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245 ごきっとしつつも
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‥‥‥少々事故があれども、何とかディーの息は吹き返し、改めて状況整理を行う。
「…‥‥というか、何故ルナティアとアリスの二人もここに落とされたのだろうか?」
「それはあたしの方が聞きたいニャ。話だと、ゼネさんの妹の大暴走が原因らしいけれども‥‥‥」
「こちらが巻き込まれる理由の見当がつきませんよ」
治療されたとはいえ、ちょっと首が痛むので他の面子も召喚し直しつつ、全員そろって周囲の状況を確認するも、今一つ状況が呑み込めない。
というのも、あの空間の穴の先にゼネの妹たちが待ち受けているのかと思いきや、その姿は見かけない。
この空間自体も、何処かの建物の中とかでもないようで…‥‥
「‥‥‥計測しましたが、位置情報が把握できまセン。作られた何処か、別の空間のようなものの中に閉じ込められていると推測できマス」
「どういうことだ?」
「つまり、何かの箱詰めに近い状態…‥と言ったところでしょうカ。わかりやすい例で言えば、私が作る部屋のようなものでしょウ」
要は、ノインのいつも皆に作っている私室のような状態に近いらしい。
ただし、この空間そのものの造りがノインのやり方とは異なっており、把握し切るのは難しいのだとか。
「というか、不気味な空間じゃよなぁ‥‥‥空気の感じが、何と言うか纏わりつく感じじゃ」
「根っことかも入り込めませんし‥‥‥硬いようで、はじき返すような弾力性など、不気味すぎますわ」
「グゲェグ」
「胃の中みたいな感じか‥‥‥誰かの腹の中みたいな感じともいえるってか」
そちらの方が例えとしては適切だろう。
何にしても、この正体不明の空間に長居したくないという意見で全員一致。
とはいえ、どう抜けだすかが問題だが‥‥‥‥
「こういうのは、仕掛けた人をふっ飛ばすか、あるいは力づくで抜ける必要がありますガ‥‥‥力づくでは無理そうですネ。対策がされているようデス」
「対策?」
「防火、防水、防爆、防光線、防氷…‥‥私たちの攻撃手段に対して調べ上げているのか徹底的に処理が施されていマス」
驚異的というか、何と言うか。ノインの分析によれば組織のものがやるような類よりも、独創的かつ効率的、徹底的に行われているようだ。
‥‥‥そう聞くと、ゼネの妹たちの脅威の方が、組織フェイスマスクよりもヤヴァイ感じに聞こえてくるのは気のせいだろうか?いや、絶対に気のせいではないだろう。
「こうなると、あとはこの空間をどうにか進んで、抜け穴を捜す‥‥‥と言ったぐらいしかありませんネ」
少なくとも、非道な罠の類は周囲には仕掛けられておらず、広そうな空間とは言えそれなりに質量などを感じさせるところから考えると、ある程度の部屋や道が用意されているようだ。
ただ、この場に無いだけであり、移動したら別の場所で罠などが仕掛けられている可能性があるよだが‥‥‥そこはもう、出くわしてみないと分からない。
「手分けして探すよりも、まとまった方が良いかもな…‥‥」
「本当に、何で巻き込まれたのかニャ?」
「分かれば苦労しませんよ」
ルナティアとアリスも巻き込まれた理由は不明だが、今はこの空間を脱出することだけを考えた方が良いだろう。
そう思いつつ、俺たちはこの不気味な空間から抜け出すためにも、その場から動き始めるのであった…‥
「というか、どことなく部屋とか廊下を認識できるのは不思議なんだが。どこも似たような不気味さしかないのになぁ」
「ある程度の質量も持たせているようですが…‥‥組成材料などわかりませんネ」
「…‥‥よし、この段階はクリアできましたね」
‥‥‥ディーたちが動き始めたのを確認し、ゼネの妹たちはそうつぶやいた。
そう、今回の彼女達の動きは、ただ襲撃をかけたわけではない。
というかそもそも、各国から色々と目を付けられているディーたちに対して、攻撃を行うことは不利益になる事だと彼女達はしっかりと理解しているのだ。
