で水を酒に換えて酔わせてしまう方が楽でありんすかねぇ?」
「毒を投げ込む漁があるそうなので、その類になると思われマス。ですがそれをやられると、魚が全部酒漬けになりますので駄目デス」
ディーたちが平穏な時間を過ごしている丁度その頃。
王城の方では、グラディとゼノバースが机に伏していた。
「…‥‥争う相手が減ったのは良いが」
「‥‥‥こうも見せつけられると辛いな」
「甘いですしねぇ…‥‥苦い物とかが欲しくなりますわよね」
伏している王子たちに対して、王女はそう答えるが、彼女の方も苦笑している。
それもそうだろう。今、王城の中庭の方では甘ったるい光景があるのだから。
「まぁ、何にしても愚弟が婚約者を得て、臣下に下るという方に入ったのは良いのだが‥‥‥海洋王国の方から問い合わせも来たからな」
「まだまだごたついていそうなのに、彼らを引き取りたいって言うしね‥」
中庭の方には、第3王子とその婚約者となったハルモニアが今、甘い時間を過ごしていた。
というか、そのあまりのあまあまぶりには流石に糖分が多すぎたようで、現在王城内苦いものなどの需要が高まっており、やや不足しているのだ。
それに加えて、ハルモニアの出身国である海洋王国モルゼ…‥‥様々なことあがったせいでただ今立て直し中の国からも話があり、少々面倒なことになっていた。
「王家の血筋認定はされていないけど、第8王女が認められていなくとも妹が傍にいて欲しいという話が来たからね。まぁ、今は王女ではなく女王扱いらしいけれど…‥‥」
「臣下たちの力を借りて立て直し中だが、家族がいないというのも寂しいのだろう。気持ちが分からなくもないが、そもそもどこでハルモニアの生存が…‥‥いや、考えればわかってしまうか」
何にしても、この話によるとハルモニアの身柄を海洋王国の方に引き渡してほしいそうである。
もともと排斥してきた国が言うなと思うが、どうやら色々と寂しいのもあり、精神的な癒しを求めているのだろう。
だからこそ、公の場で認められずとも妹を手元に置きたいようである。
「調査によると、第8王女は元々王家だとかそう言うのは関係ないし、妹大事だったようだからねぇ。変な奴が支配していたせいで、従わざるを得なかったんだろうけど、もうそこは吹っ切れたんだろうな」
王家という事で、国王の命令には従う者だ。
けれども、それが間違っているのであれば止めなければいけなかったが…‥‥それがそう簡単にできなかった第8王女。
でも、海洋王国を襲った騒動を通してそのあたりの整理が付き、そのような面倒な考えから解放されたようである。
今は海洋王国の復興のために頑張っているようだが…‥‥まだまだ、問題は山積みな様子。
「だからこそ、万が一のことも考えたいのだろう。認められずともハルモニアは彼女の妹であり、子を成せば何とかして後継ぎにしたいというのもあるだろうからな」
なお、そう言うのであれば第8王女自身が早めに王配を得て、そちらで子を成せばいいとは思うのだが‥‥‥いかんせん、都合のいい相手がいない。
騒動のせいで彼女以外の王族が亡くなってしまったようで、精々あるのは数多くなった遺体ぐらいで、どうしようもない。
万が一のことがあれば、そこで王家が断絶する恐れもあり‥‥‥‥その恐れを出来るだけ取り除きたいようではあった。
「何にしても、エルディムも連れての国籍変更は認めたほうが良いか。もうすでに国王をやるという意思はないようだし、あの甘い様子はもう吐きそうになる」
「僕らも婚約者がいるけど、あそこまで甘くないからね…‥‥羨ましくもあるけど、流石にキツイ…‥‥」
「同感ですわね…‥‥いえ、わたくしにはいないのですけれども、あの光景は辛いものが…‥‥」
甘いものが好きな人もいるだろうが、そんな人でもおそらくは尻尾を捲いて逃げ出したくなるような、糖度120%越えの光景に、そろって溜息を吐く王子たち。
何にしても、夏季休暇の終了辺りをめどに調整が行われ、エルディムとハルモニアは海洋王国への引っ越しが決まりそうなのであった…‥‥
「ああ、そうなるとエルディムの留学の方も調整しないとな。今の海洋王国へ引っ越しさせるが、勉学などはまだ学ぶ必要がある」
「とはいえ、船が今そこまで余裕が無いらしいからねぇ。こちらから出すしかないか」
「わたくしも戻らないといけませんわね…‥‥はぁ」
…‥‥色々と面倒事が多いとはいえ、それでも彼らは王族であり、きちんと考えて決める必要がある。
国王である父親にもきちんと話を通し、そのあたりも何とかしないといけないのであった。
「ああ、わたくしも早く婚約者を内定させたいですわね…‥‥留学先で、色々と誘われるのはいいけれども、王族という部分しか見てない殿方が多いのは辛いですわね」
「むぅ、妹の幸せを考えるとそちらの方も考えないといけないが…‥‥複雑なものだな」
「いっその事、ディー君でもどうかなと言いたいけど‥‥‥城伯だし、他に召喚獣もいるからね。彼を狙う環境に入れるのはどうかと思うし、そこはどう思うのかな?」
「‥‥‥悪くはないとは思ってますけれども…‥‥色々と考えるところもありますのよねぇ」
何はともあれ、夏はまだ長いようで、じっくりと考える羽目になるのであった…‥‥‥
「ああ、そう言えばダンジョンの報告も来ていたな。潰したらしいが害にしかならかったらしいから良いが、色々と面倒なので前に失敗したダンジョンを一気に消滅させたいらしい」
「あのメイドから詳細な計画書が来たけど…‥‥コレ、下手したら地面に大穴が開くし、許可するべきなのかな?」
「…‥‥色々と無茶苦茶な人が多いってのも、考えものですわよねぇ」
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