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211 雨の中
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‥‥‥偶然見かけた、仮面の集団。
怪しさ満点、経験上アウトな面子だったので、ディーたちは彼らの追跡を行うことにした。
とはいえ、一応王城の方にも連絡が必要そうなので、まずは学園にいるはずの王子へ連絡してもらうために、たまたま一緒だったルナティアに任せつつ、召喚獣たちを呼んで追跡を行う。
「‥‥‥何と言うか、見て思うんだがあんな変な仮面を付けて、よく人込みの中を目立たずに行けるよな」
「認識阻害のような物があるようですからネ…‥‥とは言え、そう簡単に通すようなこともないはずですガ」
‥‥‥都市を警備している衛兵たちは優秀な人が多い。
何か揉め事があったら、すぐに駆け付け解決することが多く、騒動だろうと何だろうと、割と一番最前線に出ているのだ。
対応できるように訓練しているらしく、特に仮面の組織フェイスマスクの存在が確認されてからは、国がより練度を高め、そう簡単に怪しい者を通さないようにしているはずであり、例え認識阻害があろうとも都市内に入れるはずがないらしいが…‥‥
「とはいえ、完全にできる人なんていませんわね」
「何人か、通してしまう可能性は無きにしも非ずでござるよ」
「人によってはまだ質が悪いという類もおるようでありんすしなぁ…‥‥」
何にしても、どうやって入って来たのかということはともかく、今は追跡の方に思考を向ける。
ノインの分析いわく、あの仮面の組織の仮面には認識阻害の効果はあるようだが‥‥‥悲しむべきか、何と言うか、何かと接触回数が多くなればその効果も薄れるようであり、結果として結構接触していることが多かった俺たちには効果は薄いらしい。
というか、認識阻害だけどここまで注目するとほとんど意味もないと思う。まず、機能しているのだろうか?
何にしても、目についたりしたし、阻害の影響を受ける事もなく追跡できているのだが…‥‥
「‥‥‥この方向って確か」
「ええ、貴族街ですネ」
‥‥‥ちょっと前に、組織の研究所などを潰した際に得た証拠などで制裁が起きて、頭の取り換えや潰しが行われた貴族がそれなりにいたはずである。
けれども、それでもまだ隠れて組んでいたのか、それとも新規で組んだのか‥‥‥何にしても追跡すればわかる話だ。
そうこうしているうちに先へ進むと、とある一つの屋敷の前にたどり着いた。
「あれ?ここ家主がいない状態でありんすな」
「売却予定‥‥‥ふむ、前に潰された貴族の家だろうか?」
空き家になっている邸に住みつかれていたのだろうかと思いつつ、俺たちは中へ入る。
幸いというか、鍵もかかっていないというか…‥いや、これこじ開けた形跡があるな。
利用していたのは間違いなさそうだが、思いっきり不法侵入だとは思う。
っと、中へ入ったところで、ちょうど何やら仮面の者たちが部屋の中央に集まっていたようなので、その会話を聞くために天井裏の方へ回り込み、そちらから聞き耳を立てることにした。
ゼネの幻術で見えないようにして接近することもできるのだが、実態が消えているわけでもないので迂闊に動かれてぶつかって気が付かれても面倒なだけであるからな。
―――――
「‥‥では、明朝この国から退去と?」
「ああ、そうだ。上からの命令だが、冬季の活動停止状態の中で選別を行い、ある程度の処分が決定したらしい。その分、再編成のために一時的に集めるようだ」
―――――
「‥‥‥退去?」
耳を澄ませている中で、しょっぱなから聞こえてきた言葉に俺たちは首を傾げた。
今まで散々やらかしてきた組織が、この国から退去するというのは良い事なのかもしれないが‥‥‥何かこう、嫌な予感がするのだが。
そう思いつつ、会話内容に集中してまとめ上げると、どうやら雪の降る季節の間に仮面の組織の内部では大清掃が行われていたらしい。
というのも、無能な輩とか迷惑な輩とかも入れていたのは、そいつらを様々な実験の材料やしでかしたときの処分方法の口実、トカゲのしっぽ切り用の使い捨てなどという目的があったらしい。