なので、この襲撃自体は攻撃ではなく…‥‥この空間へ誘い込むことが、当初からの目的であった。
「ふふふふ、予定通りお姉様も入りましたし、その他召喚獣、獣人、王女も入っているのも想定内」
「きちんと計算し尽くし、怪我をさせないようにしていますものね」
「まぁ、落下地点のミスがありましたが…‥‥それは大丈夫でしょう」
ここでディーを亡き者にしても良かったが、そんなことをすれば彼女達の慕うお姉様事ゼネが悲しむのは間違いないだろうし、下手をすれば国際問題になりかねないことぐらいは理解している。
なので、息を吹き返したことに安堵の息を吐きつつも…‥‥彼女達は予定通りに事を進めていく。
「では、これより次の段階へ進めましょう。我らがお姉様の幸せのために」
「ええ、別れないように警戒してまとまっているので、よりやりやすくなっている今が十分チャンスです」
「ああ、でもお姉様が我らの手の届きそうなところにいるのに、直ぐに触れ合えないのは悲しいですが‥‥‥それでも、乗り越えなければいけません」
「これが、お姉様からの私たちへの試練として受け止め、乗り切りましょう…‥‥」
…‥‥ひそひそと話し合いつつ、ゼネの妹たちは蠢いていく。
「それと回収班、お姉様の通った道のわずかなお姉様成分を確実に回収してください」
「わかっていますわ。こちらとしても、貴重なお姉様成分の濃厚な物を入手できる機会ですからね」
今はまだ予定通りとはいえ、先がどう転ぶかはわからない。
不測の事態に備え、せめてもの利益を得るために徹底して策を練りつつ、実行していくのであった‥‥‥‥
「それはそうと、例の薬や道具の効果は?」
「あのメイドが作った品々のせいで、耐性が極限まで上げられており‥‥‥通常では無理かと。身ぐるみ全てをどこかで剥がさなければ意味はないでしょう」
「そう、お姉様も例外なくしなければ…‥‥ああ、お姉様の裸体が裸体が‥‥‥裸体!?」
ぶっばぁぁぁん!!
「治療班!!急いできてください!想像して鼻血が出たようで、この出血量では空間の維持が難しくなってしまいます!!」
「了解!!」
…‥‥やや先行きが、不安であった。
「…‥‥というか、何故ルナティアとアリスの二人もここに落とされたのだろうか?」
「それはあたしの方が聞きたいニャ。話だと、ゼネさんの妹の大暴走が原因らしいけれども‥‥‥」
「こちらが巻き込まれる理由の見当がつきませんよ」
治療されたとはいえ、ちょっと首が痛むので他の面子も召喚し直しつつ、全員そろって周囲の状況を確認するも、今一つ状況が呑み込めない。
というのも、あの空間の穴の先にゼネの妹たちが待ち受けているのかと思いきや、その姿は見かけない。
この空間自体も、何処かの建物の中とかでもないようで…‥‥
「‥‥‥計測しましたが、位置情報が把握できまセン。作られた何処か、別の空間のようなものの中に閉じ込められていると推測できマス」
「どういうことだ?」
「つまり、何かの箱詰めに近い状態…‥と言ったところでしょうカ。わかりやすい例で言えば、私が作る部屋のようなものでしょウ」
要は、ノインのいつも皆に作っている私室のような状態に近いらしい。
ただし、この空間そのものの造りがノインのやり方とは異なっており、把握し切るのは難しいのだとか。
「というか、不気味な空間じゃよなぁ‥‥‥空気の感じが、何と言うか纏わりつく感じじゃ」
「根っことかも入り込めませんし‥‥‥硬いようで、はじき返すような弾力性など、不気味すぎますわ」
「グゲェグ」
「胃の中みたいな感じか‥‥‥誰かの腹の中みたいな感じともいえるってか」
そちらの方が例えとしては適切だろう。
何にしても、この正体不明の空間に長居したくないという意見で全員一致。
とはいえ、どう抜けだすかが問題だが‥‥‥‥
「こういうのは、仕掛けた人をふっ飛ばすか、あるいは力づくで抜ける必要がありますガ‥‥‥力づくでは無理そうですネ。対策がされているようデス」
「対策?」
「防火、防水、防爆、防光線、防氷…‥‥私たちの攻撃手段に対して調べ上げているのか徹底的に処理が施されていマス」
