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236 もちもちっとしていたいけれども
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…‥‥国同士の話し合いに、ディーたちが介入することはない。
というかそもそも、するようなほどの権力もないし、任務を遂行しただけであって関わりを持ちまくるという事も出ない。
非常に面倒な事も分かり切っているので、関わる意味も無いわけなのだが‥‥‥
「‥‥‥という訳で、本日から編入してきた、アリスさんだ」
「オマエラヨロシクヤレー!!」
「‥‥‥何でいるの?」
「なんかこうなりました‥‥‥」
…‥‥召喚士学科の教室内。
教員やその召喚獣に紹介されながら、何故かアリス王女が編入していたのであった。
色々驚きつつも、昼時にまとめて聞いて見た。
なぜアリス王女が学園に編入してきたのかという事情を探ってみれば…‥‥ある事が原因であった。
元々、適正学園事態は各国に存在しており、留学生のように交流などはある。
そして当然、ガランドゥ王国にも適正学園が存在していたのだが…‥‥
「お父様の攻撃もありましたが、そもそも学園自体が駄目にされていたんですよね…‥‥」
‥‥‥記憶に影響を与えるような、魔道具の国内展開。
それに近かった中心部の都市周辺が廃人と化した人が多く、学園もまたその近くに存在していた。
ゆえに影響を免れる事は出来ず、現状ガランドゥ王国の適正学園は休学状態。
なので、そこに属する生徒たち…‥‥いや、影響があったせいで大半が廃人状態になっていたが、それでもまだまともに動ける人たちは各国の学園に一時編入という形で入ったそうだ。
国内がガタガタにされたので、その立て直しは行うけれども、教育の場まではまだ手が回りにくいが故の策だったそうだが…‥‥それでも、一応治療の目途などは着いたようで、現在廃人化した人たちは治療が予定されているらしい。
そしてアリス王女に関しても、本来は王族として立て直しに貢献するはずではあったが…‥‥実は彼女はまだ適性検査を受けられる年齢にもかかわらず、受けていないことが発覚。
職業を顕現させておいて、それをある程度学び、使いこなせてからという事でこちらに回されたそうだ。
「一応、お兄様方…‥‥王子である兄たちが国を任せてくれと言ったそうなのよ」
国王及び組織の暴走時に、その危機で何とか助けを求めてくれた彼女に対して、兄である王子たちは自分たちがちょっと情けないような気がしたので、その分これから立て直しに尽力するらしい。
一応、遺産というべきかオリハルコンが大量に残されているので、それらを売却するなど、資金源には当分困らないようだ。
そして妹の大変さも分かっているので、この際ちょっとした静養に近い目的でこちらに編入させたようだが…‥‥
「‥‥‥でも、職業が『召喚士』だったのよ」
「なるほど‥‥‥‥」
初めて職業顕現させて、得られた職業がまさかの「召喚士」。
てっきり歌関係の職業に付けるかなと思っていた彼女にとっては驚きだったようだ。
「それで、こちらに編入になったのよね…‥‥一応、召喚獣はこの子ね」
そう言い、彼女が軽く口笛を吹けば、小さな小鳥が彼女の方に止まった。
「ピィッ!」
「ちっさいな…‥‥小指サイズぐらいか?」
「『ハーリンバード』の『ピヨヨ』ちゃんよ」
―――――――――――――――――
『ハーリンバード』
かなり小さな小鳥だが、その鳴き声の本気の大声は下手な爆発音よりも凌駕するほど。
しかし普段は小さくさえずり、様々な楽器の音を真似して音楽を奏でることが可能な鳥のモンスター。
なお、餌は特に取らず、しいて言うのであれば歌声を糧にして成長するとされる。
――――――――――――
「図書室の方の図鑑ですと、歌声の質によって羽の色などが変わるようですネ。今は綺麗な空色ですガ‥‥‥」
「召喚時は、真っ白な小鳥だったのよ」