だがしかし、少々活動が目立ちすぎてきた原因にもなって来たので、この際一斉に処分することが決定し、雪の降っている間にどんどん消し去ったのだとか。
いや、殺害したとかではなく、材料扱いになったようだが…‥‥何にしても組織の内部の風通しを良くした結果、仮面の組織フェイスマスクではちょっと部署に空きが生じすぎたらしく、再編成を行うことにしたようである。
ゆえに、再編成用にちゃんと能力のある人員をあった部署へ割り振れるように、一度全員を集め直し、そこで改めて各自の役目を振り分けるそうだ。
‥‥‥全部一斉に集まるのであれば一網打尽に出来そうなものなのだが、生憎話を聞く限り、組織には本部と支部のように分かれている構造があるらしく、完全に上層部とやらの方を捕らえるのは難しそうだ。
だが、この情報だけでもかなり有益だろう。
今までさんざんやらかしつつも、その目的を明かさなかった組織の情報を一気にとることができる可能性があるのだから。
例え上層部とやらが手に入らなくとも、都合よく清掃が行われたおかげできちんと役目を果たす人員を残していたという事は、しっぽ切りするほどでもなく、情報をそれなりに持っているはずである。
懸念するので有れば、その材料扱いされた者たちの末路だが…‥‥すでに国外の別の場所に移送されているそうで、そちらで現在進行状態で使用されているらしい。
「詳しい場所をできれば聞きたかったが…‥‥ここまで情報を得れば十分か」
「儂の術で、あ奴らから全容を聞き出すのも可能じゃが?」
「いや、無理にやり過ぎると今度は警戒されまくるだろうからな…‥‥とりあえず、得られた情報だけでも持って帰るか」
ここで強襲し、ゼネによって情報を魂ごとしっかりと得る事もできただろう。
だが、無駄にやらかせばその分組織側が対応して警戒し、より大きな情報を得るすべを失うかもしれない。
とにもかくにも、今まで後手ばかりであった仮面の組織フェイスマスクへの対応ではあったが、ここにきてようやく先手を取れそうな有益な情報を得ることができたのであった…‥‥
「罠の可能性もあるが‥‥‥」
「今のところは本当のようですネ。嘘をついているような脳波などは感知できまセン」
‥‥‥そんな感知機能ってあったっけ?
ああ、アップデートで付いたのか。それはそれで便利な様な、ごまかしたい時に困るような。‥‥‥いや、そもそもごまかすというか、嘘を彼女達に付く機会とかは無いか。
怪しさ満点、経験上アウトな面子だったので、ディーたちは彼らの追跡を行うことにした。
とはいえ、一応王城の方にも連絡が必要そうなので、まずは学園にいるはずの王子へ連絡してもらうために、たまたま一緒だったルナティアに任せつつ、召喚獣たちを呼んで追跡を行う。
「‥‥‥何と言うか、見て思うんだがあんな変な仮面を付けて、よく人込みの中を目立たずに行けるよな」
「認識阻害のような物があるようですからネ…‥‥とは言え、そう簡単に通すようなこともないはずですガ」
‥‥‥都市を警備している衛兵たちは優秀な人が多い。
何か揉め事があったら、すぐに駆け付け解決することが多く、騒動だろうと何だろうと、割と一番最前線に出ているのだ。
対応できるように訓練しているらしく、特に仮面の組織フェイスマスクの存在が確認されてからは、国がより練度を高め、そう簡単に怪しい者を通さないようにしているはずであり、例え認識阻害があろうとも都市内に入れるはずがないらしいが…‥‥
「とはいえ、完全にできる人なんていませんわね」
「何人か、通してしまう可能性は無きにしも非ずでござるよ」
「人によってはまだ質が悪いという類もおるようでありんすしなぁ…‥‥」
何にしても、どうやって入って来たのかということはともかく、今は追跡の方に思考を向ける。
ノインの分析いわく、あの仮面の組織の仮面には認識阻害の効果はあるようだが‥‥‥悲しむべきか、何と言うか、何かと接触回数が多くなればその効果も薄れるようであり、結果として結構接触していることが多かった俺たちには効果は薄いらしい。
というか、認識阻害だけどここまで注目するとほとんど意味もないと思う。まず、機能しているのだろうか?