驚異的というか、何と言うか。ノインの分析によれば組織のものがやるような類よりも、独創的かつ効率的、徹底的に行われているようだ。
‥‥‥そう聞くと、ゼネの妹たちの脅威の方が、組織フェイスマスクよりもヤヴァイ感じに聞こえてくるのは気のせいだろうか?いや、絶対に気のせいではないだろう。
「こうなると、あとはこの空間をどうにか進んで、抜け穴を捜す‥‥‥と言ったぐらいしかありませんネ」
少なくとも、非道な罠の類は周囲には仕掛けられておらず、広そうな空間とは言えそれなりに質量などを感じさせるところから考えると、ある程度の部屋や道が用意されているようだ。
ただ、この場に無いだけであり、移動したら別の場所で罠などが仕掛けられている可能性があるよだが‥‥‥そこはもう、出くわしてみないと分からない。
「手分けして探すよりも、まとまった方が良いかもな…‥‥」
「本当に、何で巻き込まれたのかニャ?」
「分かれば苦労しませんよ」
ルナティアとアリスも巻き込まれた理由は不明だが、今はこの空間を脱出することだけを考えた方が良いだろう。
そう思いつつ、俺たちはこの不気味な空間から抜け出すためにも、その場から動き始めるのであった…‥
「というか、どことなく部屋とか廊下を認識できるのは不思議なんだが。どこも似たような不気味さしかないのになぁ」
「ある程度の質量も持たせているようですが…‥‥組成材料などわかりませんネ」
「…‥‥よし、この段階はクリアできましたね」
‥‥‥ディーたちが動き始めたのを確認し、ゼネの妹たちはそうつぶやいた。
そう、今回の彼女達の動きは、ただ襲撃をかけたわけではない。
というかそもそも、各国から色々と目を付けられているディーたちに対して、攻撃を行うことは不利益になる事だと彼女達はしっかりと理解しているのだ。
なので、この襲撃自体は攻撃ではなく…‥‥この空間へ誘い込むことが、当初からの目的であった。
「ふふふふ、予定通りお姉様も入りましたし、その他召喚獣、獣人、王女も入っているのも想定内」
「きちんと計算し尽くし、怪我をさせないようにしていますものね」
「まぁ、落下地点のミスがありましたが…‥‥それは大丈夫でしょう」
ここでディーを亡き者にしても良かったが、そんなことをすれば彼女達の慕うお姉様事ゼネが悲しむのは間違いないだろうし、下手をすれば国際問題になりかねないことぐらいは理解している。
なので、息を吹き返したことに安堵の息を吐きつつも…‥‥彼女達は予定通りに事を進めていく。
「では、これより次の段階へ進めましょう。我らがお姉様の幸せのために」
「ええ、別れないように警戒してまとまっているので、よりやりやすくなっている今が十分チャンスです」
「ああ、でもお姉様が我らの手の届きそうなところにいるのに、直ぐに触れ合えないのは悲しいですが‥‥‥それでも、乗り越えなければいけません」
「これが、お姉様からの私たちへの試練として受け止め、乗り切りましょう…‥‥」
…‥‥ひそひそと話し合いつつ、ゼネの妹たちは蠢いていく。
「それと回収班、お姉様の通った道のわずかなお姉様成分を確実に回収してください」
「わかっていますわ。こちらとしても、貴重なお姉様成分の濃厚な物を入手できる機会ですからね」
今はまだ予定通りとはいえ、先がどう転ぶかはわからない。
不測の事態に備え、せめてもの利益を得るために徹底して策を練りつつ、実行していくのであった‥‥‥‥
「それはそうと、例の薬や道具の効果は?」
「あのメイドが作った品々のせいで、耐性が極限まで上げられており‥‥‥通常では無理かと。身ぐるみ全てをどこかで剥がさなければ意味はないでしょう」
「そう、お姉様も例外なくしなければ…‥‥ああ、お姉様の裸体が裸体が‥‥‥裸体!?」
ぶっばぁぁぁん!!
「治療班!!急いできてください!想像して鼻血が出たようで、この出血量では空間の維持が難しくなってしまいます!!」
「了解!!」
…‥‥やや先行きが、不安であった。
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