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275 一人でも大変なのに

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‥‥‥区画というか、構成しているブロックの一つの中にいる状態で、ディーたちは船から追い出された。

 おそらくは、このまま水圧で潰してしまえばいいだろうという考えで捨てられたのもあるのだろうが‥‥‥


ぶっしゅううううう!!
「‥‥‥痛たた……結構な速度で、追突するって‥‥‥どうなっているんだよ」
「え、エンジンフルスロットルでしタ…‥‥」
「衝撃吸収素材を追加してましたが、完全に衝撃を殺しきれなかったようデス。まぁ、全員無事なので良しとしましょウ」

 投棄された区画を、ノインとワゼ、ついでに水中作業が可能なティアが協力して素早く改造し、出来上がった簡易潜水艦。

 それに乗って再び乗り込もうとしたのだが、どうも出力を上げ過ぎたようで、激突したのである。

 まぁ、アンカーも差し込んで、しっかりと抜けないように固定したのでこのまま放棄されることはないだろうが‥‥‥とりあえずは、この海洋王国の島であった船をどうにかしないといけないだろう。

 動き始めたようだし、さっき衝撃の前に何かをやったようにも見えたし、放置はできない状況。

 それに中には大勢の人がまだいる可能性があるし、なんとかしないといけなさそうだが…‥‥

「とりあえず、太いパイプで接続完了。乗り移れる状態になりまシタ」
「なら、さっさと潜入するか」

 一つ一つ問題があるようだが、それを細かく処理するような時間はそこまで無いような気がする。

 ならば、一気にまずは大きい所から殴り込んだほうが早い。

 そう思い、ダウジングセンサーを取り出しつつ、アポトーシスの位置を探り始める。

「こういうのはやらかした大本を叩けばいいってことだしな…‥‥っと、これかな?」

 ノイン御手製センサーなだけあって、直ぐに判明したが‥‥‥位置を見ると、大体船の中心部に当たるのだろうか?

 真っ直ぐに突き進んで進みたいが‥‥‥そこでちょっと、ワゼが止めた。

「いえ、直進するのが一番早い手段ですが、相手もそれを読んでいる可能性があるでしょウ。それに、こちらとの戦闘に備えている可能性もあるので、無駄に消費して突き進むのは危険でしょウ」
「とはいえ、普通に辿れそうにないですわよね?」
「道を知っているわけでもないし、直進ルートの方が良いと思うのじゃが」
「いえ、全員の力を使って道を作るという手段だけを使わないという話なだけデス」
「「「?」」」

 どういうことなのか全員で首をかしげていると、ワゼは箒を取り出した時のように、何もない場所から道具を取り出した。

 ノインなら腕を変形させるが、彼女の方は何か違う場所に収納しているのを召喚のように取り出すようだ。

 そして、その取り出したものは‥‥‥‥

「この世界だと色々と異なりますが、予備タンクを積んでいるので問題ないですネ」
「いや、なにこれ?ノインの使う機関銃よりもでかいというか…‥‥」
「『魔導砲』…‥‥簡単に言えば、強力な砲撃を行える兵器ですネ。本当は私の方のご主人様がいればいいのですが、いないのでここは予備タンクに蓄えているエネルギーだけで行いマス。ダウジングセンサーをちょっとこちらへ」

 巨大な大砲のような武器を前にしつつ、そう告げられたので渡すと、彼女はそれをセットした。

「位置情報確認、誤差修正+2…‥‥この辺りですネ」

 がしんっと巨大な砲が固定され、打ち出した時の反動を防ぐためか大きなアンカーが幾つも射出され、周囲に突き刺さった。

「では、発射!!」

 そう叫び、かちりと引き金が惹かれた次の瞬間‥‥‥‥一気に強力な光線が解き放たれた。

 突き進み、破壊し尽くす強力無慈悲な一撃が撃ちだされ、先へ進んでいく。


「着弾まで、3、2、1…‥‥いえ、駄目ですネ」
「え?」

 どおおおおおんっと思いっきり爆発する音が聞こえてきたが、ワゼがそうつぶやいた。

「今、着弾したようですが‥‥‥‥生憎、目標手前で何かが防いだようデス」
「あれを!?」

 位置が遠くて見えないのだが、どうも今の攻撃を防ぐ手段をアポトーシスは持っていたらしい。

 そしてワゼは、自身のセンサーによって今の攻撃が防がれたことを確認したようだ。

「とりあえず、着弾地点へ向かってみましょウ。私のこの世界での顕現もそう長くはないですし、やれるうちにやっておきたいのデス」
「なら、さっさと向かうか」

…‥‥正直、今の滅茶苦茶な攻撃を防がれたことを考えると、向かいたくはない。

 けれども、放置できない類だろうし…‥‥後々残しても面倒なことになるのが目に見えているので、とりあえず何が防いだのかという事の確認のために、俺たちはその場所へ向かい始めた。

 というか、いまの思いっきり国ごと吹き飛ばしそうな攻撃を、どうやって防いだんだ…‥?












「…‥‥うん、我輩のこの判断、まさに英断だったかもしれない」

 目の前で起きた光景を見て、アポトーシスは思わずそうつぶやいた。

 自身の身の危険も感じつつ、ディーたちに、特に追加でやってきた新たなメイドに対しての対抗手段として生体部品を使用した兵器を動かしてきたのは良いだろう。

 そしてその兵器が今、目の前で思いっきり役に立ったことを目にできた。


「復元率がそれなりに高かったが…‥‥あの攻撃を防げるとは、流石に驚くな」

 念には念を押してという事で、一応やっておいた各部の復元作業。

 特に、目の前の兵器は利用価値があったので念入りに復元していたのだが…‥‥今の防壁ぶりを見ると、やっておいて正解だったと言えるだろう。

 いや、ディーたち側からすれば防がれたので最悪だが、アポトーシスにとっては良い方へ転んだともいえよう。

「とはいえ、今の攻撃を見る限り、既にこちらの位置をつかんでいると言って良いか…‥‥そして、防いだ状況もおそらくバレているだろう」

 そう考えると、次にどのような手が来るのかは読みやすい。


「‥‥‥ならば、あちらが出向く前に、こちらから迎撃したほうが良いだろう。ただ待つのは死を意味するだろうし、ここはありとあらゆる手段で排除をするためにも…‥‥盾になったが、今度は我輩の矛となって敵を排除しろ!!」

 そうアポトーシスが命令すると、目の前の兵器は動き出す。

 この場所へ来られる前に、別の場所でドンパチやってくれた方が良いだろうし、そうしたほうが何かと都合が良い。

 それに、今の性能を見てこれなら確実に勝てるだろうという確信をアポトーシスは持てた。

「いや、持ったとしてもどう出るかは不明…‥‥慢心したら死しかないだろうし、その他の兵器も同時稼働して向かわせるか」

 ありったけの戦力を向かわせて、徹底的に潰したほうが良い。

 いくら優れた兵器があれども、それがたったの一機では数の暴力に押される可能性もある。

 そう考え、直ぐにアポトーシスは行動に移すのであった‥‥‥‥

 





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