何にしても、目についたりしたし、阻害の影響を受ける事もなく追跡できているのだが…‥‥
「‥‥‥この方向って確か」
「ええ、貴族街ですネ」
‥‥‥ちょっと前に、組織の研究所などを潰した際に得た証拠などで制裁が起きて、頭の取り換えや潰しが行われた貴族がそれなりにいたはずである。
けれども、それでもまだ隠れて組んでいたのか、それとも新規で組んだのか‥‥‥何にしても追跡すればわかる話だ。
そうこうしているうちに先へ進むと、とある一つの屋敷の前にたどり着いた。
「あれ?ここ家主がいない状態でありんすな」
「売却予定‥‥‥ふむ、前に潰された貴族の家だろうか?」
空き家になっている邸に住みつかれていたのだろうかと思いつつ、俺たちは中へ入る。
幸いというか、鍵もかかっていないというか…‥いや、これこじ開けた形跡があるな。
利用していたのは間違いなさそうだが、思いっきり不法侵入だとは思う。
っと、中へ入ったところで、ちょうど何やら仮面の者たちが部屋の中央に集まっていたようなので、その会話を聞くために天井裏の方へ回り込み、そちらから聞き耳を立てることにした。
ゼネの幻術で見えないようにして接近することもできるのだが、実態が消えているわけでもないので迂闊に動かれてぶつかって気が付かれても面倒なだけであるからな。
―――――
「‥‥では、明朝この国から退去と?」
「ああ、そうだ。上からの命令だが、冬季の活動停止状態の中で選別を行い、ある程度の処分が決定したらしい。その分、再編成のために一時的に集めるようだ」
―――――
「‥‥‥退去?」
耳を澄ませている中で、しょっぱなから聞こえてきた言葉に俺たちは首を傾げた。
今まで散々やらかしてきた組織が、この国から退去するというのは良い事なのかもしれないが‥‥‥何かこう、嫌な予感がするのだが。
そう思いつつ、会話内容に集中してまとめ上げると、どうやら雪の降る季節の間に仮面の組織の内部では大清掃が行われていたらしい。
というのも、無能な輩とか迷惑な輩とかも入れていたのは、そいつらを様々な実験の材料やしでかしたときの処分方法の口実、トカゲのしっぽ切り用の使い捨てなどという目的があったらしい。
だがしかし、少々活動が目立ちすぎてきた原因にもなって来たので、この際一斉に処分することが決定し、雪の降っている間にどんどん消し去ったのだとか。
いや、殺害したとかではなく、材料扱いになったようだが…‥‥何にしても組織の内部の風通しを良くした結果、仮面の組織フェイスマスクではちょっと部署に空きが生じすぎたらしく、再編成を行うことにしたようである。
ゆえに、再編成用にちゃんと能力のある人員をあった部署へ割り振れるように、一度全員を集め直し、そこで改めて各自の役目を振り分けるそうだ。
‥‥‥全部一斉に集まるのであれば一網打尽に出来そうなものなのだが、生憎話を聞く限り、組織には本部と支部のように分かれている構造があるらしく、完全に上層部とやらの方を捕らえるのは難しそうだ。
だが、この情報だけでもかなり有益だろう。
今までさんざんやらかしつつも、その目的を明かさなかった組織の情報を一気にとることができる可能性があるのだから。
例え上層部とやらが手に入らなくとも、都合よく清掃が行われたおかげできちんと役目を果たす人員を残していたという事は、しっぽ切りするほどでもなく、情報をそれなりに持っているはずである。
懸念するので有れば、その材料扱いされた者たちの末路だが…‥‥すでに国外の別の場所に移送されているそうで、そちらで現在進行状態で使用されているらしい。
「詳しい場所をできれば聞きたかったが…‥‥ここまで情報を得れば十分か」
「儂の術で、あ奴らから全容を聞き出すのも可能じゃが?」
「いや、無理にやり過ぎると今度は警戒されまくるだろうからな…‥‥とりあえず、得られた情報だけでも持って帰るか」
ここで強襲し、ゼネによって情報を魂ごとしっかりと得る事もできただろう。
だが、無駄にやらかせばその分組織側が対応して警戒し、より大きな情報を得るすべを失うかもしれない。
とにもかくにも、今まで後手ばかりであった仮面の組織フェイスマスクへの対応ではあったが、ここにきてようやく先手を取れそうな有益な情報を得ることができたのであった…‥‥
「罠の可能性もあるが‥‥‥」
「今のところは本当のようですネ。嘘をついているような脳波などは感知できまセン」
‥‥‥そんな感知機能ってあったっけ?
ああ、アップデートで付いたのか。それはそれで便利な様な、ごまかしたい時に困るような。‥‥‥いや、そもそもごまかすというか、嘘を彼女達に付く機会とかは無いか。
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