「歌によって、次々と染まっていく鳥ってことか…‥‥」
なお、召喚獣としてはかなり非力なようにも見えるが、そこまで非力でもない。
今はまだ幼鳥と呼べるほどの小鳥らしいが、成鳥でもそのままサイズになっても、片足だけで人を持って宙を舞う事も可能になるそうだ。
そんな小さな体で人を持ち運ぶことに何の意味があるのかと思いたくもなるが…‥‥この鳥、コンサート好きらしく、聞かせるためにわざわざ人を集めてやる習性があるのだとか。
要は、リサイタルを開くために強制参加目的の連行を行うとでも言えば良いだろう。歌声自体は綺麗らしく、参加したらそこそこの幸運が訪れるという話もあるらしいが。
「それで、召喚士学科に配属と…‥‥なるほど」
「だから、ディーと一緒にクラスにいたのかニャ」
っと、ちょうど情報をまとめていたところで、ルナティアも来た。
なお、王子たちはここにはおらず、王城の話し合いに参加しているようで、ここの男女比率さにちょっと気まずい感じがする。
悪友のバルンがいればまだ良いのだが、あいつ確か先日彼女にまたフラれた話があったからなぁ‥‥‥ここに来れずに、ちょっと引き籠っているらしい。
三日ほどで出てくるようだが、今はその心情に合掌しておくか。
「ああ、あの猫の人…‥‥こんにちわ」
「ええ、こんにちわニャ」
軽く挨拶をかわしつつ、彼女も席に着き、話は続いていく。
聞いた感じだと、まだまだ面倒ごとはあるようだが‥‥‥‥これ以上来なければ良いなぁと俺は思うのであった。
「‥‥‥ところで、猫の‥‥‥ルナティアさんだったかしら?」
「そうだけど、どうしたのニャ」
「一応聞いておきたいのだけれど‥‥‥彼の彼女?」
「‥‥‥にはなっていないけれど、それがどうしたのかニャ‥‥‥」
「そう‥‥‥なら、チャンスはあるかも?」
「‥‥‥‥どういう意味かニャ?」
「‥‥‥ん?なんか一瞬空気が変わったような気がするのは気のせいか?」
「気のせいではないとは思いマス、ご主人様。この一件で、多分また面倒事は降るでしょうが‥‥‥‥」
「なんというか、御前様も罪作りというか、儂らがやらかした結果というべきかのぅ…‥‥複雑じゃな」
というかそもそも、するようなほどの権力もないし、任務を遂行しただけであって関わりを持ちまくるという事も出ない。
非常に面倒な事も分かり切っているので、関わる意味も無いわけなのだが‥‥‥
「‥‥‥という訳で、本日から編入してきた、アリスさんだ」
「オマエラヨロシクヤレー!!」
「‥‥‥何でいるの?」
「なんかこうなりました‥‥‥」
…‥‥召喚士学科の教室内。
教員やその召喚獣に紹介されながら、何故かアリス王女が編入していたのであった。
色々驚きつつも、昼時にまとめて聞いて見た。
なぜアリス王女が学園に編入してきたのかという事情を探ってみれば…‥‥ある事が原因であった。
元々、適正学園事態は各国に存在しており、留学生のように交流などはある。
そして当然、ガランドゥ王国にも適正学園が存在していたのだが…‥‥
「お父様の攻撃もありましたが、そもそも学園自体が駄目にされていたんですよね…‥‥」
‥‥‥記憶に影響を与えるような、魔道具の国内展開。
それに近かった中心部の都市周辺が廃人と化した人が多く、学園もまたその近くに存在していた。
ゆえに影響を免れる事は出来ず、現状ガランドゥ王国の適正学園は休学状態。
なので、そこに属する生徒たち…‥‥いや、影響があったせいで大半が廃人状態になっていたが、それでもまだまともに動ける人たちは各国の学園に一時編入という形で入ったそうだ。
国内がガタガタにされたので、その立て直しは行うけれども、教育の場まではまだ手が回りにくいが故の策だったそうだが…‥‥それでも、一応治療の目途などは着いたようで、現在廃人化した人たちは治療が予定されているらしい。
そしてアリス王女に関しても、本来は王族として立て直しに貢献するはずではあったが…‥‥実は彼女はまだ適性検査を受けられる年齢にもかかわらず、受けていないことが発覚。
