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‥‥‥組織の者たちの大量捕縛も済み、情報が次々と引き抜かれていく。

 雪の降る時期の間、身を潜めていた分、無駄な贅肉を組織は落としているらしい。

 その分、より洗練された構成員が増え、質の良い情報を大量に蓄えていたようだが‥‥‥‥

「‥‥‥それだけあって、組織の情報をごっそり抜き出せたのは大きい」
「だがな‥‥‥より明確な目的を知ってしまうとな‥‥‥」


 はぁっと溜息を一同は吐き、重い雰囲気が室内を漂う。

 王城内の会議室…‥‥今ではその隣室に薬屋がやって来たが、今日もまたお世話になりそうであった。

「ろくでもない組織だと思っていたが、本気でろくでもないな」
「違法な人体実験‥‥‥いや、人体実験の時点で違法も何もあるのかと言いたいが、それ以外にも多くのやらかしが見つかったのは良いだろう」
「そして、組織の大まかな目的が分かったのは良いのだが…‥‥何だこの目的は」

 今回の作戦で入手できた数多くの情報。

 その中でも、一番の大収穫というべきものは、今まで謎に包まれていた仮面の組織の一番の目的というべきことだろう。

 怪物を生み出しまくり、謎の薬品を精製し、貴族などに取り入って資金を得るなどしていた組織だが、その組織に関しての謎は多かった。

 けれども、その組織が達成しようとしている事柄の一つを知ることができたのだ。


「と言っても、『人知を超えた者になる』‥‥‥要は『神になる』ってどういうことだ?」
「恐らくは、実験の行きつく先を考えた結果がこれなのではなかろうか?」



…‥‥仮面の組織の実験などを考えると、これまで出てきたのは怪物を生み出したり、人を怪物そのものへ変貌させる物ばかりであった。

 だが、集めた情報によれば元々その行為にはきちんとした意味があったらしい。

「世の中に数多くの物が顕現させている『職業』‥‥‥だが、それには限界がある」


 職業に関して言えば、様々な物が存在しているのは既に分かっていることだ。

 ただ、その職業通りの道に進むのではなく、その職業を活かして違う道へ行く人も多くいる。

 でも、それがもったいない‥‥‥せっかく得た力なのだから、それを十分に生かすことができないか、ということを考え、研究し始めたのがその組織の始まりらしい。

 だがしかし、詳細は不明だがその研究している道がどこかで変わり、違う方向へ歩み始めたのが‥‥‥今の仮面の組織、フェイスマスクであるようだ。


「生かす道を自身の肉体改造、あるいは職業自体を他の生物に顕現させることができないかと研究し始め‥‥‥」
「禁忌というか、倫理を大いに脱線するような道へ歩み始めたのが、組織の本当の始まりというべきか」

 そしてその禁忌の道を歩む中で、より明確な目標を掲げ始めた結果‥‥‥いくつかの目標が産まれ、その一つが今回の作戦で入手した情報、「神になる」という事のようであった。

「力を得た生物を持って、より強力に職業を活かし、それが人間でなくてもいい」
「いや、むしろ人という存在を越えてしまう事で、職業そのものすらなくてもいい存在を作り上げるのを目標の一つとしたのか…‥‥」


 研究をしていく過程で、どこをどう狂っていけばそんな発想になるのか理解が出来ない。

 ただ一つ、言えるとすれば放置しておけば明らかに人知を超えた何かを生み出すか、あるいは人の手に負えぬ完全なる化け物を生み出しかねない危険な組織であると認識させられるということぐらいだろうか。

「そしてまた、そう言う力を得ようとする過程で…‥‥より強靭かつ、力で支配できるかもしれぬ可能性から、求めて援助する輩も多く‥‥‥」
「組織自体も各地で潜伏して見つけられなくなっている、か‥‥‥‥」

 はぁぁっと再び溜息を吐き、より一層組織の面倒さを知って辟易する気分になる一同。

 とはいえ、放置は絶対にできず、もっと真剣にかつ効率的に取り組まねば、場合によっては生物全ての敵と言えるような化け物を生み出しかねない。

「ならばこそ、他国の協力ももっと必要になるだろうが‥‥‥」
「それと同時に、余計に厄介な物も見えたな…‥‥」

 今でこそ協力してくれている国々もいるが、どうやら組織の中には国そのものを掌握しようと動いている輩もいるらしい。

 下手すると国家間での戦争の火種にやりかねないこともやらかそうとしているらしいが、より重要そうな情報は流石にとらえた者たちの中には入っていなかったようだ。

 幹部というべきか、上層部というべきか、そう地位にいる者たちしか知り得ないのであろう。

 何にしても、組織の目的が複数ありつつも、その目的の一つを知れたのは大きな成果。

 怪物を生み出す、というか常軌を逸脱した生物を生み出すような真似を行うには、どうしても大量の材料などが必要になるであろうし、物資の流れに鍵がある事も見えてきた。

 この作戦で得られたことは無駄でもないし、また、押収できた品々の中には捜査に役立つ様なものも多く、再び先手を取れるかもしれない機会を得ることができた。

「やらかされる前に、徹底的にやらねばいけないだろう。そして、未来を潰しかねない組織をこちらが潰さねばいけない。だからこそ、より一致団結して取り組まねばな」
「「「「その通り」」」」

 その言葉に一同は賛成し、一致団結する。

 有害すぎる仮面の組織ではあったが、その危険性によって皆の心が一致団結するのであった…‥‥


「‥‥‥ところで、もう間もなく今回の作戦で功績を得てくれた者たちへの褒賞を渡すのだが…‥‥一人、どうすればいいのか悩んでいるのがいるのだが、この場で会議をして良いだろうか?」
「「「…‥‥」」」」

 っと、もう間もなく会議を終えようとしている丁度そのタイミングで、出席していた国王がそう口にして、その場にいた者たちは少し驚愕した。

 というのも、有能ではあるが何かをやらかす国王が、事前に意見を聞いて来ることなんぞ数が少ないので、その稀に見る行為に驚いたのである。

 それでも、こうやって事前に相談してくれるようなことをしてくれたので、褒賞を上げる場での胃痛を回避できそうであれば何でもいいというように、一同はそのまま国王のその意見を聞き、議論を繰り広げる羽目になったのであった…‥‥‥

「国王陛下!!流石にそれは不味いでしょ!!」
「そうか?だが、功績の押し付けの形跡もあるが、今までの分を考えると…‥‥」
「いやいやいや!?確かにそうかもしれないが、彼以上にその召喚獣たちの感情も考えた方が良いのですが!?」
「しかし、これはこれで悪くはないはずだが?」
「普通の奴ならそうかもしれないが、周囲にいるのといないのでは違うんだぁぁぁぁ!!」

‥‥‥事前に相談してくれてよかったと一同が思い、ようやくきちんとまともな物に仕上げることができたのは翌日の事であった…‥‥‥

「こ、これ下手すると、彼の召喚獣たちが激怒しかねない案件だっただろ…‥‥」
「早めに子供たちへの退位をしてもらった方が良いとは思うのだが‥‥‥‥あの国王にこそ、大きな禿ができて欲しい」
「わかる、それすっごいわかる」
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