職業を顕現させておいて、それをある程度学び、使いこなせてからという事でこちらに回されたそうだ。
「一応、お兄様方…‥‥王子である兄たちが国を任せてくれと言ったそうなのよ」
国王及び組織の暴走時に、その危機で何とか助けを求めてくれた彼女に対して、兄である王子たちは自分たちがちょっと情けないような気がしたので、その分これから立て直しに尽力するらしい。
一応、遺産というべきかオリハルコンが大量に残されているので、それらを売却するなど、資金源には当分困らないようだ。
そして妹の大変さも分かっているので、この際ちょっとした静養に近い目的でこちらに編入させたようだが…‥‥
「‥‥‥でも、職業が『召喚士』だったのよ」
「なるほど‥‥‥‥」
初めて職業顕現させて、得られた職業がまさかの「召喚士」。
てっきり歌関係の職業に付けるかなと思っていた彼女にとっては驚きだったようだ。
「それで、こちらに編入になったのよね…‥‥一応、召喚獣はこの子ね」
そう言い、彼女が軽く口笛を吹けば、小さな小鳥が彼女の方に止まった。
「ピィッ!」
「ちっさいな…‥‥小指サイズぐらいか?」
「『ハーリンバード』の『ピヨヨ』ちゃんよ」
―――――――――――――――――
『ハーリンバード』
かなり小さな小鳥だが、その鳴き声の本気の大声は下手な爆発音よりも凌駕するほど。
しかし普段は小さくさえずり、様々な楽器の音を真似して音楽を奏でることが可能な鳥のモンスター。
なお、餌は特に取らず、しいて言うのであれば歌声を糧にして成長するとされる。
――――――――――――
「図書室の方の図鑑ですと、歌声の質によって羽の色などが変わるようですネ。今は綺麗な空色ですガ‥‥‥」
「召喚時は、真っ白な小鳥だったのよ」
「歌によって、次々と染まっていく鳥ってことか…‥‥」
なお、召喚獣としてはかなり非力なようにも見えるが、そこまで非力でもない。
今はまだ幼鳥と呼べるほどの小鳥らしいが、成鳥でもそのままサイズになっても、片足だけで人を持って宙を舞う事も可能になるそうだ。
そんな小さな体で人を持ち運ぶことに何の意味があるのかと思いたくもなるが…‥‥この鳥、コンサート好きらしく、聞かせるためにわざわざ人を集めてやる習性があるのだとか。
要は、リサイタルを開くために強制参加目的の連行を行うとでも言えば良いだろう。歌声自体は綺麗らしく、参加したらそこそこの幸運が訪れるという話もあるらしいが。
「それで、召喚士学科に配属と…‥‥なるほど」
「だから、ディーと一緒にクラスにいたのかニャ」
っと、ちょうど情報をまとめていたところで、ルナティアも来た。
なお、王子たちはここにはおらず、王城の話し合いに参加しているようで、ここの男女比率さにちょっと気まずい感じがする。
悪友のバルンがいればまだ良いのだが、あいつ確か先日彼女にまたフラれた話があったからなぁ‥‥‥ここに来れずに、ちょっと引き籠っているらしい。
三日ほどで出てくるようだが、今はその心情に合掌しておくか。
「ああ、あの猫の人…‥‥こんにちわ」
「ええ、こんにちわニャ」
軽く挨拶をかわしつつ、彼女も席に着き、話は続いていく。
聞いた感じだと、まだまだ面倒ごとはあるようだが‥‥‥‥これ以上来なければ良いなぁと俺は思うのであった。
「‥‥‥ところで、猫の‥‥‥ルナティアさんだったかしら?」
「そうだけど、どうしたのニャ」
「一応聞いておきたいのだけれど‥‥‥彼の彼女?」
「‥‥‥にはなっていないけれど、それがどうしたのかニャ‥‥‥」
「そう‥‥‥なら、チャンスはあるかも?」
「‥‥‥‥どういう意味かニャ?」
「‥‥‥ん?なんか一瞬空気が変わったような気がするのは気のせいか?」
「気のせいではないとは思いマス、ご主人様。この一件で、多分また面倒事は降るでしょうが‥‥‥‥」
「なんというか、御前様も罪作りというか、儂らがやらかした結果というべきかのぅ…‥‥複雑じゃな」
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